2021.10.16(土)
本日チョイスした竿は半田丸の万能竿、沖0号です。
ぬーん。
エギの針は大きい針に取り替えています。
最後のタコの写真を撮る勇気なんてありません。洗濯ネットごと、パチリです。開けるもんかっ。
大洗 大栄丸
東京湾でのうっぷんを晴らすため、タコを求め、大洗までやって来ました。
集合は4:30。
早く着くとバイクでは寒いです。
ギリギリを狙って行くと、最後に余っていた席は左舷2番でした。
先日、東京湾でボウズくらったときと同じ席です。ははははは。
左舷は7人。
後ろの4人はグループさんでした。
遅くなった日本の夜明けぜよ。
出港しても、まっ暗け。
もう秋ですね。
「バイクで来たの?寒いっしょ?」とお声がけくださった、気さくな常連Sさんは地元の方で、左どなりの3番です。
背もたれが無い2番ではなく、
背もたれが有る3番に入ったそうです。
さすがは常連ですね、慣れていらっしゃいます。
北東の風が強く、うねりもかなりあり、のろのろ進みます。
ドッタン、ドッタン。上から横から、海水がバッシャバッシャ。
ひょえぇぇ。
スタートフィッシングです。
本日チョイスした竿は半田丸の万能竿、沖0号です。
今日の海のタコにはちょうど良かったかも。
半田丸釣具を初めて訪れた際、店主の伴さんに勧められて購入した、思い入れのある竿です。
2.1mワンピースです。
「中深場用のキンメ竿を探していますが、こちらにちょうどいい竿は有りますか?」
という私の問いに、伴さんの言葉は次のようなかんじでした。
「魚の種類ごとに竿を揃えていたら、メーカーの思うツボです。この竿一本で、60号から350号オモリまで使えます。」
「メーカー表示の、オモリ負荷なんて、デタラメです。」
「150号負荷の竿は、150号以上の負荷をかけると、折れる竿という意味では、目安にはなりますが。」
私に竿を持たせて、
350号オモリをぶら下げ、伴さん、グイグイと下に引っ張ります。
「糸と一直線になった竿先は、糸の一部と考えてください。オモリの重さ、魚の重さで、竿の曲がるところが変わり、そこが竿の働きをします。」
「まだまだ曲がります。はい、キンメ、1枚付きました。はい、2枚、3枚、4枚、5枚。」
かなり強くぐいぐい引っ張られ、よろけました。
「ちゃんと持っていてください。この竿は、まだまだ余裕があります。」
「メーカーは、わざと折れる竿を作ります。なぜだか分かりますか?」
「折れれば新しい竿を買ってもらえるからです。」
「毎年、色を変えただけで、新開発と偽り、売りさばくのが、この業界です。」
「釣り具業界の会合で、『どうしてそんなインチキな竿を作るのだ?』と言ったら、干されて、嫌がらせを受け、仕入れが出来なくなりました。」
「しょうがないので、材料から研究し、仕入れルートを作り、竿の型を作り、絶対に折れない竿を作ったんです。干されたから、この竿が誕生したんです。」
初対面の私を相手に話しはまだまだ続きました。
漁師だった頃のエピソードや、
釣り雑誌や広辞苑から頼まれて、釣り用語の監修をしている話しや、
現在、誤用されている釣り用語を憂いている話し。
漫画『美味しんぼ』の間違いを指摘したら、漫画ファンとの間で論争に発展した話し。
超ビッグな客とのエピソードなど。
すっかり、私の方が釣り上げられてしまいました。
このあと、
新しい釣りがしたくなるたびに訪れ、相談し、
「すでにお持ちの竿で十分です。買う必要ありません。」
とか言われて、買わないことの方が多かったです。
計6本買いました。
廃業されたのが残念でなりません。
息子さんに漆塗りを修行させていると言ってましたので、
継ぐものだとばかり思っていました。
話しがそれました。
そうそう、なんで半田丸沖0号にしたかというくだりでした。
釣行前日、茨城のエギタコ釣りの動画を見ていました。
外海での釣りなので、うねりが高く、ザッブンザッブンした中で釣っている動画でした。
ハッとしました。
1.5mのイカ竿を玄関に出し、準備OKでしたが、
1.5mの、こん棒のように硬い竿ではきびしくないだろうか?
