勃ちあがった象の白い涙の物語

ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる

失業中に読んだ本

2019-05-08 02:21:48 | 書籍
(本文と写真との間には、何の関係もありませんし、何の意味もありません)

失業中は、割と暇な時間があったので、かなりの本を読んだ。

中でも面白かったのは、万城目学のもので、「鴨川ホルモー」と「鹿男あをによし」は、かなり面白かった。この2冊は、はっきりいっておすすめである。しかし「プリンセス・トヨトミ」は、さほど面白いとは思わなかった。ただ、これは、本を読む前に、これを原作として映画化されたものを見ていたせいかもしれない。映画と原作では、ストーリー的にはさほど変わらないのだが、映画に出演していた役者のイメージが頭に残っていて、純粋に作品を読んで楽しむということができなかったのではなかろうか。とはいっても、この作品が、全然ダメかというとそういうわけでもなく、映画のイメージが邪魔したのと、「鴨川ホルモー」と「鹿男あをによし」と比較するとイマイチだっただけで、それなりには楽しめたと思う。
しかし、「ホルモー六景」は、まったくのダメダメだった。はっきり言って、「鴨川ホルモー」はそれだけで完結させるべきで、この作品は、余分にも程があると言える。

和田竜の「村上海賊の娘」も、かなり面白かった。さすがに本屋大賞と吉川英治文学新人賞をダブル受賞しただけのことはあると思う。歴史好きの私としては、そこまで史実を捻じ曲げちゃマズイだろ、というところもあるにはあるが、そこは物語なので大目に見るとして、文庫本にして全4巻を、一気に読んでしまうような面白さに溢れた本だと思う。

宮部みゆきの「ぼんくら」は、始まりはイマイチな、それでいて何か消化不良を起こしそうな短編っぽい感じであったが、そういった内容も包み込んで進行していく中盤以降は、かなり面白く読み進むことができた。
さすがは、宮部みゆき。的は外していないな、という感じである。

一方、本当にイマイチだったのが林真理子の「白蓮れんれん」で、柴田錬三郎賞受賞作ということで期待が大きすぎたのか、一気に読むには、かなり厳しいような印象が残る作品で、個人的には、あまりうまく話がまとまっていないような感じがした。

そういう意味では吉川英治の「新・平家物語」も、あまり話がうまくまとまっていない印象を受けた作品で、おまけに、これは、文庫本にして16巻もある大作だけに、振り返ってみれば、よく読破できたな、という印象すらある。吉川英治は、以前に「私本太平記」を読んだことがあって、それも、あまりうまくまとまっているとは言えないような内容だったが、結構、面白く読み進むことができたので、それを期待してのことだっただけに、少し残念である。平安時代末期の平家の台頭から鎌倉時代初期の奥州藤原家の滅亡までというのは、ひょっとすると、物語としては長すぎたのかもしれない。

新海誠の「小説 君の名は。」は、もちろん、あの大ヒットアニメ映画のノベライズになるのだけれど、残念ながら、私は映画のほうは見ていないのだが、それがためか、結構、楽しめた。男女の心と体が入れ替わるという話は、大林宜彦監督の「転校生」からある、よく使われる設定ではあると思うのだが、この話は、それにちょっと一ひねり加えてあって、なかなかに楽しめる。
幾分、クライマックスが、いかにもアニメ的ではあって、少し小説として楽しむにはどうかな、と感じさせるものはあるが、それを差し引いても、面白い小説だと思う。

他にも、司馬遼太郎のものを何冊が読んだが、「覇王の家」と「菜の花の沖」はつまらなかった。特に、「菜の花の沖」は、途中で読むのをやめてしまったくらいだ。


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