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ゴルゴ13の謎 Mystery of G

ちょっと辻褄が合いません、という程度の謎の考察だよ。

最後の間謀―虫(インセクト)―

2014年12月01日 | 1966年~1970年
SPコミックス第3巻、第6話。1969年12月作品

スイス銀行へ預金残高確認に赴いたゴルゴ。そこで待っていたのは〝虫〟による抹殺計画だった。一歩手前で危機を脱出したゴルゴは自らの全てを賭けて虫と対決する。

600万ドルの仕掛け
ゴルゴのスイス銀行預金600万ドルとはいかほどのお金か。

1969年当時の為替は1ドル360円時代だから日本円で21億6千万円。日本で起きた三億円事件が1968年12月。当時3億円あれば一生、銀行利子で楽に生きていけると言われた。なにしろ10年定期なら年8%~10%の利子がついた時代だ。

サラリーマンの給料だって現在の10分の1程度。逆に言うと10倍ほどのお金の価値があったということか。その時代の20億円だから600万ドルは桁外れの大金といえよう。

この600万ドルは殺しの報酬だ。1件あたり5~10万ドルの報酬を得ていたゴルゴ。10万ドルとしても60回分。ひと月に2回仕事をするとして3年ないし4年ほどの稼ぎを溜めこんだものだ。もちろん資産は銀行預金だけではなくいろんな方面に投資しているだろうが虫1匹相手に莫大な費用をつぎこんだものだ。

この金で超大作映画なみに第2次世界大戦の舞台をつくりあげたのだ。


虫の正体
虫の正体を暴くためナチスの鉤十字(ハーケンクロイツ)を甦らせたゴルゴ。虫はその術中にはまり正体を現す。

虫はイスラエル諜報組織のかげの実力者
虫の正体を知る者は世界中で4人(米英仏ソのスパイ組織のボス)
その昔(戦時中)は世紀の美貌とまでうたわれた

はたして虫の正体は――その名はマザーヨシュア

マザーヨシュアの謎
(1)ヨシュアの名前の謎
ヨシュアとは旧約聖書によるとユダヤ人の指導者で、モーゼ(映画「十戒」の主人公)の後継者。約束の地カナンを制圧した人物。また現代においてもヨシュアはユダヤ系の男性の名前だという。だからヨーロッパにおいてはヨシュアといえばユダヤ人の男性なのだ。よって〝マザーヨシュア〟と名のる修道女なんてのは非常に奇妙な話。

(2)ゴルゴに裏の仕事を依頼した謎
これは前作『ベイルートVIA』で述べるべきだったかも知れないが、修道女に変身している姿を晒してまでゴルゴに会って仕事の依頼をする必要があったのか。彼女の実体はイスラエルのスパイだが、表の顔はスイスの小さな村マットブルンネンの教会に住む修道女だ。表と裏の両方の顔を知っているのは世界に4人だけ。すなわち米英仏ソのスパイの親玉たち。表の顔で裏稼業の話ができきるのは彼ら4人だけにしているから秘密が守られてきた。なのになぜ、マザーはゴルゴに直接会って裏稼業の仕事の依頼をしたのか。これが謎だ。ゴルゴへの依頼はCIAのフーバーかMI6のヒュームに任せておけばいい。なにも自分が身分を明かしてまでゴルゴに会うことはないんだ。

ゴルゴは依頼者のことは徹底的に調査する。スイスの修道女のマザー(指導者)がアラブゲリラ抹殺の依頼とは普通ではない。そしてゴルゴと会ったマザーはアラブとイスラエルの闘争の根深さをとうとうと語る。私はその筋のものです、と言っているようなものだ。要するにここで正体を現しているのだ。なぜ?

