米IBMが、日本IBMの一部社員の「不適切な行為」を理由に、2004年の売上高を減額修正する----このダウ・ジョーンズの報道が日本のIT業界で大きな波紋を呼んでいる。日本IBMも本日の決算発表でこの事実を認めたが、業界ではちょうどメディア・リンクスの粉飾決算事件に機に、いわゆる「口座貸し」が問題になっている時期だけに、最初は「IBMよ、お前もか」とちょっと驚いてしまった。
しかし、ITサービス業界の口座貸しとは、どうもレベルが違うようだ。今回の“事件”は、日本IBMのグローバル・サービス部門の社員(人数は不明)が、同社のBCG(ビジネス・コンダクト・ガイドライン)などに違反して、本来売上として計上してはいけない他社製ハードの代金を売上として計上したというものだ。2億6000万ドルの減額というから、かなりの額だ。
ここで問題になったのは、「他社から100円で仕入れたものを105円で売った。その際、105円を売上として計上した」ということらしい。問題のハードはソリューションの一部として、顧客に提供されたものであるにも関わらず、IBMの売上計上基準では「5円を(手数料として)売上計上しなければならない」という。表面的には、口座貸しの話によく似ている。本来は手数料だけ計上すべきところを、製品価格をそのまま売上として計上する“手口”は、口座貸しで売り上げを膨らませるのと同じだ。
しかし口座貸しの場合は、伝票上に介在するだけだから、口銭、つまり手数料だけを売上に計上するのが筋だ。しかし日本IBMのケースでは、顧客にソリューションの一部として提供しているのだから、実際の取引に介在しているし、介在する理由も明確だ。こうしたケースでは、日本のシステム・インテグレータなら100%売上に計上するはずだし、計上することに問題があるとも思えない。実際、ちょっと大手のシステム・インテグレータなら、ユーザーからパソコン調達を頼まれることが多いが、パソコン代金は全額売上に計上しているはずだ。
つまりIBMは、とてつもなく保守的な会計基準を採用しているといえる。会計は保守的であればあるほどよいのだが、その基準を守らなければ意味がない。株主や投資家に対する背信行為になる。今回の“事件”はそうした性質のものだ。一方、日本IT業界、特にITサービス業界は、こうした会計基準がルーズすぎる。口座貸し自体は必ずしも悪ではないが、少なくとも売上を水膨れさせるようなことは慎まなければならない。それにしても、取引に対する監査が厳しいことで知られるIBMの社員ですら、売上の水増しに走る。利益や利益率重視の方向に社員を意識付けるのは、かくも難しいことなのだろうか。
しかし、ITサービス業界の口座貸しとは、どうもレベルが違うようだ。今回の“事件”は、日本IBMのグローバル・サービス部門の社員(人数は不明)が、同社のBCG(ビジネス・コンダクト・ガイドライン)などに違反して、本来売上として計上してはいけない他社製ハードの代金を売上として計上したというものだ。2億6000万ドルの減額というから、かなりの額だ。
ここで問題になったのは、「他社から100円で仕入れたものを105円で売った。その際、105円を売上として計上した」ということらしい。問題のハードはソリューションの一部として、顧客に提供されたものであるにも関わらず、IBMの売上計上基準では「5円を(手数料として)売上計上しなければならない」という。表面的には、口座貸しの話によく似ている。本来は手数料だけ計上すべきところを、製品価格をそのまま売上として計上する“手口”は、口座貸しで売り上げを膨らませるのと同じだ。
しかし口座貸しの場合は、伝票上に介在するだけだから、口銭、つまり手数料だけを売上に計上するのが筋だ。しかし日本IBMのケースでは、顧客にソリューションの一部として提供しているのだから、実際の取引に介在しているし、介在する理由も明確だ。こうしたケースでは、日本のシステム・インテグレータなら100%売上に計上するはずだし、計上することに問題があるとも思えない。実際、ちょっと大手のシステム・インテグレータなら、ユーザーからパソコン調達を頼まれることが多いが、パソコン代金は全額売上に計上しているはずだ。
つまりIBMは、とてつもなく保守的な会計基準を採用しているといえる。会計は保守的であればあるほどよいのだが、その基準を守らなければ意味がない。株主や投資家に対する背信行為になる。今回の“事件”はそうした性質のものだ。一方、日本IT業界、特にITサービス業界は、こうした会計基準がルーズすぎる。口座貸し自体は必ずしも悪ではないが、少なくとも売上を水膨れさせるようなことは慎まなければならない。それにしても、取引に対する監査が厳しいことで知られるIBMの社員ですら、売上の水増しに走る。利益や利益率重視の方向に社員を意識付けるのは、かくも難しいことなのだろうか。