務のよしなしごと

ハンプトン・コート宮殿の人々(完成時期未定)
「オペラ座の怪人」勝手に解説
住んでいる近辺の紹介

「オペラ座の怪人」第2幕 第6場

2021-09-29 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

(「ドン・ファンの勝利」初日。オーケストラがチューニングをしている中、第6場が始まる。舞台中央には第7場のセットの一部、テーブルやベンチが設置されている。下手階段から消防隊が下りてくる。彼らが整列したところで消防隊の隊長が消防士に指示を出す。)

CHIEF:(隊長)    You understand your instructions?      指示を理解したか?

FIREMEN:(消防士たち)    Sir!      はい。

CHIEF:(隊長)
When you hear the whistle, take up your positions.
笛が聞こえたら配置に就け。
I shall then instruct you to secure the doors.
その時ドアの安全を確認するように指示する。
It is essential that all doors are properly secured.
全てのドアが適切に固定されているかが重要だ。

(ラウル、フィルマン、アンドレが同じく下手側の階段を警備の準備立ち合いのために下りて来る。)

FIRMIN:(フィルマン)
André, are we doing the right thing? 
アンドレ、我々は正しいことをしているのだろうか。

ANDRÉ:(アンドレ)Well, have you got a better idea?      他に良い考えでも?

CHIEF:(隊長)
Monsieur le Vicomte, am I to give the orders       子爵様、私が命令を出しましょうか?

RAOUL:(ラウル)    Give the order.      命令を…

(隊長は笛を吹き、消防士たちは舞台にラウル、隊長、支配人たちを残して持ち場に走り去る。)

RAOUL:(ラウル、狙撃手に)
You in the pit - do you have a clear view of this box?
ピットにいるお前 — このボックス席が良く見えるか?

MARKSMAN:(狙撃手、ピットから姿を現し・・・)  Yes, sir.      はい。

RAOUL:(ラウル)
Remember, when the time comes, shoot.  Only if you have to - but shoot. To kill.
チャンスが来たら撃て。撃つだけでいい。そして殺すんだ。

MARKSMAN:(狙撃手)
How will I know, sir?      どうやってチャンスだと分かるのですか。

RAOUL:(ラウル)
You'll know.      その時が来れば分かる。

FIRMIN:(フィルマン)
Monsieur le Vicomte, are you confident that this will work? Will Miss Daaé sing?
子爵様、うまく行くでしょうか。ダーエさんは歌うのですか。

EAOUL:(ラウル)
Don't worry, Firmin. Andre?      心配はなしだ。フィルマン、アンドレ、いいか?

ANDRÉ:(アンドレ)
We're in your hands, monsieur.      あなたにお任せします。

CHIEF:(隊長)
My men are now in position, sir.      部下たちが配置に就きました。

RAOUL:(ラウル)  Go ahead, then.      では、進めてくれ。

(笛を吹き、隊長は館内全体に聞こえるよう大きな声を出す。)

CHIEF:(隊長)  Are the doors secure?      ドアは全て安全確認したか?

(出入口が塞がれ、あちこちから消防士が次々に「確認!」と応える。するとどこからともなく怪人の声が聞こえる。)

PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
I'm here: The Phantom of the Opera...      私はここだ。オペラ座の怪人だ。

(皆が不安げに辺りを見回すと、怪人の声は別な所から聞こえてくる。)

PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
I'm here: The Phantom of the Opera...      私はここだ。オペラ座の怪人だ。

(このようなことが数回繰り返され、次第に声が大きくなって行く。ついに声は5番ボックス席から聞こえる。混乱した狙撃手が銃を撃つ。ラウルが狙撃手に激しく詰め寄る。)

RAOUL:(ラウル)
Idiot!  I said: only when the time comes!      バカ!チャンスが来たらと言ったはずだ。

MARKSMAN :(狙撃手)  But, Monsieur le Vicomte...   でも、子爵様…

(怪人の声が割って入り、館内に響き渡る。皆は上を見上げる。)

PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
No 'buts'! For once, Monsieur le Vicomte is right...  「でも」は言うな!一度だけという子爵様の言うことは正しい...

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Seal my fate tonight - I hate to have to cut the fun short,
今夜は私の好みを封印する — 楽しみを短くするのは嫌だが
※好み=楽しみ ← 時間をかけてあれこれと災いを与え楽しむこと
But the joke's wearing thin...  Let my opera begin!
冗談はもう飽きた…  私のオペラを始めようじゃないか。
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(ラウル、アンドレ、フィルマン、そして隊長が回れ右をする。照明が落とされる中、彼らが退場して第6場が終了。)

 


「オペラ座の怪人」第2幕 第5場

2021-09-28 | 趣味

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(第4場、歌唱リハーサルの最後の部分で無人のピアノ演奏に合わせてコーラスメンバーやメグ、ピアンジ、カルロッタまでもが操られたかのように歌う中、クリスティーンだけが椅子から立ち上がりガウンを羽織る。バイオリンがメロディーを奏でる中、舞台が暗くなり、リハーサル室のセットが片付けられ、クリスティーンが舞台中央で客席を背にして立つ。照明が彼女に当てられ、次第に明るくなる中で歌が始まる。)

