ものずき烏の無味乾燥?文

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村山知義:忍びの者

2005-03-03 | 書籍 の 紹介
村山知義『忍びの者』(1962) 岩波現代文庫 B61~B65 2003/01/16~2003/03/14



1. 序の巻き
2. 五右衛門釜煎り
3. 真田忍者群
4. 忍びの陣
5. 忍び砦のたたかい

2003年の暮、赤羽のBで『忍びの者』を入手しました。
全巻揃いです。読むのに4週間くらいかかり大変読み応えがある小説でした。
神保町の古本市の2週間くらい前、小宮山書店の入り口で理論社版が揃いで1200円で出ていたのですが荷物になるのでパスしました。Bで2500円でしたので初版の揃いのほうが安かったことになります。でも文庫本は通勤途上でも読めますからその便宜が1300円となります。

『忍びの者』は市川雷蔵の主演で大ヒットしたのを記憶していますが、第1巻が原作だったのです。忍者ブームはこの作品から起こったそうです。(白土三平の忍者マンガもこの時代だった気がします)

作者が左翼系の舞台演出家で日本共産党の機関紙「赤旗」に連載されそうです。上忍・中忍・下忍という忍者の階級闘争が下地になっています。
1~2巻の主人公が石川五右衛門、3~4巻が霧隠才蔵、5巻が猿飛佐助。時代背景は信長の制覇から秀吉の朝鮮出兵を経て大阪夏の陣までとなっています。
連載していたのが昭和30年代後半といったこともあるのでしょうか朝鮮民主主義人民共和国に対して好意的に書いてあります。
主人公が皆、講談や漫画で有名な人物ですから、作者の趣向も面白おかしく盛り込んであります。「でぶの二人組み」が猿飛佐助だったといった例です。
作者はこの続きを予定していたとあとがきにありますが実現していませんので、この5巻で完結です。
堅苦しい本の多い岩波書店にしては珍しい時代小説です。作者が左翼系で赤旗に連載されたなどから他の出版社が避けたのかもしれません。

1巻奥付によると光文社文庫(1967)が出版されたそうですし、また角川文庫(1973)版もあるようです。
こちらは古本屋でも見た記憶がありませんので、岩波書店が絶版文庫の価格を大きく引き下げてしまったような気がします。
わたしにとっては比較的手軽に読めましたので岩波書店には感謝しておきます。

2004/05/25 ものずき烏

※母屋から移し変えたコンテンツです。

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