お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

絵は描けない!と思ってませんか?

2013-09-24 | with Art


 幼稚園入園前の子どもたちに「絵を描くの、好き?」と聞くと、すぐ「好き!」「好き!」「好き!」と元気な返事。でも、大きくなるにつれ「わかんない」「好きじゃない」となり、ついには「絵は描けません!」と答えるおとなになる・・・と言われています。これ、私には他人事ではありません。子どもを育てていて一番困ったのは、のべつまくなしに「絵、描いて!」と言われたことだったからです。

 東京お茶の水にある(株)芸術造形研究所は「誰もがアートで自己表現できる」方法論を開発しています。そもそもは認知症の高齢者のためのアートクラスのカリキュラムと教授法の開発からスタート。だから、病んでいても、障害があっても、なんら問題ではありません。この研究所のクラスやワークショップに出席すると、ほんとうに「誰でも絵が描ける」ようになります。たとえば上の写真は芸術造形研究所がもっているカリキュラムのひとつ「あじのひらき」です。2時間のクラスの時間内にこれが仕上がるようになります。

 実は、絵が描けない!という思い込みは洋の東西を問わないようです。また、大人だけの問題でもありません。

 絵は描けない!と思い込んでいるひとに、でも、だからといってすぐにクラスには通えないひとに、絵本 "The Dot" をおすすめします。

The Dot
Walker Books Ltd


日本語版もあります。邦訳は「てん」。英語と併読でお楽しみください。

てん
あすなろ書房
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ことばはいらない

2013-09-18 | with Art

アーティストの挑戦(2)

 今日は安野光雅さんの絵本です。安野さんは日本が世界に誇る絵本作家です。安野さんの本は、世界中で出版され、世界中で読まれています。
 
 あらためて言うまでもないことですが、安野さんは画家です。だから、安野さんは絵で語ります。だから、安野さんの絵本にはほとんどテキストがありません。

 でも、安野さんの絵本はどれも饒舌です。どのページを開いても、そこに描かれた絵には物語がぎっしり詰まっていて、私たちの想像力に直接に語りかけてきます。そして、だから、長いこと眺めていてもちっとも退屈しませんし、眺めるたびに、新しい物語が見つかります。

 ことばのない絵本だからこそ、安野さんの絵本は「言葉の違い」という壁をやすやすと超え、世界中の人に語りかけることに成功しました。絵があれば「ことばはいらない」という安野さんの気迫ですね。

 一番よく知られているのは「旅の絵本」のシリーズでしょう。英語では"Anno's Journey"です。以前このブログでもご紹介しましたが、この絵本と、これに続く各国篇の「旅の絵本」シリーズで、安野さんは,絵本に送られるもっとも権威ある賞、国際アンデルセン賞を受賞しています。

Anno's Journey
Puffin


 旅の絵本はいずれも、美しく、そして同時に、いかにも人々の暮らしの息吹が伝わってくるような、ぬくもりのある絵本です。ヨーロッパ各国の絵本がありますが、私はスペインが好きです。

Anno's Spain
Philomel


 下の写真はアメリカ篇("Anno's USA")ですが、残念ながら、日本のアマゾンにはいま在庫がないようです。



 娘が好きだったのは「10人のゆかいなひっこし」。英語では"Anno's Counting House"です。以前のブログでも紹介しましたが、ページを繰るごとに、10人の小人さんが、1人また1人と、左のお家から右のおうちへと引っ越して行きます。今度は誰が動いたかな~?と、精密に描かれた2軒の家を見比べて、かなり長いこと楽しめます。

Anno's Counting House
Bodley Head Children's Books


 もちろんアルファベットの本もあります。

Anno's Alphabet
Bodley Head Children's Books


 世界各国を旅した安野さんならではの絵本、"All in A Day"もおすすめ。日本語版は「まるいちきゅうのまるいちにち」です。

All in a Day (Picture Books)
Puffin


まるいちきゅうのまるいちにち―All in a day
童話屋


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飛び出し、注意!: アーティストの挑戦(001)

2013-08-31 | with Art

 
 え? 何、これ? これでも「絵本」? 

 ページを開いたとたん、親子ともども感激どころか、驚愕してしまう、デイビッド・カーター(David Carter)の「飛び出す」絵本。ちょっと一枚だけ紙が張り付けてあって、それをめくって遊ぶ、などという生易しい代物ではありません。ページを開いたとたんに、複雑で、精巧な紙細工の仕掛けがパッと立ち上がって、親子であっ!!と驚くこと請け合い。

 百聞は一見に如かず、是非、実物をご覧ください! 上の写真はデイビッドと彼の作品です。

 でも、感激した後は、にわかに不安になります。開けちゃったけど・・・このページ・・・閉じることができるの・・・?

 大丈夫、ちゃんと閉じることができます。

 このような紙細工は、折り紙もふくめ、アメリカでは "paper engineering" (紙工学)と呼ばれ、アカデミックな研究課題となっています。

 デイビッドの「飛び出す」絵本シリーズの1冊目は1988年に出版された "How Many Bugs in a Box?" でした。以来、デイビッドが出版した85冊の「飛び出す」絵本は、アメリカはじめ世界中で650万冊以上を売り上げています。"Bug" シリーズだけで20冊ちかくありますが、中でも2001年に出版された "Easter Bugs" は記録的な大ヒットになり、長い間ニューヨークタイムズ紙のNo.1ベストセラーでした。また絵本というより、アート作品と呼びたくなる "One Red Dot" はアンデルセン賞を受賞しています。


How Many Bugs in a Box?
Simon & Schuster Audio


Easter Bugs
Little Simon


One Red Dot (Classic Collectible Pop-Up)
Little Simon
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アートの自動販売機:Art-O-Mat

2013-08-14 | with Art

 アメリカにアートの自動販売機が登場しました。

 "Art-O-Mat" と呼ばれる自動販売機が、劇場やミュージアム等アートに縁のある建物や、アート愛好家が経営するカフェ等に置かれています。

 ちょっとアンティークな印象の自動販売機。それもそのはず、実は、前身はタバコの自販機です。かつてはアメリカ中どこにでもあり、そして、今はほとんど使われなくなったマシンの再生/再利用。でも、バーや街角で大勢のスモーカーを惹き付けていたタバコの自販機は、集めてみると、なかなかにお洒落です。

 "Art-O-Mat" のファウンダーはアーティストのClark Whittingtonです。きっかけは1997年の彼自身の個展。個展会場のカフェに彼の作品を販売する自動販売機を置いたところ、カフェのオーナーがそれを気に入り、「個展が終わったあとも自動販売機はずうっと置いといて!」と頼まれたこと。要望に応えるため、地元のアーティストと恊働し、自動販売機によるアート作品の販売をニュー・ビジネスとして立ち上げたという次第。設置場所も、全米各地に広がっています。

  "Don't Go Round Artless"(アートを忘れるなよ)が"Art-O-Mat" のキャッチコピー。「いつでも、どこでも、マイ・アート」を暮らしのデファクトにしようというわけです。考えてみれば音楽はすでに「いつでも、どこでも、マイ・ミュージック」を実現しています。1979年7月登場のソニーのウォークマン以来、iPodをへて携帯電話へと、いまや音楽なしの暮らしは考えられません。それに比べると、アートはまだまだ。それだけに、市場には大いに伸びシロがありそうです。

 さて、今日の絵本は "Beautiful Oops" です。アートには失敗はない!ことが実感をもってわかる,愉しい絵本です。

Beautiful Oops!
Workman Pub Co (J)


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