寒いと思ったら、雪だった。ノブオの部屋は本当に寒い。私はここの部屋に来るといつも、「寒いさむいサムクテさむいよぉ」と言いながらこたつに体の半分以上をもぐらせている。
今日は帰れそうにないや。
ノブオからのメールで意を決して玄関のドアを開けた私は、空から落ちてくる雪の結晶の集合体に、正直言って驚いた。
だって大きいんだもの。ひとひらの雪と呼ぶにはあまりにも大きなボタ雪。後ろ手に掴んだ傘をぱっと広げると、雪が傘の生地に着地するたび、ボトン、ボトンと音がするのだ。
雪だよ。
ノブオの携帯電話にメールを送る。駅まで歩いて10分。いや、この雪だと、15分はかかるかなぁ。いやはや、雪だねぇ。だなんて独り言を言いながら、転ばないように一歩一歩踏みしめて歩く。
すごいな。今外見た。
コートのポケットで呻る携帯電話を開いて読んで、さっそく返事を書く。
道歩いてると、海の底にいるみたいだ。
ノブオとはもう何年も付き合っているような気がする。
海の底は、光が当らず、温度が変わらず、居心地がいい。
時々通り過ぎる肉食魚を隠れてやり過ごせば、後は食べて寝るだけ。
高い高いビルの一室で仕事をするノブオのことを考える。
一人さびしく残業するスーツ姿を想像すると、私はノブオをとても好きだと思うのだった。
今日は帰れそうにないや。
ノブオからのメールで意を決して玄関のドアを開けた私は、空から落ちてくる雪の結晶の集合体に、正直言って驚いた。
だって大きいんだもの。ひとひらの雪と呼ぶにはあまりにも大きなボタ雪。後ろ手に掴んだ傘をぱっと広げると、雪が傘の生地に着地するたび、ボトン、ボトンと音がするのだ。
雪だよ。
ノブオの携帯電話にメールを送る。駅まで歩いて10分。いや、この雪だと、15分はかかるかなぁ。いやはや、雪だねぇ。だなんて独り言を言いながら、転ばないように一歩一歩踏みしめて歩く。
すごいな。今外見た。
コートのポケットで呻る携帯電話を開いて読んで、さっそく返事を書く。
道歩いてると、海の底にいるみたいだ。
ノブオとはもう何年も付き合っているような気がする。
海の底は、光が当らず、温度が変わらず、居心地がいい。
時々通り過ぎる肉食魚を隠れてやり過ごせば、後は食べて寝るだけ。
高い高いビルの一室で仕事をするノブオのことを考える。
一人さびしく残業するスーツ姿を想像すると、私はノブオをとても好きだと思うのだった。