務のよしなしごと

ハンプトン・コート宮殿の人々(完成時期未定)
「オペラ座の怪人」勝手に解説
住んでいる近辺の紹介

「オペラ座の怪人」第1幕 第4場

2021-06-26 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

第3場の最終場面で、戻ってきたラウルが、クリスティーンに贈ったバラが落ちているのを見つけるが、彼女はそこにいない。舞台が暗くなり、すぐにこのミュージカルのタイトル曲と共に第4場が始まる。

舞台の中2階あたりに設けられたオーケストラピットよりも高い位置に渡り廊下のような通路が据えられている。通路は地下にある怪人の隠れ家へと続く階段をイメージしており、その通路を怪人がクリスティーンの手を取って導いていく。二人が下手側から上手側へ、上手側から下手側へと数度往復する間、通路が徐々に下がって行きオーケストラピットよりも下の位置に来る。
※ ハー・マジェスティーズ等の劇場では通路が交互に傾斜して下がるようになっており、二人が常に階段を下りて行くようにイメージできる。

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"THE PHANTOM OF THE OPERA"

CHRISTINE:(クリスティーン)
In sleep he sang to me, in dreams he came...       眠りの中で彼は私に向かって歌い、夢の中に現れる
That voice which calls to me and speaks my name...       あの声が語りかけ私の名を呼ぶ
And do I dream again?       また夢を見ているのだろうか
For now, I find the Phantom of the Opera is there - inside my mind...       今なら分かる、ファントムがそこに — 私の心の中にいる

PHANTOM:(怪人)
Sing once again with me our strange duet...       また一緒に不思議なデュエットを歌うのだ
My power over you grows stronger yet...       私のパワーは以前よりも強くお前に注がれる
And though you turn from me to glance behind,       私から目をそらし後ろを振り返っても
The Phantom of the Opera is there - inside your mind...       ファントムはそこに ― お前の心の中にいる

(二人は階段を降り切って、姿を消す。)
※ ハー・マジェスティーズ等の劇場では、第3場で二人が鏡の中に消えてから、第4場でボートに乗って再登場するまで、すなわち階段を下りて行く場面は代役が演じているということで、本当のクリスティーンと怪人役は声だけの出演ということである(ウィキペディア)。 一気に高い位置に設置している通路に登ったり、そこからボートに乗り換えるのは体力的にきついということらしい。

(地底湖に見立てた舞台から燭台が何本もせりあがって来るが二人はまだ姿を現さない。)
※ 劇場の通常公演ではこの辺りから二人がボートにのって地底湖を移動する場面になる。

CHRISTINE:(クリスティーン)
Those who have seen your face draw back in fear.       顔を見た人々は恐れて身を引く
I am the mask you wear...       私はあなたが被る仮面... (あなたの代わりに人々の前て歌っている)

PHANTOM:(怪人)
It's me they hear...       人々が聴くのは私の声なのだ

BOTH:(二人で)
Your/my spirit and your/my voice, in one combined:       二人の魂と声が一つになって
The Phantom of the Opera is there - inside your/my mind...       オペラ座のファントムがそこに — 二人の心の中に

(舞台の中央奥の燭台が移動し、そこからボートに乗った怪人とクリスティーンが登場。)

OFFSTAGE VOICES:(舞台裏の声)
He's there, the Phantom of the Opera...       彼、ファントムはそこにいる
Beware the Phantom of the Opera.       気を付けろ、オペラ座のファントムだ

PHANTOM:(怪人)
In all your fantasies, you always knew       幻想の中でお前は常に分かっていたのだ
That man and mystery...,           その男と謎が

CHRISTINE:(クリスティーン)
...were both in you...       あなたの中で一つになっていると...

BOTH:(二人で)
And in this labyrinth, where night is blind,       この暗闇の迷路の中で
The Phantom of the Opera is there/here - inside your/my mind...       オペラ座のファントムがここそこに — 二人の心の中に

(隠れ家に着いて怪人はクリスティーンの手を取り、ボートを降りる。怪人は早速彼女に歌のレッスンを始める。)

PHANTOM:(怪人)
My Angel of Music!       私の「音楽の天使」!

