再三白鵬の技に難くせをつけているので、どう半端なのか?書いてみる。
普通の上手投げのばあいの回旋動作を「腰を切る」、白鵬のばあいを「腰をひねる」と呼ぶことにしよう。
(右からの投げを仮定する)
普通の上手投げにおける股関節の動作は、
まず、右を伸展・外転しつつ(このとき左大腿直筋が収縮する)、体を開く。
続けて、左伸展・外転、右伸展・外転で「腰を切る」。
白鵬の上手投げにおける股関節の動作は、
まず、右を伸展・外転する(このとき左腸腰筋が収縮するので開きが不十分)。
続けて、左屈曲、右伸展・内転で「腰をひねる」
というちがいがある―と考える。
この左屈曲、右伸展・内転を使った「ひねり」は従来の相撲の投げ手、ひねり手にもあり、出し投げ、かいなひねりなどに使われる。このばあいの動作は、
まず、右股関節屈曲と左ひざ伸展で体を開く。
続けて、左屈曲、右伸展・内転で「腰をひねる」
白鵬の出し投げとの違いは、「ひねり」にさき立って右股関節の屈曲トルクを使うところで、これで技がきれいに決まるようだ。下の映像は里山の見事な取ったり(1:10頃。館内発表は「かいなひねり」となっているが、解説者も疑問を呈しているように、正しくは「取ったり」だろう)。
つまり、白鵬のばあいは本来の上手投げとも出し投げとも異なる動作をやっているわけだ。白鵬だけでなくモンゴル人力士の技はみんな少しヘンで、大関がこんな格好(6:50頃)で出し投げを打つところを見たいとは思わない。ちゃんと教えてやらないんだろうな。気持ちはわからないでもないけど・・・。