さざえのつぶやき

音楽活動を中心に、日頃の思ったこと感じたことを日記のように綴っていこうと思います。

心の海

2011年06月08日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
釈心海・・・これがおかんに付けられた新しい名前。
お坊さん(例の尼さんね)がいつもお盆のたびに御参りに来るとき、共働きの夫婦、部活の娘たちという環境の中、おかんがいつもひとりで仏壇を守っていた・・・そんなおかんをイメージして付けていただいた美しい法名。 最初、なんで生前の名前から一部とっていないのか?と疑問を抱いてたけど、それは必ずしもそうでなければいけないという決まりもなく、家族が考えてもいいとのことだった。 でも、いまになってありがたい名前をいただいたと思っている。  最近、よく仏壇の前にぼ~っと座り込んでいる時がある。
それまでなんか、花の水さえ換えなかったくせに、出勤前、帰宅後と必ず花の水を換え、線香を立てた後、何か一言ポツリとこぼし、しばらくはぼ~っと・・・それがなぜか安らぐのだ。

先日、めったに会話しない妻から「○○が歌のレッスンしたり、音楽の勉強するのに部屋が欲しいらしいから、あんたの部屋を開けたって・・・」とショックな話が!!
この唯一、安らぎの空間をとうとう娘にあけわたす日が来るだなんて・・・。
となると自分の行き場所はおかんが居た仏壇のある和室・・・うむ、この部屋にオーディオ機器からパソコン、600枚ものCDコレクション・楽器類を収めなければならないのか!! 仏壇の横にオーディオ?パソコン? 仏壇の側でギター弾いて?(><)

でも、しばらく考えた・・・おかんには酷い言葉を浴びせたり、ずっと話し相手にもならず、ひとりぼっちにさせてしまった、その寂しさが病気を悪化させたのだろう・・・そんなふうに仏壇の前で思い起こしていると自分を責めながら泣いていた。

遅いかも知れんけど、おかんの近くにずっとこれからは居てあげよう・・・せやから、仏間でええわ、寝るときも側におるし・・・なんて思った。 それにこれまで地獄の夏を過ごしてきたエアコンなしの自分の部屋だったが、おかんの部屋には昨年からエアコンが付いているのである。 「たかし、これからは涼しいで」と言ったかのように線香の煙が撓んだ。 心の海・・・母がいただいた新しい名前。  心の海・・・そう、心とは海のように深いもの、そして果てしなく広いもの、そして時には波のように激しく、さざ波のように輝く・・・心の海・・・俺はずっと昔、確かにおかんのお腹の海に浮かんでいた。