「あれ、この人もバンドに入ってるの?」
トサカ頭の戸坂君とさらさら黒髪の彼。ここまで正反対の2人が並ぶと笑えてしまう。
「ミイコってば、何笑ってるのよ。違うわよ、浅倉君は。でも、時々、バンドで演奏してるわよね、ピアノとか。結構上手よ、あたし好きだな」
そういうエミの賞賛の声も聞こえないような顔で、パンを食べている彼。
「そうそう、それなんだけど。こいつ、誘ってるのに全然なびいてくんねーの。つれねーんだよな」
エミの台詞に乗るように、トサカ君が浅倉君の首に腕を回す。
「だから、あさっては、だめなんだって」
トサカ君の腕をはずしながら、仏頂面でそう言いながらも、手に持ったパンは、放さない。
「なんで、だめなんだよ。デートか?」
「だったらいいなー」
パンをかじりながら、すっとぼける。
「まさか、何かやらかして警察の事情聴取とか?」
しつこく食い下がるトサカ君に
「んな訳ねーだろう。とにかく、あさっては、だめなんだって」
あさって、を強調する浅倉君。
「あさって?」
「そう、あさって。ついでに言っとくけど、講義も休むから。で、ノート代わりに録ってくれたら、この次は、予定が合えば、手伝ってもいいかな・・・」
そう言う朝倉君に対し、パキっと固まるトサカ君。当然、ライブで講義を休むつもりの為、ノートなど取れるわけがない。
「そうだ、エミは?」
助けを求めるように、エミの顔を見るトサカ君。しかし、
「だめよ、あたし、秘書科だもん。それに、その日は、でえと、なの」
あっさりと振られてしまった。
「でえと、俺という男がいながら・・・」
わざとらしく、暗い表情を作るトサカ君。
「トサカ君のことは、一ファンとして応援するわ。ライブ頑張ってね。彼と一緒に力いっぱい応援するから。やっぱり、遠くのスターより近くの男なの。わかって」
「ひどいわ、あんまりよ。あたしより、他の男選ぶなんて」
身体をくねらせながら、女言葉で泣きまねをする、ハンカチで涙を拭くまねをする辺り、どうに行っている。しかし、
「それ、俺のだけど」
口にくわえようとしたハンカチを、浅倉君に取り返されてしまった。
「なんだ、ケチ」
子どもみたいなトサカ君の顔に、思わずミイコがふき出した。
「あ、そう言えば、ミイコ。情報処理のクラスよね」
ふと、気がついたようにエミが振った言葉に、男子2人の視線が集中する。その結果、トサカ君からは、次回のライブチケット(の前売りの予約)、浅倉君からは、バイト先のコーヒー券(十一枚綴り)をゲット。
どうせ、ノートをとるのは一緒なのに、これは結構おいしいかも。
その場で渡されたコーヒー券を手にミイコは、思った。
トサカ頭の戸坂君とさらさら黒髪の彼。ここまで正反対の2人が並ぶと笑えてしまう。
「ミイコってば、何笑ってるのよ。違うわよ、浅倉君は。でも、時々、バンドで演奏してるわよね、ピアノとか。結構上手よ、あたし好きだな」
そういうエミの賞賛の声も聞こえないような顔で、パンを食べている彼。
「そうそう、それなんだけど。こいつ、誘ってるのに全然なびいてくんねーの。つれねーんだよな」
エミの台詞に乗るように、トサカ君が浅倉君の首に腕を回す。
「だから、あさっては、だめなんだって」
トサカ君の腕をはずしながら、仏頂面でそう言いながらも、手に持ったパンは、放さない。
「なんで、だめなんだよ。デートか?」
「だったらいいなー」
パンをかじりながら、すっとぼける。
「まさか、何かやらかして警察の事情聴取とか?」
しつこく食い下がるトサカ君に
「んな訳ねーだろう。とにかく、あさっては、だめなんだって」
あさって、を強調する浅倉君。
「あさって?」
「そう、あさって。ついでに言っとくけど、講義も休むから。で、ノート代わりに録ってくれたら、この次は、予定が合えば、手伝ってもいいかな・・・」
そう言う朝倉君に対し、パキっと固まるトサカ君。当然、ライブで講義を休むつもりの為、ノートなど取れるわけがない。
「そうだ、エミは?」
助けを求めるように、エミの顔を見るトサカ君。しかし、
「だめよ、あたし、秘書科だもん。それに、その日は、でえと、なの」
あっさりと振られてしまった。
「でえと、俺という男がいながら・・・」
わざとらしく、暗い表情を作るトサカ君。
「トサカ君のことは、一ファンとして応援するわ。ライブ頑張ってね。彼と一緒に力いっぱい応援するから。やっぱり、遠くのスターより近くの男なの。わかって」
「ひどいわ、あんまりよ。あたしより、他の男選ぶなんて」
身体をくねらせながら、女言葉で泣きまねをする、ハンカチで涙を拭くまねをする辺り、どうに行っている。しかし、
「それ、俺のだけど」
口にくわえようとしたハンカチを、浅倉君に取り返されてしまった。
「なんだ、ケチ」
子どもみたいなトサカ君の顔に、思わずミイコがふき出した。
「あ、そう言えば、ミイコ。情報処理のクラスよね」
ふと、気がついたようにエミが振った言葉に、男子2人の視線が集中する。その結果、トサカ君からは、次回のライブチケット(の前売りの予約)、浅倉君からは、バイト先のコーヒー券(十一枚綴り)をゲット。
どうせ、ノートをとるのは一緒なのに、これは結構おいしいかも。
その場で渡されたコーヒー券を手にミイコは、思った。