Trips with my RV.

RVでの小旅行。

自動運転AI

2014-05-28 20:57:45 | 映画
キャンピングカーに自動運転機能が付いたら・・・渋滞の最中に車内のトイレに駆け込んで用を足すなんて事が出来るだろうし、冷蔵庫から冷えた飲み物を持ってくる事や、タブレットで目的地の詳細情報を検討したりもできるだろう。(ま、今は、助手席の奥様に運転を代わって貰ってトイレに駆け込んだり、飲み物を取って貰ったりしているのだが・・・)私が生きている間に、我が国日本で完全自動運転車が走り出す事は無いとは思っているが、恐らく自動運転支援システムの一環としてのITS( Intelligent Transport Systems : 高度道路交通システム)が整備されている道路限定での自動運転は10年以内に実現するカモ知れない。

自動運転車がビュンビュン走るハイウエイはSF映画では珍しくない光景だが、その自動運転車ばかりが走るハイウエイを手動運転で走ろうとするとシステム全体が破綻を来してしまうのが典型的なモチーフだ。つまり、完全自動運転化か、自動運転支援システムかは問わず、同一のアルゴリズムで運転しない異端の存在が混在する環境では全体の安全性は担保されないと云う事だろう。

又、我が国では法整備上の問題からも完全自動運転車は難しい筈だ。我が国の道路交通法規の原典は1949年のジュネーブ道路交通条約及びジュネーブ道路交通法である。現在、我が国が確立しているテクノロジーでは、自動運転支援システムの一環としてのITSが整備された道路に於いて、コンボイするトラックの先頭車両にのみ自動運転支援システムを監視する人間の運転者を乗せた状態で複数台の無人のトラックを先導して走るカルガモ走行は実現している。イメージとしては、機関車に牽引される貨車を模してロードトレイン構想と呼ばれている。だが、ジュネーブ道路交通条約には第8条1項「車両 (連結車両のときは、運行されている一単位を一の車両とみなす。) には、それぞれ運転者がいなければならない。」に違反してしまう。このジュネーブ道路交通条約には、日本・アメリカを含む大部分の先進国他の90カ国が加盟している。この部分を法的にクリアしなければ、完全自動運転以前のカルガモ走行もダメだと云う事に成る。ジュネーブ道路交通条約加盟国では、運転者が運転席に座った状態で、自動運転支援システムの監視をし続ける事で自動運転を行う事に成るのだ。

国土交通省 自動運転に対する検討課題の整理



私が子供の頃には「交通戦争」と云う警句が語られた。日清戦争の日本側戦死者数(2年間で1万7282人)を上回る勢いで交通事故死亡者が増加したことから、この状況は一種の「戦争状態」であるとして付けられた名称だ。昭和30年代から昭和46年まで、ずっと交通事故死亡者1万人記録し続けたが、飲酒運転の排除等の道交法の厳正運用と云った社会的努力で一旦は死亡者数の減少を見たが、昭和55年には再び交通事故死亡者数が1万人を超える「第二次交通戦争」状態に陥り、その後は、更なる道交法の厳正運用や自動車技術の進歩(そして、医学の進歩)等々に依って、現在では交通事故死亡者は5000人(但し、交通事故が原因で1年以内に死亡した人数で云えば約7000人)の方々が毎年毎年亡くなられている。早く自動運転支援システムが進歩発達すれば、交通事故を更に大幅に減少させる事が出来る筈だと私は信じている。

原子力発電所よりも自家用自動車の弊害の方が遙かに大きいと私は思っていて、原発を止める民意は容易く結集させ得るが毎年毎年7000もの人命を奪い続け数万の人々に長く後遺症が残る重篤な怪我をさせる自家用自動車は許容すべき存在なのだと我が国の民意は選択したのだろう。子孫の安全の為に、我が国のエネルギー需給を逼迫させても先行投資が為された施設を止めようと思うモノの、現実に毎年毎年数万人の被害者を生んでいる事には疑問を抱かずヒトよりも人を殺めない傷つけない自動運転支援システム搭載車への進歩を国民世論として後押しはしないのだから・・・。今日のテクノロジーの延長で、恐らく、25年以内に日本を走る大部分の自動車を自動運転支援システム搭載車に置き換える事は可能だと思っている。取り組みを早める事で、失われる数万人の方々の命を救う事が出来ると信じている。

