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務のよしなしごと

ハンプトン・コート宮殿の人々(完成時期未定)
「オペラ座の怪人」勝手に解説
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「オペラ座の怪人」第2幕 第9場 -2(ミュージカル最後の場面)

2021-10-05 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

(クリスティーン、ラウルを救うために今後怪人と共に過ごすのか、それとも怪人の申し出を断るのかの選択を迫られ、少し間を置くが、初めは静かに、そして徐々に感情を込めて言葉を発する。)

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CHRISTINE:(クリスティーン)
Pitiful creature of darkness...            暗闇のかわいそうな生き物...
What kind of life have you known...?       どんな生き方をしてきたの?
God give me courage to show you - you are not alone...
神はあなたに教える勇気をくれた —— あなたは孤独ではないと...
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(クリスティーンはゆっくりと立ち上がり、怪人に近づき、長いキスをする。怪人は悲しみと戸惑いの表情を浮かべる。ラウルは恐怖と驚きの表情を浮かべる。二人は抱き合った後再びキスをし、ラウルは目を閉じて苦悶の表情を浮かべる。
やや長い抱擁の後、怪人はクリスティーンから身を離す。舞台裏から人々の行進を模したスネヤドラムや声が聞こえる中、怪人は悲しげな顔をしてゆっくりとオルガンへと行き、そこの蝋燭に1本火をつける。クリスティーンはその場で怪人の行動を黙って見ている。怪人はラウルに近づき、一瞬クリスティーンの方を見た後、天井から伸びてラウルの首を吊っている縄の上部、ラウルの頭の上の部分に蝋燭の火を当てる。すると縄が切れてラウルが崩れ落ち、怪人は彼の首から縄を外す。)

MOB:(人々の声)
Track down this murderer - he must be found!       殺人鬼を追え!   必ず見つけるんだ!

PHANTOM:(怪人)
Take her - forget me - forget all of this...
彼女を連れて行け —— 私を忘れろ —— このことは全て忘れろ...

(と言ってラウルをクリスティーンのところに突き出すように行かせる。二人は抱き合う。)

MOB:(人々の声)
Who is this monster?!  He must be found.        化け物は誰だ?  必ず見つけるんだ。

PHANTOM:(怪人)
Leave me alone - forget all you've seen...        私を一人にしろ —— 見たもの全てを忘れろ...
Go now - don't let them find you!         さぁ、行け —— 彼らには見つかるな!

(クリスティーン、怪人に対峙しようとするラウルの手を引き、二人は下手側階段から出て行く。)

MOB:(人々の声)
Revenge for Buquet!      Revenge for Piangi       ブケの仕返しだ!    ピアンジの仕返しだ!

PHANTOM:(怪人)
Take the boat – swear to me never to tell       ボートを使え —— 誰にも言わないと誓え!

MOB:(人々の声)
This is the man now that we know          これが我々の知っている男だ

PHANTOM:(怪人)
... of the secret you know ...            ...知り得た秘密を...(誰にも言わないと誓え)

MOB:(人々の声)
The Phantom of the Opera is here        オペラ座の怪人はここにいる

PHANTOM:(怪人、絶叫する。)
... of this Angel of Hell!  Go!  Go now, and leave me!
...この地獄の天使のことを!(誰にも言わないと誓え)行け!さぁ、私を放って行け!

(怪人は下手側階段下で崩れ落ちる。するとオルゴールが「マスカレード」を奏で始める。怪人は呟くように声を出し、オルゴールに触れる。)

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PHANTOM:(怪人)
Masquerade...      Paper faces on parade...         マスカレード...     紙の仮面のパレード...
Masquerade...      Hide your face, so the world will never find you...
マスカレード...      顔を隠して、そうすると世間からは分からない...

(怪人がふと横を見ると、そこにはクリスティーンがいつの間にか戻っていた。怪人が立ち上がり、彼女へ近づくと、彼女は指輪を外し、悲し気な表情で怪人に差し出す。)

PHANTOM:(怪人)
Christine, I love you...          クリスティーン、愛してる...
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(と言って怪人は指輪を受け取る。クリスティーンは泣きそうになりながら俯く。そして怪人の手にキスをし、彼の顔を見ず階段を上り始める。怪人は悲し気な顔でクリスティーンを見送る。するとクリスティーンは途中で怪人を振り返る。二人は互いに泣きそうな顔をして見合った後、再びクリスティーンが階段を上り始める。怪人は後ろに向き直り、崩れるように膝をつく。)

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CHRISTNE:(クリスティーン)
Say you'll share with me, one love, one lifetime...
私と一つの愛、一つの人生を共にすると言って...