(3)ゴルゴ暗殺指令の謎
マザーヨシュアがゴルゴ暗殺をスイス銀行の頭取に命令したのも謎だ。殺しの指令はゴルゴがベイルートへ立つ前の日に出している、ということはゴルゴが仕事に出かける前だ。ゴルゴにゲリラ抹殺の仕事を頼んでおきながら、同時にスイス銀行にゴルゴ殺しの罠を仕掛ける。自分の正体を知るゴルゴを消すためか? それなら最初からゴルゴに会わなかったらいいだけの話なのだ。

(4)丘の上の教会にひとり住む謎
教会に修道女がひとりで住んでることも奇妙だ。普通は男性の司祭か神父かが教会の主で修道女が主ではない。あるいはここは教会でなく修道院か。マザーなら修道院の院長だ。それなら何人かのシスターがいないとおかしい。

(5)マザーがゴルゴ生存を知らなかった謎
暗殺指示を出せば、その結果を見届けるのは常道。失敗すれば恐るべき敵となるゴルゴが相手だ。ゴルゴの怖さはよくよく承知のマザーなのに全くわれ関せずはなぜだ。スイス銀行資本を動かせるほどの影の実力者だ。ゴルゴ暗殺の成否を知るぐらい朝飯前だろう。ゴルゴ暗殺が失敗なら当然、次の策を講じるはず。むざむざと600万ドルの罠、25年前の戦時中にタイムスリップなんてものに引っ掛かるはずもない。世界中にその情報網がおよぶスパイ中のスパイ、虫(インセクト)がゴルゴの生存や600万ドルの買い物をキャッチできないわけがない。

600万ドルの罠の後始末
突然、まわりが25年前の戦時中にタイムスリップ。連合軍の兵隊が教会に来てドイツ軍が攻めて来たので一緒に逃げろと言う。村に行けばみんな避難したあと。そしてマザーも難民と共にダグラスDC4型機に乗って上空へ。そこえドイツ空軍のメッサーシュミットが襲いかかる。ダダダダ・・・。たまらずマザーは「こちらインセクト(虫)!」とドイツ空軍に無線で呼びかける。



600万ドルで仕掛けたゴルゴの罠にはまったマザー。しかしこの後始末は容易ではない。

正体を現したマザーは当然、即刻抹殺。しかし雇った搭乗員たちにはどう説明するのか。それに難民に扮するエキストラたち。彼らの目前でマザーを殺すわけにもいくまい。

いやそもそも集めた俳優やエキストラにはマザーのことをどう説明していたのかも興味あり。教会に乗り込んだ連合軍の兵隊にはどう説明していたのか。マザーを騙すために。これこれの演技をしてくれ、となっていたはず。マザーを騙すため、マザーの部屋のラジオやカレンダーまで仕掛けをしていたが、そんなことをいつのまにやったのか。

まあフィクションの世界ではあるが、このシナリオ通りことがうまくいくのは無理があると思うなあ。その力は世界におよぶと思われる虫(インセクト)にしてはゴルゴに対する策がなさすぎる。これじゃ普通のおばあさんだ。

そもそも600万ドルという今まで命を懸けて稼いだ全財産(とまではいかないだろうが)をつぎ込んでまで対決する相手ではない。アラブゲリラ抹殺の依頼をうけた時点でマザーが諜報組織の影の人物であることは明白だ。戦時中に世紀の美貌とまでうたわれたスパイならその後の足跡ぐらいゴルゴの情報網なら掴んでいるはずだ。〝虫=マザー〟は600万ドルを懸けるほどの値打ちがあるとはホント思えない。あまりに虫が弱すぎる。

ベイルートVIA

2014年11月03日 | 1966年~1970年
SPコミックス第3巻、第5話。1969年11月作品

パレスチナゲリラの指導グループ〝スパイダー6〟の壊滅を請けおったゴルゴ。報道記者に変身しグループに接近するが何者かに狙撃され負傷してしまう・・・・。だがこれはゴルゴが仕組んだもの。CIAやKGB、MI6たちが殺人組織を作りお前たちを狙っているとの情報をエサに〝スパイダー6〟に潜入したゴルゴはメンバーを次々と抹殺していく。