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"JOURNEY TO THE CEMETERY"

CHRISTINE:(クリスティーン)
In sleep he sang to me, in dreams he came...
眠りの中で彼は私に向かって歌い、夢の中に現れる
That voice which calls to me and speaks my name...
あの声が語りかけ私の名を呼ぶ…

(クリスティーンは徐々に客席の方に体を向け、その背後に夜の墓場の光景が投影される。オーケストラピットを境に下方には墓場の柵と入り口、上方には大きな十字架と墓場周辺の薄暗い風景が見える。入り口が開くとそのすぐ奥に「ダーエ」と刻まれた大きな墓が現れる。クリスティーンはつぶやくように・・・)

Little Lotte thought of everything and nothing...
小さなロッテはあれこれと考えた、そして何も思いつかなかった…
Her father promised her that he would send her the Angel of Music...
お父さんは「音楽の天使」を来させると約束した…
Her father promised her... Her father promised her...
お父さんは約束した…約束した…
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(クリスティーンは墓石に向かってつぶやく。彼女の心は幼い頃に無条件で頼っていた父親、そして主役を務めるようになるまで成長を見守り指導してくれた怪人両方への気持ちで揺れ動いている。以下の言葉は一見父親だけに宛てているかのようであるが、怪人に宛ててもおかしくない内容である。父親は墓の中にいるし、怪人に対しては今までの事件をきっかけに恐ろしいという感情が勝っている。そして以前までのような肉親同様の師弟関係に基づいた感情が壊れているが、それでも彼への感謝の念もいくらかは残っている。彼女は過去の状況が再現されることを望みつつ、そうならないであろうことも分かっている。)

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" WISHING YOU WERE SOMEHOW HERE AGAIN"

CHRISTINE:(クリスティーン)
You were once my one companion... you were all that mattered...
あなたはかつて仲間だった…あなたが全てだった…
You were once a friend and father - then my world was shattered...
あなたはかつて友人であり父だった — そして私の世界は粉々になった…
Wishing you were somehow here again...
あなたがどうか再びここにいてほしいと願いながら…
Wishing you were somehow near...
どうか近くにいてほしいと願いながら…
Sometimes it seemed, if I just dreamed, somehow you would be here...
時々夢を見れば何かしらあなたがここにいるような気がする…
Wishing I could hear your voice again... knowing that I never would...
あなたの声が聞ければと願う…決してそうならないと知りながら…
Dreaming of you won't help me to do all that you dreamed I could...
あなたの夢を見ることはあなたが私にできると夢見ていたことを実現させる助けにはならない…
※⇒あなたの夢を見てもあなたが私に期待していたことをできるようにはならない。「あなたの夢」とは父親が生前彼女に託したであろう夢であり、怪人が自分の音楽の具現者としてクリスティーンに対して抱いていた夢の両方であると考えられる。
Passing bells and sculpted angels, cold and monumental,
葬送の鐘や天使の彫像は冷たくてただの記念物、
Seem, for you, the wrong companions - you were warm and gentle...
あなたには似合わない仲間 — あなたは暖かくて優しかった…

(クリスティーンは浅く被っていたガウウンのフードを外し、改めて墓に顔と体を向ける。)

Too many years fighting back tears... Why can't the past just die...!
涙と戦ってきた多くの年月…   過去はもういらない…!
※どうして過去は死なないの! ⇔ 形式は疑問文だが強い反意を表す = 過去は死んでほしい

(客席に向き直って過去と決別する決意を述べる。)

Wishing you were somehow here again...
あなたがどうか再びここにいてほしいと願いながら…
Knowing we must say goodbye...
さよならを言う時だと知っている…
Try to forgive... teach me to live... give me the strength to try...
私を許し…  生きることを教え…  為すべき力を与えて…
No more memories, no more silent tears...
もう振り向かず、密かな涙も流さず…
No more gazing across the wasted years...
もう無駄にした年月を見つめることもせず…
Help me say goodbye. Help me say goodbye.
さよならを言わせて。さよならを言わせて。
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(客席からの拍手が1分ほど続いた後、オーケストラピットの前、クリスティーンの父の墓の上方に設けられたルーフバルコニーのような場所の装飾の陰から怪人が現れ、クリスティーンに優しく誘うように話しかける。)
※ハー・マジェスティーズ等の劇場では高く大きな十字架の陰から姿を現す。

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"WANDERING CHILD"

PHANTOM: (怪人)
Wandering child... so lost... So helpless... yearning for my guidance...
さまよう迷子…  道を失い…  無力で…  私の指導を求めている…

(怪人の声を聞いてクリスティーンは戸惑い、息を乱して呟く。)

CHRISTINE:(クリスティーン)
Angel... or father... friend... or Phantom?  Who is it there staring...?
天使…  それともお父さん…  友達…  それとも怪人?   そこで見ているのは誰?

