勃ちあがった象の白い涙の物語

ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる

「スマイル」 ビーチ・ボーイズ

2012-02-22 22:52:28 | 音楽
もしこれが、あの40年もファンの間に夢を抱かせ続けた、音楽史上、もっとも有名な未発表作である「スマイル」の完成品とするならば、それは、あんまりな話である。
正直、こんな作品は、世の中に出てはいけなかったのではないか、とすら思う。

「スマイル」は、あの歴史的名盤「ペット・サウンズ」に続いて、ブライアン・ウィルソンが制作を開始したアルバムである。しかし、レコード会社からのプレッシャーやドラッグによる不安定な精神状態など、いろいろとあって、最終的にそのアルバムの完成を放棄されたわけであるが、そのアルバムのなかのマテリアルのひとつである「グッド・バイブレーション」がシングルとして大ヒットを記録し、その完成度の高さからビーチ・ボーイズの代表作になったり、また前作の「ペット・サウンズ」の評価が徐々に高まるなどの影響もあって、放棄された「スマイル」への評価が高まった。
まさに、亡くなった子供の年齢を数えるようなものであるが、「スマイル」へのファンの気持ちは、放棄されたはずのマテリアルの残片の流出による数多くの海賊版の出現という形となり、その残片をヒントに、ファンはその空白部分をそれぞれの想像力で補い、結果、長くにわたり、「スマイル」は、発表されない永遠の名盤としての評価を不動のものにしていたわけであるが、数年前に、その当のブライアン・ウィルソンによる「スマイル」が発表され、さらに、今回は、このビーチ・ボーイズによる「スマイル」の発表である。

ここまでのファンに期待され続けたアルバムとして、今回のこの「スマイル」の出来は、けっして満足のいくものではないであろう。もし、これが「スマイル」の完成形とするならば、高い金をだして海賊版を買い漁り、その空白部分を想像力を駆使して埋め続けたファンは、絶対に報われないのではないか。

田中直紀

2012-02-19 08:38:52 | 社会
ここしばらくの日本における最大の有名人は、田中直紀防衛大臣であろう。
沖縄の基地問題という、非常に微妙な問題を抱えるこの時期の防衛大臣を務めながら、国会で素っ頓狂な発言を繰り返したり、挙句の果てには、無断で姿をくらましたりと、なかなか話題の提供に事欠かない人である。

この人は、大臣就任当時、マスコミから、あの田中真紀子の夫であるという紹介のされかたしかされなかった人で、つまりは、長い国会議員としての生活を送りながら、これといった政治家としての実績を残していない人である。
おまけに、田中真紀子の夫ということは、義理とはあの田中角栄の息子になるわけであり、少なくともある時期までは、日本の政治家として、田中角栄の縁者であるということは、これほどのコネは無かったわけで、そういう恵まれた環境にいながら、目立ったものがないというのは、はっきり言って、政治家としてはどうかな、と思えるほどの人物であるわけである。

しかしながら、正直、個人的には、この田中大臣を、あまり非難する気にはなれないばかりか、あそこまで攻撃するマスコミや野党の姿勢に疑問すら感じる。
政治的な能力はどうであれ、少なくとも、人間としては、すごくいい人じゃないか、と思えるのだ。

少なくとも、小沢さんのように野心があったり、それがために道義的にどうかな、と思えるようなことをするような人ではないと思う。もし、そうであるならば、仮にも田中角栄の縁者なのである。彼のコネが強力だった時代に、もう少し何かをしたんじゃないか。
それに、何といっても、あの田中真紀子の夫なのである。
それだけで、何か同情と応援をしたくなるじゃないか。

この週末の雄琴

2012-02-18 02:56:51 | 風俗
この週末は、この冬、何度目かの寒波が襲来している。
大阪や京都ではそうでもないのだろうが、滋賀は雪の心配がある。さらに、朝早くや深夜には、路面の凍結が心配される。
おまけに、世間一般的には、今は給料日前である。

というわけで、この週末の雄琴は、いつも以上に暇なのではないか、と想像できる。
それだけに、この週末は、各店で割引サービスをしていたりする。

そうなれば、これは、逆に、我々一般客としてはチャンスである。
ひょっとすると、いつもは予約でいっぱいの人気姫にも空きがあるかもしれない。

ただ、姫も人間である。
もし雪でも降れば、予定していた出勤をやめるかもしれない。

世の中、なかなか上手くはいかないようだ。

'73四人囃子

2012-02-17 03:09:20 | 音楽
日本ロックが誇る、ライブ・アルバムの名盤である。
まだ、日本のロックとしては黎明期といっていい73年に、すでに、ここまでの境地に達していたバンドがあったとは、ある意味、すごく驚異的なことである。

正直言って、ボーカルが若干聞きにくかったりと、けっして録音状況のいいライブではない。また、収録されている楽曲も、ピンク・フロイドの影響が簡単に感じられるなど、オリジナリティという点では、けっして高いものがあるわけではない。

