原作は未読。なので、あくまで映画の感想です。
流されるままに日々を送っていた19歳の少女ルイは、ある日、ケッタイな姿をした少年アマと知り合う。アマは耳だけでなく眉の上や口の下にもピアスを入れており、髪は赤く染めている。それだけならともかく、なんと舌の先がふたつに割れていた。まるで蛇の舌のようだ。生まれつきではなく人工的に裂いたものらしい。その舌に魅了されたルイは、自分も同じような舌にしようと躊躇なくコロッと決める。そのために、まずは舌にピアス用の穴を空ける。その穴を徐々に拡げていって、舌の先をふたつに割るのだ。そしてなおかつ、背中一面に刺青を入れる……って、書いてるだけで痛いよっ。なんで、そんなことを迷わず決意できる? 刺青やピアスをしようなんて考えたこともない僕にとっては、完璧に理解不能である。だって、すげー痛そうじゃん。
このルイという女、どうやら「肉体に痛みを受けることでしか生きている実感を得ることができない」という設定らしい。でも、この映画を観る限り、単に痛みに対して鈍感なだけじゃない?
映画はルイとアマ、そして刺青の彫り師であるシバの三角関係を軸に進む。そう、純文学っぽい体裁を装っているが、要は痴情のもつれを描いた下世話な物語だ。その真ん中にいるルイは、まあ、簡単に言えば二股女である。どっちの男にも股を開き、ホイホイやらせる。ある意味、男にとっては有り難い存在とも言える。すんません、ちょっと下品な表現ですね。
驚いたのは、吉高由里子が脱いじゃっていることだ。しかも、クライマックスとかではなく、序盤から。ハリウッド映画でも「性交の直後なのに女の方はブラ着用」なんて非現実的な描写があることを思えば、これは大した決断である。あの三原順子だってヌードは吹き替えだったのに。って、いつの話だ?
はっきり言って映画としては底が浅いのだが、この吉高由里子の健闘は素直に讃えたい。物憂げな喋り方も、この役に合っている。少し前に観た『きみの友だち』でも好演していたし、先が楽しみな女優である。
準主役の高良健吾とARATAも、なかなかのハマリ役。もっとも、こういう風体の連中が近くにいたら絶対イヤだけどね。怖そうだからってことより、顔にあれこれと刺さってるのを見ることが苦痛なのだ。実際問題、寝返りした時に変な方向に曲がって皮膚を裂いたりしないのだろうか。って考えるだけで痛たたたたっ。
それなりに見応えはあるものの、終盤に登場する刑事がそれを台無しにする。どこかで見た顔だと思っていたが、クレジットによると歌舞伎役者の市川亀治郎であるらしい。そっちの分野ではそれなりの実績を持っているんだろうけど、この映画での演技はヒドい。絵に描いたような「クサい芝居」である。蜷川監督、なんでこんな演技にオッケーを出したんだ?
この映画には他にも有名な役者がゲスト出演している。唐沢寿明、小栗旬、藤原竜也などである。でも、そういうのは必要なかったんじゃない? まあ、単なる客寄せなんだろうけど。
さっき知り合いの日記を覗き見したら「くだらない」「アホらしい」「今年一番ダメ」というような言葉が並んでいた。うーん、そこまでヒドくはないと思うけどなぁ。とりあえず吉高由里子の裸を見られたし。って、結局それかいっ。
ところで、素朴な疑問がひとつ。人間の歯って、あんなに簡単に粉々になるものなの?
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