パレスチナ問題
オスマン帝国が支配していたパレスチナはもともとアラブ人が住んでいたところ。そこへ金持ちのユダヤ人が入り込みアラブ人の対立が起こる。第一次世界大戦でドイツ側についたオスマンを潰すためイギリスはこの対立を利用した。両方の民族にオスマンを追い出したら、お前たちにここで国をつくらせてやる、とけしかけた。その裏でオスマンの土地は英・仏・露の3国で分割統治する契約がなされており、戦後、パレスチナはイギリス統治国となる。そのためパレスチナは益々両者の対立が激しくなっていく。そして第二次世界大戦が終わるとホロコーストで世界の同情を集めたユダヤ人はパレスチナにイスラエル国家を建設する。これに怒ったアラブ人との間に3度の戦争が勃発するが財力にものを言わせたイスラエルが近代兵器で優り、またアメリカの援護もあり(米国の政財界にはユダヤ人が多いため)アラブを撃退。パレスチナを我が物にする。そのため多くのパレスチナ難民(パレスチナに住むアラブ人)が隣国のヨルダンやレバノンに逃走した。まともに戦っては勝てないと悟ったアラブ側はパレスチナ解放機構(PLO)を再編しパレスチナ奪還のため激しいゲリラ戦を展開する。

ざっと、こういう背景なり経緯がパレスチナにはある。首都ベイルートを持つレバノンはキリスト教徒とイスラム教徒が混在しているので政府としては中立の立場を守ってる。しかしゲリラたちはおかまいなくイスラエルを攻撃する。やられたイスラエルはレバノン政府に圧力をかけゲリラ鎮圧を迫る。そこでレバノン政府軍とアラブゲリラの交戦となるわけだ。

ゴルゴに仕事をす頼むのはイスラエルだ。なにしろ金持ちが多い。アラブだって石油成金が大勢いるよ。そうだけどゴルゴにはあまり仕事はこない。

依頼者は修道女
今回の依頼者はマザーヨシュア。修道女シスターの指導者ですね。このマザーが米英仏ソ4か国のスパイの親玉を集めてミーティング。スパイダー(アラブゲリラ)にはスコーピオン(ゴルゴ)を、とゲリラ暗殺計画を主導するマザーはいったい何者か?

MI6(英国情報部)のヒュームが、おなつかしい、と言い、フランス情報部のオマイリーはマダムと呼ぶ、このマザーヨシュア。昔はどこかの国のスパイのボスだったに違いない。

ゴルゴを撃った男
停戦協定の共同記者会見場で、報道記者になりすましたゴルゴを離れたビルから窓越しに狙撃したのは誰か? 男(女ではないだろう)はスコープ付の狙撃銃でゴルゴの左肩を撃ち抜いた。これはゲリラたちに、自分も狙われていると思わすための偽装工作だが、一つ間違うと命取りだ。不思議なことにこの狙撃者については作品の中でも全く記述がない。さてゴルゴが依頼したプロのスナイパーとはいったい誰だ?



虫(インセクト)
最後にやられたスパイダー6のアルドウがゴルゴに言った臨終の言葉「おれたちを殺して一番とくをするのは・・・・虫・・・やつに・・・・おまえ・・・・」

1969年6月作品の『ゴルゴin砂嵐』でゴルゴが無線機でソ連ミサイル技術者の居場所を聞き出した相手だ。イスラエル国防相の片目のダヤンいわく「アラブ連合側にわれわれが買収した虫とよばれる男がいる」

虫(英語でinsect)の暗号名を持つ人物とは? ゲリラの言った、一番得するのは虫?

次作『最後の間謀―虫―』で全資産を投げ打って虫と対決するゴルゴ!乞うご期待!


