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わたしを織り上げるページ

いろいろな糸を組合せて
新しい布を織り上げるように
人との巡りあいを大切に
違った私を紡ぎたい。

ドンキホーテ

2008-01-11 | 演劇・映画・コンサート
1月の労演は無名塾・仲代達矢の「ドンキホーテ」を見ることにしました。
スペイン旅行でラ・マンチャ地方の風車を見てドンキホーテの旅籠に立ち寄ったこともあり、聖書の次に読まれているというセルバンデスの「ドンキホーテ」に興味を持ちました。
ところが仲代の長い台詞が少々聞き取りづらく、途中で睡魔が襲い折角の舞台を見逃してしまいました。
カーテンコールで舞台を走る姿はとても70歳を過ぎたとは思えないカクシャクとした姿でした。

ロマンス

2007-08-26 | 演劇・映画・コンサート
井上ひさし作 栗山民也演出 こまつ座&シスカンパニー公演の「ロマンス」を観て来ました。
彼の脚本では、キャストが何役もこなすというのはとりわけ珍しい訳ではありませんが、チェーホフを4人の男優が少年期、青年期、壮年期、晩年期を演じ分けるという試みには興味を覚えました。
チェーホフと言えば、「かもめ」「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」「桜の園」。
若い頃から労演の会員であった私は、一度ならずも観たことがある演目ばかりです。
ところがチェーホフの人となりを勉強したことがないため、彼が追求した「ヴォードヴィル」とは、いったい何?という状態なのです。
井上ひさしは、「チェーホフの愛したヴォードヴィルとは、唄や踊り、コントなどによるバラエティ・ショーであるアメリカン・ヴォードヴィルではなく、面白い筋立て、演劇的からくりを仕組んだ芝居のことだ。」とプログラムの中で書いています。
そして、チャイコフスキーの歌曲「ロマンス」をオープニング曲として、この「ロマンス」評伝劇をヴォードヴィル仕立てでつくりました。
ロシアの農奴の孫として生まれ、苦学してモスクワ大学の医学部を卒業し、胸の病と闘いながら44歳でその執筆人生を終えたチェーホフは、妹と妻に深く愛され、その二人の葛藤の中で、それぞれ二人に送った書簡は何と430通以上と言われます。
「ロマンス」のプログラムには、チェーホフの年表とチェーホフ研究家:中本信幸氏のインタビューも掲載されています。いつもながら難解なことをわかりやすいことばで表現し興味を持たせる「井上ひさしの脚本」の舞台にふさわしい内容です。
大竹しのぶ、松たか子、段田安則というキャスト、もちろん脚本:井上ひさし、演出:栗山民也につられてチケットを購入した訳ですが、期待を裏切らない楽しめた舞台でした。
最後の場面が印象に残りました。重病のチェーホフと妻オリガが笑い転げているところに妹マリアが戻ってくる場面です。
兄の病状をを思うマリアが、モスクワに別荘を持とうとするオリガの行動を批判した後に、夫婦の他愛もないじゃれあいに遭遇し言葉をなくすのです。他人(妹でも)が入り込めない夫婦の世界が垣間見られました。
一家を支えてくれた兄に感謝し、チェーホフの秘書役も果たしながら一生独身を通したマリヤ。
母や妹弟にも知らせずモスクワ芸術座の女優オリガと結婚し、3年後に亡くなったチェーホフ。
はじめての子を流産し、女優業と夫の病状から別居のうちに短い結婚生活を終えたオリガ。
チェーホフの死後、マリヤとオリガの長い人生がどのようなものであったか興味深いものがあります。

錦繍

2007-08-17 | 演劇・映画・コンサート
 宮本輝の原作に魅せられて、朗読サークル・ポエムの自由課題として「錦繍」を読もうとチャレンジしたのは何年前のことだったでしょうか。
「蔵王のダリア園からドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした。」という書き出しで始まる長い手紙。
 私は、のちに蔵王を訪れる機会があり、タクシーでダリア園を探すと、地元の運転手さえ首を傾げるほどの、山裾の狭い範囲にダリアの茎が乱立していました。
 今回の観劇に先立ち、本棚から原作を探し出し読み直しました。また、あの印象深い文面が頭の中に蘇ってきました。そんな状態で舞台を観に行ったにも関わらず、残念ながら手紙の文章が俳優のことばからしっくり伝わってこないのです。始まった途端、その読み方の早さにびっくり、手紙はこんなに早く読むものかと反発さえ覚えました。
「毎日の舞台稽古では、演出家がその都度、手紙の読み手を変えるものだから俳優さんたちは大変だったのよ」と言う、方言指導についた大原穣子先生のお電話から察すると、開演2日目の観劇はちょっと早すぎたのかもしれません。
 元妻からの手紙は女性陣、元夫からの手紙は男性陣と、出演者がパート・パートを分担して読み、その合間に芝居が挿入されるジョン・ケアードの演出は斬新で、このような演出プランを説明されて、宮本輝も舞台化を承諾したのではないかと一人納得しました。 
 モーツアルトの音楽と尺八の生演奏。尺八奏者は舞台の重要な出演者でもある、大胆な舞台装置とイスのみの小道具。舞台を取り囲むように出演者が立ち、台詞は中央に出てきて演じるという構成。
 何度か舞台化の申し出を受けながら実現しなかった「錦繍」の舞台は、20年後に英国人演出家によって実現しました。
 解き明かされていく心中に至る過去、障害を持つ子どもと母親、そして二度目の夫の裏切りという更なるテーマが交錯して、内容が重たくなることは必然にも関わらず、最後は黙々と仕事に励む女に触発された男の未来が、なぜか明るく予感されるのは、執筆当時の宮本輝の病状が好転しはじめたことが作品に影響しているのだと知り、創作する人と作品の関係を改めて考えさせられました。
 主人公二人のキャストは原作からイメージする人物像とはちょっと違う気がしましたが、余貴美子と鹿賀丈史の人気とロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター:ジョン・ケアードの脚本・演出に期待してか、観客席は満席でした。