CHRISTINE:(クリスティーン)
He's there, the Phantom of the Opera...       彼、ファントムがそこにいるんだわ

(クリスティーンは発声練習を始め、次第にキーを上げていく。怪人はクリスティーンを鼓舞・激励するかのように声をかけ続ける。)

PHANTOM:(怪人)
Sing. Sing... Sing for me!       歌え。歌え... 私のために歌うのだ。
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※ 第4場で使われるこの曲はミュージカルのタイトル曲となっているが、途中で2回ほど微妙に曲のキーが変わっている。音楽理論的にはキーを変えるのは簡単なようだが、雰囲気を高揚させる効果が感じられる。

(クリスティーンのキーが最高に達したところで、第4場が終了。切れ目なく第5場が始まって、怪人が自分の音楽に対する思いを語り始める。)
※ 文字で見る台本では、第4場と第5場の切り替わりが分かるが、実際の公演(通常公演でも、この特別公演でも)では舞台の暗転もなければ時間的空白もないので全く分からない。


「オペラ座の怪人」第1幕 第3場

2021-06-08 | 趣味

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(クリスティーンが手紙を読んでいると、舞台上手の階段からアンドレ、フィルマンがそれぞれの妻を伴って高笑いしながら現れる。シャニュイ(ラウル)も彼らと一緒に登場。)

ANDRÉ:(アンドレ)
A tour de force! There’s no other way to describe it!       すばらしい! 他に言いようがない。

FIRMIN:(フィルマン)
What a relief! Not a single refund!       ほっとした。1枚の払い戻しもない!

MME. FIRMIN:(マダム・フィルマン)
Greedy.       あさましい。

ANDRÉ:(アンドレ、フィルマンに)
Richard, I think we've made quite a discovery in Miss Daaé.       リチャード、クリスティーン・ダーエは掘り出し物だと思う。
※リチャードは英語読みの名前。登場人物はフランス人であるから、フランス語読みのリシャールにすべきだが、リチャードと聞こえるのは俳優(ガレス・スヌーク)が間違ったのだと思われる。

FIRMIN (フィルマン、ラウルにクリスティーンの居場所を示して)
※ハー・マジェスティー劇場では舞台上にクリスティーンの楽屋セットがあるが、記念公演では舞台上に化粧台があり、クリスティーンがそこにいる。
Here we are, Monsieur le Vicomte.       こちらです、子爵。

RAOUL:(ラウル)
Gentlemen, if you wouldn't mind. This is one visit I should prefer to make unaccompanied.
皆さん。できれば私一人で彼女を尋ねたい。

(ラウルはクリスティーンへお祝いをするつもりなのか、手に一輪のバラを持っている)

ANDRÉ:(アンドレ)
As you wish, Monsieur.       どうぞ、そのように。

FIRMIN:(フィルマン、ラウル以外の者に)
They appear to have met before.       彼ら(ラウルとクリスティーン)は以前会ったことがあるようだ。

(ラウルはクリスティーンの傍に行く)

RAOUL:(ラウル)
Christine Daaé, where is your scarf?       クリスティーン・ダーエ、君のスカーフはどこかな。

CHRISTINE:(クリスティーン)
Monsieur?       どちら様ですか。

RAO UL:(ラウル)
You can't have lost it. After all the trouble I took. I was just fourteen and soaked to the skin...
失くしてはいないはず。あの時は大変だったよ。僕はちょうど14歳で、ずぶ濡れになったんだからね。

CHRISTINE:(クリスティーン)
Because you had run into the sea to fetch my scarf. Oh, Raoul. So, it is you!
ということは、あなたが私のスカーフを取りに海に入って行ったわけね。あぁ、ラウル、あなたなのね。

RAOUL:(ラウル)
Christine.       クリスティーン!(と言って彼はバラを渡す。)

※第3場のこの場面で、ラウルとクリステシーンが幼なじみで、時を隔てて再会したことが分かる。そして二人の共通の思い出が語られていく。

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"LITTLE LOTTE"
※クリスティーンの父が話していたロッテの物語の一節を二人で思い出している場面。

RAOUL:(ラウル)
'Little Lotte let her mind wander.'       「かわいいロッテはあれこれと空想した。」

CHRISTINE:(クリスティーン)
You remember that, too...       あなたもそれを覚えているのね。

RAOUL:(ラウル)
'...little Lotte thought: Am I fonder of dolls...'       「…かわいいロッテは思った:私が好きなのは人形かしら…」

BOTH:(二人で)
'...or of goblins, of shoes...       「…それともお化け、靴…」

CHRISTINE:(クリスティーン)
'...or of riddles, of frocks...'       「それともなぞなぞ、フロック(コート)かしら」

RAOUL:(ラウル)
Those picnics in the attic... '...or of chocolates.'       あの屋根裏でのピクニック…「それともチョコレート。」
※ピクニックとは本来食事をする場所以外で食事をすること。必ずしも屋外や芝生の上とは限らない。

CHRISTINE:(クリスティーン)
Father playing the violin.       お父さんがヴァイオリンを弾いて

RAOUL:(ラウル)
As we read to each other dark stories of the North      お互いに北の国の物語を読んだ。