(下手側階段の上部にはラウルがクリスティーンを待っていて彼女に手を差し延べている。そして二人で階段を上って行く。)

RAOUL:(ラウル)
Say the word and I will follow you...
その言葉を言って      そうしたら僕は君について行く...

CHRISTNE:(クリスティーン)
Share each day with me, each night, each morning...
私と毎日、毎晩、毎朝共にして...

PHANTOM:(怪人、膝をついたまま両手でベールを持ち上げ・・・)
You alone can make my song take flight - it's over now, the music of the night...
お前だけが私の歌を羽ばたかせることができる —— 今や夜の音楽は終わりだ…
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(怪人はベールを床に置き、オルガンの傍の椅子に座る。そして黒い大きな布で全身を頭から覆う。メグが下手側階段下、燭台の間から現れ、辺りを見回すと黒い布が掛けられた椅子を見つける。その布を取ると椅子には怪人が使っていた仮面が残されている。彼女はそれを手に取り辺りをゆっくりと見回す。会場から拍手が起こり、舞台が暗くなって第2幕及びミュージカルの終了。)

最終場面の動画


「オペラ座の怪人」第2幕 第9場 -1

2021-10-05 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

(地下にある怪人の隠れ家。下手側階段から白いドレスを着たクリスティーンが走りながら下りて来る。その後を追って仮面を付けていない怪人が白く薄い大きいな布を持って下りて来る。舞台中央付近まで来て、クリスティーンが着ているのはウェディングドレス、怪人が手に持っているのはベールであることが分かる。)

※第9場は第1幕第4場と同じセットを使っているが、二人はボートで登場しない。第8場で使ったアニータ役の衣装も短時間のうちに白いドレスに替わっている。通常の劇場公演でも、ボートで隠れ家に来る場面、そして着いてからドレスに着替える(怪人に着替えさせられる)場面も観客の推測に任されている。また通常の劇場公演では部屋に置いてある等身大の花嫁人形も第1幕同様に置かれていない。)

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CHRISTINE:(クリスティーン)
Have you gorged yourself at last, in your lust for blood?
ついに血を求めて欲望を露わにしてきたのね
Am I now to be prey to your lust for flesh?
私は今やあなたの肉欲の餌食ね

PHANTOM:(怪人)
That fate, which condemns me to wallow in blood has also denied me the joys of the flesh
血を求めるその運命が同時に肉体の喜びを否定してきたのだ

(クリスティーン、聞きたくないかのように怪人から顔を背ける。怪人はベールを両手で持ってゆっくりとクリスティーンに近づく。)

- this face - the infection which poisons our love...
この顔は我々の愛を毒する病なのだ...

(クリスティーン、さまざまな思いに悩む表情。)

This face, which earned a mother's fear and loathing... この顔、母に恐怖と嫌悪をもたらし...
A mask, my first ... 仮面、初めて身に着けた不快な衣服...

(クリスティーンは悲しさと哀れみの入り混じった顔でゆっくりと怪人の方に顔を向ける。怪人は激情を止めることができないかのように大きな声で言う。クリスティーンは何かを考えるような表情になる。)

Pity comes too late - turn around and face your fate: an eternity of this before your eyes!
哀れみは遅すぎる。こっちを向いて目の前にある永遠の運命と向き合え!

(怪人はベールを黙って立っているクリスティーンの後ろから頭に被せるが、彼女は抵抗することもなく別なことを考えている様子。彼女が目を閉じて両手をベールに持って行くと、怪人は彼女の左腕を取り自分に向かせる。クリスティーンは冷静な表情で彼の顔を見る。)

CHRISTINE:(クリスティーン)
This haunted face holds no horror for me now...
この幽霊のような顔はもう私には恐ろしくはない...
It's in your soul that the true distortion lies...
本当に歪んでいるのはあなたの魂だわ...
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(ここで怪人は突然ラウルが来たことに気づく。ラウルは下手側階段の途中まで下りて来る。)

※通常の劇場公演では、地底湖を泳いで渡り、舞台中央奥(の岸)から上がって来るような設定で登場する。また、部屋と湖の境には格子の柵が下りて来るように舞台道具が設置されている。

PHANTOM:(怪人)
Wait! I think, my dear, we have a guest!         待て、お客が来たようだ!

