SPコミックス第14巻、第1話。1972年6月作品。
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PART タイトル
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1 夕焼けを背に
2 マンディと大山
3 日本へ来た目的は!?
4 過去への追跡
5 東京発〝ひかり〟最終
6 〝古都〟は静かに
7 それはハプニング!?
8 モンタージュの顔
9 伊藤忠政のI機関
10 そこに見た!!
11 伊藤屋敷の〝亡者〟
12 大山狙撃さる!!
13 私は狙われている!!
14 職務質問
15 危険は突然!!
16 武器密輸団
17 〝Z〟の正体
18 そして・・・・〝彼〟はふり返らなかった
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ゴルゴノート
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今回の仕事はフィリピン情報局からの依頼だった。標的は東南アジアを根城にする武器密輸団の頭目、伊藤忠政。
この伊藤忠政はマニラに拠点を置いてギャングや反政府ゲリラに大量の武器を供給している。この男、戦時中は日本陸軍の情報部上級将校だった。中野学校の陰の創設者の一人とも言われている。戦後はGHQの意向で〝I機関〟と呼ばれる特殊工作グループを設立してアメリカの手先となって暗躍していたようだ。それが今では武器密輸団のボス。
たまたまだが、アメリカの著名なジャーナリスト、マンディ・ワシントンがこの密輸団の実態を『東南アジアの暗雲』という本で暴露した。奴らは相当な打撃をこうむったようで、伊藤はマニラにいられなくなり10年ぶりに日本に帰国して身を隠した。伊藤の居所を探すのは骨の折れる仕事だなと思案していたが、吉報が入った。
歩調をあわせるようにマンディも日本に来ていたからだ。彼は密輸団のボスを〝Z〟と呼んでおり正体はまだ掴んでいない。だから伊藤を追って来たわけではない。ではなぜ、日本にきて同業者の大山英雄に会ったのか?
マンディの意図はわからないが、伊藤がマンディを付け狙っているのは確かだ。マンディをマークしていれば伊藤のところに行きつくだろう。俺はマンディのあとを金魚の糞よろしくついて回った。
マンディは大山と赤坂で会ったあと、二人して一ツ橋にある榊原実の邸宅を訪れた。榊原商事社長宅だ。後の調べでわかったことだが、ここの社長夫人は2週間ほど前、ラスベガスで交通事故にあい即死している。
二人が榊原邸を出たところで、何者かがクルマで近づき発砲した。二人はとっさに避けて無事だった。命を狙ったのか威嚇だったのかは不明だが、武器密輸団、伊藤の差し金だろう。
そのあと二人は東京発、新大阪行き〝ひかり〟最終列車に乗った。さすがに誰かに追われていないかビクついている。
彼らが降りたのは京都。時刻は11時を回っていた。こんなに夜更けに彼らがタクシーを乗り付けたのは植物園の北にある古い館だった。俺は陰に隠れて様子をみていた。二人は玄関で中からでてきた老婦と一言二言話している。なにやら写真をみせているようで、それを見た老婦は驚いたようにニ人を家の中に招き入れた。どうやら彼らの目的は人探しのようだ。

これも後から調べたことだが、この古い館は現在は没落して朽ち果てているが戦前は東家という由緒ある家柄で財閥でもあった。ラスベガスで亡くなった榊原実の妻の実家がここ東家であった。旧姓、東千恵子。戦後、千恵子は母と兄の三人でここに住んでいたが、ある日、惨劇が起こった。泊まりに来ていた母の愛人、アメリカ進駐軍の将校と母親が情交中に射殺されたのだ。撃ったのはなんと、当時まだ10歳だった兄の研作だった。東研作、彼はまだ子どもゆえ許され東京の遠縁にあたる伊藤家に引き取られた。伊藤? そう〝I機関〟の伊藤だ。
俺はここで一仕事した。マンディたちを狙っていた男を始末した。ここで案内人を失うわけにはいかない。
