とんもの日記

いつか どこかの 本当のはなし

お決まり / 枕カバーを背負ったサンタ

2013-12-19 15:54:54 | 日々のこと
小さな人の最近の
お決まり。

ミカンの皮を剥く。
丸ごとの中心部分に
左中指を突き刺す。
それからおもむろに
「うぇーん、蜂に
 さされちゃったよぉ~」
と言うのである。

もう何度もやっているのに
ミカンを食べるときは
飽きもせず、必ず
この「お決まり」をする。


ちなみに、これがどうして
蜂に刺された事になるのかと
言うと、
以前読んだ絵本、
かがくのとも
「きゅうきゅうばこ」で
子供が蜂に刺された絵が
書かれていたから。
子供の腕がぷくぷくと
膨れていて、その
膨れ方が、ミカンまるごと
の形に似ていたのだと
思う。


こんな事を書いていたら、
小さな人から手紙が届く。
「さんたさんです。
 いまからあいにいきます」
と。
そして、段ボールの髭を
顎にセロテープで貼付けた
小さな人が、枕カバーを
背負って現れた。

そんな事で、今から
プレゼントをいただくので
今日はこのへんで。
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満ち満ちたもの

2013-12-19 15:42:24 | 日々のこと
寒い。
じっとしていると、
手の先からじわじわと
冷たくなってくる。

火曜日は、幼稚園の
クリスマス会だった。
そこでは毎年、キリストの
生誕劇が行われる。
小さな人もこの日の為に
半月ほど毎日練習に
励んでいた。

劇の役所は当日決まる。
小さな人は天使の役が
やりたいらしく、
数日前からリビングに
自己流の小さな祭壇を作り、
そこに手を合わせて
「どうぞわたしを天使の役に
してください」などと密かに
お願いしていた。


当日、礼拝堂で待っていると
衣装を着た子供達が粛々と
現れた。
小さな人はなかなか現れず。

最後の方に、白いベールを
被った小さな人が
嬉しそうに登場した。
きっとこれは天使の役なの
だろう。

小さな人、劇の合間、
私に向かってちょこちょこと
手を振っている。
「劇のときは、手なんて
 振れないからね」なんて
言っていたのに。


髪の毛がすっかりとベールに
覆われて、顔の輪郭だけに
なった小さな人は、
福々としたまんまるお月様の
ようで、私は
「何かとても満ち満ちたもの」を
目の前で眺めているのだと
思うのだった。
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ねこさん

2013-12-15 11:09:56 | 日々のこと
そう言えば、
先週金曜日は今年最後の
仕事の日だった。

電車に乗っていたら、
なかなか個性的な
年配の女性が
乗車してくる。

何が個性的かと
言うと、服装のほとんど
の箇所に猫が描かれて
いるのだ。

ニット帽は猫型だし、
バッグは猫の顔、
パンツのお尻のところ
から、猫のシッポが
出ている。
その他、アウターの柄
にもさりげなく猫の
シルエット。
細部を忘れてしまった
けれど、確か靴にも
何かしらの猫があしらわれて
いたような気がする。

「ねこ、ほんとうに
好きなんだなぁー」
私は感心しながら、
斜め前の女性を見守った。


同じ駅で下車。
同じエスカレーターへ。
その女性に電話が
かかる。
するとその女性は
「はい、〇〇ねこです」
と名乗った。


嘘のような本当の話。

それならば確かに、猫に
ならねばなるまいね。
もうれっきとした
運命だわね。


今まで単に、
「個性的な年配の女性」
としてみていたはずの目の前の
お方が、突然、ねこさん、
「真物のねこさん」として
何か凄みを持った存在のように
思える。
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「道端にバナナの皮が落ちている」という設定

2013-12-15 10:56:29 | 日々のこと
この所、ぐっと気温が下がり
冬らしさ高まる。
5日前くらいから、
湯たんぽも登場。

湯たんぽ、いい。
布団の中はほかほかと
温かく、外は冷えて
いる感じが、露天風呂のよう。
私は寝ている時に
部屋が温かいのが
苦手なので、湯たんぽは
本当に有り難い存在。


ところで昨日、小さな人が
リビングで突然にすっ転んだ。

そうして、テへへと笑いながら
「バナナの皮って本当に
 すべるんだねー。
 わたし、実験してみたの」
と言った。

バナナの皮で滑る実験・・・。
本当にそんな事をする人が
居るんだ。
しかもこんなに身近に。

ち「とんもってバナナの皮で
  すべったことある?」
と「え、ないよ」

「バナナの皮が道端に落ちている」
という設定にもなかなか巡り会った
事がないしね。

小さな人は私がとめるのも聴かず、
もう一度実験を試みた。

今度は勢いをつけて、バナナの
皮の上へ走り込む。
ド派手にすっ転ぶ小さな人。

「いやぁーバナナの皮って
 本当によくすべるねぇ」
と、小さな人はものすごく感心
したようすで、またもテへへと
恥ずかしそうに笑った。

足首に小さな擦り傷を
作ってまで。

体当たり実験だった。
まさに。
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温かみのある図鑑と無関係なゴロ合わせ

2013-12-09 11:44:06 | 日々のこと
土曜日、久しぶりに
古本屋へ寄った。
探していた本が
あったので。

そうして、偶然にもその本が
棚に並んでいた。
喜び勇んで手に取る。

「わたしにも買ってよね」
と小さな人が絵本の棚を
じっと視ながら言う。

一緒に絵本をあれこれ吟味。
「魚貝の図鑑」に決める。


それから毎晩、眠る前に
これを読んでいる。
少し前に作られた図鑑らしい
けれど、魚貝の絵や、内容が
なかなか面白く、引き込まれて
しまう。

面白いのは、解説のなかで
食べられる魚のところに
なると、「肉はおいしい」
「冬にとくにおいしい」
「天ぷらがうまい」
「さしみ、すいものなどにする」
「あまりおいしくない」
「~より味が落ちる」
「まずい」

などと、少し個人的な感想が
入っているところ。
「食用」とだけ書かれた魚も
多くあるなか、筆者の控えめな
好みをそっと忍ばせているあたり、
この本は単なる図鑑の粋を超えて
温かみのあるものに仕上がっていて、
いい。



ところで最近、気になっていること。
それは「ゴロ合わせ」。

歯医者さんだったら「○○-6980」
(〇〇ー虫歯ゼロ)とかそいういう
類のもの。

あるお店で、何気なく見た箸袋に
お店の電話番号が書かれていた。

お店とは無関係の「ゴロ合わせ」
だった。そのお店の食べ物とも
飲食店とも、土地とも、前後の意味も
すべてが無関係。

その無関係っぷりが、あまりに
すごくて、かえって忘れられない
電話番号になってしまう。

今もはっきりと思い出すし、
夜道を歩きながら、意味なく
呟いてしまうほど。

そのどこにも拠り所の無い
アヴァンギャルドさによって、
電話番号を印象づけようと
しているのならば、
まんまとお店の策にはまって
しまっているのだった。
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