勃ちあがった象の白い涙の物語

ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる

「フライ・フロム・ヒア」 YES

2012-02-14 07:50:39 | 音楽
今のところのYESの最新作。
クリス・スクワイアをはじめ、YESのメンバーの多くが70歳前後なのを考えれば、これだけの作品を作り上げたことは、ある意味、賞賛に値するが、それとこの作品の質がどうかというのは別問題で、個人的には、あまり納得のいくものではない。

この作品で特筆すべきは、その参加メンバーで、看板ボーカリストであり、音楽的なリーダーであったジョン・アンダーソンは、健康上の理由で参加していない。
代わりに参加しているボーカリストであるベノワは、ほかのメンバーに比べ、年齢も若く何の実績もないので、音楽的にはどうでもよい。
それよりも重要なのは、キーボードのジェフ・ダウンズであり、プロデュースのトレヴァー・ホーンである。
つまりは、このアルバムの参加メンバーは、あのジョン抜きのアルバム「ドラマ」制作時のメンバーで構成されているわけである。
それだけに、内容も「ドラマ」の続編的な言われ方をされているわけだが、個人的には、続編というよりはアウトテイク集といった感じである。
しかも、トレヴァー・ホーンとジェフ・ダウンズというバグルスの二人の新しい血を導入しながらも、それまでのYESらしさを失わなかった「ドラマ」に比べ、このアルバムは、その「ドラマ」制作時にYESらしくない楽曲として没になった曲を集めたような印象である。
そういえば、ジャケット・アートも、いつものロジャー・ディーンを起用し、絵柄こそYESらしいが、その色彩は、なにかYESと違うものを感じる。(どうも、こういう暗めの色彩は、YESには似合わないような気がする。)

しかし、もし、これがYESのメンバーのソロ、たとえばクリス・スクワイアかスティーブ・ハウのソロだとして、そのソロ・アルバムに、以前のメンバーが協力したものだとしたらどうだろう。そうであるならば、ソコソコに良く出来たアルバムだという印象になったような気もする。
つまりは、歴史あるYESというバンドの大看板を抜きにして考えれば、それほど悪い作品ではない。

そういえば、この春にYESは来日するらしい。
しかも、来日メンバーは、このアルバム制作時から、これまた健康上の理由で、ボーカルのベノワが抜け、どこの馬の骨かもわからないボーカリストになるらしい。
バンドのフロントマンであるボーカリストが代わっても、何も問題も無かったようにツアーを続けるこのYESというバンド。はっきりいって、老人ボケが始まっているのではないか?(笑)