(ラウルに向かって・・・)

Sir, this is indeed an unparalleled delight! I had rather hoped that you would come. 
この上ない喜びだ!私はあなたが来るだろうと期待していた。
And now my wish comes true - you have truly made my night!
今私の願いが叶ったのだ。おかげで本当に楽しい夜になった。
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(ラウルが駆け寄ろうとすると怪人はクリスティーンの首を掴む。ラウル、階段を下りたところで動作を止める。)

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RAOUL:(ラウル)
Free her!  Do what you like, only free her!      Have you no pity?
彼女を離せ!  他はともかく彼女を離せ!  憐れむ心はないのか?

PHANTOM:(怪人、クリスティーンに・・・)
Your lover makes a passionate plea!          お前の恋人は情熱的な嘆願をしているな!

CHRISTINE:(クリスティーン)
Please, Raoul, it's useless...        ラウル、やめて、無駄よ...

RAOUL:(ラウル)
I love her!  Does that mean nothing?        彼女を愛している!    意味のないことなのか?
I love her!  Show some compassion...        彼女を愛しているんだ!    憐れみを示せ...

PHANTOM:(怪人)
The world showed no compassion to me!          世間は私を憐れんではくれなかった!

RAOUL:(ラウル)      Christine... Christine...          クリスティーン... クリスティーン...

(怪人に向かって)

Let me see her...         彼女に会わせろ...
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PHANTOM:(怪人)
Be my guest!        勝手にしろ!

(と言って怪人はクリスティーンの首から手を離す。ラウルは彼女に駆け寄る。怪人は二人を見ながら・・・)

PHANTOM:(怪人)
Monsieur, I bid you welcome!       お前を歓迎だ!
Did you think that I would harm her!        私が彼女に危害を与えると思ったのか!
Why should I make her pay for the sins which are yours?
お前が犯した罪のため、なぜ私が彼女につけを払わせるべきなのか?

(と言って怪人はラウルの背後から彼の首に縄をかける。そしてラウルを上手側階段を数段上がったところまで引き上げる。ラウルは首を縛られ、天井から吊るされるが、足が階段を踏んでいる状態なのですぐに死ぬようなことにはなっていない。)

PHANTOM:(怪人、ラウルの耳元であざけるように・・・)
Order your fine horses now!         さぁ、良い馬を準備しろ!
Raise up your hand to the level of your eyes!        手を目の高さまで上げろ!
Nothing can save you now - except perhaps Christine...
今や、多分クリスティーン以外はお前の命を救うものはない...

(怪人はクリスティーンに駆け寄り選択を迫る。)

Start a new life with me - Buy his freedom with your love!
私と新しい命を始めるのだ —— お前の愛で彼の自由を買え!

(怪人はクリスティーンを引き寄せ・・・)

Refuse me, and you send your lover to his death!
拒めばお前の恋人を死へ送ることになる!
This is the choice - This is the point of no return!
これが分かれ道 —— ここから先は引き返せない!

(怪人はクリスティーンを床に投げつけるようにし、オルガンへと向かう。クリスティーンはうずくまったまま厳しい顔つきになり大きな声で叫び出す。)

CHRISTINE:(クリスティーン、怪人に向かって叫ぶ。)
The tears I might have shed for your dark fate grow cold, and turn to tears of hate...
あなたの暗い運命を思って流してきた涙は冷たくなり嫌悪の涙に変わってきたわ...
※might have shed 流したかもしれない(過去の推量)← 今まで同情や哀れみ等の情があったかもしれないが、実際にはそんな感情はなかっただろうと暗に言っている。しかし彼女はかつて彼の音楽への理解、彼の悲しみに対する同情や運命への哀れみの感情を持っていた。

(ここから3人がそれぞれ自分の思いを同時に口にする。)

RAOUL:(ラウル)
Christine, forgive me, please forgive me... クリスティーン、僕を赦してほしい
I did it all for you, and all for nothing. 全て君のためにしたことだけど、何にもならなかった

CHRISTINE:(クリスティーン、怪人に向かって・・・)
Farewell, my fallen idol and false friend...       地に落ちた理想像そして偽りの友、さよなら...
We had such hopes and now such hopes are shattered...
私たちには希望があったけど、今やそれは粉々になった...
※such hopes そのような希望  such という語によって、怪人にはクリスティーンを一流のオペラ歌手に育てるという夢、クリスティーンにも一流の歌手になるという共通の夢があったことを示している。その一線を越えた所に怪人のクリスティーンに関する生身の苦悩があり、クリスティーンの生きている人間としての怪人に関する理解や同情、哀れみがあって、軋轢や問題を起こしてきたのである。

PHANTOM:(怪人、クリスティーンに・・・)
Too late for turning back, too late for prayers and useless pity...
引き返すにはもう遅い、祈りや無駄な哀れみももう遅い...

