少年文庫版『水滸伝』
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一般向けの岩波文庫本なら10分冊で、108人という登場人物の多さと、その分量で読後の満足度は相当にあると思うのですが、なにぶんにも「水滸伝」の内容が、山賊を主人公とした通俗小説で、最終的には体制側に寝返ってしまうヤクザ物であるので購入には躊躇していました。
娯楽の読み物として「水滸伝」は歴史があり、漢字文化圏での影響は未だに続いている。一度読んでみたいとは思っていたのですが、分量に圧倒されていました。この本は、2分冊と適量で、210円という安さにより入手し、4日ほどかけて、読んでみました。
筋書きは、多くの読者を持つ「水滸伝」であるから書きません。感想を述べてみると、中国の歴史に数多く登場し、腐敗した体制を変革する民衆のエネルギーと云ったものが下地になっているのだろう。そのキーワードは、好漢、義侠心なのだが、易姓革命の中国を観るヒントになり、またその影響下にある日本の大衆娯楽を考える、良い読み物であると思います。気が向いたら全訳の「水滸伝」に、手を出して見たいと思います。
『水滸伝』上 施耐庵(作) 松枝茂夫(編訳) 岩波少年文庫 187 1974/06/20 12刷 『水滸伝』下 施耐庵(作) 松枝茂夫(編訳) 岩波少年文庫 188 1974/06/20 10刷「弱きを助け、強きを挫く」のが好漢のようですが、「強きを助け、弱きを挫く」のが役人で、北宋の時代でも、今の時代でも変わりません、庶民が好漢に、やんやの歓声を挙げるのは、いつの世も変わりません。法治国家で好漢は、現れ得ないような気がします。
2005/06/21 ものずき烏 記