どうも、マンディは東研作を追いかけて日本に来たようだ。東研作か・・・・。会ったことはないが俺に似た人物だったらしい。マンディの狙いが分かってきたよ。ひとつ脅かしてやるか。
翌日、マンディはホテルで大山と彼が連れてきた京都府警の河野という捜査官と会っている。昨夜の俺が起こした事件か、あるいは伊藤何がしのことか。俺はホテルのロビーでマンディにわざと姿をみせてやった。音の出ない悲鳴を上げてマンディは完全にフリーズ。咥えていたタバコが火のついたまま開いて固まった口から落ちていく。我に返ったマンディはすっ飛んで行くと大山を連れて戻ってきたが、当然、俺はすでに行方をくらましていた。
ただしここで俺はミスをした。京都府警の河野にも姿を見られマークされてしまった。昨夜の殺しの一件だろう。俺はホテルからある人物に連絡を入れた。『マンディを追跡せよ』と。この人物は信用のおける俺の秘密探索員だ。俺はホテルを出て河野に尾行されながら京都を散歩したあと京都駅に向かった。河野もついて来た。
俺は探索員の連絡でマンディが大山と伏見は深草の伊藤屋敷を訪れたことを知っていた。伊藤屋敷は事前に調査済だ。広大だが今は幽霊屋敷。ここに一人の浮浪者が住み着いている。その昔〝I機関〟員だった男だ。マンディらは多分、仲間の東研作のことを聞き出していたのだろう。大山が撃たれたのも聞いた。マンディはわざと外したのだろう。きっと、ボスの伊藤忠政が部下に、東京に戻ったマンディを拉致せよと指図しているはずだ。
俺は探索員と連絡をし合い、マンディと同じ新幹線に乗るのに成功した。京都府警の河野も乗って来た。当然、探索員も彼らにわからないように乗っている。
新幹線は東京に着いた。俺は河野に職務質問をされ所持品検査をされたが特に何かが出てくるわけがない。駅を降りてからもしつこくあとをつけられたが、雑踏の中に俺は消えた。一方、マンディはやはり拉致されてボスのところへ連れて行かれたようだ。俺は連絡員から聞いた標的のアジトが見渡せるビルに立ち、狙いをつけた。
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PART タイトル
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1 夕焼けを背に
2 マンディと大山
3 日本へ来た目的は!?
4 過去への追跡
5 東京発〝ひかり〟最終
6 〝古都〟は静かに
7 それはハプニング!?
8 モンタージュの顔
9 伊藤忠政のI機関
10 そこに見た!!
11 伊藤屋敷の〝亡者〟
12 大山狙撃さる!!
13 私は狙われている!!
14 職務質問
15 危険は突然!!
16 武器密輸団
17 〝Z〟の正体
18 そして・・・・〝彼〟はふり返らなかった
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ゴルゴノート
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今回の仕事はフィリピン情報局からの依頼だった。標的は東南アジアを根城にする武器密輸団の頭目、伊藤忠政。
この伊藤忠政はマニラに拠点を置いてギャングや反政府ゲリラに大量の武器を供給している。この男、戦時中は日本陸軍の情報部上級将校だった。中野学校の陰の創設者の一人とも言われている。戦後はGHQの意向で〝I機関〟と呼ばれる特殊工作グループを設立してアメリカの手先となって暗躍していたようだ。それが今では武器密輸団のボス。
たまたまだが、アメリカの著名なジャーナリスト、マンディ・ワシントンがこの密輸団の実態を『東南アジアの暗雲』という本で暴露した。奴らは相当な打撃をこうむったようで、伊藤はマニラにいられなくなり10年ぶりに日本に帰国して身を隠した。伊藤の居所を探すのは骨の折れる仕事だなと思案していたが、吉報が入った。
歩調をあわせるようにマンディも日本に来ていたからだ。彼は密輸団のボスを〝Z〟と呼んでおり正体はまだ掴んでいない。だから伊藤を追って来たわけではない。ではなぜ、日本にきて同業者の大山英雄に会ったのか?
