8x10カメラ基礎講座7

フィルムの装着
撮影前にフィルムをカットホルダーに装着しなければいけません。
フィルムは箱に入っていますが、装着作業は暗室で行う必要があります。
バイテンフィルムの場合、ダークバッグでの作業は慣れていないと難しいと思いますから、最初は暗室で作業した方が安心だと思います。

箱を封印するラベルをはがしてフタを開けると裏返しになった箱が現れます。
その箱を取ると封入されたフィルムがあります。
箱を二重にすることで光線引きを防いでいるのですが、開封後に強い光の場所は禁物です。
フィルムはまとめてパックされていますが、20枚入りぐらいなら1パックに、50枚入りなどは2パックにわけられています。
パックはビリビリ破かずに端をハサミ等でキレイに破ります(暗室内で!)
フィルムは上下厚紙で挟まれていますので、厚紙をフィルムと勘違いしないように(私はしましたが)。
厚紙は捨ててしまわず、保護のためにフィルムを挟んでおくようにします。
フィルムはノッチを確かめて一枚ずつ取り出しますが、フィルムがくっついて二枚重なっている場合があるので、一枚かどうか確認する必要があります。意外とバイテンフィルムはペラペラしています。
この作業は暗室内で行います。

フィルムにはノッチというギザギザがついています。



ノッチには二つの役割があり、ギザギザの組み合わせでフィルムの種類をあらわします。それをノッチコードと言います。
もう一つの役割はフィルムの表裏を識別する事です。
ノッチを右下側に来るようにするのが基本です。
右下にノッチが来るようにすれば常にフィルムの膜面(乳剤面)が上に向きます。
装着作業も膜面を上にします。
フィルムを持つ場合、中指と親指でフィルムの端を挟み、人差し指でノッチをなぞりながら作業するスタイルになります。
暗室内で取りだしたフィルムのノッチの位置を確認し、右下を向くように置いておくと作業は楽になります。
ただしこれは右利きの場合の説明です。左利きの場合は・・・ンンンン説明が難しいです。



作業は上の画像のようにホルダーを置き、その右手側にフィルムの入った箱を置くようにします。
ホルダーには裏表2枚のフィルムが装着できます。
1枚を装着して裏返し、同じ作業を繰り返すことになります。
複数枚のホルダーに装着する場合、周囲にホルダーを積んでおくかして流れ作業がやりやすいように工夫します。

ホルダーには引き蓋が裏表ついています。
引き蓋はホルダーから完全に抜き取ることが出来ます。
引き蓋の持ち手部分には裏表で白黒と違った色が塗ってあります。
これは色で露光の有無を識別するための印です。
一般的に撮影前のフィルムは白いタブが見えるようにしておき、撮影が終わったら引き蓋をひっくり返して黒いタブが見えるようにします。
これで未露光や多重露光を防ぐ事ができます。



引き蓋を少し引いてみます。
溝から引き蓋が抜け、フラップが開くようになりました。
フィルムを挿入する場合このフラップを開いて挿入するのですが、戻りがありますので指で押さえておく必要があるのですが、実際にやってみるともう一本手が必要に感じますので「出来るだけ開いておく」という感じでの作業となります。



ホルダーには2本の溝(スリット)が上下にあり、上のスリットは引き蓋が通り、下のスリットにフィルムを挿入するように出来ています。
挿入時に上のスリットにフィルムを入れると引き蓋と干渉して撮影後引き蓋が戻らなかったり、カブリの原因になりますから間違わないようにします。
フィルムを挿入しやすいようにフラップから少し離れたところにフィルム用のスリット入り口があります。



フィルム挿入前に明るい場所で下の画像のように引き蓋を引いて準備しておきます。



フィルムは下の画像のようにスリットに入っていきます。



実際の暗室作業では指でスリット入り口を押さえ引き蓋のスリットに間違って入らないようにし、スリットを触ってフィルムが正しく入っているか確かめる事になります。



大判写真入門書では下のように両方のスリットに同時にフィルムを差し込んでいくように記述されていますが、大きな手の人以外無理があります。
またフィルムもペラペラなため両溝同時に挿入するのは難しいと思います。



