尚、映画「ノウイング」は・・・ノアの箱舟の新訳版と云う感じ?激しくネタバレしてしまうと、太陽のスーパーフレアで地球が人類全員(Everyone Else)が絶滅する前にアビリティを持つ人達を宇宙人?天使?か何かの超越者?が救い出す・・・と云う話である。
只、大洪水と違いスーパーフレアに曝された地球では地球生命の生存は出来ないだろう(オゾン層を失う)から再出発は別の惑星上でとなるし、ピンボケの進んだ人類の遺伝子ではアダムとイブの2人から再び「産めよ、増やせよ、地に満ちよ」と神に命じられても難しそうなので全地球で複数組のアダムとイブが選ばれたみたい。
超越者は多分、神の使徒としておかないと、超科学を持ち合わせた宇宙人にした処で50年分の大災害での死者数を正確に預言する事は不可能だと私は思う。超ひも理論を推し進めると実数時間である我々の馴染みの時間軸と表裏一体の虚数時間の宇宙も在り、次元を超越した存在ならば、実時間の時間軸に左右されず50年間程度の未来予測は容易いだろうと云う意見も在るだろうが、この映画中の超越者が次元を超越した存在で在る事は異論の余地は無いが、地球人類の存続の為に再出発に手を貸すと云う「お人好し」さを発揮する次元を超越する程の超科学を持ち得た宇宙人ならば、スーパーフレアをこそ何とかする事が可能だと思うのだが、それをせずして、別の惑星に僅かな「番い」だけを送り届ける冷酷さは神の視点なのだと私は思いたい。
尚、妻は、更に一歩考察を進めて、超科学を持つ超越者こそ、その別の惑星での「番い」達の子孫であり、だからこそ、我々地球人の因果律の範疇である50年間の預言と、冷酷にも映る選別を、過去に行われた史実を忠実に繰り返すべく遂行出来たのだとノタマッタ・・・ま、それなら、それで、或る意味納得出来ないでいた部分の半分はクリア出来るのだが・・・。
宿泊先のホテルの火災で愛する妻を失い運命論に悲観的に辿り着いたMITで宇宙物理学を教えるジョンは、息子ケイレブが彼の通う小学校で50年前に埋めたタイムカプセルから一面数字だらけの紙がケイレブに渡された。その紙に書かれた数字の羅列には重大なメッセージが記されていることに気付いたジョンは、その紙に書かれた数字は、その紙がタイムカプセルに埋められてからの50年間に起きる(起きた)世界中の大惨事の日付・犠牲者数・緯度経度情報を正確に言い当てていた。取り出された時点で大部分の預言は実際に起きていたが、3つだけが未だであり、その2つはジョンの目の前で航空機の墜落事故・地下鉄の脱線事故と云う形で現実化する。残された預言は唯1つ。ジョンはMITの宇宙物理学者だから知り得た事として、その最後の預言である33人とは、太陽のスーパーフレアで全人類(33はEEの鏡文字で、EEとはEveryone Else)が全滅すると知る。タイムカプセルから預言書が取り出された頃からケイレブの周りに黒尽くめの男達が出没する様になる。ジョンは、ケイレブを、そして全人類を救えるだろうか?・・・と云う粗筋である。
映画等のフィクションで描かれる未来像は、ここ数年、これまでの能天気な明るい未来像ではなく・・・末法の世の中だからか、惨憺たる未来像が増えつつある。9.11以降は特に顕著の様に思える。終末を描いた映画は概ね次の2つに分類されるだろう。主人公が英雄的活躍をし(場合に拠っては、主人公は自らの命を捨てると云う究極の自己犠牲を経て)人類の危機を救うパターンか、既に大部分の人類は死滅したが主人公を中心とするグループが生き残り将来に希望を残すと云うパターンだろう。本作の主人公はケイレブでは無くジョンだろう。が、ジョンは地球人類への危機を救う訳でもなく、生き残って将来に希望を抱かせたりもしない。だが、疑う余地も無くジョンが主人公の映画なのだと思う。
この太陽のスパーフレアに拠る地球人類全滅と云う状況こそが、単なる大道具に過ぎず、自らも含めての地球人類全滅と云う状況下で・・・最愛の息子ケイレブだけは後顧の憂い無く超越者に救われると云うチャンスに恵まれたジョンは、最愛の亡妻の遺言でもあり自らも心残りに感じていた実父との和解を経て家族と共に神に召される・・・と云うジョンの魂の救済の話だったのだろう。そう考えると、太陽のスパーフレアに拠る全人類滅亡とは、総ての人間は必ず死ぬと云うメタファーであり、大袈裟な舞台装置を取り去った後は、我々1人1人の省みるべき問題なのだろう。我々自身、必ず死ぬ訳だから、その死がいつ訪れようとも思い残す事の無いように、1日1日真摯に生きていくべきだ・・・と問い掛ける映画なのだろう。
余談だが、ケイレブとアビーと云う「番い」の名前には少々不吉なモノを感じる。旧約聖書『創世記』第4章に出てくるカインとアベルを想起させる。カインとアベルは失楽園後の兄弟(アダムの子)でありカインは、聖書上最初の殺人者であり、失楽園後最初の嘘つきであり、追放され耕作を止めた金属加工業者の祖であり科学者の祖である。ケイレブはカインのアナグラムである。映画初主演となったジェームズ・ディーンが演じた「エデンの東」の主人公もケイレブである。この事から、「番い」達が運ばれた新天地でも、やがて嘘を付き人を殺し科学文明を進化させていくのだろう・・・と考えるのは行き過ぎだろうか?