PHANTOM:(怪人)Have you forgotten your Angel...?       お前の天使を忘れたのかな?

CHRISTINE:(クリスティーン)
Angel... oh, speak... What endless longings echo in this whisper...!
天使…  あぁ、話をして…  そのささやきには何と果てしない憧れが響いているのかしら…!

(ここで暗がりからラウルが現れ、一瞬この光景を見るがそのまま動けないでいる。この辺りから3者がそれぞれ同時に語り出す。)
※第1幕第8場 -4 の「プリ・マドンナ」のように二重唱、三重唱や主旋律と対旋律の対比、ちょっとしたカノンのような複雑な音の動きがある。

PHANTOM:(怪人)Too long you've wandered in winter...      長いこと冬をさまよい…

RAOUL:(ラウル、独り言を言う。)Once again, she is his...       また彼女は彼の…(生け贄 …or 弟子…になるのか?)

PHANTOM:(怪人)Far from my fathering gaze...      父親のような眼差しから遠く離れて…

RAOUL:(ラウル)Once again, she returns...      また彼女は帰って行く…

(クリスティーンは興奮し、葛藤を口に出す。)

CHRISTINE:(クリスティーン) Wildly my mind beats against you...       私の心は激しく抗う…

PHANTOM:(怪人) You resist...       お前は抵抗する…

PHANTOM/CHRISTINE:(怪人とクリスティーン) Yet your/the soul obeys...       しかし お前の / 私の 魂は従う…

RAOUL:(ラウル)
...to the arms of her angel... angel or demon... still he calls her... luring her back,
…天使の腕へと…  天使それとも悪魔…  まだ彼女を呼んでいる…  呼び戻そうと…
from the grave... angel or dark seducer...? Who are you, strange angel...?
墓から…  天使それとも闇からの誘惑者…?   得体の知れない天使、お前は誰なんだ…?

PHANTOM:(怪人)
Angel of Music! You denied me, turning from true beauty...
音楽の天使!お前は本当の美しさから顔を背け私を否定した。
Angel of Music! Do not shun me... Come to your strange Angel...
音楽の天使!私を避けるな…  お前が不思議に思う天使のところへ来るのだ…

CHRISTINE:(クリスティーン)
Angel of Music! I denied you, turning from true beauty...
音楽の天使!私は本当の美しさから顔を背けあなたを否定した…
Angel of Music! My protector... Come to me, strange Angel...
音楽の天使!私の保護者…  不思議な天使、私のところに来て…

(ここから怪人がクリスティーンを誘うように手招きを始める。クリスティーンは夢遊病のような状態になり怪人の方へと歩みを進める。)

PHANTOM:(怪人)
I am your Angel of Music... Come to me: Angel of Music...
私はお前の音楽の天使だ…  音楽の天使、私のところへ来るのだ…

RAOUL:(ラウル、遮るように・・・) Angel of darkness! Cease this torment!       暗闇の天使!彼女に苦痛を与えるな!

(容赦なく怪人はクリスティーンを手招きし続ける。)

PHANTOM:(怪人)
I am your Angel of Music... Come to me: Angel of Music...
私はお前の音楽の天使だ…   音楽の天使、私のところに来なさい…

RAOUL:(ラウル、クリスティーンを正気に戻そうと・・・)
Christine! Christine, listen to me! Whatever you may believe, this man... this thing... is not your father!
クリスティーン、クリスティーン、聞いてくれ!信じるものが何であっても、この男は…  こいつは…  君の父親じゃない!
(そして怪人に向かって)Let her go! For God's sake, let her go! Christine!
彼女を離せ! 何としても彼女を離せ!クリスティーン!

(クリスティーン、夢遊状態から抜け出ると振り返って声を出す。)

CHRISTINE:(クリスティーン) Raoul... ラウル!

(彼女はラウルのところへ駆け寄り、二人は抱き合う。怪人は一瞬動作を止めるが二人に向かって火の玉を投げつける。)
※通常の劇場公演では怪人は先端にドクロがついた杖を持っており、そのドクロの口から火の玉が発射される。

PHANTOM:(怪人)
Bravo, Monsieur! Such spirited words!       ブラボー!元気のいい言葉だ!

RAOUL:(ラウル) More tricks, Monsieur?       他に小細工は?

PHANTOM:(怪人) Let's see, Monsieur, how far you dare go!
お前たちがどこまで逃げようとするか見てみよう!

RAOUL:(ラウル) More deception! More violence!       更にまやかしや暴力をふるうのか!

PHANTOM:(怪人)
That's right, that's right, Monsieur - keep walking this way!       その通り!そちらへ歩き続けて見ろ!

RAOUL:(ラウル)
You can't win her love by making her your prisoner.       彼女を囚人にすることで彼女の愛を得ることはできない。

PHANTOM:(怪人)
I'm here, I'm here, Monsieur: the angel of death! Come on, come on, Monsieur. Don't stop, don't stop!
私はここだ、ここにいる!死の天使だ!ほら、ほら、立ち止まるな!

