お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

どこにでもいる おタッキー

2010-02-18 | about 英語の絵本

Tacky the Penguin

タッキー(Tacky)はペンギンの子ども。でも、まるっきりペンギンらしからぬペンギンです。ユニークと言えば聞こえはよいのですが、それよりも"一風変わっている"と言われたら、誰もがウンウンとうなづいてしまう、そんな風変わりな子どもです。

何をやっても、調子っぱずれ。何ひとつみんなと同じようにできません。みんながきちんと上までボタンを留めてタキシードで正装しているのに、タッキーはアロハシャツ!どの子もきちんと並んで行進できるのに、タッキーはいつだって列からはみ出してばかり。歌を歌えば、初めから終わりまで調子っぱずれ。やれやれ・・・。

タッキーのお友達は、といえば、その名もGoodly, Lovely, Neatly, Angel そしてPerfect! みんな、その名に恥じない"よい子"ばかり。そんなよい子に交じって、タッキー本人にはそんなつもりはさらさらないのに、いつもまわりから浮き上がって、良くも悪くも(もちろん、いつも後者です!)目立ってしまうばかり。

それでもタッキーはぜ~んぜん気にしていない・・・どころか、自分が変わってるなんてことにも気づいてさえもいません。だから、タッキーは友達と遊ぶのも大好き!でも、まわりの友達は、実を言えば、変わり者のタッキーが苦手でした・・・。

でも最後に、みんなの窮地を救ったのは・・・そう!タッキーです。変わり者でユニークで皆と同じことを考えないタッキーだからこその快挙!そこは読んでのお楽しみ!

さて、この絵本こそCDで楽しんでください。作中、タッキーが歌う、音痴なんてものじゃない調子外れの歌を聴くだけで、子どもたちは転げ回って笑います。なにしろ全編、ほとんどずっと可笑しいのです。だから子どもたちはクスクス笑いっぱなし。そして時々、こらえきれずに爆笑!掛け値なしに楽しめます。でも読み手にはクリエイティブな読みが期待されるので、もうここはテープかCDにお任せ!

この絵本はヘレン・レスター(Helen Lester)作、リン・マンシンガ―(Lynn Munshinger)画の人気シリーズの1作目。同じタッキーを主人公にした連作が出版されていて、どれも人気を博しています。でも私は、なんといってもこの1作目が大好きです。

ヘレンのメッセ―ジははっきりしています。みんなと同じことができなくたって大丈夫。ユニークでも変わっていても大丈夫。肝心なのは"自分らしく"あること!

以前このブログでご紹介したヘレンとリンの作画コンビの作品" Me First"(いちばんじゃなきゃイヤ!)も、いわゆる先生のお気に入りや大人の目で見た"よい子"ではなく、どこにでもいそうな、わがままな"困ったちゃん"が主人公のお話でした。

アマゾンの読者評を読んでいると、大人も子どももタッキーが大好きなのがよくわかります。子ども時代からずっとタッキーが大好き!という学生たちが「ベビーシッターのアルバイトにはいつもこの絵本を持っていく」とか、サマーキャンプのカウンセラーをした時に「子どもたちに読んであげた」などの体験談を寄せています。とりわけ印象的だったのは、「うちの息子がタッキーでした」というお母さんのレビュー。3歳から入った幼稚園でどうしても集団に馴染めなかった息子さんが、5歳でタッキーの絵本に出会って、始めて感情移入できる対象ができたこと。息子さんは自分自身を、お母さんは息子さんを、本当に肯定できるようになったことが綴られ、そして最後は「実は、今日その息子が大学を卒業します。タッキーの本に出会わなかったら、彼の人生にこの日は来なかったと思います。だから、卒業式に先立って、心からのお礼の気持ちを込めてレビューを書くことにしました」と結ばれていました。
絵本の持つ力はすごいですね!



コメント
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