0160_西方浄土(004)裕也の冒険
--古書の匂い②--
本が雑多に積まれている。
百科事典や日本のいろいろな専門書が積まれている。
別のコーナーには女性の水着姿が載ったプレーボーイの表紙が並んでいる。
(この店には無さそうだ)
裕也は、右端の店から始まり、
Uターンして、全部の店を次々見ていった。
とうとう最後の出口にある左側の店に入った。
奥まで進んでいく。
(何か良い雰囲気)
突き当りの戸棚の前に本が積まれている。
本棚の案内見出しに「仏教コーナー」と書かれている。
裕也は、積まれている大きな本に目をやった。
「仏教哲学大辞典」と書かれている。
一巻から五巻まであり、もう一つ別巻がある。ロープでひとくくりにされている。
(重そう。だけど、これがよさそうだ)
(他に良い本はと)
棚の中ごろに目をやると
「日蓮大聖人御書全集」と書かれた本があった。
(よしこれも買っていこう)
裕也の読書術は、「積読」である。
心を惹かれて目についた本を買っておく。
すぐに読まなくても読む必要が出てくる時まで本棚にしまって置く。
神様や仏様が(この本は、いつか役に立つから買っときなさい)と誘われている感覚を受ける。
不思議と読む時が来るのである。
裕也は、レジで本代を払い家路についた。
本は大変重かった。
つづく 次回(西方浄土005)末法