「かけまくも かしこき
某社(それのやしろ)に鎮座(しずまりま)す
わが皇神(すめがみ)の大前(おほまへ)に
千歳(ちとせ)将経(へむ)山松(やままつ)を
佐根古士(さねこじ)の根古士(ねこじ)にして、
五百枝(いほえ)刺(さ)す
小竹(おざざ)とともに 御門(みかど)に挿立(さしたて)
木綿(ゆふ)取垂(とりしで)て
瑞籠(しりこめ)の索引(なはひき)延(は)へ
新年(あたらしきとし)の始めの
朝日(あさひ)の豊栄(とよさか)登(のぼ)りに
斎清(いはひきよ)めて
千世(ちよ)の若水(わかみづ)餅鏡(もちのかがみ)
和稲(にごしね 御酒(みき)は白木(しろき)黒木(くろき)に
屠蘇酒(くすりのみき)をも 取り並べて
たてまつる雑々(くさぐさ)を
大御心(おほみこころ)も うらげ
豊明(とよのあかり)に 聞こしめして、
天日嗣(あまつひつぎ)は 日月(ひつき)のむた動きなく、
恒(つね)ものみまつる 天皇命(すめらみこと)の
大御寿(おほみいのち)を
足長(たあが)の大御命(おほみいのち)と
堅磐(かきは)に常磐(ときは)に幸(さきはへ)まつり、
親王(みこたち)諸王(おほきみたち)諸臣(おみたち)
百官等(もものつかさひとたち)、
この郷(さと)の刀禰(とね)
男女(おとこおみな)天下(あめのした)
四方(よも)の国の 公民(おほみたから)に至るまでに、
平(たひら)けく安(やすら)けく
守福(さきは)へたまへと
頸根(うなね)突き抜きて
新年(あたらしきとし)の初めの
称言(たたへごと)竟(を)へまつらくと白(まを)す。」