(炸裂する火の玉を避けながらラウルとクリスティーンは何とかその場を逃れる。それを見た怪人は・・・)

PHANTOM: So be it! Now let it be war upon you both!       それでいい!では、お前たち二人が戦いの相手だ!

(こう言って怪人は同時に複数の火の玉を舞台前方で炸裂させ、姿を消す。舞台が暗くなって第5場の終了。)


「オペラ座の怪人」第2幕 第4場

2021-09-21 | 趣味

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(照明が落とされる中で支配人の事務室のセットが片付けられる。ピアノや椅子が運び込まれ、第4場、リハーサル室の場面に代わる。音楽監督レイエの指揮・指示により怪人が作ったオペラ「ドン・ファンの勝利」の歌唱リハーサルが行われている。)
※もちろん「ドン・ファンの勝利」というオペラは実在しない。ロイド・ウェバーがこのミュージカルの中で使用するために仮想オペラの一部として数曲創作したものである。第1幕の架空のオペラ「ハンニバル」や「イル・ムート」にはそれぞれベルディー、モーツアルト風の趣が感じられたが、「ドン・ファン・・・」は現代音楽風でロイド・ウェバーの優れた創作能力が現れているとされる。
ドン・ファンは17世紀スペインの伝説上の人物で、好色放蕩な美男として多くの文学作品に描写されていて、プレイボーイ、女たらしの代名詞でもある(ウィキペディア)。このミュージカルの中では、怪人がオペラの上演途中にドン・ファン役のピアンジに入れ替わり、アニータ役を演じるクリスティーンを誘拐しようとわざわざそのオペラを書いたことになっている。

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CHORUS:(コーラス)
Hide your sword now, wounded knight!       傷ついた騎士よ、さぁ剣を隠せ!
Your vainglorious gasconade brought you to your final fight -
あらゆる自尊心が最後の戦いへと導いたのだ
for your pride, high price you've paid!      自尊心のために大きな対価を払ったのだ!
※ドン・ファンは女性を争って決闘まがいのことをしたのだろう。そしてこの歌詞は彼が勝利し自尊心が満たされたことを表している。この「ドン・ファンの勝利」では性的な、あるいはそれに関する暗喩が歌詞の中に出て来る。

CHRISTINE:(クリスティーン)
Silken couch and hay-filled barn - both have been his battlefield.
つやつやのカウチと干し草の納屋、それらはずっと彼の戦場
※この歌詞はドン・ファンがあらゆる場所で女性遍歴を重ねてきたことを暗示している。

PIANGI:(ピアンジ、音程を外してしまう)
Those who tangle with Don Juan...      ドン・ファンともつれ合う者は…

REYER:(レイエ)
No, no, no!  Chorus - rest, please.       違う、違う!コーラスは休んでいてください。
Don Juan, Signor Piangi - this is the phrase.
ドン・ファン、ピアンジさん!こういう具合にするのです。
'Those who tangle with Don Juan...'  If you please?
「ドン・ファンともつれ合う者は…」という具合にです。

PIANGI:(ピアンジ、なおも音程を外す)
Those who tangle with Don Juan...       ドン・ファンともつれ合う者は…

(ピアンジが音を外すのをコーラスの一人が笑う。レイエはそれを制して・・・)

REYER:(レイエ)
Nearly - but no.  'Those who tang, tang, tang...'       近いけど、まだ。「もつれ、もつれ、もつれ…」

PIANGI:(ピアンジ、まだ外れている)
Those who tangle with Don Juan...       ドン・ファンともつれ合う者は…
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CARLOTTA: (カルロッタ)
His way is better. At least he makes it sound like music!
彼のやり方の方がいいわ。少なくとも音楽らしく聞こえるもの。

GIRY:(マダム・ジリー)
Signora - would you speak that way in the presence of the composer?
作曲者がいる場でそんな風に言える?

CARLOTTA:(カルロッタ、ゆっくり立ち上がり・・・)
The composer is not here. And if he were here, I would...
作曲者はここにいないわ。もし彼がここにいたとしても…

GIRY:(マダム・ジリー)Can you be certain of that, Signora...?      はっきりそう言えるわけね…?

(カルロッタ、何も言い返せずに椅子に座る。レイエ、場をとりなすように・・・)

REYER:(レイエ)
Once again, if you please, Signor Piangi.      After seven...  Five, six, seven...
もう一度、ピアンジさん!7番から…イチ、ニ、サン…

PIANGI:(ピアンジ、再び音程を外す・・・)
Those who have been tangling with Don Juan.      ドン・ファンともつれ合っている者は…
※関係代名詞 who 以下が今までは現在形だったのに対しここでは現在完了進行形が使われている。現在形は現在の習慣的な動作・状態を表すのに対して現在完了進行形は過去から続く動作が現在も進行中であることを表す表現である。「もつれ合う」と「もつれ合っている」では後者の方が生々しく感じられる。もちろんピアンジは音程を取るのに夢中で現在完了進行形のニュアンスを意識していたわけではないだろう。

CARLOTTA:(カルロッタ、かんしゃくを起こして・・・)
Ah, più non posso!  What does it matter what notes we sing?
あぁ、もうできない!どんな音程で歌うか何か問題なの?
No-one will know if it is right, or if it is wrong.
誰も正しい音程かどうかなんて分からないわ。
No-one will care...       Those who tangle with Don Juan!
誰も気になんかしない… ドン・ファンともつれ合う者!

