手首の使い方。
これも、肘の伸展とともに、非常に重要なポイントだ。ウェイクフィールドも、
これも、肘の伸展とともに、非常に重要なポイントだ。ウェイクフィールドも、
I throw it with a really stiff wrist.
と述べているように、『固定』が常識となっている。そこでこのようなアニメができたりするわけだ。
しかし、ウェイクフィールドの動作はアニメのようにはなっていない。テイクバックのトップでは目いっぱいコックしているが、リリース時はこんな、リリース直後はこんな具合になっている(ニークロもだいたい同じ)。
もちろん見た目に掌屈・回内しているからといって、掌屈・回内トルクが働いているとは限らない。普通の投法では、リリース間近になって手首が屈曲する段階では、逆に背屈トルクが働いているようだ。
論文「野球の投球スナップのバイオメカニクス」宮西智久2000に載っている手関節トルクのデータでは、最大外旋を過ぎたあたりで、掌屈が背屈に転じている(実線)。
したがって、プロの投球を見ただけではわからないのだが、投げているうちに、
ナックル投法は、リリースまで掌屈・回内トルクを働かせる
と思うようになった。リストを使うのだ。ウェイクフィールドの”stiff wrist”も、―バックスイングでは背屈トルクをフォワードスイングでは掌屈・回内トルクを働かせる―ことを意味してしているのだろう。
そして、掌屈・回内筋の収縮を引き出すのが肩水平内転および肘伸展だ。後期に入っても肘伸展がもたらす伸張性収縮期があり、リリース直前で短縮性収縮に切り替わる。肘の伸展と手首の掌屈・回内には時間差があるから、末端の動作は打ち型なのだ。ナックルの球速がストレートパンチより速いひとつの要因は手首の活用だろう。
もっとも長谷川穂積のパンチは手首のスナップを使っている(1:00頃)。このばあいは、背屈トルクではなくムチ動作(関節力のみ)だろう。
アニメのように、手首を固定して指の弾きに頼るようでは、十分なスピードが得られないのだ。