RAOUL: (ラウル、クリスティーンに・・・)
Say you love him, and my life is over!       彼を愛していると言えば僕の命は終わる!

※この時点でクリスティーンの選択肢は2つ。Yes (彼=怪人を愛している)、そして No(愛してはいない)のどちらかを怪人に言うことである。前者であれば、仮に怪人がラウルを解放したとしても、クリスティーンは怪人と一緒にこれからを過ごすことになり、ラウルは絶望し、生きていくことができなくなる。後者であれば、怪人はその場でラウルを殺し、クリスティーンは永遠に囚われの身になる。

PHANTOM:(怪人)
Past all hope of cries for help: no point in fighting –
助けを求める希望の叫びを越え、戦いには意味がなくなる

RAOUL:(ラウル、クリスティーンに・・・)
Either way you choose, he has to win...       どちらを選んでも彼が勝つ…

PHANTOM:(怪人)
For either way you choose, you cannot win!
どちらを選んでもお前は勝つことができない!

(怪人、再びクリスティーンを掴む。)

So, do you end your days with me, or do you send him to his grave?
だから、私と共に命を終えるか、彼を墓場に送るかだ

RAOUL:(ラウル、怪人に・・・)
Why make her lie to you, to save me?        私を救うために彼女に嘘をつかせるのか?

CHRISTINE:(クリスティーン)Angel of Music...        音楽の天使...

(怪人とクリスティーンは言い合いを続け、ラウルが合間に言葉を入れる。)

PHANTOM:(怪人)Past the point of no return -    戻れないポイントを越え

RAOUL:(ラウル)
For pity's sake, Christine, say no!        お願いだ、クリスティーン、「ノー」と言って!

CHRISTINE:(クリスティーン)Who deserve this?        誰がこんなことをしていいの?

PHANTOM:(怪人)...the final threshold...        ...最後の入り口...

RAOUL:(ラウル)
Don't throw your life away for my sake...        僕のために命を投げ出さないで...

CHRISTINE:(クリスティーン)Why this torment?        なぜこんな苦しみを?

PHANTOM:(怪人)
His life is now the prize which you must earn         彼の命はお前が貰う褒美だ

CHRISTINE:(クリスティーン)
Why do you curse mercy?          なぜ慈しみを呪うの?

RAOUL:(ラウル)I fought so hard to free you...        君を自由にするために戦ったが...

PHANTO M:(怪人)
You've passed the point of no return...        お前は戻れないポイントを越えたのだ...

(怪人は膝を落とす。クリスティーンも続いて膝まずく。)

CHRISTINE:(クリスティーン、強い口調で・・・)
Angel of Music...  ...you deceived me.  I gave my mind blindly...
音楽の天使...   ...私をだましたのね。  私は純粋に心を差し出したのに...

PHANTOM:(怪人、クリスティーンに・・・)
Blindly...   You try my patience - make your choice!
純粋に...  お前は私を試したのだ —— どちらか選べ!

(クリスティーン、少しの間沈黙する。)


「オペラ座の怪人」第2幕 第8場

2021-10-03 | 趣味

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(怪人がクリスティーンの手を引き、地下への階段を下っている。クリスティーンが改めて仮面の下の顔を見た瞬間に怪人は大声を出し、彼女の手首を掴みその場から連れ出した。クリスティーンは怪人が行こうとしている場所がどんなところであるかを知っていて、彼の持つ悲しみを理解し、彼への恩を感じてはいても、そこに行くことに恐ろしさを感じている。彼女は抵抗するが、力の差もあり、徐々に下へ下へと揉み合いながら降りていくことになる。)

※第1幕第4場で出現した階段に見立てた同じ通路を怪人とクリスティーンは上手側から下手側の端へ移動する。その移動の間に通路は徐々にオーケストラピットの辺りまで降りて来る。

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“DOWN ONCE MORE / TRACK DOWN THIS MURDERER”

PHANTOM:(怪人)
Down once more to the dungeon  of my black despair !       再び絶望の監獄へと戻るのだ!
Down we plunge  to the prison of my mind!                         心の牢獄へ飛び込むのだ!
Down that path into darkness deep as hell!                          その通路を下り地獄ほど深い暗闇へと!
Why, you ask, was I bound and chained in this cold and dismal  place?
お前は私がなぜこの冷たくうっとうしい場所に縛られ、抜け出せなかったのかと聞く
Not for any mortal  sin, but the wickedness  of my abhorrent  face!
死に値する罪を犯したわけではなく、忌まわしい顔のせいなのだ!