猟官・バニングス

2014年10月29日 | 1966年~1970年
SPコミックス第3巻、第4話。1969年9月作品

ゴルゴのすべてを洗い上げたインターポール(国際刑事警察機構)の刑事バニングス。彼の調査資料をもとに囮(おとり)捜査を画策した機構に反旗を翻し、一人でゴルゴを追い詰める。

ICPOインターポール
ICPOは国際刑事警察機構(International Criminal Police Organization)の略称である。仕事は国際犯罪の情報提供、犯罪対策のための会議開催、国際手配書の発行など加盟国への情報伝達機関としての役割が強い。ICPO内にも捜査を行う部署は存在し、国際犯罪捜査の指揮を執ることはあるが、国家主権上の問題から犯罪者の逮捕はその国が行う。また司法警察権は各国にあるので、世界中で活動する(できる)『国際捜査官』は存在しない。本部はフランスのリオンである。

国際捜査情報のデータベースがICPOの役割で、バニングスや本作で囮捜査をするような刑事はいないわけです。まあ、そこはフィクションだからいいとしておこう。

甘すぎる囮捜査
世界中でゴルゴの手口と性格を知るたった一人の刑事バニングス。その彼の調査結果から企てた囮捜査が甘すぎる。ゴルゴが狙撃のために現れるであろう資産家コーナンの邸宅には、屋敷の中に偽物コーナンとICPO捜査官3人それに警察犬4匹だけ。

ゴルゴは広い庭の一角にある樹木にタイマーで発射する狙撃銃を設置し、同時に嘔吐ガスボンベまで用意していた。邸宅内ぐらいはちゃんと見張ってろよICPO。まったく間抜けなICPO捜査官たちだ。どこにバニングスの調査したゴルゴの手口が捜査に活かされているのか、さっぱりわからん。

もともと囮往査などゴルゴはお見通しだ。まず、資産家コーナンの殺害依頼者がコーナンの妻で女捜査官がなりすまして、ゴルゴに面談する。コーナン自体はよく似た犯罪者を偽物に仕立て上げたが、女房のほうは捜査官ではちと甘い。ゴルゴの情報網ならすぐに偽物と探り当てるだろう。何しろ仕事の依頼者については事前に徹底的に調べるのがゴルゴ流だ。

まったく相手にならないインターポールであった。

ゴルゴは偽物コーナンを連れ去り、新聞記者立ち会いで囮捜査の手口を証言させテープに吹き込む。これでインターポールに逆襲か。

対決のとき
クライマックスはラストシーンのゴルゴとバニングスの対決だ。囮捜査など成功するはずもないと確信したバニングスは辞表を出し刑事をやめてゴルゴに戦いを挑む。「おまえに手錠をかける方法はただひとつ・・・・」ゴルゴ「おれを死体にしてからというわけか」



バニングスが左に跳びながら腋の下に手をいれる。ゴルゴは右に跳んでホルダーの銃を取る。バニングスのリボルバーが火を吹く。ゴルゴのセミオートが火を吹く。バニングスの方が速い!? あれ? 倒れたのは偽物コーナン。

バニングスはゴルゴではなく偽コーナンを撃った! そして自分はゴルゴに撃たれバタン。

ゴルゴのバニングスへの弔いの花束は、偽コーナンの証言テープだ。ライターで火を点け燃えていくテープ。

〝バニングス、あんたの心意気に免じてインターポールへの逆襲はあきらめるよ〟こんな感じか。

バニングスの心理
これがわからん。あんたは刑事なんだよ。ゴルゴの捜査に執念を燃やすのはいい。しかし囮捜査をするなら俺は刑事をやめてゴルゴを殺す、という心理がわからん。囮捜査なんてそんなに深刻になることなのか。逆にゴルゴに囮捜査の実体を公表されても、あんたがどうなるわけでもなし。囮捜査を画策したのは上層部のお偉方なんだから。わからん。そこまでインターポールあるいは警察の名前を護りたいのか。

