少年トッパ

『ウォンテッド』の感想 ※ネタバレ少しあり

お気に入り度 ★★★★★★★☆☆☆

 うわー、すげえ。やっぱりアンジェリーナ・ジョリー最高。唐突にどアップで登場してからの数分間、彼女の一挙手一投足を見逃さないようにと必死だった。瞬きを我慢し、動体視力を駆使しまくって、スクリーンを凝視し続けたもんだ。とにかくもう、カッコいいったらありゃしない。まさに世界最強の女優。表情も身のこなしも完璧。素晴らしすぎて、どう褒めればいいのか分からないほどだ。いやホント。

 ただし、これはアンジェリーナ・ジョリー主演作ではない。主人公はジェームズ・マカヴォイ演じる冴えないサラリーマンで、彼を謎の組織へと導く凄腕スナイパーがアンジェリーナだ。なので、出番は主人公の半分ぐらい。そのことに不満を感じないでもないが、もしもアンジェリーナが画面に出ずっぱりだったら全編ずっと瞬きを我慢しなきゃならないわけだから、これくらいがちょうどいいのかもしれない。満腹ではなく、腹八分目の方が身体に良いのである。すんません、あんまり妥当な比喩じゃないですね。

 物語は、主人公が会社で不平不満を我慢しながら毎日を過ごす描写から始まる。この辺りにはかなり多くの男子が共感するんじゃないだろうか。しかし、この男の日常は、ドラッグストアで謎の美女に出会ったことで一変する。1000年の歴史を持つ暗殺者組織にスカウトされ、自分の父が優秀な暗殺者であったこと、にもかかわらず裏切り者に殺されたこと、そして自分の中にも特殊な能力が潜んでいることを教えられるのだ。
 そこから「修行」が始まる。虐待のような暴力を受け、傷だらけになりながらも、主人公は暗殺者としての能力を磨いていく。この辺りの描き方は実にテンポが良くて、ワクワクさせられる。身体が傷だらけになっても風呂に入れば治ってしまう、というアイデアも良い(というか、そうでもしなきゃ死んでしまうわけだが)。あの風呂のお湯、どんな成分が入ってるんだろ。アロエを煎じてたりして。

 そして主人公は暗殺者デビューに臨むわけだが、その直前に「ホントに殺しちゃっていいの?」と悩む。これは当然だろう。観客も同じ気持ちになっていたはずだ。そこで、アンジェリーナが幼い頃の出来事を話す。本来なら組織によって殺されるはずだった悪人が、暗殺に失敗したことで生き延びた。そして、その悪人はアンジェリーナの父親を残虐極まりない方法で殺したのだ。組織が抹殺を命じる時、そのターゲットとなるのは近い将来必ず非道な悪事をしでかす人間なのである。
 納得した主人公は見事に暗殺者デビューを果たし、その後も次々と組織が命じた通りに人を殺していく。完全に新しい人生を手に入れたのだ。そして彼は、父を殺した裏切り者を暗殺するように命じられる。屈指の難敵に挑むわけである。だが、そこから物語は思わぬ方向へ……いや、思わぬ方向でもないか。とにかく、いろいろあった末に「意外な真相」が解明されるのである。

 前半が面白すぎたせいか、後半はやや失速気味。というか、後半における最大の問題は、列車での超絶バトルだろう。僕のような良識派(でもない?)としては、どうしても「巻き込まれた人たちが気の毒すぎ」と思えてしまうのだ。だって、列車があんな風になったら、どう考えても乗客は全員死んでるわけじゃん。組織のモットーは「1を倒して1000を救う」ってことらしいけど、これじゃあ「1を倒すために1000を巻き込む」じゃない?
 もちろん、それは序盤のカーチェイスの場面でも同じなんだけど、その時点では観客はアンジェリーナ・ジョリーに見惚れていて、他のことを考える余裕がなかった(よね?)。それに、クラッシュしたクルマは多かったものの、その中にいる人の姿までは映し出されていなかった。
 しかし、列車のシーンでは、たくさんの乗客の姿が画面に登場する。なので「この人たち、どうなるんだろ」と思っていたら、ああいう展開になったわけである。まあ、この手の娯楽映画でこういうことを指摘するのは思いっきり野暮だろうが、やはり少々無神経じゃないか、と思えてしまう。

 とはいえ、アンジェリーナ・ジョリーの魅力を思いっきり堪能できたわけだから、あんまり文句は言わないでおこう。姐さん、またこういう娯楽大作に出てくださいませ。
 ジェームズ・マカヴォイは『つぐない』『ペネロピ』に続いて好演。追い詰められた時の表情が真に迫っていた。これから大活躍するんじゃないかな。

 ところで、パンフを買おうとして「ウォンテッドのパンフを」と言ったら、売り場のおねえさんが出したのは『ウルトラマン』のパンフだった(正確なタイトルは『大決戦!超ウルトラ8兄弟』)。うわーっ、ショック。いや、自分の滑舌が良くないのは充分すぎるほど承知しているけど、「ウォンテッド」を「ウルトラマン」と聞き間違えられるとは。ガックリ。
 おねえさんもかなり恐縮していたけど、いやいや、悪いのはキミじゃない。もうちょっとはっきりと喋るように努力しますです。ご迷惑おかけしました。

コメント一覧

トッパ
●海くんママ

あ、それは言えるかも。滑舌が悪いせいじゃなかっ
たんだ!(笑)

ホント、痛々しい場面が多かったですね。なので、
余計にあの風呂が欲しくなりました(笑)。

●SKDさん

へーっ、そうなんですか。僕も時間があれば観たい
と思ってます。でも、その前に『おくりびと』と
『蛇にピアス』があるし、できれば『アキレスと
亀』も観たいし、もうすぐ『アイアンマン』と『ト
ウキョウソナタ』が始まるし……どうしましょ
(笑)。
SKD
私のテリトリーでは、今一番人気が「ウルトラマン」で、二番目が「おくりびと」です。
おねえさん、「ウ」で条件反射しちゃったのでは~?(笑)


海くんママ
「ウルトラマン」好きなオジさんに見られたのでしょうか?(笑)
最初のトレーニング?の時はやっぱりR-15の映画ね~と、痛い!と思いながら観ていました。
身体に力が入る映画でした。(笑)
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