実際の作業はまず片方のスリットにフィルムを少し差し入れ、次に別のスリットに差し入れて、両方入ったことを指で確認したあとに奥まで差し込むという手順になると思います。
この作業時に右手に手袋をしていても不都合はないのですが、左指はどうしてもフィルムの感触をさぐるため手袋をしていると不安になります。
指紋の付着を防ぐためにも作業前の石けん手洗いは欠かせません。



フィルムを奥まで差し入れてフラップを閉じるのですが、完全に奥まで入っていないとフラップが閉じません。
リスコのホルダーでは上手く入るのですが、TOYOの場合寸前で引っ掛かる場合があります。
そうするとフラップの閉じる部分と重なってしまいます。



キチンと奥まで入ると以下のようになります。
奥まで入れるときに少し最後でカタカタ動かしてやるとカタッと音がして奥に入ります。



爪でフィルムがホルダーにキチンと収まっているか確認してフラップを閉じ、引き蓋を閉めますが、フラップの溝と引き蓋がキチンと収まらないと引き蓋が完全に収まらず露光漏れします。
溝に収まりにくいホルダーもあるようです。
引き蓋を閉めたらフラップの角を指でなぞりデコボコがないか確かめます。
デコボコがあると引き蓋がキチンと収まっていない可能性があるので、フィルムがキチンと入っているかもう一度確認します。
ホルダーを上下に振るとカタカタ音がするとキチンと挿入出来ているようですが、中には音がしないフォルダーもあるので確実な確かめ方ではないようです。各自のホルダーを確かめてください。



これでフィルム装着は終了です。
引き蓋は白いタブが表に来ていますか?
フラップが開いたりしませんか?
引き蓋は奥まで完全に差し込まれていますか?
最後に引き蓋持ち手側に二カ所飛び出している「 型の針金を回転させて引き蓋が勝手に開かないようにロックしておいてください。

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8x10カメラ基礎講座6

入れ物
道具が揃ったところで悩むのは、この大荷物をどうやって運ぶかです。
東京を撮るというからには基本的に移動は歩きと電車、バスでしょう。
移動に適した荷造りに頭を悩まされます。
田中長徳さんはカメラをハダカで持ち、肩に三脚をかけ、リュックで他の備品を担ぐという方法を推奨しています。
確かにこれが一番シンプルで、いざ撮影となると短時間にセッティングにかかれます。
私の場合、腰が悪いので出来るだけ担がない方法を考え、キャリアのついたバッグを買いました。
ロウプロのプロローラー2です。
失敗でした。
実はタチハラのカメラが入らないのです。
ちょうどノブの出っ張り分だけ寸法が足りませんでした。
90度横にして入れると入るのですが、あまり強度的には好ましくないと思います。
そしてカットホルダーは3枚ぐらいしか入りません。
カタログでは本体横に三脚を取り付けることが出来るのですが、大型三脚だと重すぎて上手くありません。
またJRの自動改札機の通路幅は本体だけでギリギリ通過できるぐらいです。
カメラを入れた上の空間には仕切りでレンズと備品を入れるスペースはあります。
失敗でしたが、しかたないので現在は横置きカメラでホルダー3枚、三脚はたすき掛けというスタイルで出掛けます。禁じ手として別にキャリアを用意し、バッグと三脚を両方縛りつけるという手もあります。
こうすると一台ですべて持ち歩けるのですが、重量は20キロを軽く超えます。
カメラバッグ類で今のところ8x10が収納でき、移動に適したものは見つかりません。
むしろ旅行用キャリアバッグにスポンジを入れて使用する方が価格も安く、軽くて良いかも知れません。

次に考えている方法は、カメラとホルダーを一つのトートバッグに入れ、三脚は肩に、レンズはリュックかウエストバッグというものです。
L.L.ビーンのトートなら十分カメラ+ホルダーが入ります。小さなレンズなら一緒に入るかも知れません。
そうすると振り分け荷物スタイルで歩くことが出来ます。
重さはともかく、バランスは左右釣り合います。

いかに軽快に歩くことが出来るか、工夫のしどころです。
いろいろなアイデアを教えてください。



心菊斉
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8x10カメラ基礎講座5

備品の準備
カメラ、レンズ、三脚と揃えると、あとは備品です。
レリーズ、ピントルーペ、露出計、カットフィルムホルダー、冠布、フィルム、水準器、ブロアーブラシ、巻き尺等でしょうか。