ということで本作はストーリーに説得性がなく、迫力を欠く一品となりました。

駅馬車の通った町

2014年10月26日 | 1966年~1970年
SPコミックス第3巻、第2話。1969年7月作品

仕事を終え逃走する途中でクルマが故障、しかたなく近くの小さな町で二日に一便しかこない汽車を待つはめになったゴルゴ。しかしそこはゴロツキどもが支配する無法の町だった。

ポイ捨て
ハイネックのシャツに粋なジャケット、右手にアタッシュケース、そしてお決まりのくわえタバコで古ぼけた線路の上を町の方に歩いて行くゴルゴ。「ぺ!」吸いさしのタバコを指で弾いてポイ捨て(ぺ!じゃなくてピン!のほうがいいよ)。これって環境汚染のひとつじゃない。後々ゴルゴが環境保護に関心を示す話があったように思うが、ポイ捨ては一生治らんようだ。

お疲れ
線路を歩いてやっと駅に辿り着いたゴルゴ。駅と言ってもプラットフォームは木の板を張り合わせただけのもの。ドサッと壊れかけたベンチに座りこむ。大層お疲れのようです。こんなに疲れたゴルゴみたことない。

地図にない町
ここはどこか。ネバダ州トノパーから南東へ70キロ・・・・国境に近い町バレンネス。グーグル地図で確認、トノパーから南東へ300キロほどがラスベガス。その間、町らしきものはありません。確かに地図にもない忘れられた町だ。この町にも二日に一便だけ列車がやってくる。PM7時50分。で、今何時? ゴルゴの影をみると昼下がりと言った感じ。いつまで列車を待つの? 明日の晩まで。ひえー!

いじられ嬲られおもちゃにされるゴルゴ
ゴロツキどもにしたい放題されるゴルゴ。ここまでやられて大人しく黙ってるゴルゴ。今日はいったいどうなってるの。

・吸っているタバコを取り上げられる
・武器をもっていないか3人がかりで身体検査をされる
・ナイフを顔の真横に投げつけられる
・着ている白いハイネックのシャツを手ぬぐい代わりに使われる
・ウイスキーのグラスにソースをドクドクと注ぎ込まれ飲まされる
この様を見た、同じように足止めをくっていた女性(商売女)に「だらしない男」とさげすまされる。

しかしよく我慢するねゴルゴ。背後に立たれただけで、どんな相手であろうが鉄拳をお見舞いして半殺しにするのに今日はどうなってんの。完全にどMになってしまったゴルゴ。

脅かされては立つモノも立たない
ゴロツキどもの悪ふざけはますますヒートアップ。ホテルに足止めしたある男に女とコトをやるように脅す。銃でおどされた男は観念した女にいどむが肝心のムスコが言うことをきかない。まあそうだろう、それが普通の男だ。

夜、寝静まったホテルの一室に女がやってきた。ゴルゴの部屋だ。「あんたは違う。脅かされても顔色一つ変えなかった。」なさけない男とさげすんだが、そこは商売女。男の見る目が違う。女が思った通りゴルゴは立つモノを立たせた。

13発の処刑
ダディとリッキーという父子が、恨みをもつ保安官を殺すためこの町にやってきた。他のゴロツキは刑務所仲間かなにかだろう。奴らがやってきてはや4日。その間、やりたいほうだい。そしてついに5日目の夕方6時30分、保安官を十字架に縛りつけて13人のゴロツキが1発ずつ銃弾を撃ち込む。13発目をボスのダディが打ち込むと息子のリッキーがサーティーンと言う。それを聞いた親父が「ゴルゴサーティーン」の記憶を蘇らせる。多分、刑務所かどこかで会ったのだろう。ゴルゴサーティーンという死神に。

ゴルゴが出てきて「そろそろ汽車も来る・・・・いかせてもらうぜ・・・・」。その一言にリッキーが「こいつ、こんな場面を目撃しておいて、あんなこと言ってるぜ、おやじ!?」まあ、町の者から、通りがかりのものまで皆殺しにするつもりでいたのかなあ。しかし親父は「い、いかせろ」そりゃそうだ、死神を怒らしたらえらいことになる。だがバカ息子は「何をびくついてるおやじ、こんな野郎」とゴルゴに銃を向け撃ってしまう。さあ大変だ。いままでさんざんオモチャにされても黙っていたゴルゴ。堪忍袋の緒が切れた!

