スピンへの影響。
手首を積極的に使うと書いたが、それで球にスピンがかからないのか? もちろんそのために指を立ててはいるのだが・・・・・
投げてみた感じでは、
手首を積極的に使うと書いたが、それで球にスピンがかからないのか? もちろんそのために指を立ててはいるのだが・・・・・
投げてみた感じでは、
むしろ積極的に使ったほうがスピンがかからない
ような気さえする。
前回、宮西論文からデータを引用した。同じ著者の『体育の科学』2003の記事、「投球動作の評価 ~より速いボールを投げる野球の投球動作~」のなかに、リリース付近についての記述がある。
リリース直前のボールの速度が約27%も増加するので、投球腕(主に前腕・手指部)の筋群が極めて速い短縮性収縮の状態になるからである。つまり筋がこの状態になると、逆比例関係を持つ力―速度曲線からすれば、もはや投球腕の筋群が大きな力(関節トルク)を生み出すことが困難になるのである。
しかしこのことで加速の困難さを説明するのには無理がある。(本人の!)データによれば、この時期のトルクは背屈であり、「大きな力を生み」そうとさえしていないからだ。
背屈トルクの発生は急激な掌屈に対する反射だろう。普通の投法における手首の掌屈・回内は関節力によるところが大きいかもしれない(ムチ動作をスナップ動作とも言う)。ナックルのばあいは、下半身をあまり使わないから、関節力は弱いだろう。しかし、その分を筋収縮で補えば、同じように反射で背屈トルクを働かせることができるはずだ。そうすれば、スピンがかかる前に指のスピードにブレーキをかけることができる。それが、「むしろ積極的に手首を使ったほうがいい」ということの説明になっているのではないか?
いずれにせよ、「ナックルを投げる時は手首を使わない」が定説になっている。それに真っ向から異を唱える形になった。ここに書いてきたことの当否はその辺にかかっている。
腕の振りについて、要点をもう一度書くと、
肩の水平内転、肘の伸展、手首の掌屈・回内を順次行う。
筋収縮に対する依存度が普通の投法より高い。