この子たちの夏

2007-08-12 | 演劇・映画・コンサート
今年も8月8日地人会の「この子たちの夏」を観てきました。この朗読劇の観賞は私の8月の恒例行事となっています。
ちょうど7月28日の労組の大会で、ヒロシマ・ナガサキ平和行動へ参加する労組代表団の壮行会の最後に、ポエムの有志で原爆の詩を朗読したばかりでした。
戦後62年を迎えた今年、地人会がこの朗読劇を始めて23年目になると言います。
その最初から関わってきた女優の山田昌さんが、第2部の会場と出演女優と交流の場で、次のようなことを言われていました。
「若い人に伝えてほしいといつも会場発言をもらう。でも、まずここに若い人を連れて来てもらわなければ!
地方公演や学校へ招かれることもあるが、不真面目な態度で真剣に受け止めてくれない子どもたちもいる。
どういう子育てをしているのか、親の顔がみたいと思うが、その親を育てたのは自分の世代だという事実。
でも若い人の中には、公演をみて感激し地方公演の実行委員になってくれる高校生もいる。
だから77歳の老いた体にはきついが、これからもがんばりたいと思う。」
それを受け会場から、前日の昼公演に自閉症の少年に付き添ってきたという被爆二世の女性が発言。
「私の母は私を育てる時、”人に迷惑をかけないように”とか一般的なしつけの言葉は一言も言わず、「戦争は絶対にやってはいけない」と繰り返し繰り返し言っていた。
昨日、訳あって連れてきた少年は、自分の気持ちをうまく表現することが苦手だが、”朗読劇を観たここでの感動を10人の人に伝えてほしい”というメッセージを真摯に受け止め、どうしたらそれに応えられるか彼なりに今考えている。私は、この舞台からのメッセージが若い人にきちんと伝わっているということを伝えたくて、今日この会場に来ました。」

来年はポエムでも「この子たちの夏」の朗読劇に是非取り組みたいと心新たにしました。




グッドナイト& グッドラック

2006-05-05 | 演劇・映画・コンサート
六本木ヒルズのトーホーシネマで上映中のジョージクルーニ監督による「グッドナイト&グッドラック」を見てきました。
1953年東西冷戦下、CBSのニュースキャスター:エド・マローが、吹き荒れる共和党ジョセフ・マッカシー上院議員の赤狩りに対して、ジャーナリストの良心をかけ、TV報道番組スタッフとともに戦った実話を描いたもの。
ジョージクルーニと言えば「ER緊急救命室」で女性に目のない小児科医ロス役で大ブレイクした遅咲きの俳優。その後メキメキと本領を発揮しプロデユースも手がけ、この作品ではアカデミー賞作品賞/監督賞にノミネート。
実際の記録フィルムからマッカーシー上院議員の映像を使用し、本編もモノクロ映像で撮影しているこだわりから1950年代の雰囲気が強烈に伝わってきます。

写真は映画とは全く関係はなく、六本木ヒルズで人集りを掻き分けて見物した大道芸を激写!高いポールの上でフラフープのような輪をいくつも回してみせる男性

天上の弦 チャリティーコンサート

2004-12-27 | 演劇・映画・コンサート
今日、「天上の弦」陳昌鉉制作バイオリンの響きーチャリティコンサートーに行ってきました。
このコンサートは埼玉聴覚障害者福祉会後援会の主催で、今回の収益は聴覚障害者が入居できる特養ホームの建設費用に当てられるとのこと。
会場は聴覚障害者の参加も多く、手話と字幕スーパーによって司会者や出演者のコメントが伝えられていました。
ビックコミックで連載されていた陳昌鉉氏の生い立ちは、先日テレビで「海峡を渡るバイオリン」としてドラマ化されたばかり。
陳氏は、「主人公役の草薙君がバイオリンを習い始めていて、今度は私のバイオリンで習いたいと言っています」とエピソードを紹介され、ご自身も小学校の恩師とのめぐり会いから、バイオリンに出会い今日があると、人と人とのめぐり合いの大切さを強調されていました。ちなみに戦死された恩師の遺族の方々が会場に来られていて、私たちのすぐ後ろの席から手をあげられたのにはびっくり。
またバイオリン奏者・白井栄治さんは陳氏の初期の作品を偶然にも買われており、その奇遇なバイオリンを持って出演、若林暢さんと「東洋のストラディバリ」と称されるバイオリンを奏でられ、ピアノ安田芙充央さん、チェロ朴哲根さん、声楽家門井瞳さんも加わり、心に残るコンサートとなりました。