海底からエギを離しちゃダメな釣りなのに…
外海はうねり、キツイんだぜ。
ていうか明日、海が悪そうなんだけど…
イカ竿→半田丸沖0号にチェンジしました。長めの2.1mですし、胴から良くしなり、
うねりを吸収するはず。
小突きより海底キープを重視するぞ。
はい。
予想どおり、いや、それ以上に、うねりがありました。
海底からエギが離れぬよう、大きく竿を上下させました。
忙しく上下させているので、小突けるタイミングは短いです。
小突くにしても竿が柔らかいので、ブンブン、グワングワン、大きめに揺すらないと、エギが動かない気がします。
また、
少し離れたところのタコにも気付いて欲しいので、
空合わせするときは大きく竿を持ち上げることを心掛けました。
横流しするので、水深30mですが、60m位はすぐに糸が出ていきます。
空合わせするたびにクラッチを切って糸を送り続けるかんじです。
立ってられないレベルの揺れですから、疲れます。
そして果たして、こんなんで釣れるのかいな?
ぬーん。
1杯目。
おチビちゃんが釣れました。つい先日、ボウズだったので、チビでも嬉しい。
豚肉を巻きましたが、
ビロビロとズレるので、すぐに撤収しました。不器用な男です。
残りの豚肉は、ギャラリーのカモメさん達に投げました。
どうぞ食べてください。
な、なんと、
左舷では私だけが釣れています。
しかも、3連荘で釣れました。
他はまだ誰も釣っていません。
1人だけ3連荘は、さすがに、ただの偶然とは思えません。
海底をしっかりキープできているからかな。
エギをしっかり動かせているからかな。
よし。今日は手が合っているぞ。
エギの針は大きい針に取り替えています。
東京湾ではまったく効果のほどが知れませんでしたが、改造エギ、ばっちりgoodでした。
なぜかって、
1回も巻きバレしなかったからです。
1回もですよ。
周りは2~3回に1回位は巻きバレしていたようですから。
それと、
電動リールも巻きバレ防止に役立った気がします。
テンション緩めず、
速攻で上げられますので。
もう、今日は幸せ。
左どなりの常連Sさんが絡んできて、笑わせてくれます。
曰く、
「もうそれ以上、釣らないで。追いつけなくなる。」
「寝てていいから、休んでて。」
「タコ、居なくなるから、もうやめて。」
まるで、旧知の友と釣りしている気分です。
あぁ楽し。笑いながら釣りしたのは久しぶりでした。
ところで、Sさんは独特な釣り方をします。
基本は手釣り。
竿も使います。
「エギ手釣り釣法」とでも言えばいいのかな。
小突きがタコに止められるまでは手釣り。
タコに止められたら、竿に持ち替え、たるんだPEラインを勢いよくリールで巻いて、
PEラインのたるみが無くなったら、下から上に、竿で豪快な合わせ。カッコいい。
いや〜器用ですよ。
楽しそう。
大栄丸でもう1人、同じ釣り方をする常連さんがいるそうです。
手だとタコのシグナルが、良く伝わるのかも知れませんね。
私なんて、シグナルなんて知ったこっちゃありません。空合わせするばかりですから。
だんだん疲れてきました。
クラッチを切ったり戻したり、
竿を上げたり下ろしたり。
うねる海で立ち続けるのはスクワットし続けるのとおなじ。すでに太ももプルプル。
まぁ釣れたし、余裕こいちゃいますか。
座ったまんま、クラッチ切ったまんま糸を送り出し、親指で止めてからの空合わせ。
編み出した、横着釣法です。
ですが、この横着釣法では1杯も釣れませんでした。
なんでだろ。
朝イチは調子の良かった私ですが、どんどん失速していきました。
頭の中はクエスチョンマークだらけでした。
が、しばらくして後、
釣れていた時の、朝の釣り方に戻してみました。