マンディの意図はわからないが、伊藤がマンディを付け狙っているのは確かだ。マンディをマークしていれば伊藤のところに行きつくだろう。俺はマンディのあとを金魚の糞よろしくついて回った。
マンディは大山と赤坂で会ったあと、二人して一ツ橋にある榊原実の邸宅を訪れた。榊原商事社長宅だ。後の調べでわかったことだが、ここの社長夫人は2週間ほど前、ラスベガスで交通事故にあい即死している。
二人が榊原邸を出たところで、何者かがクルマで近づき発砲した。二人はとっさに避けて無事だった。命を狙ったのか威嚇だったのかは不明だが、武器密輸団、伊藤の差し金だろう。
そのあと二人は東京発、新大阪行き〝ひかり〟最終列車に乗った。さすがに誰かに追われていないかビクついている。
彼らが降りたのは京都。時刻は11時を回っていた。こんなに夜更けに彼らがタクシーを乗り付けたのは植物園の北にある古い館だった。俺は陰に隠れて様子をみていた。二人は玄関で中からでてきた老婦と一言二言話している。なにやら写真をみせているようで、それを見た老婦は驚いたようにニ人を家の中に招き入れた。どうやら彼らの目的は人探しのようだ。

これも後から調べたことだが、この古い館は現在は没落して朽ち果てているが戦前は東家という由緒ある家柄で財閥でもあった。ラスベガスで亡くなった榊原実の妻の実家がここ東家であった。旧姓、東千恵子。戦後、千恵子は母と兄の三人でここに住んでいたが、ある日、惨劇が起こった。泊まりに来ていた母の愛人、アメリカ進駐軍の将校と母親が情交中に射殺されたのだ。撃ったのはなんと、当時まだ10歳だった兄の研作だった。東研作、彼はまだ子どもゆえ許され東京の遠縁にあたる伊藤家に引き取られた。伊藤? そう〝I機関〟の伊藤だ。
俺はここで一仕事した。マンディたちを狙っていた男を始末した。ここで案内人を失うわけにはいかない。
どうも、マンディは東研作を追いかけて日本に来たようだ。東研作か・・・・。会ったことはないが俺に似た人物だったらしい。マンディの狙いが分かってきたよ。ひとつ脅かしてやるか。
翌日、マンディはホテルで大山と彼が連れてきた京都府警の河野という捜査官と会っている。昨夜の俺が起こした事件か、あるいは伊藤何がしのことか。俺はホテルのロビーでマンディにわざと姿をみせてやった。音の出ない悲鳴を上げてマンディは完全にフリーズ。咥えていたタバコが火のついたまま開いて固まった口から落ちていく。我に返ったマンディはすっ飛んで行くと大山を連れて戻ってきたが、当然、俺はすでに行方をくらましていた。
ただしここで俺はミスをした。京都府警の河野にも姿を見られマークされてしまった。昨夜の殺しの一件だろう。俺はホテルからある人物に連絡を入れた。『マンディを追跡せよ』と。この人物は信用のおける俺の秘密探索員だ。俺はホテルを出て河野に尾行されながら京都を散歩したあと京都駅に向かった。河野もついて来た。
俺は探索員の連絡でマンディが大山と伏見は深草の伊藤屋敷を訪れたことを知っていた。伊藤屋敷は事前に調査済だ。広大だが今は幽霊屋敷。ここに一人の浮浪者が住み着いている。その昔〝I機関〟員だった男だ。マンディらは多分、仲間の東研作のことを聞き出していたのだろう。大山が撃たれたのも聞いた。マンディはわざと外したのだろう。きっと、ボスの伊藤忠政が部下に、東京に戻ったマンディを拉致せよと指図しているはずだ。
俺は探索員と連絡をし合い、マンディと同じ新幹線に乗るのに成功した。京都府警の河野も乗って来た。当然、探索員も彼らにわからないように乗っている。
新幹線は東京に着いた。俺は河野に職務質問をされ所持品検査をされたが特に何かが出てくるわけがない。駅を降りてからもしつこくあとをつけられたが、雑踏の中に俺は消えた。一方、マンディはやはり拉致されてボスのところへ連れて行かれたようだ。俺は連絡員から聞いた標的のアジトが見渡せるビルに立ち、狙いをつけた。