(人々が怪人を追いかける声が聞こえて来る。)

MOB:(人々の声)
Track down  this murderer!      He must be found!      殺人鬼を追え!   必ず見つけるんだ!

PHANTOM:(怪人)
Hound ed out by everyone!      Met with hatred everywhere!
皆に追い出され      どこでも嫌われ!
No kind word from anyone!     No compassion anywhere!
誰からも親切な言葉をもらえず    どこでも同情されず!
Christine, Christine...                    Why, why...?
クリスティーン、クリスティーン...  なぜ、なぜ?
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(ラウルとマダム・ジリーが、二人が通った通路上手側に現れる。)

GIRY:(マダム・ジリー)Your hand at the level of your eyes!        手を目の高さに!

RAOUL:(ラウル)..at the level of your eyes...              ...目の高さに...

MOB:(人々の声)Your hand at the level of your eyes!        手を目の高さに!

GIRY:(マダム・ジリー)
He lives across the lake, Monsieur. This is as far as I dare go.
彼は湖の向こうに住んでいます。私が来れるのはここまでです。

RAOUL:(ラウル)  Madame Giry, thank you.          マダム・ジリー、ありがとう。

(ラウルはマダム・ジリーと別れ下手側へと進む。人々の声が後を追うように響く。)

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MOB:(人々の声)
Track down this murderer - He must be found!       殺人鬼を追え!   必ず見つけるんだ!
Hunt out this animal, who runs to ground!              地下に逃げた獣を捕えろ!
Too long he's preyed on us  - but now we know:       長い間彼は我々を餌食にしてきたが我々はもう知っている
The Phantom of the Opera is there, deep down below...      オペラ座の怪人がこの下深くにいることを
He's here: The Phantom of the Opera...                                 オペラ座の怪人、彼はここだ...
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(人々の声だけが場内に聞こえる間、スモークが焚かれ、燭台やオルガン等が置かれている怪人の部屋、第1幕第4場と同じセットが用意されて、第8場が終了。)


「オペラ座の怪人」第2幕 第7場 -2

2021-10-01 | 趣味

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(アニータ=クリスティーンは何かに気づき咄嗟にドン・ファン=怪人から離れる。しかし、ベンチに座ったままのドン・ファンに離れたところから演技を続ける。直前までの陶酔の演技とは違い何かを確認しようとするかのような表情になる。)

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ANITA:(アニータ)
You have brought me to that moment when words run dry,
あなたは私を言葉が乾く瞬間へと連れて来た
To that moment when speech disappears into silence, silence...
言葉が沈黙の中へと溶け込む瞬間へと
I have come here, hardly knowing the reason why...
私はほとんど理由も知らずここに来た...
In my mind, I've already imagined our bodies entwining,
心の中では私たちの体が絡み合うことを既に想像している
Defenceless and silent - and now l am here with you:
抗うことなく声も出さず —— そして今私はあなたといる

(アニータは徐々にベンチの中央に座るドン・ファンに近づきテーブルの端まで来る。)

No second thoughts, I've decided, decided...
考え直すこともなく、私は決めた...
Past the point of no return - no going back now:
戻れないポイントを越え —— 今や戻ることもなく
Our passion-play has now, at last, begun...
私たちの情熱の舞台が今ついに始まる...

※passion-play には受難劇という訳がある。受難劇とはイエス・キリストが十字架刑で殺され受難を受ける過程に関する劇をいう(ウィキペディア)。クリスティーンにとっては今危ない橋を渡っているのであり、怪人の望むとおり最後まで演技を続けると身の危険にさらされることを自覚しながら逆に怪人を翻弄し優位に立とうと試みているように解釈できる。

Past all thought of right or wrong - one final question:
良し悪しの考えを全て超えて —— 最後の問いかけ

(アニータはドン・ファンの背後に回り、ゆっくりと上がってきた彼の両手を後ろから掴み上の方へ引き上げる。そして彼の両腕を左右交互に伸ばしたり大きく広げたりする。)

How long should we two wait, before we're one...?
我々二人が一つになるまでどれだけ待てばいいのか
When will the blood begin to race, the sleeping bud burst into bloom?
いつ血潮がほとばしり、眠っていたつぼみが一気に花開くのか
When will the flames at last, consume us...?
最後に炎が我々を焼き尽くすのはいつなのか