(ここで突然誰も弾いていないピアノが鳴り出す。皆、静まり返りピアノを聞く。そのうちピアノの演奏に合わせてコーラスが全員操り人形のように正確な音程で歌い出す。クリスティーンだけがそっと皆から離れる。)

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ALL EXCEPT CHRISTINE:(クリスティーン以外全員)
Poor young maiden!  For the thrill on your tongue of stolen sweets
かわいそうな乙女!盗んだお菓子を舌で味わうスリルと引き換えに
You will have to pay the bill - tangled in the winding sheets!
シーツに絡められてつけを払わねばならない
※ドン・ファンは言葉巧みに女性を誘惑し、酒食を堪能させ自分のものにするということを繰り返してきており、怪人のオペラの中でもそのようなシーンが出現する。このコーラスはそういった場面の予告として歌われている。
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※舞台が暗くなり、次の背景が現れるまで若干の間があるので公演上では第4場はここで終了と解釈できる。しかし文字による台本では、その場を離れたクリスティーンが次の歌(第5場で扱う)を歌い終わったところで第4場の終了となっている。

In sleep he sang to me, in dreams he came...
That voice which calls to me and speaks my name...

Little Lotte thought of everything and nothing...
Her father promised her that he would send her the Angel of Music...
Her father promised her... Her father promised her...


「オペラ座の怪人」第2幕 第3場 -2

2021-09-18 | 趣味

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(マダム・ジリーが怪人からの手紙を読み終えると、クリスティーンはオペラ「ドン・ファンの勝利」で怪人に指定された役をしないと言い出す。するとラウルが突然思いついた新しい考えを皆に明かす。)

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RAOUL:(ラウル)
We have all been blind - and yet the answer is staring us in the face...
今まで気づかなかったが、答ははっきりしている。

This could be the chance to ensnare our clever friend...
あのずる賢い奴をおびき寄せるチャンスになる。

ANDRÉ:(アンドレ)            We're listening...       それって…

FIRMIN:(フィルマン)            Go on...       続けて…

RAOUL:(ラウル)
We shall play his game - perform his work - but remember we hold the ace... 
彼のゲームに乗る、すなわち彼の作品を演じるが、我々には切り札がある…
For, if Miss Daaé sings, he is certain to attend...
というのは、もしクリスティーンが歌うとなれば彼は必ず現れる…

ANDRÉ:(アンドレ)      We make certain the doors are barred...       我々はドアを閉じる…

FIRMIN:(フィルマン)       We make certain our men are there...       警備の者を配置する…

RAOUL:(ラウル)            We make certain they're armed...       彼らに武装させる…

RAOUL/ANDRÉ/FIRMIN:(ラウル、アンドレ、フィルマン)
The curtain falls - his reign will end!       カーテンが下りると彼は終わりだ!

(全員がラウルたちの話を聞いていた中で、マダム・ジリーが最初に声を上げる。)

GIRY:(マダム・ジリー)        Madness!       狂ってるわ!

ANDRÉ:(アンドレ)            I'm not so sure...       そんなでも…

FIRMIN:(フィルマン)            Not if it works...       うまく行けば…

GIRY:(マダム・ジリー)                 This is madness!       気違い沙汰だわ!

ANDRÉ:(アンドレ)            The tide will turn.       流れが変わるんだ。

GIRY:(マダム・ジリー)
Monsieur, believe me - there is no way of turning the tides
信じなさい。流れを変える方法はありません。

FIRMIN:(フィルマン)      You stick to ballet!       バレーのことだけを考えろ!

RAOUL:(ラウル)            Then help us!       では、我々を助けるとでも?

GIRY:(マダム・ジリー)                 Monsieur, I can't...       できません…

RAOUL:(ラウル)            Instead of warning us...       忠告する代わりに…

RAOUL/ANDRÉ/FIRMIN:(ラウル、アンドレ、フィルマン)      Help us!       我々を助けるのだ!

GIRY:(マダム・ジリー)                 I wish I could...       そうできればいいのですが…

RAOUL/ANDRÉ/FIRMIN:(ラウル、アンドレ、フィルマン)
Don't make excuses!       言い訳するな!

RAOUL:(ラウル)            Or could it be that you're on his side?       それとも彼の味方なのか?