レリーズは長さが50センチぐらいのものから100センチぐらいのものまであるようです。
私は50センチのものを購入しました。短いですからカメラの後方からシャッターを切るのではなく、サイドから切ることになります。
書籍等ではレリーズにストッパーがついていないものを推薦していますが、これは誤作動を防ぐためのようです。

ピントルーペはピントを確認するためのものですが、倍率が4倍程度のものが良いといわれています。
しかしこれが高価なのです。2万円以上するものが多いです。
堀内カラーのルーペは倍率は5倍ですが、値段が1万円以下です。
4倍も5倍も見やすさにそんなに差はないと思うのですが、使用している方の感想を聞いてみたいものです。

露出計は様々なものが発売されています。
入射光式、反射光式、スポットメーター等。
ネイチャーフォトやゾーンシステムをする方はスポットメーターで正確な露出を測定して、となるのでしょうが、私は小型の簡単な露出計を使用しています。
人それぞれ理由はあるでしょうが、35ミリ判カメラで使用していて不都合がないことと、露出に対する厳密さを求めていない事から私は小型のもので十分です。

カットフィルムホルダーは8X10用は実質2種類のメーカーのものだけです。
TOYOとリスコです。
TOYOは1万円前後、リスコは2万円前後です。
ホルダー1枚でフィルム2枚使用できますから、数枚のホルダーが必要です。
使い勝手はTOYO、リスコでそれぞれ言い分があるようですので、値段と秤にかけて選べばいいと思います。

冠布はカメラにかぶせて構図を確認するために使用します。
8X10で使用するものは大きなサイズが必要です。
冠布を不要だという人もいますが、構図の確認には便利です。ピントはルーペで確認し、構図は冠布でというのが時間短縮につながると思います。
フォルダーやカメラを包むのにも便利ですし、寒いときにはショールになります。(笑)
逆に夏は暑いですし、御髪が乱れもしますので女性は気をつけた方がよいかと。

フィルムはコダック、フジからカラーネガ、カラーリバーサル、モノクロが各種販売されています。
問題は現像処理やプリントをどうするかです。
カラーの場合、現像は出来てもその後のプリントで困ることが多いようです。
伸ばしが出来る現像所は限られています。
モノクロは自家現像も出来ますし、プロラボも数カ所あります。
コンタクト、引き伸ばし両方対応できるようです。
また、フラットベッドスキャナーで取り込み、インクジェットで出力というのも今後の流れになるかも知れません。PCを使う利点は自分ですべてをコントロールできるというところです。

水準器はカメラの水平出しに利用しますが、三脚についている場合もあります。
大判カメラはまず水平出しからセッティングが始まります。

ブロアーブラシは屋外での撮影に必需品です。
屋外ではすぐにレンズやカメラにほこりが付着します。
レンズはレリーズ前にブロアーすると良いでしょうし、フィルムホルダーも装着前にほこりを落とすと不具合が少なくなるでしょう。

巻き尺は近接撮影の時に露出倍数計算に利用します。蛇腹の長さを測るので、1メートル以下の長さで十分でしょう。

だいたいこれぐらいの備品があれば撮影に支障ないのですが、あまりあれもこれもと持っていくと荷物が増えてしまいます。

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8x10カメラ基礎講座4

三脚の準備
8x10カメラで使用する三脚は大型三脚と呼ばれる大きくて重くて値段の高い三脚です。
大きなカメラがぶれないように固定するにはどうしても大きな三脚が必要となります。
最近はカーボン三脚もありますが、値段と重さの釣り合いを考える必要もあります。
国産品で実質8x10カメラ使用可能としているのはスリックの大型三脚だけのようです。
外国製ではジッツオが種類も多いようですが、一式で10万円近くの出費が必要です。

スリックではカーボン三脚 グランドプロ CF-3,4が対応品、アルミではザ プロフェッショナルNシリーズが対応品。
私はザ プロフェッショナルSP Nというものを購入しました。
これはエレベーターを伸ばさない状態で1340ミリしかないのですが、8x10カメラを通常使用する場合、これ以上高いとフォーカシングスクリーンの上面まで目が届かないのです。
だからこれだけの高さがあれば目線での撮影には十分なのです。
縮小時には755ミリとコンパクトで重さも5.4キロと軽い。

