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歌野晶午・著「白い家の殺人」

2025-08-14 09:00:11 | 本と雑誌と新聞

 

 

 

 

 

 

 

冬の八ヶ岳山麓の別荘で、深夜、可憐な女子高校生の死体が発見される!現場は密室状態で、不可能犯罪に見える。そこへ、青年探偵・信濃譲二が登場して調査を開始すると、それをあざ笑うかのように、またもや惨劇が。しかし、われらが探偵の名推理が冴えて━━。
 新本格派、渾身の長編推理第二弾。

ISBN-4-06-185229-9 C0193 P500E (0)


別役 実・著「「恐竜ブーム」を掘る

2025-08-12 02:36:10 | 本と雑誌と新聞

本が売れたりファンクラブ
 四年ほど前から(四十年以上前からだ、という説もあるが)「恐竜ブーム」だそうである。もちろん、恐竜というのは既に中生代に滅びた生物であるから、それをペットとして飼うことが流行しているのではない。ただ何故かここへきて、人々の恐竜に対する関心が高まり、それまで書店の倉庫の中でほこりをかぶっていた恐竜に関する本が急に売れはじめたり、各地で「恐竜を語る会」が催されたり、イグアノドンだのステゴサウルスだの種毎のファングループが出来たり、そして何よりも、その化石を見つけるべくあらゆる場所が熱狂的に掘られはじめたのである。
 月毎に、恐竜の化石を見つけるためと称して掘られている穴の数とその容積は膨大なものとなりつつあり、現に栃木県の大谷町では、そのようにして出来上がった地下の空洞が崩れ落ち、巨大な地盤沈下を発生させることになった。上空から沈下した面積の大きさを眺めれば、彼等の掘り当てようとしていた恐竜の化石が、如何に途方もないものであったか、よくわかろうというものである。しかも、このあられもない熱狂ぶりは、世の「恐竜ブーム」に支えられているせいか、ことさら怪しまれてすらいない。
 ばかばかしいと思うものが一部にあったとしても、例の「ふるさと創生」の名のもとに下賜される「一億円」の使いみちについて、意図を正しく理解した各市町村の考えた最初のものが「温泉の発掘」であり、次が「恐竜の化石の発掘」であり、三番目が「ツチノコその他奇異動物の発見」というのであるから、こうした傾向そのものはもはやとどめようがない。ほとんど、二十一世紀へ向けての国家事業にもなろうとしているのである。出来上がった地下の空洞をどう始末するんだ、という意見もあるが、そこへ外国の有名楽団を呼んでコンサートを開けば、我が国の貧しい文化政策に何がしかの貢献をすることが出来る、という考え方もあるのだ。
 かつて北海道の三笠市で、一市民が偶然二十二㌔という巨大な化石を掘り当てたことがあった。専門家に鑑定方を依頼したところ、「約八千万年前のティラノサウルス類の頭骨である」と判定され、市は直ちに文化庁に申請して「エゾミカサリュウ」の名で天然記念物の指定も受け、三笠市は「恐竜の街」として一躍、脚光を浴びることになったのである。それによって、観光収入も激増した。

「トカゲの街」観光の目玉に
 もちろん、この化石は後に恐竜ではなく、単なるトカゲであることが判明したが、だからと言って別にめげることはない。トカゲとは言っても「モササウルス」という、何やらものものしい代物だそうであるから、やがて三笠市は「トカゲの街」として、新たな観光都市に生まれ変わることとなるであろう。
 だめでもともと、という段階を通りこして、今や恐竜の化石探しは、「掘りさえすれば何とかなる」というレベルに達しつつある。奈良県では、「アオニヨシナラリュウ」の発掘には失敗したものの、代わりに長屋王の屋敷跡を掘り当て、おびただしい木簡の出土によって、我が国の歴史学に大いなる貢献をしたし、佐賀県では、「ヨシノガリハガクレリュウ」の発掘の過程で、もしかしたら邪馬台国跡ではないかとすら言われている、巨大な村落群を掘り当ててしまった。「別に恐竜を掘ろうとしていたわけではない」と、当事者は口を揃えてそう言っているが、ともかく何かそれらしいものを掘り当ててしまえば、後は何とでも言えるのである。

議事堂の下の化石掘りたい
 よく考えてみれば、現在我々の踏まえている地面は時代の層なのであるから、掘りさえすれば何かは出てくる道理である。これまでのところ、掘っているのはおおむね公的な団体であるが、それが商売になるとわかった以上、これからは私的な団体や個人が、そのあたりをめったやたらに掘りはじめるであろう。それはそれで結構なことであるが、現在政界をまきこんで問題になっているのは、国会議事堂である。実はこの地下七十㍍の地層に、ほぼ北東から南西へかけて、ディプロドクス類の化石が埋まっていることを、国立科学博物館の地学研究室が突き止めたのだ。
 もちろんこれを掘るためには、その間だけちょっと議事堂にどいてもらわなければならない。つまり、ここへきて遂に「恐竜ブーム」は、「学問か政治か」というかつてない局面に、立たされることになったのである。「ムサシリクルートニンタイリュウ」とその名も定まり、博物館側は「是非掘ってみたい」と言っているのだが……。


横溝正史著「夜の黒豹」

2025-07-12 02:10:19 | 本と雑誌と新聞

金田一耕助は等々力警部とともに、異様な事件現場に急行した。連れ込み宿のベッドで女が縊死している。その胸部には殴りがきのトカゲの絵が残され、部屋は水浸し。さらにはその直前、近くのホテルでは、胸にトカゲを描かれた女が縛り付けられた未遂事件をベル・ボーイが目撃していた。だが、彼は警察に事情を話した後、何者かに轢き逃げされてしまい……。愛と欲にまみれた連続殺人事件の真相に金田一が挑む、名作本格ミステリ。

ISBN978-4-04-111841-2

事件開始昭和35年11月18日金曜日


横溝正史著「花髑髏」

2025-03-30 06:01:47 | 本と雑誌と新聞

横溝正史著「花髑髏」読了。

「あなたは一度も失敗したことのない名探偵だそうですね」突如、由利遠征に舞いこんだ差出人不明の手紙は、殺人予告だった。指定の場所にあった長持から鮮血が滴り……(「花髑髏」)。老舗の若旦那が、細君殺害の咎で死刑を宣告された。かつて彼の恋人だった美貌の歌手は脱獄を企てるが、それは恐ろしき凄惨な事件の引き金だった━━(「白蝋変化」)。金田一耕助に並ぶ名探偵<由利麟太郎>シリーズ、必読の全3篇を収録。


横溝正史著「血蝙蝠」

2025-03-15 07:36:59 | 本と雑誌と新聞

横溝正史著「血蝙蝠」読了。

鎌倉に集まった男女が肝試しに興じ「蝙蝠屋敷」と名づけた廃屋に踏み込むと、胸を抉られた女性の凄惨な死体を発見する。部屋の壁には、生乾きの血で描いた蝙蝠の絵が残されていた。犯人の目処がつかないまま、第一発見者の前に再び蝙蝠の符牒が現れ……。表題作など、〈金田一耕助〉シリーズに並ぶ名探偵〈由利鱗太郎〉シリーズを含む全9篇。希少なSF短編など、横溝正史の多才ぶりを味わえる名短編集が待望の復刊!