せろふえ

チェロと笛(リコーダー)を楽しむおじさん

バッハ フルートソナタロ短調→ハ短調 BWV1030

2018年12月29日 | リコーダー
バッハ、ヨハン・ゼバスチャン Bach , Johann Sebastian (1685-1750)
フルートソナタロ短調→ハ短調 BWV1030
 有名な、傑作ロ短調ソナタは半音上げてハ短調で(技術さえ許せば)全部吹ける。何人か、プロが吹いたのを知っているけれど、録音があるかどうかは知らない。いや山岡重治が録音しているかもしれない。ミカラペトリがキース・ジャレットと録音したやつは、なんと原調で吹いている。下のeはひざを使ってるのかな?
 もともとこの曲はト短調の(たぶんオーボエ)ソナタで、(*注)バッハ自身が3度上げてトラベルソ用に書き直したらしい。普通、管楽器のソロソナタはよく移調して吹かれ、その際、オーボエを基準にトラベルソなら2度上、リコーダーなら4度上で、吹かれる。この曲の場合、その関係は崩れている。バッハは(も)ロ短調に特別な意味を見いだして、どうしてもロ短調にしたかったのではないか?いや、案外、ト短調のオーボエソナタを定石どおりイ短調にすると、重要なところで上のf(トラベルソはfがとても苦手)が出てくるのを避けただけだたりして、、、
 どちらにせよ、とても難しくて、人前でやることは永遠にできそうもない(難易度5)が、トラベルソ奏者にとってもそうらしいしなあ。それに、ひとりで吹いてもこれは傑作だ。出だし、普通に吹いていると、あまりにあっけらかんとした響きが、トラベルソで吹かれたロ短調の響きとかけ離れていて、がっかりしてしまう。(トラベルソにとってもやはり、イ短調ではなく絶対ロ短調だ。)最初のc(以下リコーダー用に移調したときの音名)はともかく、次のgは替え指を使うこと(34とか)。またasはできるだけ正規の0123456(6は半開)を使い、23456(これはgisの指)を避けること。できるだけ暗い響かない音を出したい。
  2楽章、バッハによくある、装飾を奏者任せにできなくて、書いてしまった例。装飾のない、旋律だけを類推してみると、いかに素晴らしい装飾かよくわかるし、勉強になる。6小節目最後の拍のg(リコーダー用ハ短調ではas)はgis(リコーダーでa)ではない!また後半5小節目の最後のgも同じ。バロック時代は同じ音の連続など、明らかな場合を除いて、臨時記号はその音のみに有効だ。バッハは明確にこの規則に従って書いており、上の例はあきらか、だそうだ。
 ちなみにハ短調に移調して415の楽器で吹くと440の楽器でトラベルソ用の楽譜で伴奏してもらえるはずだ。気持ち悪いと言われるかもしれないけれど。
 *その後有田正広のバッハフルートソナタ全集の再録が出たが、彼のよるとこのト短調版がオーボエソナタではあり得ないとのこと。バロックオーボエでは出ない音があると言うことだ。では何用かというと、c管のフルートソナタだとのこと。ともかく有田のCDはお勧めだ。

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