時のしずく

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怒涛の琳派!第三弾  「THE 琳派展」 -畠山記念館

2015年02月21日 16時16分14秒 | 美術・工芸

2015年 2月14日(土) 

港区 畠山記念館にて

 

バレンタインデーに女友達と「THE 琳派展」に行ってきました。

畠山記念館は荏原製作所の創立者の畠山一清氏が集めた茶道具のコレクションを中心に展示している小さな博物館です。白金の静かな住宅街にあり、建物も日本庭園もどれも趣味が良くって、都内のお気に入りの場所の一つです。

それに小さくて収蔵品の数は少ないのに国宝をはじめ素晴らしい物が多い博物館!畠山一清氏が素晴らしい数寄者であり、その精神が引き継がれているからでしょう。

この畠山記念館が開館50年を記念して、琳派コレクションの展覧会「THE琳派」を開催しました。

14日は1点1点を約1時間かけてキュートな女性の学芸課長が解説してくれました。解説の時間はものすごい人でごった返していました。前週のTV日曜美術館でこの展覧会が取り上げられた影響もあると思いますが、茶道具や日本画等々を鑑賞するには多すぎです。でも、上野の美術館などで人がごった返すのとは雰囲気が違って、あんまり嫌な感じがしませんでした。

今回の展覧会も私の好きな「下絵・俵屋宗達、書・本阿弥光悦」の作品がありました。重要文化財に指定されている「金銀泥四季草花下絵古今集和歌巻」で、これもまたすばらしかったです。巻物の中段が見られるようになっていたのですが、小さな蕾のついている梅の枝がすっ、すっと伸びている絵に、細く早い筆でさらっと和歌が書かれ、なでしこの花の絵に変わったところで、太い筆跡に変わります。(私に和歌の教養があれば、もっと深く理解できるのに・・・と悔やみますが、しょうがない。)本当に、絵を見ていると音楽が聞こえてくるのです。もし、この巻物を手に取って、巻きながら見ることができるのなら、よけいそう感じると思います。(できるなら、そんなことしてみたい!)

この「下絵・俵屋宗達、書・本阿弥光悦」の作品はいくつか作られていますが、これらの作品群を学芸員の方たちは『若松』と愛称で呼んでいるということでした。これからは、私も学芸員の方のように『若松』と愛称で呼びたい。

展示されていた茶道具の中では、なんてたって、重要文化財に指定されている本阿弥光悦の「赤楽茶碗 銘 『雪峯』」が圧倒的な存在感でした。構台が小さかったらしく、焼いている途中で割れたお椀を金で継いで完品とした本阿弥光悦はすごい感性の持ち主だと思いました。(茶道具は割れを面白さとして見るのがこのころから始まったらしいのですが・・・)

美意識は時代によって変化するのに、この時代を超えて共感できるのはどういうことなんでしょう? 永遠の美と言うのがあると信じても良いのでしょうか?

 

 

●畠山記念館

  

(畠山記念館HPから)

 

●赤楽茶碗 銘 雪峯 本阿弥光悦作

腰から胴にかけて丸く張り、鞠のように円満な姿をしているこの赤楽茶碗は、「光悦七種」の一つに数えられる。全体にやや厚めで、内側に抱え込むような口縁から胴、高台にかけて、太くて大きな火割れがあり、いずれも金粉漆繕いが成されている。「雪峯」の銘は、一方の口縁から胴にかけてなだれるようにかけられた白釉を、山嶺に降り積もる白雪に、また火割れを雪解けの渓流になぞらえて、光悦自ら命銘したといわれる。(畠山記念館HPから)

 

●重要文化財《金銀泥四季草花下絵古今集和歌巻》本阿弥光悦書・俵屋宗達下絵

本阿弥光悦と俵屋宗達が共同制作した金銀泥下絵和歌巻は、京都国立博物館の重要文化財《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》などが知られていますが、こちらも極めて質が高い逸品です。

下絵の宗達は、線を描かずに濃淡だけで描く「没骨法(もっこつほう)」で、四季を表現。光悦は古今和歌集から十九首の和歌を選び、絶妙なリズムで文字を配しました (畠山記念館HPから)


怒涛の琳派! 第二弾  「燕子花と紅白梅 光琳アート展」  -MOA美術館

2015年02月21日 15時29分03秒 | 美術・工芸

今年は琳派にとって区切りの年なので、全国でたくさん琳派の展覧会が開かれます。

「怒涛の琳派!」として、第一弾は琳派と深いつながりのある日本橋三越で開催された『岡田美術館所蔵 琳派名品展』をレポートしましたが、そのあとも友人を誘って、2月に第二弾、第三弾と琳派の展覧会を見てきました。

自分の心に響く作品は見てると、背中がゾクゾクしたり、知らない間に口元がゆるんだりしてしまいます。理屈じゃなく、体が感動します。「怒涛の琳派 第二弾、第三弾」も、背中がゾクゾクの連続でした♪

 

怒涛の琳派!第二弾  『燕子花と紅白梅 光琳アート展』

 2015年 2月8日(日) 

 熱海市、MOA美術館

ずっと見たかった尾形光琳の国宝「紅白梅図屛風」、ずっと行きたかった熱海市のMOA美術館、どちらも2月8日に実現しました!