しかし、ここできける演奏は、今の時代に聞いても、非常に高度で緊張感に溢れるもので、当時20歳そこそこのメンバーで、これだけのものを作り上げたというのは、やはり脅威であるし、フロイドの影響が感じられる楽曲も、オリジナリティが低いとはいえ、けっして楽曲的に低いものはない。

何事も、最大のエネルギーはその運動の初期に発揮される、という言葉がある。
この、日本のロック黎明期に存在した四人囃子こそ、それを証明するバンドであり、そのバンドの最盛期を記録したこのアルバムは、やはり、日本のロックの中でも、特筆するに値するものだと思う。

「タルカス」 エマーソン、レイク&パーマー

2012-02-16 03:42:47 | 音楽
71年発表のEL&Pの代表作。
何といっても、吉松隆編曲のオーケストラバージョンが、今年の大河ドラマに挿入曲として使われてる表題曲に尽きる。

当時は、シンセサイザーが出始めの頃で、この表題曲は、そのシンセサイザーをもっともうまく使った初期の成功例であるばかりでなく、キーボードと言う楽器の可能性を最大限に活用した作品でもある。わずか20数分という時間の中に、打楽器的なものやサウンドエフェクト的な使い方など、単にメロディを奏でるだけではなく、現在となっても、考えうるキーボードの活用方法が、すべて凝縮されたものになっている。
実は、私個人は全く楽器が出来ないので偉そうなことはいえないのだが、おそらく、このアルバムの出現により、キーボードという楽器の可能性は、大きく広がったのではないか、と思う。

キース・エマーソンのキーボードを中心に、驚くほどの高度な演奏を聴かせるのだが、その歌われている内容は、マンガのようなジャケットに象徴される、非常に他愛もないものであり、今の時代となっては、ダサいとまで感じられるものである。
ただ、このダサいまでのわかりやすさと高度な演奏技術の二面性が、EL&Pの魅力のかなりの部分を占めているともいえる。


平清盛

2012-02-15 06:21:57 | 歴史
今年の大河ドラマは、「平清盛」である。
スタート時に主演男優に第一子が誕生したり、とある県知事から演出にイチャモンをつけられたりと、話題には事欠かないようであるが、視聴率的には苦戦しているようだ。
個人的には、第一回目は面白く見た。平安貴族の表向きの華麗さとその裏での権力争いや人間関係のドロドロさがうまく表現できていたし、おまけに「源氏物語」に代表される平安貴族のエロさまで表現されていたと思う。

しかし、その後がよくない。
だいたいが、大河ドラマは、初回はけっこう面白いが、その後は、歴史的に有名な出来事が起こるまではつまらないという傾向があると思うのだが、今年に関しては、特にこの傾向が強いのではないか、と思う。

今の大河の何がダメかといえば、ダラダラとしたストーリー展開と、それに合わせたような主演の松山ケンイチの軽く下手な演技に尽きる。

主演の松山ケンイチの演技は、どうにかならないか、と思う。脇の中井貴一や三上博史、伊東四郎なんかの演技が重厚で上手く、これぞ大河ドラマという演技を見せているのに比べて、彼の演技は、あまりに軽すぎるように思う。
さらにダラダラしたストーリ展開も如何なものか、と思う。
本来なら、平清盛の生涯といえば、保元、平治の乱と勝ち抜き武士として初めて太政大臣の位に任ぜられ、初めての武家政権を樹立するも、治承・寿永の乱でその政権が崩れ去ろうとする中、亡くなっていくという、まさに波乱万丈の人生で、おまけに、今回の大河ドラマは、清盛死後の壇ノ浦の戦いまで描くということなので、話としては面白くないわけが無いのだが、それにしては、もう2月も終わりだというのに、いまだにどの乱も描かれていないというのはどういうことだろう。
このペースで壇ノ浦まで描くとすれば、どの乱も、その描き方が淡白になることは目に見えている。これでは、せっかく、戦乱という面白くなるはずの題材を活かしきれないだろう。そういえば、昨年の大河の関が原の戦いの描き方もひどかったが、今年も、あの轍をもう一度踏んでしまうのだろうか。
個人的には、特に、保元、平治の乱は、要は朝廷内における権力争いであるのだろうが、天皇家や武家での親子の対立があったり、それだけに、勝者が敗者となった身内を処分せざるえなくなるなど、その乱が起こる経緯や対立関係がややこしかったりするのだが、それだけに、ここをわかりやすくドラマ化してもらえれば面白くなることは間違いないので、もし昨年の関が原のような描き方なら、かなり残念だったりする。

そういえば、松田聖子演じる祇園女御はどうしたんだろう?
あんまり評判が良くないので、出番をカットされたんだろうか?
もしそうなら、清盛の人生で少なくない影響を与えた歴史上の人物である彼女ですら、そういう扱いなのである。
架空の人物を演じる極楽とんぼの加藤のことが心配だ。

「フライ・フロム・ヒア」 YES

2012-02-14 07:50:39 | 音楽
今のところのYESの最新作。
クリス・スクワイアをはじめ、YESのメンバーの多くが70歳前後なのを考えれば、これだけの作品を作り上げたことは、ある意味、賞賛に値するが、それとこの作品の質がどうかというのは別問題で、個人的には、あまり納得のいくものではない。

