雑記-白堂別館-

雑記なう
無職止めました。
出来ることからやってみよう

第二十三節

2010-06-10 12:58:58 | Dear to me
パーティーの当日。
香奈穂はお姉さんと食材の買い出しの為に、朝から雄二の家に来ていた。
しかし、家の中にお姉さんの姿が無い・・・のは既に分かってる。

今朝、自宅を出る頃に私と雄二君宛てでお姉さんから
「急用発生!なので帰りが遅れるゴメン。買い出しは二人で行ってきて」
慌ただしい内容のメールが届いてたのだ。

代わりに出迎えてくれた雄二君は、私を気遣って
「自分の方は大体揃ってるからメモしてくれたら一人で行ってくるよ」
優しい提案を出してくれてる。
だけど、自分で見て選びたいとちょっと強引な理由で私も一緒に行きたいと押し通した。
雄二君は少し歩くよ?との念押しに私が引かないのを見て、それ以上何も言わない代わりに
「上着を取り行ってくるから、ついでに荷物も置いて来るよ」
手を差し出してくれた。
私はお礼を言いつつバックを預けると、雄二君は座って待っててと言い残して奥に入って行った。

玄関の上がり口に腰掛けると、普段はすぐ通り過ぎるだけのこの場所にも気になる物が置いてあった。
模様は和風のそんなに珍しくない感じ花瓶で、全体的にクモの巣のような線が入っている。
気になって近付いてみればそれは線などではなく
(わっ!これ全部割れた跡なんだ)
それもただ割れているだけじゃなく、一つ一つの欠片に隙間がある。
まさか浮いてるとは思わないけど注意深く見てみれば、一回り小さな透明の花瓶に欠片が貼付けてあるのが見えた。
(ステンドグラスみたい・・・だけど既製品じゃないよね?もしかしてこの家の人の手作りなのかな~)
しげしげと見ているうちに足音が聞こえてきたので、音のする方を見るとジーパンにジャケットを羽織った雄二君がお待たせと言いながら現れた。
後で、機会があったら聞いてみよう。