CHRISTINE:(クリスティーン)
'No - what I love best, Lotte said, is when I'm asleep in my bed, and the Angel of Music sings songs in my head!'
「いいえ、私が一番好きなのは」とロッテが言った。「ベッドで寝ていると私の頭の中で音楽の天使が歌を歌う時なの。」

BOTH:(二人で)
'...the Angel of Music sings songs in my head!'       「…音楽の天使が私の頭の中で歌を歌うの。」
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(クリスティーンは父のことを語り始める。)

CHRISTINE:(クリスティーン)
Father said 'When I'm in heaven, child, I will send the Angel of Music to you'. Well, father is dead, Raoul, and I have been visited by the Angel of Music.
お父さんは言ってたの、「私が天国人行ったなら、お前のところに音楽の天使を行かせよう。」ってね。そう、ラウル、お父さんは死んでしまって、音楽の天使が私のところに来ているの。

RAO UL:(ラウル)
No doubt of it - And now we'll go to supper!       それは間違いない。では、今から食事に行こう。
※ラウルはクリスティーンの歌のうまさを認め、音楽の天使について語ろうとする彼女に生半可に合わせている。すぐにでも彼女と食事に出たいのである。

CHRISTINE:(クリスティーン)
No, Raoul, the Angel of Music is very strict.       だめよ、ラウル、音楽の天使はとても厳しいの。

RAOUL:(ラウル)
I shan't keep you up late!       遅くならないようにするよ。

CHRISTINE:(クリスティーン)
No, Raoul...       だめよ、ラウル。

RAOUL:(ラウル)
You must change. I must get my hat. Two minutes - Little Lotte.
君は変わらなければ。帽子を取って来るよ。2分待って、かわいいロッテ。
(と言ってラウルは足早に立ち去る。)

CHRISTINE:(クリスティーン)
Raoul! ラウル(呼びかけたが彼は戻らない) Things have changed, Raoul.       いろいろ変わってしまったわ、ラウル。

(ここで突然、怪人の声が聞こえる)

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PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
(怪人はまずラウルに悪態をつく。クリスティーンが怪人に対して声をかけると、怪人は彼女を誘うように呼び掛ける。)
Insolent boy! This slave of fashion, basking in your glory!        無礼な奴だ! この気取り屋め、自惚れやがって!
Ignorant fool! This brave young suitor, sharing in my triumph!       無知な愚か者め! 私が勝ち取ったものに近づくなんて!
CHRISTINE:(クリスティーン)
Angel! I hear you! Speak - I listen… stay by my side, guide me!       エンジェル!聞こえるわ。 話して、聞くから…傍にいて導いて!
Angel, my soul was weak- forgive me... enter at last, Master!
エンジェル、私の心は弱かった。許してください…先生!私のところに来てください。

PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
Flattering child, you shall know me, see why in shadow I hide!
私に憧れを抱くお前は私を知り、なぜ私が陰に隠れているかわかるだろう。
Look at your face in the mirror - I am there inside!       鏡で自分の顔を見ろ。私はその中にいる。

(鏡の中に怪人の顔が現れる。)

CHRISTINE:(クリスティーン、鏡の中の怪人に向かって)
Angel of Music! Guide and guardian! Grant to me your glory! 
音楽の天使! 指導者そして保護者!あなたの栄光を私にください。
Angel of Music! Hide no longer! Come to me, strange angel...
音楽の天使! 不思議な天使、もう隠れていないで、私の所に来てください。

PHANTOM'S VOICE:(怪人の声)
I am your Angel... Come to me: Angel of Music...
私はお前の天使だ。私のところに来なさい、音楽の天使
I am your Angel of Music… Come to me: Angel of Music...
私はお前の音楽の天使だ。私のところに来なさい、音楽の天使

(怪人の顔が怪人に替わりクリスティーンに手を差し延べる。クリスティーンは怪人に誘われるまま鏡の中に入って行き、二人は中に消える。)

※怪人は自分をクリスティーンの音楽の天使だと名乗り、同時に彼女を音楽の天使と呼んでいる。怪人にとって彼女は音楽を教える相手ばかりでなく、この後明らかになってくる彼自身の音楽を体現する天使として考えていることがここで示唆される。
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(戻ってきたラウルが、クリスティーンに贈ったバラが落ちているのを見つけるが、彼女はそこにいない。)

RAOUL:(ラウルが彼女の名を呼ぶ。)
Christine!      クリスティーン!

(舞台が暗くなり第3場が終了。その後すぐに第4場になる。)