この作品で特筆すべきは、その参加メンバーで、看板ボーカリストであり、音楽的なリーダーであったジョン・アンダーソンは、健康上の理由で参加していない。
代わりに参加しているボーカリストであるベノワは、ほかのメンバーに比べ、年齢も若く何の実績もないので、音楽的にはどうでもよい。
それよりも重要なのは、キーボードのジェフ・ダウンズであり、プロデュースのトレヴァー・ホーンである。
つまりは、このアルバムの参加メンバーは、あのジョン抜きのアルバム「ドラマ」制作時のメンバーで構成されているわけである。
それだけに、内容も「ドラマ」の続編的な言われ方をされているわけだが、個人的には、続編というよりはアウトテイク集といった感じである。
しかも、トレヴァー・ホーンとジェフ・ダウンズというバグルスの二人の新しい血を導入しながらも、それまでのYESらしさを失わなかった「ドラマ」に比べ、このアルバムは、その「ドラマ」制作時にYESらしくない楽曲として没になった曲を集めたような印象である。
そういえば、ジャケット・アートも、いつものロジャー・ディーンを起用し、絵柄こそYESらしいが、その色彩は、なにかYESと違うものを感じる。(どうも、こういう暗めの色彩は、YESには似合わないような気がする。)

しかし、もし、これがYESのメンバーのソロ、たとえばクリス・スクワイアかスティーブ・ハウのソロだとして、そのソロ・アルバムに、以前のメンバーが協力したものだとしたらどうだろう。そうであるならば、ソコソコに良く出来たアルバムだという印象になったような気もする。
つまりは、歴史あるYESというバンドの大看板を抜きにして考えれば、それほど悪い作品ではない。

そういえば、この春にYESは来日するらしい。
しかも、来日メンバーは、このアルバム制作時から、これまた健康上の理由で、ボーカルのベノワが抜け、どこの馬の骨かもわからないボーカリストになるらしい。
バンドのフロントマンであるボーカリストが代わっても、何も問題も無かったようにツアーを続けるこのYESというバンド。はっきりいって、老人ボケが始まっているのではないか?(笑)


「幻夢 オールタイム・ベスト・アルバム 」 シド・バレッド

2012-02-09 02:13:14 | 音楽
ピンク・フロイドの初期のリーダーであるシド・バレッドのベスト盤である。
フロイド在籍時は、独特のポップな感性とサイケデリックな音つくりで、カリスマ的な存在であったが、その後、ドラッグの過剰摂取で精神をおかしくしてしまい、日常生活にまで支障をきたすにいたってフロイドを頸になりながら、その才能を惜しんだ周辺の人間の協力でソロ・アルバムを作成するも、そのあまりにぶっ飛んだ精神状態から来る行動のため、そのソロ・アルバムの制作も順調に進まなかったようで、ちなみに、フロイドのメンバーでありシドの友人でもあったロジャー・ウォータースは、そのソロ・アルバムのプロデューサーを一度は引き受けながら、そのシドの異常な行動に、付き合いきれないと、途中で降りてしまっている。

ソロになってからの作品は、そういう精神状態で制作されたものだけに、かなり風変わりで、けっして面白いものではない。
ただ、通常なら、いくら自由に作品を制作させてもらっても、幾ばくかの聴衆におもねるような要素からは回避できないものなのだが、この作品には、そういう要素が、非常に希薄であり、そういう意味で、非常に貴重な作品である。

ちなみに、個人的には、この人の作品を聞きながら眠ると、きまって悪夢にうなされるのだが、これって私だけの現象だろうか?

やしきたかじん・ゴールデン☆ベスト

2012-02-04 03:47:38 | 音楽
今週、がん治療のための長期休養を発表したやしきたかじんである。
そういえば、前回の「そこまで言って委員会」の増刊号で、このことを暗示するようなトークをしていたな、と記憶している。

やしきたかじんといえば、関西において3本もの冠番組を持ち、そのどれもが、けっして条件のいい時間帯ではないにもかかわらず高視聴率を獲得し、カリスマ的な人気を誇る司会者というか芸人といったイメージがあるが、本職は歌手である。
ただ、この人の場合、歌手としては不遇な時代が長く、レコード会社も、何社も契約打ち切りの目に会っていたりする。
それだけに、過去にそれなりにいい曲を歌っていたりするのだが、それらを一度に集めたベスト盤というのは、なかなか難しいようだ。
そんな中、このアルバムは、比較的、有名なヒット曲が漏れなく集められていたりする。

この人の場合、音楽のジャンルとしてはニューミュージックに属すると思うのだが、彼個人のキャラクターから、どうしても演歌っぽい雰囲気を持った曲のほうが、受けがいいようだ。どうもそのあたりへのこだわりなのか、判断ミスなのか、そういったものの過ちが、その長い不遇時代を過ごさせた要因ではないか、と思う。

ちなみに、あれだけTVで偉そうなことを言っているだけあって、歌は上手い。
関西では絶大な人気を誇っていただけに、もっと積極的に歌番組に出ていれば、もっと歌手としても成功していたんじゃないか、と思う。