CARLOTTA:(カルロッタ)    She’s his accomplice.       彼女は怪人と共犯だわ。

GIRY:(マダム・ジリー、ラウルに)
Monsieur, believe me, I intend no ill...       子爵様、信じてください。企みはありません。
(そしてアンドレとフィルマンに向かって)
But messieurs, be careful - we have seen him kill...
気を付けなさい — 私たちは彼が人を殺すのを見てきた…

(この辺りから皆が無秩序に勝手なことを言いだし、事務所内が騒がしくなる。)

ANDRÉ/FIRMIN:(アンドレとフィルマン)
We say he'll fall, and fall he will!       我々は彼は破滅するって言ったが、その通りになるんだ!

CARLOTTA:(カルロッタ)
She's been behind this!  Christine!  This is her doing!
裏にいるのは彼女よ!クリスティーン・ダーエ!彼女の仕業だわ。

PIANGI:(ピアンジ)
This is the truth!  Christine Daaé!       これが真実だ。クリスティーン・ダーエだ!

ANDRÉ/FIRMIN:(アンドレとフィルマン、ラウルに)
If you succeed, you free us all - this so-called 'angel' has to fall!
うまく行けば、あなたは私達全員を救うことになります。いわゆる「天使」は破滅するのです。

RAOUL:(ラウル)
Angel of Music, fear my fury - Here is where you fall!
「音楽の天使」とやら、私の怒りを恐れるがいい。ここがお前の破滅の場所だ!

GIRY:(マダム・ジリー、ラウルに)
Hear my warning!  Fear his fury!       私の忠告を聞いてください。彼の怒りを恐れなさい!

CARLOTTA:(カルロッタ)
What glory can she hope to gain?  It's clear to all the girl's insane!
どんな名誉を得たいと思うのかしら? 若い女なら皆熱心に追い求めるのは確かだわ。

ANDRÉ:(アンドレ、フィルマンに)
If Christine sings, we'll get our man...      もしクリスティーンが歌うなら、あの男を捕えることができる。

PIANGI:(ピアンジ)            She is crazy!  She is raving!       彼女は狂っている!

FIRMIN:(フィルマン、アンドレに)
If Christine helps us in this plan...      もしクリスティーンがこの案に乗って助けてくれるなら…

RAOUL:(ラウル)
Say your prayers, black angel of deaths.       お祈りでもしていろ。死の黒い天使め。

CHRISTIN:(クリスティーン、弱々しく)           Please don't...       やめて

(クリスティーンの声は騒がしさのために殆ど聞こえない。)

ANDRÉ:(アンドレ、フィルマンに)
If Christine won't, then no-one can...      もしクリスティーンがしないなら、誰もできない…

GIRY:(マダム・ジリー)
Monsieur, I beg you, do not do this...      子爵様、どうかそんなことしないで…

ANDRÉ/FIRMIN:(アンドレとフィルマン)
This will seal his fate!       この計画で彼の運命を閉じ込めるのだ!

CHRISTINE:(クリスティーン、持っているスコアを床に投げつけて・・・)
If you don't stop, I'll go mad!!!       あなた方がやめてくれないと私は狂ってしまう!
(そしてラウルに懇願する。)
Raoul, I'm frightened - don't make me do this...
ラウル、私怖いの。私にそれをさせないで…

(ラウル、駆け寄ってクリスティーンの両肩を掴む。)

CHRISTINE:(クリスティーン)
Raoul, it scares me - don't put me through this ordeal by fire...
ラウル、恐ろしいの。私を火に放り込まないで…
He'll take me, I know...  we'll be parted forever...
彼は私を連れ去るわ。私たちは永遠に離されてしまう…
He won't let me go...
彼は私を逃がさない…

(アンドレとフィルマン、二人の後ろで机から椅子をクリスティーンが座れるように彼女の後ろまであたふたと引いてくる。クリスティーンはラウルに両手で促され椅子に座る。)

CHRISTINE:(クリスティーン)
What I once used to dream I now dread... if he finds me, it won't ever end... 
かつて夢見たものが今は恐ろしい…彼が私を見つけたらもう終わることがない…
and he'll always be there, singing songs in my head...
そして彼はいつもそこにいて私の頭の中で歌う…
he'll always be there, singing songs in my head...
いつもそこにいて私の頭の中で歌う…

CARLOTTA:(カルロッタ)    She's mad...      彼女、狂ってる…

RAOUL :(ラウル、クリスティーンを宥めるように・・・)
You said yourself he was nothing but a man...
君は自分で彼はただの男だと言っていたよね…
Yet while he lives, he will haunt us till we're dead...
でも彼が生きている間、彼は僕たちが死ぬまで付きまとう。

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"TWISTED EVERY WAY"

CHRISTINE:(クリスティーン)
Twisted every way, what answer can I give!
あらゆることを言われ、私はどんな答えを出せばいいの?
Am I to risk my life, to win the chance to live?
生きるチャンスを得るために自分の命を危険にさらすの?
Can I betray the man, who once inspired my voice!
かつて私の声に命を吹き込んだ人を裏切ることができるの?
Do I become his prey? Do I have any choice?
彼の生け贄になるの? 他にできることはないの?
He kills without a thought; he murders all that's good...
彼は考えることなく殺すの。良いもの全てをね。
I know I can't refuse, and yet, I wish I could...
逆らえないと知ってるけど、それでも拒むことができれば…
Oh God – if I agree, what horrors wait for me in this, the Phantom's opera...?
神様、私が計画に同意したらこの怪人のオペラ座でどんな恐ろしいことが待っているの?