MOA美術館で、尾形光琳の代表的な国宝2点が一挙に展示されるという、琳派LOVE人には夢のような展覧会「燕子花と紅白梅 光琳アート展」が開催されました。

MOA美術館は作品の収蔵量も多く、建物や庭も素晴らしい美術館と聞いていましたが、東京から遠いので、これまで行くのを躊躇していました。今回は、代表的な収蔵品の国宝「紅白梅図屛風」と合わせて、同じ光琳の代表作で、根津美術館の収蔵品、国宝「燕子花図屛風」も同時に展示するということで、熱海までがんばって行ってきました。

初めて実物を見た「紅白梅図屛風」は、凛としていて品格の高さを感じました。図録やテレビで見ていたときには感じられなかった高貴な雰囲気が画面から漂っていました。

下地の金の処理もすごいし、梅や川の絵に光琳の技量が光っています。それに何といっても大胆で斬新な構図にタメ息ものでした。・・・言葉ではうまく説明ができないのですが、本当に近寄りがたさが感じられる絵でした。

根津美術館の収蔵品国宝「燕子花図屛風」はこれまで、根津美術館で何回か見ていますが、こうして「紅白梅図屛風」向かいに展示されていると、これまでよりも、さらにこの屏風のリズミカルな絵の調子とか、軽快さが強く感じられまいた。

 

これ1点だけでも遠くまで行って良かったけど、それだけじゃありませんでした。

宗達から現代作家まで、たくさんの作品で琳派の流れが分かりやすく展示されていました。

今回の展覧会で一番背中がゾクゾクしたのは、加山又造の群鶴図です。

ここ5年くらい、日本画で描かれる鳥が大好きになっています。鳥は単に鳥を写生したのではなく、作者の思想や主義、意志等々、いろいろな内面が投影されています。書物などと違って、一見しただけで、それらが私に向かって一挙に押し寄せてきます。群鶴図の鶴たちが語らずして、本質的なことを私に見せつけているような気がするのです。(ごめんなさい。思いをうまく伝えるすべを知りません。) 

会田誠の「群娘図’97」も面白かったです。(会田誠の2012年12月に森美術館で開催された個展「会田誠展: 天才でごめんなさい」を見逃して自他踏んでいたので、ちょっとだけ見られて嬉しかったのもあります。)

会田誠にも琳派の血が流れているんだなぁと、作品の前でしみじみしてしまいました。

ランチにおいしいお魚の定食を食べて、帰りに展望日帰り温泉に寄って贅沢な一日でした。

 

 

●国宝 紅白梅図屛風 尾形光琳 MOA美術館蔵

白梅の樹幹の大部分を画面外にかくし、紅梅は画面いっぱいに描き左右対照の妙をみせ、中央に水流を配し末広がりの曲面をつくり上げた構図は光琳の独創といえる。後に光琳梅として愛好される、花弁を線描きしない梅花の描き方や蕾の配列、樹幹にみられるたらし込み、卓越した筆さばきによる水紋などすぐれた要素が結集して、画面に重厚なリズム感と洒落た装飾性を与えている。(MOA美術館HPから)

 

●国宝 燕子花図屛風 尾形光琳 根津美術館蔵

『伊勢物語』第九段東下りの八つ橋に取材し、金地に群青と緑青の2 色でカキツバタを描いている。同じ花群を反復して画面が構成されており、型の使用が推測される。右隻の花群の根元や左隻の花の上辺はジグザグ状をなしリズム感を出している。(MOA美術館HPから)

 

●群鶴図 加山又造 キリンホールディングス株式会社蔵

又造は、日本美術の伝統である様式化とそこからくる装飾的表現を、古典に立ち戻り自らの作品に試みている。本図は、光琳、抱一、其一と継承された群鶴図をモチーフとし、単純な配色を避けるため絵絹(えぎぬ)に厚めのプラチナ箔を貼った下地を用い、胡粉と墨、金、深紅朱によって丹頂鶴の優雅さを表現している。北海道釧路の雪原で百羽ほどの丹頂鶴を間近にした作者の感動をもとに、長年の構想によって制作された。(MOA美術館HPから)

 

●群娘図’97  会田誠 個人蔵

作者本人の言葉を借りれば「ノーマン・ロックウェルの風俗的リアリズムと尾形光琳の意匠的様式化が渾然とした、海のものとも山のものともつかない珍妙なイラストレーション」とのことだが、東京の女子高生と修学旅行中の地方の女子中学生を横一列に置く構図は「燕子花図」に借りたものであり、「群娘」と書いて=「群青」と読ませ、「燕子花図」を想起させる。女子中高生好みの、サンリオやディズニーのキャラクターを刷り込ませている。(MOA美術館HPから)