ジッツオだとG1415+G528、G1505+G528などがコンパクトで対応できそうです。

三脚と同時に必要なのは雲台です。
これも8x10カメラ使用を考えると大型のものが必要です。
スリックのザ プロフェッショナルNシリーズは雲台付属ですが、すこし小振りな印象を受けます。
さすがにジッツオでも大型のものは種類が少ないようですし、実質G1570Mだけと考えて良いのではないかと思います。

8x10で広角レンズだけ使用する場合は、中型の三脚でも使用できるかも知れません。
ただしどの三脚ならOKかは、使用状況によって結果は異なりますから、なんとも言えませんが。

心菊斉

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8x10カメラ基礎講座3

レンズの準備
8x10カメラに使用するレンズは「大判レンズ」と呼ばれるものです。
国産と外国製が出回っていますが、種類は多くありません。
販売しているお店も多くはありません。

使用できるレンズの基準はイメージサークルの大きさです。
イメージサークルとは、レンズが写し出せる画像の大きさの直径の事です。
レンズは丸く画像を写し出すのですが、そのサークルがフィルムより大きくなければフィルムに写らない部分が出てきます。
8x10フィルムは対角が約312ミリありますから、イメージサークルがそれ以上ないとフィルムの隅は画像が写らない状態になります。
したがって8x10カメラで使用するレンズはイメージサークルが312ミリ以上必要です。
以上というのは、8x10カメラでは「あおり」という操作でレンズとフィルムの関係を上下左右にずらして撮影することが多いので、ずらす分だけイメージサークルに余分がないとやはりフィルムに写らない部分が出てくることになるからです。

そういうことでイメージサークルが312ミリ以上のレンズを探すと数が限られてきます。
さらに望む焦点距離のレンズを探さないといけません。
8x10で使用するレンズ換算は35ミリカメラのレンズの約7倍の焦点距離となります。
たとえばライカの標準レンズ50ミリは8x10では360ミリ。
35ミリは240ミリか250ミリ。
実際は大判レンズが35ミリカメラに換算すると何ミリに相当するかと計算することが多い。
480ミリは65ミリ相当。
300ミリは43ミリ相当。
180ミリは25ミリ相当。
150ミリは21ミリ相当。
ただし8x10フィルムと35ミリフィルムでは縦横比が異なるので大まかな対比となります。

自分がどんな写真を撮りたいのかで使用するレンズを選ぶことになります。
多くの8x10ユーザは広角側で街を撮ることが多いようで、250ミリ以下のレンズを使用するようです。
ではどんなレンズがあるのでしょうか?
国産レンズではニコンが製造を止めてしまったのですが、中古品が市場に流通しています。
富士フイルムも一部レンズの製造を取りやめたようです。

おもに市販されているレンズの種類は、先に紹介したナショナル・フォートのサイトでわかります。
思ったより多くはありませんし、思った以上に値段が高い。
実際の販売価格はこれより少し安いのですが、欲しいレンズが売っているとは限りません。
市場に流通していないレンズがたくさんあります。
それを取り寄せると割り引きは低くなるようです。

中古レンズを購入する場合、不具合を確かめることができる目があるか、保証があるかなどリスクを伴うことを覚悟しなければなりませんが、どうしてもすでに新品では手に入らないレンズが多い8x10レンズですので仕方ない面もあります。

レンズを買ったときにレンズボードも必要になります。
レンズボードはレンズをカメラに装着するための板です。
レンズボードには種類があり、カメラ側でつけられるボードの種類も決まっているので、それを確かめて購入する必要があります。
わりと多いのがリンホフ規格ボードの使用です。
ボードはシャッターの種類によって3種類の大きさの穴で区別されます。
穴の小さい方から0番、1番、3番と呼ばれます。
現在市販されるレンズはこの3種類のシャッターが付いていますので、レンズのシャッターにあったレンズボードを購入する必要があります。
できればお店でレンズボードを取り付けてもらうと、工具を買う必要がなくなり節約になります。

心菊斉
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