RAOUL:(ラウル)
Christine, Christine, don't think that I don't care - but every hope and every prayer rests on you now...
クリスティーン、クリスティーン、僕が気に掛けないと思わないで。今全ての希望と祈りが君にかかっている…
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(アンドレやフィルマン等、クリスティーンの周りにいる男たち、ピアンジまでもが二人に近づいて懇願の動作をする。やや遅れてカルロッタとマダム・ジリーも続く。クリスティーンは怪人に対する矛盾した感情に打ち勝つことができず椅子から立ち上がり・・・)

CHRISTINE:(クリスティーン)    I can’t. できない!(と言ってその場を走り去る。)

(ラウルは舞台中央前方に歩み出て、怪人が会場内にいるかのように叫ぶ。)

RAOUL:(ラウル)
So, it is to be war between us!  But this time, clever friend, the disaster will be yours!
こうなったら、我々との闘いだ。今度はお前が災いを食らう番だ。

(照明が落とされる中で、机等が片付けられ、代わりに「ドン・ファンの勝利」の歌唱練習をする場面で使われるピアノや椅子が運び込まれ、第4場の準備が整う。)


「オペラ座の怪人」第2幕 第3場 -1

2021-09-10 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

(舞台に支配人の事務室が設置され中央に机が置かれている。上手側の階段下方でアンドレは怪人が残した「ドン・ファンの勝利」のスコアを持っている。照明が当たると第3場が始まり、階段上方から2通の手紙を持ったフィルマンがアンドレの後を追うように下りてくる。)

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ANDRÉ:(アンドレ)Ludicrous!  Have you seen the score?
                                  ばかげている! そのスコアを見たか?

FIRMIN:(フィルマン)Simply ludicrous!       全くばかげている!

ANDRÉ:(アンドレ)It's the final straw!       最後通告だ!

FIRMIN:(フィルマン)This is lunacy!  Well, you know my views...
                                       これは気違いだ!そう、君も分かるだろ… (そう、君は私の考えを知っている。)

ANDRÉ:(アンドレ)Utter lunacy!       全くの気違いだ! 

FIRMIN:(フィルマン)But we daren't refuse...       でも、拒否できない…

ANDRÉ:(アンドレ)Not another chandelier...       別なシャンデリアも(用意でき)ない…

FIRMIN:(フィルマン)Look, my friend, what we have here...       ここにあるもの(手紙)を見たまえ…

(フィルマン、怪人から届いた2通のうち1通の手紙をアンドレに渡す。)

ANDRE:(アンドレ、手紙を読みだす)
'Dear Andre, Re my orchestrations: We need another first bassoon.
「親愛なるアンドレへ    オーケストラの編成について:第1バスーンが別に必要だ。
Every note’s overblown - and that third trombone has to go!
音が大きすぎる。そして第3トロンボーンは辞めてもらえ。
The man could not be deafer, so please preferably one who plays in tune!'
つんぼじゃだめだ。音程通りに演奏できる者がいい。」

(事務室内ではカルロッタとピアンジが観客に背を向けて新聞を読んでいる。)

FIRMIN:(フィルマン)
'Dear Firmin, vis a vis my opera: some chorus-members must be sacked. 
「親愛なるフィルマン    私のオペラについて:コーラスの何人かはクビにしろ。
If you could, find out which has a sense of pitch - wisely, though, I've managed to assign a rather minor role to those who cannot act!'
賢く声のピッチに敏感な者を選ぶことにして、演技できない者にはかなりの端役を割り当ててやった。」
※ クリスティーンを主役に、カルロッタを端役にするということを言っている。

CARLOTTA:(カルロッタ) No!  Outrage!       全く!腹立たしい!

FIRMIN:(フィルマン) What is it now!       今度は何ですか!

CARLOTTA:(カルロッタ) This whole affair is an outrage!       全部腹立たしいわ!

FIRMIN:(フィルマン)   Signora, please...       どうか…

ANDRÉ:(アンドレ)   Now what's the matter?       今度は何が問題なのですか?

CARLOTTA:(カルロッタ)   Have you seen the size of my part?       私は端役なの?(私の出番が少ないわ。)

ANDRÉ:(アンドレ)   Signora, listen...       どうか聞いてください…

PIANGI:(ピアンジ)   It's an insult!       侮辱している!

FIRMIN:(フィルマン)    Not you as well!       あなただけじゃありません。

PIANGI:(ピアンジ)   Just look at this - it's an insult!       これを見ろ ー 侮辱してるじゃないか!

