普通の投法。
ナックルは動画2のように球を押し出す。しかし押すと言っても
ナックルは動画2のように球を押し出す。しかし押すと言っても
砲丸投げのような投げ方ではなく、普通の投法に近い
とよく言われる。
ニークロの連続写真を見ればわかるように、まず肩が水平内転すると同時に外旋する。続いて肩が内旋に転じるが、その頃から肘が伸展する。肩の外旋・内旋が起こらず、肩の水平内転と肘の伸展が同時に起こる砲丸投げやストレート・パンチとはメカニズムが違うのだ。
吉福康郎は、格闘技の打撃動作を突き型と打ち型に分けている(throwlike movementsとpushlike movementsという分け方もある)。砲丸投げは突き型で、投球は打ち型だ。ナックル投法も打ち型に含まれるということだ。
ただ、普通とは言っても、アメリカ人にとっての普通と、日本人にとっての普通は少し違う。
アメリカ人の投げるスリークォーターあるいはサイドアームは、
ボールの加速期において、上腕を両肩を結ぶ線にほぼ平行に保つ
とされる。ニークロはこちらの普通の投法に近い。そのような投法が普通とされるアメリカの野球環境がナックルを生み出す背景になっているのだろう。
日本の投手は、ダルビッシュやマー君のように、球を前で離すから、肩を中心に腕を縦に振るように見える。
「投げる科学」p94の肩内転のグラフを見ると、スリークォーター投法では肩が急速に内転している。これが最近の日本人投手の特徴なのだ。
この投法はバックスピンが掛かかりやすく伸びのある球を投げることはできるが、ナックル投法のベースとはならない。