(フードを被った人物の正体をはっきりと悟ったのか、アニータは突然ドン・ファンから再び離れる。ドン・ファン、アニータの右腕を掴む。逃げようとする者と逃すまいとする者が引き合う。そしてドン・ファン=怪人はアニータの両腕を掴むことに成功し、自分の部屋へ引きずり込もうとする。アニータ=クリスティーンは抵抗する。)

BOTH:(二人)
Past the point of no return, the final threshold –
戻れないポイント、最後の入り口を越え
The bridge is crossed, so stand and watch it burn
橋を渡り、それが焼け落ちるのを見る

(クリスティーン、ようやく振りほどき、フードを被ったままの怪人と向き合う。)

We've passed the point of no return...
戻れないポイントを越えることになる

(クリスティーンがフードを取ると案の定仮面を付けた怪人が現れる。下手側階段上部の暗がりにはラウルがおり、怪人を捕える機会をうかがっているように見える。クリスティーンは少しの間呵責の念に囚われたかのような表情を浮かべ、何をどうするか分からないでいるように立ち尽くす。すると怪人が自分の気持ちを言葉に出す。クリスティーンは戸惑いと悲しさの入り混じった表情をして彼の言葉を聞く。)
※クリスティーンはかつて地下の隠れ家で怪人が語っていた彼の悲しみを思い出したのである。自分に歌唱力をつけてくれた恩人でもある怪人に恐ろしさを覚えていたとしても、仮面を付けた顔を暴くことは裏切りのように感じたのである。

PHANTOM:(怪人)
Say you'll share with me one love, one lifetime... ,       一つの愛、一つの人生を共にすると言ってくれ...
Lead me, save me from my solitude...                         孤独から救い導いてくれ...
Say you want me with you, here beside you...         傍に私が必要だと言ってくれ...

(怪人は自分の手から指輪を外し・・・)

Anywhere you go let me go too –              どこへ行こうと一緒に行かせてくれ

(と言ってクリスティーンの指にはめる。彼女は怪人のするままにさせる。)

Christine, that's all I ask of...            クリスティーン、それが私の願う...
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(怪人が言い終わらないうちにクリスティーンは意を決したかのような表情で怪人の仮面を外す。怪人は大声を上げ、彼女の手首を掴み上手側階段へ向かう。)
※クリスティーンは怪人の言葉を聞き、彼の悲しみや心情を改めて理解したと思われる。彼女の心情の変化が恐ろしいという感情を少し残しつつも指輪を自分の指に受け取ることになった。そして、かつて仮面の下に見た恐ろしい顔を確認し、その恐ろしさを克服するために、あえて仮面を外したと解釈できる。

RAOUL:(ラウル)No!  Don’t shoot!         だめだ!撃つな! 

(銃声が一発。ラウルが舞台中央に出て来る。怪人は階段下へと火の玉を投げつけクリスティーンと共に走り去る。)

No!  What are you doing there?           だめだ!何をしている!

(ラウルを追って他の者も出て来る。メグが奥の部屋へのカーテンを開けると、首をくくられた状態で宙づりにされたピアンジの死体が現れる。バレリーナたちが悲鳴をあげ、場が混乱し騒然とする。)

CHIEF:(隊長)
Give me this, monsieur.   Get water, monsieur!    Upstairs, monsieur!  Come!
これをください。水を!  上です。来て!

※この台詞は隊長がラウルに言っている言葉だが、内容がよく分からない。しかし周囲の者も興奮している中での一部であることは分かる。

(舞台中央付近でジリー親子が抱き合っているのが一瞬画面に映る。)

RAOUL:(ラウル)
Monsieur Firmin, come!   Open the doors, monsieur!        フィルマン!  ドアを開けろ!

GIRY:(マダム・ジリー、ラウルに)
Monsieur le Vicomte!  Come with me!  I know where they are! 
子爵様!私と来てください!彼らがどこにいるか知っています。

RAOUL:(ラウル)Can I trust you?         信じていいのか?

GIRY:(マダム・ジリー)
You must.  But remember: your hand at the level of your eyes! 
ええ。手を目の高さに保つようにしてください。

RAOUL:(ラウル)Why...?        なぜだ...?

GIRY:(マダム・ジリー)
The Punjab lasso, Monsieur. First Buquet. Now Piangi.        投げ縄です。最初はブケ。そしてピアンジ。

MEG:(メグ、両手でラウルの右手を目の高さに上げて)
Like this, Monsieur.  Look, I'll go with you.        こうやってください。一緒に行きます。

GIRY:(マダム・ジリー)
No Meg! No, you stay here!         だめ、メグ!だめ!ここにいなさい!

