「メジャーの打法」~ブログ編

野球、ゴルフを中心とするスポーツ動作論
『究極の打法』オースチンからボンズまで
 Amazonにて発売中

稀勢の里

2006年12月18日 | スポーツ全般
 印象に残った一番を挙げるとすれば、朝青龍ー稀勢の里戦。けたぐりで朝青龍が勝ったのだが、横綱に奇襲戦法を取らせたというだけで大手柄だろう。
 先々場所の見事な勝ちと共にYouTubeに載っているが、「けたぐり」の方を見るには登録する必要がある。(簡単だからやっておいた方がいいだろう)

 稀勢の里はあの一番で怪我をした。千秋楽でようやく勝ち越し、支度部屋に戻って号泣したそうだ。日本の相撲ファンの期待を一身に背負っての土俵は相当プレッシャーが掛かるのだろう。
 相撲内容に対する解説者のクレームが多いのも彼に対する期待の大きさを窺わせる。体に似合わない相撲を取っているというわけだ。しかしそれはこういうことではないだろうか?つまり・・・
 ハワイ勢の登場によって日本の相撲が乱されたように思う。それまで大型力士はどっしりとした四つ相撲を取っていればよかった。例えば隆の里(現鳴門、稀勢の里)のように。ところがそれでは彼らの大きさに負けてしまう。そこで大型力士にもスピードが要求され、動き回る相撲を取る傾向が出てきた。雅山などがその典型だろう。
 朝青龍はその日本の相撲に生じた乱れをうまく突いている。例えば玉の島あたりが立会いから激しく寄って出ても、低さでシノがれてしまうのだ。気負えば気負うほど彼の思う壺になる。

 だから稀勢の里が琴欧洲らの大型外国人力士と相撲を取っても全く遜色がない。しかしこれから星を残そうとすれば小型力士対策を講じる必要があるだろう。
 琴桜(元佐渡ヶ嶽)は右四つだったので「左四つ力士に対しては左のど輪右おっつけ、右四つ力士に対しては左上手を取って右はず」という2つの戦法を使い分けていた。稀勢の里もそういう工夫が必要になってくると思うわけだ。

 日本人で現在横綱に一番近いのは彼に間違いないのだし、そう遠い話ではないだろう。