「原因と結果の法則」然り、結果は原因の中にあります。
借金の原因はお金が足りないことですから、なぜ足りなくなった結果の原因は借金がはじまる前からの収支情報に存在していると「報徳仕法」では解かれています。
ですから過去(報徳仕法では10年間)の情報を分析すると足りなくなっている原因が浮き彫りになるとともに、損益分岐点と同じく越えてはいけない数値が現れます。
この超えてはならない数値を「分度」と呼びます。
分度以下で支出をしていたなら借金はしなくて済んだという理論です。
報徳仕法は、江戸時代の600もの廃村を再興するために二宮尊徳により実践された実務ですから、廃村を企業に置き換えれば企業の再建は可能になるのです。
次に報徳仕法の具体的な応用について述べてみます。
2 異常値から原因を見つける
例えば、過去10年間の決算資料の支出欄を分析します。
支出には、原価部分と経費部分に分かれます。
企業によっては原価部分がない会計処理を見ますが、可能な限り分けて会計処理をすることをお勧めします。
例としてレストランでは、食材は原価計算に計上しますが私の考えでは、調理場の家賃(面積負担)・水光熱費・調理人人件費・調理場消耗品・損害保険料なども原価計算に計上することで原因解明情報の精度が上がることは間違いありません。
3 原因が見つかれば簡単
ある浴室施設を持つ企業で次のようなことがありました。
月次試算表では「水光熱費」となっていましたが、数か月前から異常な数値が現れました。
そこで水光熱費を水道・電気・ガス各料金の確認をしたところ異常値は水道代とガス代が異常値でした。
水とガスという2つの情報から浴室設備に原因がある仮説を立てました。
現場調査の結果、浴槽のお湯が減ると沸かされたお湯が足される、かけ流し温泉状態だったのです。
試しにバスクリンを浴槽に落とすと着色されたお湯が浴槽底に吸い込まれたので水漏れ場所が見つかりました。
4 簡単ことほど難しい
このように、会計処理を細かく計上することや毎月次の支出情報を分析するという簡単な行動が実際の経営実践では難しいのです、
しかし、これら簡単な作業を怠ることが資金不足という借金の小さな種になってしますのです。
また、この簡単なことを怠ることが小さかった種の栄養となり芽が出て育ち返せないほどの大借金になってしまうのです。
5 行動が結果を生む
ですから、月次試算表の確認を実践することが借金を作らない結果になります。
既に小さな借金がある方は、月次試算表の確認を実践することが借金を増やさない結果になります。
また、大きな借金がある方も、過去の支出情報から分度を知り分度内の支出を実践することが再建の結果になります。
貧 遊楽分外に進み 勤苦分内に退けば 即ち 貧賤 其の中に在り
富 遊楽分内に退き 勤苦分外に進めば 即ち 富貴 其の中に在り