(ラウルに向かって)

Come with me, Monsieur.  Do as I say.  But hurry, or we shall be too late...
私と一緒に来てください。私の言うとおりにして。急いで、遅くなってしまうかも...

(この間に他の人々は舞台からいなくなっている。マダム・ジリーとラウルが上手側階段を、メグが下手側階段を上がっていくところで照明が暗くなり第7場が終了。)

第7場後半の動画 


「オペラ座の怪人」第2幕 第7場 -1

2021-10-01 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

(「ドン・ファンの勝利」の最終場面。上手側階段の下に大きなテーブルとベンチが設けられ、テーブルにはドン・ファンの財力を示すような豪華な食事の用意。オーケストラが演奏する曲と共に舞台奥からドン・ファンの友人パサリーノに扮した役者に手を取られた端役のカルロッタをはじめ悪党や騒がしい小娘たちに扮した大勢が登場し、歌い出す。)

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“DON JUAN TRIUMPHANT”

CHORUS:(コーラス)
Here the sire may serve the dam, here the master takes his meat!       ここでご主人は女をもてなし、ここでご主人は肉を食らう
Here the sacrificial lamb utters one despairing bleat!                            ここで生け贄の子羊は絶望的な声をあげる

CARLOTTA AND CHORUS:(カルロッタとコーラス)
Poor young maiden! For the thrill on your tongue of stolen sweets
かわいそうな乙女!盗んだお菓子を舌で味わうスリルと引き換えに
You will have to pay the bill - tangled in the winding sheets! 
シーツに絡められてつけを払わねばならない!
Serve the meal and serve the maid!
食事を出し、乙女を出すのだ!
Serve the master so that, when tables, plans and maids are laid,
食卓と企てと乙女を並べてご主人に奉仕するのだ
Don Juan triumphs once again! 
ドン・ファンがまた勝利するのだ!

(ドン・ファンに扮したピアンジがジプシーの踊り子に扮したメグと共に舞台奥から現れる。踊り子はドン・ファンから何かを渡され彼の頬にキスをする。するとドン・ファンは更に彼女に何かを投げ渡す。メグはそれを両手で上手にキャッチして彼から離れる。そしてドン・ファンは友人のパサリーノに語り掛ける。)
※文字による台本ではお金や財布を渡すとされているが、遠目ではそうとは分からない。何かの報酬として渡したことが推測できればいいだろう。

DON JUAN:(ドン・ファン=ピアンジ)
Passarino, faithful friend, once again recite the plan.       パサリーノ、忠実な友、もう一度計画を確認しよう。

PASSARINO:(パサリーノ)
Your young guest believes I'm you - I, the master; you, the man. 
若いお客は私があなただと信じ込んでいる ―— 私が主人であなたが従僕。

※ドン・ファンの計画とは、友人のパサリーノに従僕の服装を着せ、女を誘惑させる。手口は「主人の留守中に、主人の邸宅で食事をして楽しい時間を過ごそう。」というもの。女が来たところでドン・ファンが従僕になりかわってものにしようとする、ストーリーを追うには少し複雑な企てである。

DON JUAN:(ドン・ファン)
When you met you wore my cloak, she could not have seen your face.
お前が(彼女と)会ったとき私の服(従僕の服)を着ており、彼女はお前の顔を見てはいない。
She believes she dines with me, in her master's borrowed place!
彼女は私(従僕)と食事をすると思っている — 彼女の男(従僕)が借りた場所でな!
Furtively, we'll scoff and quaff, stealing what, in truth, is mine.
本当は私(従僕に扮する主人)のもの(酒食等)を盗み密かに悪ふざけをする。
When it's late and modesty starts to mellow, with the wine...
時間も遅くなり、(彼女の)慎みがメロメロになり始める、ワインでな...

PASSARINO:(パサリーノ)
You come home! I use your voice - slam the door like crack of doom!
(私が演じる)あなた(=主人)が帰って来る  私はあなたの声色を使う。運命が裂けるようにバタンとドアを閉める!

DON JUAN:(ドン・ファン)
I shall say: 'come - hide with me!  Where, oh, where?  Of course - my room!'
(従僕を演じる)私が言う「 こっちに隠れよう。どこにって?もちろん私の部屋だ!」

PASSARINO:(パサリーノ)
Poor thing hasn't got a chance!      かわいそうな獲物は逃げるチャンスがない!