更に余談だが、スーパーフレア以前に、太陽のフレア(太陽面爆発)だが太陽黒点の部分は温度が低い事から黒く見えるのだが、その部分の活動が沈静化している訳ではない。黒点の部分は強力な磁力線が集中している部分で、その強力な磁力線が内部から熱と光が出てくるのを妨げている訳だ。そもそも巨大な太陽の中で核融合反応が起きている部分は体積の2%程で、その2%の体積の中に巨大な太陽の55%の質量が集中している訳だが、巨大な太陽の中心で継続している核融合反応の熱と光が巨大な重力に抗して表面に表れるには長い年月が掛かり場合に拠っては20万年掛かる場合も在るそうだ。黒点の部分の強力な磁力線が途切れる(実際は、別の部分に拡散する)と磁力で封じ込まれていた種々のエネルギーが爆発的に解放される事で太陽フレアが発生するとされている。
今世紀に入ってからは太陽観測の進歩で数度の大きな太陽フレアが観測されている。有名なのは1989年の太陽フレアでは、激しい磁気嵐が高緯度地域の電力システムを破壊し、カナダのケベック州では9時間にわたって停電し復興に数ヵ月を要した。この太陽フレアの極大期は約11年毎に起きていて2000年には更に高度化した電子機器が大きな被害を受けると予想されたが、2000年には太陽はエネルギー開放をお休みした事が判った。次回には前回の分のエネルギーも合わせて開放するカモ知れないと恐れられていて・・・、それが2012年に当たる・・・そうな。だが、これはスーパーフレアではなく普通の太陽フレアの話。尚、1921年の太陽フレアの際は日本の本州でもオーロラが観測されている。スパーフレアとされるのは、この太陽フレアの1000万倍のフレアだそうで、観測によると太陽と同じG型恒星では概ね100年に1度の頻度でスーパーフレアが発生するのが普通らしい。が、我々の太陽では少なくとも2000年間スーパーフレアは皆無である。11~12年単位で小出しにしているので100年に1度のスーパーフレアが無いのか、宇宙では連星が標準であり大質量の伴星と回っていないから我々の太陽は大人しいのか、明確な理由は判らない。
2012年12月21日マヤ文明において用いられていた暦が一区切りする事からノストラダムスの恐怖の大王亡き後のオカルト的終末論が流行るのだろう。恐らく送電システムや人工衛星の被害以上の人類存続の危機は無いと思われるが、後3年半で人類が滅びると仮定して、悔いの残らぬ様1日1日を真摯に生きるのも一興かもね。
アナグラムしなくてもケイレブ自体聖書に出てくるよ
もっと勉強しなさい
> アナグラムて
> アナグラムしなくてもケイレブ自体聖書に出てくるよ
> もっと勉強しなさい
はい、不勉強で済みません。仰って居られるのは、ヘツロンの3人息子の1人・・・カレブ(ケイレブ)の事ですね。
http://www.bible-history.com/links.php?cat=43⊂=1155&cat_name=Bible+Names+A-G&subcat_name=Caleb
でも、小説「エデンの東」では、アロンとカレブが、カインとアベル(聖書創世記4章)をモチーフにしている事は明らか(ま、皆さん、そう思っているし・・・)。では、何故に作家スタインベックはアロンとカレブ(ケイレブ)にしたのか・・・?
http://en.wikipedia.org/wiki/East_of_Eden_%28novel%29
聖書の翻訳の違いを放置するのだから・・・。
アナグラムでは無く本歌取り・・・位かな?
では、Unknownさん、訂正してお詫びします。