牛熊日記

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何故、イタリア、スペイン、ベルギーの国債が売られたのか

2012年02月08日 19時12分55秒 | 日記

ギリシャの債務削減交渉が大詰めを迎える中、
イタリアなどの国債利回りの動きを見ると、急速に信用不安が収まってきた様子がうかがえる。
イタリアの10年債利回りのグラフからは、二度にわたり、7%台に乗せた後、現在は5%台に低下している。
スペインの10年債も、6%台半ばあたりから、一時、5%割れまで低下した。
そして、ベルギーの10年債も一時6%近くに上昇したが、今度は4%割れとなっている。

いったいイタリアやスペイン、ベルギーについては何故、それほどまで利回りが上昇しなければならなかったのか。

今回の利回り低下の背景としては、ECBによる資金供給のよる影響が大きかったとの見方が強いが、
それでイタリアの信用が戻ったわけではないはずである。
ECBによる資金供給は国債需給面で多少、影響はあったかもしれないが
今回のこれらの国の金利低下は、欧州の信用不安そのものが後退したためである。
ギリシャは確かに問題を抱えているのは確かであるが、イタリアにそれほど大きな財政上の問題があったのか。
イタリアのプライマリー・バランスは黒字であり、ベルギーは経常黒字の国である。
今回の欧州の信用不安は、まさに不安の連鎖であり、その不安を沈めることが最大の問題解決法であった。

いまはたぶんそれに成功しつつあるのではないかと思う。
これにはドイツやフランスのトップが何度も協議を繰り返し、またユーロ首脳会議でも真剣に時間をかけて協議を行い
なんとしてもユーロというシステムを守ろうと不断の努力を行ってきたことを、市場も理解し始めたのではなかろうか。

信用は移ろいやすい。だからこそ、ソブリンリスクが国債の利回りの変化を促し、火が付いたところに格付け会社が油を注いだ。
しかし、火が消え去れば油を注いでも、もう燃え広がらない。

これで欧州の信用不安が解消されたということは言えないが、ヤマ場は超えたのは確かであろう。
周辺国の利回り上昇が落ち着けば、金融機関への影響もその分、減少する。
もちろんギリシャの問題の影響は今後も残るが、損失額が明らかになれば、不透明感も払拭される。

市場にとって先が見えないことほど恐いものはない。これは市場に限らずそうであろう。
だからこそ、イタリアやスペイン、ベルギーの国債利回りも以上なほど上昇したのであろう。
しかし、先々がある程度見えるようになれば、不安は急速に収まる。それが今の姿かと思う。

国債に対する信用不安が生じた際に、どのようなことが起きるのか。
今回のユーロ圏諸国の国債の動きは、たいへん貴重な事例になろう。
米国債もあと15年か20年で危機を迎えるといった見方もあるが、それより前に危機を迎えるであろう国の国債もある。
このためにも、貴重な事例研究として今回のユーロ圏の動きはたいへん参考になるのではなかろうか。