少年トッパ

ケヴィン・ベーコン初監督作を観るためにシネマジャングルへ。

 先週土曜日、ケヴィン・ベーコンの初監督作品『バイバイ、ママ』を観るために、岐南町のシネマジャングルという映画館へ行った。岐南町ってのは、岐阜市の南、一宮市の北に位置する町。正確に言うと、岐阜県羽島郡岐南町だ。
 シネマジャングルは10年前にオープンしたシネコン。ただ、スクリーン数は6つと、規模は小さい。それもあって最近は苦戦を強いられているようだ。これは当然だろう。ちょっとクルマで移動すれば、TOHOシネマズ木曽川とTOHOシネマズ岐阜があるもんね。
 でも、このシネマジャングルは、大手のシネコンとは明らかに一線を画している。名古屋シネマテークやシネマスコーレでも取り上げないようなマイナーな作品を平気で(かどうか知らないけど)公開しているのだ。実際、この一年ぐらいは、東海地区ではシネマジャングルのみで公開、というケースも多い。ごく最近では『アフロサッカー』や『ジンガ』、それにこの『バイバイ、ママ』とかね。

 じゃ、外観やら内装やらを。



 東側は田んぼ。ちなみに建物の1階はブックオフなどの商業施設で、2階がシネマジャングル。



 シネマジャングルという名前だけあって、館内には恐竜が生息している。騒いだら目を覚ますから注意!



 あわわっ、なんと柱に人骨が! 逃げろーーっ。



 まもなく公開される『バックダンサーズ!』のポスターは平山あやのサイン入り。

 さて、肝心の『バイバイ、ママ』について。少しネタバレありね。

 簡単に言うと「子離れできない母親」を描いた作品である。子供を持つ女性なら、おそらく多少なりとも共感できる部分があるだろう。母親という立場を経験したことがなくても、「自分が愛でてきた者が他者に奪われる恐怖」や「慈しんできた者が自分を必要としなくなる時の悲しみ」を味わったことがあれば、この主人公の気持ちは理解できるのではないだろうか。
 主人公は世間で変わり者扱いされている。子供を宿すためだけに男を求め、一人息子が誕生してからは二人だけで暮らす。父親という存在を必要とは思わず、ひたすら息子に愛を注ぐ。近所付き合いを拒み、学校へも通わせない。この子は特別な子だから学校で無益な教育を受けさせることは意味がない、と考えているのだ。
 だが、息子は次第に外の世界に興味を持ち、公園で他の子供たちと一緒に遊びたがるようになる。学校へ通うことを望むようになる。そして、母親を拒むようになっていく。一方、母親は息子への依存を断ち切ることができない。そして――。

 惜しいのは、彼女を「変わり者」へと追い込んだ要因が明確に伝わってこないことだ。いや、あまりにも両親の仲が良すぎて疎外感を味わってきた、というのが要因であることは理解できる。この両親、娘には大して興味を示さず、いいトシこいてベタベタしまくっているのだ。でも、僕だったら「いつも喧嘩ばかりしてるよりはマシじゃん」と思うんだけどなぁ。それに、両親が仲良くしている様子がユーモラスに描かれているので、深刻さが今ひとつ伝わってこないのだ。あと、彼女が「子種探し」に勤しむ描写も、同様に軽いノリで語られる。それが一転して後半から重い雰囲気になってくるので、どうも居心地の悪さを感じてしまうのだ。

 などと少々辛口気味に書いたけど、この作品を観られたことには大満足している。だって、あのケヴィン・ベーコンの初監督作品よ? この20数年、アメリカ映画界においてケヴィン・ベーコンがいかに立派な業績を残してきたのかは今さら言うまでもないよね? その割には賞とかには恵まれていないことも、アメリカ映画が好きな方ならご存じだよね? まったく、なんで『告発』や『スリーパーズ』で賞を取らなかったんだろねぇ。まあ、僕が一番好きなのは『フットルース』や『アフリカン・ダンク』の時のような陽気なアメリカ青少年の役なんだけどね。

 ちなみに『バイバイ、ママ』の主役はキラ・セジウィック。ケヴィン・ベーコンの奥方である。で、彼女の少女時代を演じるのが二人の実の娘で、父親役を演じるのはベーコン自身。さらに音楽を担当するのはベーコンの兄と、この映画、かなり身内の手で作られている。家内制手工業に近い。それは違うか。
 とはいえ、決して「身内で作った自己満足映画」ではない。「子供への依存」という極めて今日的な課題を扱いつつ、きっちりと娯楽性も兼ね備えた作品なんである。キャストだって、サンドラ・ブロック、マット・ディロン、マリサ・トメイと、なかなか豪華なんである。にも関わらず、なんで全国5ヶ所のみでの公開なんだ? どういうこっちゃねん。ケヴィン・ベーコンじゃ客が呼べんと思ってるのか? まあ、僕が観た時も客は4人だったんだけどさ。トホホ。

『バイバイ、ママ』公式サイト→http://www.byebyemama.jp/
すでにDVDも出てます→http://cinematoday.jp/product/P0001119

 あ、そうだ。このシネマジャングル、スギ薬局のポイントカードを見せれば、時間帯によっては1000円になるのよ。これは活用しなきゃ損よ。
 なぜか公式サイトがないので、場所とか上映スケジュールとかは下記のページでチェックすべし!
http://www.walkerplus.com/tokai/latestmovie/5MCHV001.html

コメント一覧

トッパ
●でこぴんさん

穴場というか、映画好きなら応援すべき映画館だと
思ってます。その割には、少しでも安く観ようと割
引制度を熱心に調べましたが(笑)。

●おこちゃま

あ、いつでも1000円で観られるようになったんだ。
じゃあ、いざという時のためにスギ薬局カードは肌
身離さず持ってなきゃ(笑)。

あのマダムの存在は確かに大きかったんだろうね。
でも、それが「父親不要」につながるのが今ひとつ
釈然としないというか……ま、受け取り方は人それ
ぞれか。ともあれ、この映画について語り合える相
手がいて良かった!(笑)
おこちゃま
最近になって、時間・曜日関係なくスギカード提示で1000円で観られるようになりましたよ。
しかも強気の顔で臨めば(?)、連れの分もポイント付けてもらえます(笑)

バイバイママ、私が観に行った時は、10人ちょっといたと思うけど・・。
彼女を追い込んだ最大の要因は、彼女の事を気に掛けて優しく接してくれていた、サンドラ・ブロックが演じた近所のマダムが、突然居なくなってしまった事ではないかと思います。
両親より、マダムには愛されたい、受け入れて包んでもらいたがっていたように見えたので、それが閉ざされた時、幼い彼女の中で何かが壊れていったのでしょう。
でこぴん
私もここいったことありますよ~。
結構、穴場だったりしませんか??
スギカードは知りませんでした。是非、活用させていただきます。
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