プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 命売ります >

2018年05月23日 | ドラマ。
BSでやってた三島由紀夫原作のドラマ。
なんで今さら三島由紀夫なのか?という興味で見始めて、
こんな無理な設定をどう収拾するのか、ということのみを理由に最後まで努力して見た。

まあ暗いドラマでした。暗いドラマは嫌いだ。
自殺を何度か試みて、その度に失敗した山田羽仁男というエリートコピーライターが、
「自分で死ねないのなら」と、やけくそになって他人からお金を取って依頼を受け、
殺される状況に自分を持っていく話。
BSのせいか、近年めったに見なくなったセックスシーンが2,3度ありました。
これで客寄せかなと思ったが、最初だけだった。


若い妻を寝取られたヤクザの親分が、相手のヤクザの男に見つかるように妻と寝て、
その現場を見つかって殺されてくれとか、
ドラキュラ症候群になった母に生き血を吸わせてやってほしいとか、
医療ミスに見せかけるため、憎い女医の執刀手術で死んでほしいとか、
占い師が、自分が言った通りの日に死んでほしいとか、
色々な人の依頼を受ける。


……設定が無理すぎるので、話がどんどんおかしくなっていくんだよなあ。
シチュエーションを数々考えたのは三島由紀夫の手柄かもしれないと思うが、
それをちゃんとドラマとして破綻なく作れるかというと……作れない。突っ込みどころ満載。
原作に対して、どの程度の復元度なんだろう。まあスマホ、ネットがバンバン出てくるので、
相当の改変はしているだろうが。

毎回、羽仁男は生き残ってしまい、他の人が死ぬことになるというパターンなのね。
それらの死に自分は責任があるのではないかという悩みがだんだん大きくなっていく。
そして他人の死を見ているうちに、自分は死にたくないのではないかと思い始める。
だが、その頃にはネットで羽仁男の顔写真や素性は全公開され、
街を歩けばスマホの連写にさらされ、命を狙われる(なんでそう短絡的なのか)という具合。


まあとにかく話は無理がありすぎでした。


そして最終回も、わざわざ見た甲斐があるというほどの内容ではなかった。
っていうか、見終わって30分経ったらラストがどんなんだったか忘れていた。
たしかに田中泯は怪演だったけど、それよりも話の無理さ加減が乗り越えられなかった。


YOUと田口浩正を箸休めにしたかったんだろうが、単にチープさが増しただけだった。
2人に罪はないけどね。脚本の罪。
しかしそんな中で、薫役の前田旺志郎はなかなか良かったと思う。
「超高速!参勤交代」で見ているらしいが覚えてない。
あ、田中泯も今まで名前だけは聞いていた人だったので、今回舞踏が見られて良かった。

大杉漣が出ていましたね。
酒井若菜ってあの酒井若菜だろうか。わたしの記憶にある人とは似ても似つかないのだが。別人?
ああ、チビ犬(「直虎」の中野直之)が出ている。
津田寛治を、すっかり小林賢太郎だと思って見ていた。
遠藤要なる人を、すっかり舞の海だと思って見ていた。
松金よね子さん。お久しぶりだ。しかしこのキャスティングでは
「男を連れ込んでいるヒドイ母」にはどうしたって見えない。
平岩紙は安定の。
あ、そうそう、野間口徹はいっつもツラッと出てくるよね。笑っちゃう。好きだけども。

ナチュラルに言及を忘れていた主役の中村蒼については……
このドラマで判断するのもかわいそうなので、別のドラマで見たいものです。




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