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ゴルゴ13の謎 Mystery of G

ちょっと辻褄が合いません、という程度の謎の考察だよ。

日本人・東 研作

2014年01月03日 | 1971年~1975年
SPコミックス第14巻、第1話。1972年6月作品。

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 PART タイトル
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 1 夕焼けを背に
 2 マンディと大山
 3 日本へ来た目的は!?
 4 過去への追跡
 5 東京発〝ひかり〟最終
 6 〝古都〟は静かに
 7 それはハプニング!?
 8 モンタージュの顔
 9 伊藤忠政のI機関
 10 そこに見た!!
 11 伊藤屋敷の〝亡者〟
 12 大山狙撃さる!!
 13 私は狙われている!!
 14 職務質問
 15 危険は突然!!
 16 武器密輸団
 17 〝Z〟の正体
 18 そして・・・・〝彼〟はふり返らなかった

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 ゴルゴノート
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今回の仕事はフィリピン情報局からの依頼だった。標的は東南アジアを根城にする武器密輸団の頭目、伊藤忠政。

この伊藤忠政はマニラに拠点を置いてギャングや反政府ゲリラに大量の武器を供給している。この男、戦時中は日本陸軍の情報部上級将校だった。中野学校の陰の創設者の一人とも言われている。戦後はGHQの意向で〝I機関〟と呼ばれる特殊工作グループを設立してアメリカの手先となって暗躍していたようだ。それが今では武器密輸団のボス。

たまたまだが、アメリカの著名なジャーナリスト、マンディ・ワシントンがこの密輸団の実態を『東南アジアの暗雲』という本で暴露した。奴らは相当な打撃をこうむったようで、伊藤はマニラにいられなくなり10年ぶりに日本に帰国して身を隠した。伊藤の居所を探すのは骨の折れる仕事だなと思案していたが、吉報が入った。

歩調をあわせるようにマンディも日本に来ていたからだ。彼は密輸団のボスを〝Z〟と呼んでおり正体はまだ掴んでいない。だから伊藤を追って来たわけではない。ではなぜ、日本にきて同業者の大山英雄に会ったのか? 

マンディの意図はわからないが、伊藤がマンディを付け狙っているのは確かだ。マンディをマークしていれば伊藤のところに行きつくだろう。俺はマンディのあとを金魚の糞よろしくついて回った。

マンディは大山と赤坂で会ったあと、二人して一ツ橋にある榊原実の邸宅を訪れた。榊原商事社長宅だ。後の調べでわかったことだが、ここの社長夫人は2週間ほど前、ラスベガスで交通事故にあい即死している。

二人が榊原邸を出たところで、何者かがクルマで近づき発砲した。二人はとっさに避けて無事だった。命を狙ったのか威嚇だったのかは不明だが、武器密輸団、伊藤の差し金だろう。

そのあと二人は東京発、新大阪行き〝ひかり〟最終列車に乗った。さすがに誰かに追われていないかビクついている。

彼らが降りたのは京都。時刻は11時を回っていた。こんなに夜更けに彼らがタクシーを乗り付けたのは植物園の北にある古い館だった。俺は陰に隠れて様子をみていた。二人は玄関で中からでてきた老婦と一言二言話している。なにやら写真をみせているようで、それを見た老婦は驚いたようにニ人を家の中に招き入れた。どうやら彼らの目的は人探しのようだ。



これも後から調べたことだが、この古い館は現在は没落して朽ち果てているが戦前は東家という由緒ある家柄で財閥でもあった。ラスベガスで亡くなった榊原実の妻の実家がここ東家であった。旧姓、東千恵子。戦後、千恵子は母と兄の三人でここに住んでいたが、ある日、惨劇が起こった。泊まりに来ていた母の愛人、アメリカ進駐軍の将校と母親が情交中に射殺されたのだ。撃ったのはなんと、当時まだ10歳だった兄の研作だった。東研作、彼はまだ子どもゆえ許され東京の遠縁にあたる伊藤家に引き取られた。伊藤? そう〝I機関〟の伊藤だ。 

俺はここで一仕事した。マンディたちを狙っていた男を始末した。ここで案内人を失うわけにはいかない。

どうも、マンディは東研作を追いかけて日本に来たようだ。東研作か・・・・。会ったことはないが俺に似た人物だったらしい。マンディの狙いが分かってきたよ。ひとつ脅かしてやるか。

翌日、マンディはホテルで大山と彼が連れてきた京都府警の河野という捜査官と会っている。昨夜の俺が起こした事件か、あるいは伊藤何がしのことか。俺はホテルのロビーでマンディにわざと姿をみせてやった。音の出ない悲鳴を上げてマンディは完全にフリーズ。咥えていたタバコが火のついたまま開いて固まった口から落ちていく。我に返ったマンディはすっ飛んで行くと大山を連れて戻ってきたが、当然、俺はすでに行方をくらましていた。

ただしここで俺はミスをした。京都府警の河野にも姿を見られマークされてしまった。昨夜の殺しの一件だろう。俺はホテルからある人物に連絡を入れた。『マンディを追跡せよ』と。この人物は信用のおける俺の秘密探索員だ。俺はホテルを出て河野に尾行されながら京都を散歩したあと京都駅に向かった。河野もついて来た。

俺は探索員の連絡でマンディが大山と伏見は深草の伊藤屋敷を訪れたことを知っていた。伊藤屋敷は事前に調査済だ。広大だが今は幽霊屋敷。ここに一人の浮浪者が住み着いている。その昔〝I機関〟員だった男だ。マンディらは多分、仲間の東研作のことを聞き出していたのだろう。大山が撃たれたのも聞いた。マンディはわざと外したのだろう。きっと、ボスの伊藤忠政が部下に、東京に戻ったマンディを拉致せよと指図しているはずだ。