さっと、身を隠すや、アタッシュケースを開け愛用のライフルを組み立て、ガガガガガガガガ!!!ゴロツキどもが血だるまになってゴロゴロ。最後にひとり残ったおやじ「うたないでくれーゴルゴ」と哀願するが、ゴルゴ、ガガガガッと4発お見舞い。

ポォォーと汽車の来る音が夕闇に響く

劇画「子連れ狼」
今回のストーリは後に小池一夫原作、小島剛夕画の「子連れ狼」でリメイクされる。映画では若山富三郎主演の「子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる」で登場。無法者たちに牛耳られた湯治場に身分を隠して入り込んだ拝一刀が、ゴロツキどもにさんざん嬲られるが、最後に全員ぶった切る。

拝は頼まれた仕事をする機会を待つまで我慢していたわけだが、本作のゴルゴの心境はわからん。仕事すまして逃げる途中の出来事なので、最初に駅でなぶられたときにぶち殺していていいんだ。

13人抹殺のあと始末は?
ゴロツキといえども13人全員を撃ち殺して町を出ていくゴルゴ。このあと始末はいったいどうなることやら。殺害は衆人環視のもとに行われたし、ボスがゴルゴと言っているのも聞いていたどろう。警察が来たらその男はラスベガスで訪米中の西ドイツ要人の暗殺犯とすぐに嗅ぎ付けるだろう。なにしろ各州境に非常線をはって総動員体制で犯人を捜索しているんだ。のんびり汽車に乗っている場合ではないように思うが。まあ、町の人間たちが本当のことを言うかどうかはわからんけど。しかし、13人のゴロツキの死体を見ればやったのは普通の人間でないことは明らか。これはプロの所業。

殺害現場を衆人に晒してそのまま出ていくゴルゴ。ちっとまて、現場を見られたら原則、目撃者は始末するんだろう。どうなってるのか今回のゴルゴの心理状態???




ゴルゴin砂嵐

2014年10月24日 | 1966年~1970年
SPコミックス第2巻、第6話。1969年6月作品

アラブ諸国に包囲されたイスラエル。そんな状況のなかソ連がアラブにミサイルを与えて攻撃をけしかけていることを諜報部が察知した。イスラエル統合参謀本部のダヤンはミサイル部隊を指揮するソ連の技術将校を抹殺し、同時にアラブ連合へ先制攻撃をかける決断をする。第三次中東戦争勃発の舞台裏で暗躍する女スパイとゴルゴ!

本作の主人公は冒頭から登場するピチピチの娘。イスラエルに住みながら何やら諜報活動をしている。どうやらアラブ側の二重スパイのようだ。イスラエル諜報部での名前はミス・ヘーゼラー・フロイライン(以下略してフロイ)。ダヤンの命令でゴルゴをソ連技術将校の居場所を知る虫(インセクト)と連絡できる場所まで案内する。虫という暗号名の人物はアラブの高級将校でイスラエルが買収した男、とダヤンは説明している。

虫との連絡方法はハンディトーキー(トランシーバー)で世界中に4個しかない。送信方法は「プレーストーク方法」と言っているが、これは「送信ボタンを押している時に音声送信状態」になる方式のこと〝Press Talk〟 。他のトーキーでは周波数同調ができなくなっている。通信可能距離は500mだ。毎日23時ジャストに連絡を取り合う。この連絡が取り合える場所はエジプトはカイロの近辺。

