お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

大学もダウンサイジング

2010-02-10 | from Silicon Valley

Photo: San Jose State University, Dr. Martin Luther King, Jr. Library

サンノゼ州立大学(San Jose State University)が来年度の事業計画を発表し、大幅なダウンサイジングを予告して議論をよんでいます。来年度の募集人員は今年度よりもさらに2500人削減。今年度の3000人削減に続く2年連続の定員削減です。

理由は改めて言うまでもなく州の財政難。州政府からの補助金がカットされるので、教員を雇うことができず、教員数に合わせて生徒数を削減せざるをえないのです。カリフォルニア州は州政府自体が破産しそうな状況ですから、これには、皆しぶしぶながら納得せざるをえませんが、しかし、定員削減で受験生にも在校生にも深刻な影響が出ることは必至です。

定員削減にともない、当然のことながら受験の競争率は急激に上昇します。競争が激化するとみられるのは受験生に人気が高い専攻;ビジネス、コミュニケーション、商・経済学部、法学部、心理学、社会福祉、看護学部など。他方、希望者の少ない学部は整理統合され、場合によっては一時休止や廃止になる可能性があり、その意味で受験生だけでなく在学生への影響も懸念されます。学生たちは「クラス数やクラス定員の削減で、卒業に必要な単位を取るのが難しくなる。年限内に卒業できるだろうか?」と心配しています。アメリカの大学では在学時間は、州立大学といえども高い授業料で購わなければなりませんので、在学期間が延びてしまうと資金が続かずに卒業できない学生が出てきます。事態は深刻です。

サンノゼ州立大学も、ただ定員を削減する消極策をとるだけでなく、さまざまな努力で受験生のために可能性を広げようとしています。資金集めに奔走していることはもとより、大学内での自助努力の一つとして、大学の定員枠を圧迫する原因となっている"留年組"学生(Super Senior)への卒業指導を強化しています。入学したからには、しっかり学んでどんどん卒業し、社会に出て自らの受けた教育を還元し、後進に道をあけてください!というわけです。これについては以前のブログで詳しくご紹介しましたので、ご覧ください。

さて、インパクトは大学内だけにとどまりません。サンノゼ州立大学周辺にある多くのコミュニティカレッジ(Community College)では、たくさんの学生がサンノゼ州立大学への編入(transfer)を目指して勉強し、単位修得に励んでいます。が、新入生の募集定員削減策が実施されると、これら中途編入生の採用はゼロになる見込みなので、コミュニティカレッジへの影響は重大です。

というのも、コミュニティカレッジに在学する学生の40%は州立大学への編入を希望しているからです。サンノゼ州立大学に近く、多くの編入生を送り込んでいる実績あるコミュニティカレッジ(De Anza CollegeとFoothill College)についてみると、現在、在学生の68%はすでに編入に必要な単位の修得を終えていつでも編入できる準備を済ませています。もしも来年度の編入受け入れがゼロになると、この学生たちの努力は水の泡。実に気の毒です。

コミュニティカレッジに通っている生徒のなかには、親にも自分にも資金力がないために高校卒業後すぐに進学できず、働きながら授業料の安いコミュニティカレッジで教養課程(AAの学位のあいだ)を修了して授業料を節約し、大学への資金を貯め、専門課程(BA:学部卒業資格)から大学に進学しようと考えている苦学生が大勢います。

不況の影響は避けがたいとはいえ、いざ不況から脱した時、この学生たちの世代がそっくり"失われた世代(Lost Generation)"になってしまわないような対策が講じられなければならないでしょう。


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