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勃ちあがった象の白い涙の物語

ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる

「翔ぶが如く」 司馬遼太郎

2011-05-16 21:40:36 | 書籍
「征韓論」による大久保利通と西郷隆盛の対立から西南戦争までを中心に、西南戦争直後の大久保利通の暗殺まで描いた小説。
以前、この小説を原作とした大河ドラマがあったが、その大河ドラマでは描かれた幕末は、小説では描かれていない。

この小説は、文庫本で全10巻の大作である。ひっとすると、司馬遼太郎の作品としては、最大の分量になるのではないだろうか。それだけの分量がありながら、描かれた時代は、明治6年から10年までの僅か4年間ほどでしかない。それだけに、話はあちこちに飛んだり、様々な話の本筋には関係の無い情報が盛り込まれていたりするのだが、それでいて、キチンと話を纏め上げ、話内容に破綻を生まないのは、さすが国民的作家・司馬遼太郎といったところだろうか。

個人的には、征韓論に敗れて西郷隆盛が下野したということや西南戦争という歴史的事実は知っていたが、その歴史的な意味はあまり知らなかったのだが、それがこの小説を読めば、よくわかる。

全体的に、はずれの少ない司馬遼太郎の作品だけに、それなりの満足のいく内容だとは思うが、何か物足りない感じがあったことも否めない。
それは、大久保利通と西郷隆盛の二人の友情と対立という観点からの描写が少ないからだと思う。