DON JUAN:(ドン・ファン)
Here's my hat, my cloak and sword.       私の帽子、着物、そして剣だ。(と言ってパサリーノに渡す。)
Conquest is assured, if I do not forget myself and laugh...       自分を忘れて笑わなければ成功間違いなしだ…

(ドン・ファンはパサリーノの衣装をまとい、フードを頭から被り顔を隠す。そして舞台奥の部屋へと隠れる。するとすぐにアニータに扮したクリスティーンが上手側階段から降りて来る。)

ANITA:(アニータ=クリスティーン)
'...no thoughts within her head, but thoughts of joy!      「...頭の中には何の考えもなく、喜びの思いだけ!
No dreams within her heart, but dreams of love!'             心の中に夢はなく、愛の夢だけ!」

(誰もこの時気づいてはいないが、ピアンジは縄で首を絞められ殺されている。そしてここから怪人がピアンジの代わりにドン・ファンを演じる。)

PASSARINO:(パサリーノ、声だけ)
Master?      ご主人様。(どんな具合ですか?)

DON JUAN:(ドン・ファン=怪人、声だけ)
Passarino - go away!  For the trap is set and waits for its prey...
パサリーノ、行っても良いぞ!  罠が仕掛けられ獲物を待つだけだ…
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(この間、アニータはショールをテーブルに置き、そこを一周した後、ベンチに座りリンゴを手に取る。するとドン・ファン=怪人がフードを頭に被ったまま現れ、彼女に声を掛ける。)
※旧約聖書の創成期ではイブが禁断の果実リンゴを食べアダムにも分け与える。食べ終わるとそこから二人は裸でいることに恥ずかしさを感じるようになったとされる。禁断の果実リンゴは人間の性に関する快楽に関連付けて隠喩として使われる(ウィキペディア)。リンゴを手にすることはドン・ファンとアニータの今後を予測させる動作になっている。

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“THE POINT OF NO RETURN”

DON JUAN:(ドン・ファン)
You have come here in pursuit of your deepest urge,
お前は最も深いところにある衝動を求めてここに来た
In pursuit of that wish, which till now has been silent, silent...
今まで沈黙していたその願いを求めて…

(アニータはリンゴを手にしてベンチから立ち上がり、ドン・ファンから距離を取るようにテーブルから離れる。)

I have brought you, that our passions may fuse and merge –
私は我々の情熱が溶けて融合するようにお前をここに連れて来た
In your mind you've already succumbed to me,
心の中でお前は既に私に屈している
Dropped all defences, completely succumbed to me –
護りをすべて取り払い、完全に屈したのだ
Now you are here with me: no second thoughts, you've decided, decided...
今やお前は私とここにいる:考え直すことなく、お前は決めたのだ…

(ドン・ファンはアニータからリンゴを取り上げ、杯を渡す。)

Past the point of no return - no backward glances:      戻れないポイントを越え —— 後ろを振り返らず
Our games of make believe are at an end...      我々の戯れは終わりに来ている...

(ドン・ファン、アニータに杯を飲み干すよう手で促し、彼女は一気に飲み込む。)

Past all thought of 'if' or 'when' - no use resisting:
「もし」とか「いつ」という考えを越え —— 抵抗しても無駄だ

(ドン・ファン、飲み終えたアニータの右手首付近を取り踊りに誘う。しかしアニータは少しの間彼に合わせて踊るような動作をするが、突然身を翻し彼を焦らすように離れ、左手に持っている杯をテーブルに置く。そしてベンチに座る。)

Abandon thought, and let the dream descend...        考えることを捨て、夢に身を委ねるのだ…
What raging fire shall flood the soul?        どんな猛烈な火が魂を氾濫させるのか
What rich desire unlocks its door?        どんな止めどない欲望がドアを破るのか
What sweet seduction lies before us...?        どんな甘い誘惑が我々の前に横たわっているのか

(ドン・ファンは座っているアニータに近づき背後から誘惑を続ける。ドン・ファンは右手を彼女の右腕から肩、そして首へと動かす。アニータは酔いが回ってきて陶酔の表情を浮かべる。)

Past the point of no return, the final threshold –       戻れないポイント、最後の入り口を越え
What warm, unspoken secrets will we learn!         どんな暖かく言葉にできない秘密を我々が学ぶのか!

(ドン・ファン=怪人、背後からアニータの顔を両手で包むようにし、次に彼女の左手に左手を重ね右手は彼女の右肩に置いたまま左手をアニータの腰から胸の方へと徐々に上げていく。)

Beyond the point of no return...        戻れないポイントを越えて...

(アニータ=クリスティーンは何かに気づき咄嗟にドン・ファン=怪人から離れる。)