俺は探索員と連絡をし合い、マンディと同じ新幹線に乗るのに成功した。京都府警の河野も乗って来た。当然、探索員も彼らにわからないように乗っている。

新幹線は東京に着いた。俺は河野に職務質問をされ所持品検査をされたが特に何かが出てくるわけがない。駅を降りてからもしつこくあとをつけられたが、雑踏の中に俺は消えた。一方、マンディはやはり拉致されてボスのところへ連れて行かれたようだ。俺は連絡員から聞いた標的のアジトが見渡せるビルに立ち、狙いをつけた。



ジェット・ストリーム

2013年12月19日 | 1971年~1975年
SPコミックス第19巻、第1話。1973年10月作品。

240人の乗客と21人の乗務員を乗せたトランス・アトランティク航空901便は、明るく澄み渡った大西洋上を、ロンドンに向かって飛んでいた・・・・・・。

あと1時間でロンドンのヒースロー国際空港に到着とのアナウンスに、乗客の男3人と女ひとりが行動を開始した。ハイジャックだ!

給油のためヒースローに一旦着陸した901便。ロンドン警視庁はハイジャク犯との交渉を進める一方で、乗客名簿から犯人の特定を急ぐ。その中に気になる人物が含まれていた。その名はデューク・トーゴー。


ハイジャック犯の紅一点ダイアン
機内のトイレでスカートの中に隠し持った拳銃と手榴弾を取り出す
搭乗前の金属探知検査で見つかりそうな気もするが・・・・



雪は黒いドレスの肩に

2013年12月11日 | 1971年~1975年
SPコミックス第10巻、第1話。1971年3月作品。

雪が降る夜のシカゴ。看板ダンサーのロージィが仕事を終えてアパートに帰る。今日は給料日か。何日ぶりかで恋人のジョニイが帰ってきた。でもまたお金を全部奪って出て行っちゃった。お腹には赤ん坊がいるのに・・・。もう死んでしまおうか。子どものころ自殺したママのことを思い出す。コンッ、コンッ。誰、ドアをノックするのは。むかいの部屋のエドモンド・ウィルソンです。



幸少ないロージィを見兼ねた金持ちで親切な男エド。エドはロージィに求婚し、雪の日、町の教会で挙式した。新婚旅行はパリ。教会を出てクルマに向かう二人にゴルゴの影が・・・

ウエディングドレスは純白。タイトルの黒いドレスは出てこないのだが・・・???



ROOM・NO.909

2013年11月17日 | 1971年~1975年


SPコミックス第11巻、第1話。1971年10月作品。

マンハッタンの高層ビル31階、地上100mの高さで、窓越しにマフィアの大物が頭を撃ち抜かれて殺された。駆けつけたニューヨーク市警のサム・シャイアンはガラス窓と壁の弾痕から犯人の狙撃方向を割り出す。その方向には80メートルと230メートル先に二つのビルがあった。しかし、ビルのこちらに対面する側には窓が一つもない。犯人はどこから撃ったのか?

そこへパトロール中の警官が見つけたという薬きょうを別の刑事が持ってくる。狙撃のあったほぼ同じ時刻に拾ったという。発見場所は直線で500m以上先の路上。

早速、そこにあるビル(アパートメント)に行き、909号室の男を捜査。ゴルゴに会ったサムは一目で「こいつはプロだ」と確信する。そしてビルのゴミ溜めから狙撃ライフルを発見。お前が犯人だ!

狙撃を実証するためベランダに出たサムがライフルを構えスコープを覗く。事件のあったハリソン・ビルをキャッチできたのか?

なんとスコープの中は、ビルとビルの隙間を通してハリソン・ビルがかすかに見えるだけ。「こ、これでは・・・・」

そのとき署から電話。頼んでおいた午後5時前後の気象の回答だ。「東の風、風速6.2」

犯人は間違いなくやつだ。だが、
・6.2メートルの横風
・目測を誤りやすい日没間ぎわの時刻
・500メートル以上の遠距離
この悪条件で12人の陪審員を納得させることができるか。

『ノットギルティ(無罪)』だ!!

ゴルゴは無言で去る。

そんな凄腕のプロがなぜ薬きょうを落とすようなミスをしたかって。
「あれは俺たちをからかったのさ」(サム)
刑事たちを乗せたクルマはマンハッタンの夜景の中に消えていく。

実際は狙撃の瞬間、背後で猫が音を立てた。本能でゴルゴは次の弾を準備。ボルトハンドルを引く。薬きょうが飛び出し非常階段を転がり落ちていく。

まあ、こんなストーリだ。

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疑問はスコープ。倍率は10倍もないと思うが、10倍なら距離500mなら50m先に見えるようになる。ゴルゴが狙撃のとき照準のT字線は標的の男のおでこにまで拡大されて描かれている。それがサム刑事だと標的のビルが遠くに見えるだけ。これでは肉眼と変わらん。絵の描き方がおかしいのでは。まさかゴルゴの視力がいいので男の顔まで見えたわけではあるまい。

現在では倍率の変更できる(10倍~50倍)スコープもあるようだが、ゴルゴの使ったウェザビー・マグナム・マークVに付いているとは思えない。ついていればサム刑事も使うだろう。

狙撃のプロはスコープなしで300mならヘッドを撃てると言うから、ゴッドハンドのゴルゴなのでスコープつけたら横風6.2メートルでも500メートル先の頭を撃ち抜くだろう。

ゴルゴとサム、スコープの見え方の違いが???

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登場人物ではやはり刑事サムが際立つ。黒人みたいだが、シャイアンという氏からインディアンの血をひく男かもしれない。



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1ユニットの短編だが読み応えのある出色の作品。

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