★総額と純額
損益計算書においては収益と費用は「総額」で表示することがルールとなっています。どういうことかというと、収益と費用を相殺した結果としての「利益だけ」を表示するのではなく、収益と費用を対比させて、その差引きとして利益を計算するということです。売上高と売上原価を対比させて売上総利益を計算する。そこから販売費及び一般管理費を差し引いて営業利益を計算するといった具合です。
ところが損益計算書では、この総額での表示というルールに基づいていない部分もあります。収益と費用を相殺して、「収益>費用」であれば「・・・益」などの勘定科目で、「収益<費用」であれば「・・・損」などの勘定科目で表示していることがあります。このような方法を総額に対して「純額」といいます。
★純額による表示の例
○有価証券の売却
譲渡収入から簿価(取得価額)を差し引いた額を有価証券売却益あるいは有価証券売却損として表示します。譲渡収入を有価証券売却収益などの収益としての勘定科目、簿価を有価証券売却原価などの費用としての勘定科目として総額で計上することはありません。
○有形固定資産の売却
譲渡収入から簿価(取得価額-減価償却累計額)を差し引いた額を、売却したのが建物であれば建物売却益あるいは建物売却損として表示します。譲渡収入を建物売却収益などの収益としての勘定科目、簿価を建物売却原価などの費用としての勘定科目として総額で計上することはありません。
★純額で表示されていることが数多くある
収益と費用は総額で表示することが原則ですが、それは損益計算書の大部分を占める「売上」「売上原価」「販売費及び一般管理費」においての原則であり、それ以下の営業外収益と営業外費用、特別利益と特別損失の計算においては収益と費用が純額で表示されているケースが数多くあります。
「株を売った収入は?」「不動産(土地と建物)を売った収入は?」、このような疑問を抱く損益計算書の読者が非常に多いです。
★特別利益の中に収益が?
特別利益は経常利益の次に表示されますが、これに属する多くの勘定科目が純額で計算されています。土地や建物の売却益がその典型です。その意味で、特別利益の各項目は「収益-費用=利益」ですので特別利益という名称に納得できます。
ところが特別利益の中には収益と呼べる項目が計上されることもあります。補助金、保険金、損害賠償金の受取りがそれです(これらが比較的少額で経常的に生じる場合には営業外収益に計上することもある)。
★特別損失の中に費用が?
特別利益の次に特別損失が表示されますが、これも純額で計算されている勘定科目が多いです。しかし、特別退職金(リストラにより多額に生じる退職金)や損害賠償金の支払いなど、費用と呼べる勘定科目もあります。
★雑収入なのに収益(慣れるしかありません)
営業外収益の中に雑収入という勘定科目があります。これは、本業以外の収益で、既存の勘定科目(受取利息、受取配当金など)もなく、新たな勘定科目を新設するほど重要性がないものをいいます。「収入」という名称ですが収益です。収益ですので入金がない部分も計上しなければなりません。
勘定科目の名称については、理論や原則では理解できないものがいくつもあります。これらについては「言葉」ですので慣れるしかないのです。理屈で考えてもどうにもなりません。
【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。
損益計算書においては収益と費用は「総額」で表示することがルールとなっています。どういうことかというと、収益と費用を相殺した結果としての「利益だけ」を表示するのではなく、収益と費用を対比させて、その差引きとして利益を計算するということです。売上高と売上原価を対比させて売上総利益を計算する。そこから販売費及び一般管理費を差し引いて営業利益を計算するといった具合です。
ところが損益計算書では、この総額での表示というルールに基づいていない部分もあります。収益と費用を相殺して、「収益>費用」であれば「・・・益」などの勘定科目で、「収益<費用」であれば「・・・損」などの勘定科目で表示していることがあります。このような方法を総額に対して「純額」といいます。
★純額による表示の例
○有価証券の売却
譲渡収入から簿価(取得価額)を差し引いた額を有価証券売却益あるいは有価証券売却損として表示します。譲渡収入を有価証券売却収益などの収益としての勘定科目、簿価を有価証券売却原価などの費用としての勘定科目として総額で計上することはありません。
○有形固定資産の売却
譲渡収入から簿価(取得価額-減価償却累計額)を差し引いた額を、売却したのが建物であれば建物売却益あるいは建物売却損として表示します。譲渡収入を建物売却収益などの収益としての勘定科目、簿価を建物売却原価などの費用としての勘定科目として総額で計上することはありません。
★純額で表示されていることが数多くある
収益と費用は総額で表示することが原則ですが、それは損益計算書の大部分を占める「売上」「売上原価」「販売費及び一般管理費」においての原則であり、それ以下の営業外収益と営業外費用、特別利益と特別損失の計算においては収益と費用が純額で表示されているケースが数多くあります。
「株を売った収入は?」「不動産(土地と建物)を売った収入は?」、このような疑問を抱く損益計算書の読者が非常に多いです。
★特別利益の中に収益が?
特別利益は経常利益の次に表示されますが、これに属する多くの勘定科目が純額で計算されています。土地や建物の売却益がその典型です。その意味で、特別利益の各項目は「収益-費用=利益」ですので特別利益という名称に納得できます。
ところが特別利益の中には収益と呼べる項目が計上されることもあります。補助金、保険金、損害賠償金の受取りがそれです(これらが比較的少額で経常的に生じる場合には営業外収益に計上することもある)。
★特別損失の中に費用が?
特別利益の次に特別損失が表示されますが、これも純額で計算されている勘定科目が多いです。しかし、特別退職金(リストラにより多額に生じる退職金)や損害賠償金の支払いなど、費用と呼べる勘定科目もあります。
★雑収入なのに収益(慣れるしかありません)
営業外収益の中に雑収入という勘定科目があります。これは、本業以外の収益で、既存の勘定科目(受取利息、受取配当金など)もなく、新たな勘定科目を新設するほど重要性がないものをいいます。「収入」という名称ですが収益です。収益ですので入金がない部分も計上しなければなりません。
勘定科目の名称については、理論や原則では理解できないものがいくつもあります。これらについては「言葉」ですので慣れるしかないのです。理屈で考えてもどうにもなりません。
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