FIRMIN:(フィルマン)   Please, understand...       どうか理解してください。

ANDRÉ:(アンドレ)   Signor! Signora!       お願いです!

CARLOTTA:(カルロッタ)   The things I have to do for my art!       私の芸術のためにすべきこと!

PIANGI:(ピアンジ、スコアを手にして)
If you can call this gibberish 'art'!       このわけのわからないものを「芸術」と呼ぶのか!

(ラウルとクリスティーンが入って来る。カルロッタは怒りを込めて・・・)

CARLOTTA:(カルロッタ)   Ah! Here's our little flower!       あら!カワイ子ちゃん!

FIRMIN:(フィルマン)   Ah, Miss Daaé, quite the lady of the hour!       あぁ、ダーエさん。まさしく時の人!

ANDRÉ:(アンドレ)   You have secured the largest role in this 'Don Juan'.
                                     あなたはこの「ドン・ファン」で大役を担当することになりました。

CARLOTTA:(カルロッタ)
Christine Daaé?  She doesn't have the voice!      クリスティーン・ダーエ? 彼女はそれに見合う声が出せないわ。

FIRMIN:(フィルマン)            Signora, please.       お願いです。

RAOUL:(ラウル)            Then I take it you're agreeing.       では、(クリスティーンが主役になることに)同意するということだね。

CARLOTTA:(カルロッタ)    She'd be behind this...       彼女が黒幕よ。

ANDRÉ:(アンドレ)            It appears we have no choice.      我々には選択肢がないみたいです。

CARLOTTA:(カルロッタ、自分を抑えきれずに・・・)
She's the one behind this!  Christine Daaé!       裏にいるのはこいつだわ!クリスティーン・ダーエよ!

CHRISTINE:(クリスティーン、激怒して・・・)   How dare you!       よくもそんなことを!

CARLOTTA:(カルロッタ)   I'm not a fool!       私はバカじゃないわ!

CHRISTINE:(クリスティーン)   You evil woman!  How dare you!       性悪女!よくも!

CARLOTTA:(カルロッタ)   You think I'm blind!       世の中に疎いと思っているんでしょ!

CHRISTINE:(クリスティーン)
This isn't my fault!  I don't want any part in this plot!       私のせいじゃない!どんな役もいらないわ!

FIRMIN:(フィルマン)   Miss Daaé, surely…       ダーエさん、確かに…(あなたに役が割り当てられているのです。)

ANDRÉ:(アンドレ)   But why not!       でも、どうしてだめなのですか?

PIANGI:(ピアンジ、困惑してカルロッタに)   What does she say!       彼女は何と?

FIRMIN:(フィルマン)
It's your decision - But why not?
あなたが決めることですが… でも、どうしてだめなのですか?

CARLOTTA:(カルロッタ、ピアンジに)   She's backing out!       彼女は降りるわ。

ANDRE:(アンドレ)   You have a duty!       君は義務を負っている。

CHRISTINE:(クリスティーン)    I cannot sing it, duty or not!       義務であろうとなかろうと私は歌えない。

RAOUL:(ラウル、なだめるように・・・)
Christine...  Christine... You don't have to... they can't make you...
クリスティーン…クリスティーン… その必要はない… 彼らは君に強制できない…
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(メグとマダム・ジリーが現れる。マダム・ジリーは怪人からの手紙を手にしている。)

GIRY:(マダム・ジリー)   Please, Monsieur: another note.       支配人、別な手紙が来ています。

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GIRY:(マダムジリー、手紙を読み始める)
'Fondest greetings to you all!  A few instructions, just before rehearsal starts: Carlotta must be taught to act...'
「皆さんへ最愛のご挨拶 リハーサル前のちょっとした指示だ:カルロッタは演技を教わらねばならない…」

PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
...not her normal trick of strutting round the stage. …舞台の上を気取って歩くいつもの演技ではだめだ。
Our Don Juan must lose some weight - it's not healthy in a man of Piangi's age.
ドン・ファンは体重を落とさなければならない。ピアンジと同じ年の男にしては不健康だ。
And my managers must learn that their place is in an office, not the arts. 
支配人たちは自分の居場所が事務所であって芸術に関係ないということを分からねばならない。
As for Miss Christine Daaé...  No doubt she'll do her best - it's true her voice is good.
クリスティーン・ダーエについてだが…彼女がベストを尽くすことは疑いがない。本当に彼女の声は素晴らしい。
She knows, though, should she wish to excel, she has much still to learn, if pride will let her return to me, her teacher, her teacher... 
しかし、彼女も知ってのとおり、もし、もっと良いものにしたいなら、もし私のところへ、教師のところへ戻るなら、まだ学ぶべきものがある。
Your obedient friend... 
君たちの忠実な友人…
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GIRY:(マダム・ジリー)    '...and Angel...'        …そして天使より…」

CHRISTINE:(クリスティーン)    I can’t.  I won’t do it.      できないわ。そんなことしない。

(第3場後半へ続く。)