立ち上がって、クラッチ、カチャカチャ。竿は大きく上げ下げします。
さて、
スクワット釣法にした途端、すぐにタコが乗りました。
乗りましたというより、
乗りやがりました。
そうですか、そうですか、
休むなっていうことか。
思うに、
立っていた方が、空合わせする時、下から上まで大きく竿を振れる分、アピール効果が高いのか。
座って、クラッチ切ったまんまだと、エギは同じ場所に置きっぱなし。
広くタコのテリトリー探しが出来ていなかったのか。
立って空合わせすれば、エギは飛び上がりつつ、大きく移動するのでしょう。
さて、
船内状況はというと、左舷後ろの4人組が特に苦戦しているようです。
後半に入ろうかという頃にまだ、4人で2杯くらいでした。
Sさんがトイレがてら、船内を調べてきました。
釣れているのは前の方だけ。
現在、私がトップ。
右のミヨシ氏が1杯差で、2位につけているそうです。
むむむ。
普段はしない、緊張をしました。
どうせなら、竿頭で逃げ切りたいぞ。
どうなったかと言うと、
14杯で並ばれたあと、
15杯目を釣って逃げ切りに成功しました。
最後の15杯目は、今日の最大サイズで、重かったです。
電動リールが頑張っているあいだ、竿を支えているのがやっと。
タモ取りしてもらいました。
暴れるデカタコ、怖っ。
貼り付きまくります。
腕に、
太ももに、
バケツに、
そしてまた腕に、貼り付きます。力、ハンパないっす。
はっきり言って、怖い。
首根っこ引っ張っても無理。足、1本ずつなら剥がせますので、ベリベリ、ベリベリベリベリのくり返し。
悪戦苦闘の末、やっとこ洗濯ネットに収まった頃、終了の笛の音(大栄丸は体育教師みたいな笛を吹きます。)
タコが怖かったのと、剥がすのに疲れたのとで、腕も身体も震えてました。我ながら、ひ弱すぎる。
最後のタコの写真を撮る勇気なんてありません。洗濯ネットごと、パチリです。開けるもんかっ。
次、チャック開けるのは、氷で凍え死んで頂いた後です。
船長に念を押されました。
「15杯ね。今日トップだから。オレ忘れちゃうから、後でうちのカアちゃんに、15杯っていうのと、名前、言ってね。」
わーい。竿頭認定されました。
大洗港のちょいと沖に、ドドーンと長い沖堤防があります。なんとなく眺めていましたら、タイミング良く、Sさんが解説してくれました。
「ここ、良く釣れるんだよ。伊勢エビが釣れるよ。でも、震災後は渡船やってないんだよね。」
10年以上経ちましたが、津波を恐れ、客が来ないのか。または、釣り禁止になったのか。理由まではSさんも知らないそうです。
「大洗、けっこう、被害大きかったんですよね。」と、会話をつなぐ私。
「大栄丸は震災のとき、船長どこかに出かけていて、沖に船を出せなくて、テトラの間に突き刺さっていたんだよ。後で、引き抜いたけど。」
「えっ、この船ですか?」
「そう。となりの大洗丸は堤防に打ち上げられて、ゴロンと横になっていたよ。」
「えっ…」
「ここらの船は沖で3日間、避難したんだよ。1日1回、1隻が沖から全速力で港に戻って、全員分のおにぎり取って、また、全速力で沖に逃げたんだ。」
「…」
怖かっただろうな…
帰港し、カアちゃんこと、奥さまに15杯ってことと、名前を伝えました。
ところが釣果欄は、
竿頭18杯、2番16杯、3番15杯。
全体で、7~18杯。
オイオイ。盛ってるじゃん。
竿頭が18ってのもアレですが、スソが7ってのはいくらなんでもな。
ま、なんていうか、なんだかな。
ま、いいや。
今日の仕掛け。
仕掛けのロストは無しでした。
根がかりすらしませんでした。
後半、調子に乗ってスッテを1本追加し、4本付けにしました。
道具のおかげでたくさん釣れて、となりにも恵まれ楽しい釣りができました。