「ああ マリアよ、
爾(なんぢ)は 至って完全にして
至って嘆美(たんび)すべく
しかも 最も謙遜なるものなり。
願わくは 聖子(みこ)キリストの前に取次ぎたまいて、
わが傲慢心(ごうまんしん)、
あるいは栄誉心(えいよしん)を癒(いえ)しめたまえ。
余(よ)は 多くの欠点と
罪障(ざいしょう)とに満(み)てるものにして、
ただ 非難と軽蔑を受くるに足(た)るのみ、
しかるに 何事(なにごと)ぞ
我は厚顔(こうがん)にも
人の我(われ)を尊敬せんことを望めり、
ああ 我(われ)過(あやま)てり、
我は 爾後(じご)もっぱら謙遜の徳を得んことを
努(つと)めんと欲(ほっ)す。
願わくは将来 わが遭遇すべき凡(すべ)ての
軽蔑、侮辱、非難、讒言等(ざんげんとう)を
堪(た)へ忍ぶの力を得せしめたまえ。
しからば 我は暫時(ざんじ)少したりとも
この世において 爾(なんぢ)に倣(なら)い、
来世においては 永遠に爾(なんぢ)と共にあるを得ん。」