で、そういうことを前提にして観れば、この映画、かなり健闘しています。矢吹丈を演じた山下智久、力石徹を演じた伊勢谷友介、どちらもしっかりと肉体を鍛えていて、気合いの入ったファイティングシーンを見せてくれました。そして、その2人以上に素晴らしいのは、丹下段平役の香川照之。完璧なコスプレ(と呼ぶべきだよね?)で、笑っちゃうぐらいに役柄に同化してます。セリフ回しも身のこなしも、まったくもってお見事でした。ただし、汚れっぷりは『龍馬伝』の時の方が上。というか、この映画自体、全体的に妙にこぎれいになっちゃってた気もします。CGを使いすぎてるせい?
それはともかく、原作ファンにとってはショックな出来事がありました。白木葉子を演じた香里奈もなかなか好演していたわけですが、『あしたのジョー』を語る時に欠かせない、もう一人のヒロインがいない! そう、この映画には「乾物屋の紀ちゃん」というキャラクターが存在しないんです。なんでやねん。いや、もちろん原作に忠実にすべてのキャラクターを出せ、細かいエピソードもちゃんと描け、とは言いません。青山やゴロマキ権藤まで出したら話がまとまらなくなるし、たくさんの豚たちを登場させるのも無理があるだろうし、「ねじりん棒」とか出したらクドくなるもんね。でもさ、せめて紀ちゃんは……、まあ、いいけど。
さて、肝心のファイティングシーン。さっきも書いた通り、山下智久と伊勢谷友介は大いに頑張っていたわけですが、去年のボクシング映画の傑作『ボックス!』での市原隼人と高良健吾に比べると、どうしても見劣りしています。これは役者たちの資質というよりも、撮影する側の姿勢の問題かも。「CGありき」で進めようとした時点で、生々しさが半減することが確定してしまったような気がします。そういえば、丈がプロになって最初に対戦した相手、クロスカウンターを決められた時の顔が思いっきりCGでしたね。それも10年前ぐらいのレベルの。役者さんが無名だったので手を抜いたのかな? 予算の問題?
あと、劇中で「丈と力石の体格が違いすぎる云々」というセリフが出てくるわけですが、画面の中に存在する2人を見る限り「そんなに違わないじゃん」と思えて仕方なかったです。ウィキペディアで調べたら、山下は身長174cmで伊勢谷は180cm。でも、山下は胸板が厚い(って時点で矢吹丈のイメージと違うわけですが)ので、体格的には最初からほぼ同じに見えちゃうのよ。それから、マンモス西。もうちょっと大柄な役者を選んだ方が良かったんじゃない?
他にもいろいろと思ったことがあるけど、ちょっと時間がなくなっちゃいました。まあ、なんだかんだ言っても、それなりに楽しめる作品ではあったので、迷っている人は観るべし! 打つべし! 明日のために!
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