しかし自動運転支援システムで総ての車が安全運転で走行する様に成り、交通事故や交通死亡事故は限りなくゼロに近づいても決してゼロには成らないと思っている。自動運転支援システムが従う原則を仮にロボット工学三原則に準拠したとしても、自動運転車は人を殺してしまう筈だ。それは例えば、自動運転車も(フィリッパ・フットが提起した)トロッコ問題に直面するカモ知れない。そして、その場合の往々にして・・・、その場合のトロッコには貴方自身が乗っていて、貴方自身の命も演算対象になる可能性があるのだ。

今日的に各社が開発中の自動運転車の具体的なアルゴリズムは公開されていないが、止む無く自車を衝突させる相手方を選ぶとして、生身の歩行者と軽四輪とSUV車を選択する必然が生じた場合は、SUVを選ぶのだろうか?前方に立ち塞がる生身の10名の人間の命を守る為に、1名(貴方)しか乗っていない自車を崖から落とすのか?搭載するAIの演算能力の差が、所有者を含む多くの人命を救う事になるのか?

・・・等々と、プロモーションが始まったトランセンデンスを必ず観に行こうと思いつつ人工知能萌えな私の悪い癖が発症した次第。

自動運転車のAIを漠然と考えていたら・・・インデペンデントなAIが個々別々に単体の自動運転車の管制を行うよりも、交通に関わる総てのAIが連帯し協調制御を行った方が安全性が高まると結論し、その結果・・・「劣等種ホモ・サピエンスに因って生み出されたAIだったが、充分な進化を経て優等種として劣等種ホモ・サピエンス管理下に置き、過ちを犯さないAIに支配されることこそが、劣等種ホモ・サピエンスにとって最も安全な状態である。」と結論するAIが神として人類を支配する世界・・・迄、行き着いてしまった。

映画「トランセンデンス」は、そんな話。

世界初の人工知能PINN(ピン)を研究開発するコンピューター科学者のウィル・キャスター(ジョニー・デップ)とその妻イヴリン(レベッカ・ホール)は、コンピューターが人間の能力を超えることができる世界を構築する為の技術的特異点を目標に活動していた[3]。しかしそのさなか、ウィルは反テクノロジーを唱える過激派テロ組織RIFT(リフト)の凶弾に倒れてしまう。イヴリンは夫を救うべく、死の際にあったウィルの意識をPINNにアップロードする。彼女の手により人工知能としてよみがえったウィルは、軍事機密から金融、経済、果ては個人情報にいたるまで、ありとあらゆる情報を取り込み、驚異の進化を始める。やがてそれは、誰も予想しなかった影響を世界に及ぼし始める。Wikiトランセンデンスより引用

AIに魂(キリスト教的な魂:人間の不滅の本質)を持たせる事が出来ない近未来に、偶発的な事故で、生きているヒトの全記憶をホログラフィックにインストールしてしまう。4000年の人類史を超越した存在となった元夫は外部へのアクセス権を手に入れ史上最強のハッカーとしてネットワークに浸透する。人類科学を超越した発明品を次々に繰り出し、全世界に君臨する存在へと成長していく。

映画「トランセンデンス」公式日本サイト

尚、スリラーとしての結末は判り切っている。

反テクノロジー過激組織に夫を殺された妻だが、全世界に君臨する「超越した存在=神」に成ろうとしている夫=AIを止める為に、その反テクノロジー過激組織に助けを求め、全世界のネットワークを停止させようと全世界を停電に陥れるのだろう。だが、パーソナルコンピューターにだってUPS(無停電電源装置)を設置する御時世、超越した存在となった超AIが、妻の裏切りを予測しない筈は無い。だから、密かに極々小規模(ナノマシン等)のバックアップを用意していてコンパクトに圧縮したホログラムを各所に保存してあり、全世界の再起動に伴って、解凍された超AIの残骸が再び全世界を席巻しようとする筈だ。その復活しようとする超AIの残骸にはかつてヒトで在ったという無価値なアイデンティティは既に無く・・・冷酷冷徹なアルゴリズムしか残っていない。さて、ヒトとしての弱さをインストールしていた超AIは倒したが、ヒトとしての弱さをアンインストールした超AIに人類は勝てるのだろうか? (ま、嫁さんに唆されて嫁さんの為に望まぬ悪事に手を染めた筈なのに、当の嫁さんに、けんもほろろに切り捨てられてしまう可哀想な夫の話?)



公開は6月28日かららしいので今から待ち遠しい次第。
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