フロイとゴルゴはスーダンのヌビア砂漠にパラシュート降下。ヌビア人の衣装に着替えて熱砂の中をカイロに向かう。途中、砂漠で一休みし2時間ほど昼寝。その眠ったゴルゴにフロイが背後からナイフを振りかざす。だがゴルゴの袂から狙っている銃口を見てあきらめる。よくあるパターン。

このフロイはなかなか良い娘だ。目がぱっちりと大きく童顔ながら、身体は肉感あふれるナイスボディ。しかし性格は勝気で出世願望が強く、男を利用し不要になれば簡単に始末してしまう非情さを持つ。まあでもゴルゴには敵うまい。いつ合体するんだこの2人。

2人はスーダンとエジプトの国境付近、ワジハルファでアラブの戦車隊に出くわす。アラブ諜報部の基地のひとつだ。ここはフロイの機転で通過、というか元々アラブ諜報員なので顔はきく。ジープまで借り出してカイロに向かう。それをゴルゴが「どんな手品を使ったんだ」と皮肉る。私のほうが能力は上ね、と張り合うフロイが可愛い。

カイロ近くのベニスエフで「ここが虫との連絡場所よ」とフロイはゴルゴとホテルに入る。実はこれは彼女の罠で仲間のアラブ諜報員のフロント係に「部員を集め1時間後に部屋に踏み込んで」と頼む。1時間の猶予。この時間でゴルゴと肉弾戦を交えようとの魂胆だ。「体じゅうが砂だらけ」とゴルゴの前で恥ずかしげもなく服を脱ぐフロイ(中年のおばさんか)。シャワーがすむと「タオルとってくれない?」とフロイ。仕方なく目を瞑ってタオルを投げるゴルゴ。けっこう細かいとこまで描き込んでますね。

シャワーを交代しゴルゴがパンツ一丁で出てくるとベッドには裸のフロイ。両手を頭の後ろに組んで豊満なバストを露わに「虫と連絡をとるまでひとつ部屋に男女がいたら・・・」と、なんだかんだと言ってゴルゴを流し目で誘う。こうなるだろうとゴルゴも気づいていたか、2人の肉弾戦開始。童顔が女の顔になり悶えるフロイ。

コトが済んで余韻に浸るなか、ノックの音が・・・。「さきほどご注文のビールをおもちしました」服を着てドアを開けるフロイ。ベッドのゴルゴはいい気持ちで夢の中。ふふふ、やっておしまい!

銃を持った4人の仲間がなだれ込み、ガガーン、バキューンと発砲。しかしゴルゴはその前に体を翻しベットの下に隠しておいたライフルを掴むやいなや、ババババウと反撃。たちまち4人の男は血しぶきを上げて吹っ飛ぶ。これを見てフロイ唖然。「情事のあとのムードにしてはちょっとはげしすぎやしないかな?」と余裕のゴルゴはフロイを殺さず、ほんとうの〝虫への連絡場所〟へ案内するよう誘う(というより命令だ)。

しかし愛用のアーマライトM16をベッドの下に隠しておくとは流石に用心深いゴルゴ。自分を消しに来るかどうかは半々ぐらいの気持ちだったのではないかな。

そしてついに指定連絡場所にやってきたゴルゴとフロイ。ゴルゴはその指定場所を避け近くの軍用建物の2階に入り込み、定時の23時に虫とコンタクト。必要な情報を聞き取ったゴルゴは射殺したアラブ将校の服に着替え追手を巻いて脱出する。フロイは?いやアラブ諜報部での名前〝アリゲータ(ワニ)〟はどうなったか?

追手のアラブ将兵たちが曲者はヌビア人の衣服と思い込んでいるのを幸いに、ゴルゴはその恰好をしたフロイに銃を突き付け部屋の外に追い出す。「うたないでっ、私はちがう!」フロイの言葉も空しく将兵たちの銃が火を吹く。銃弾を浴びテラスからもんどり落ちるフロイ。「油断するな、まだ中に仲間がいるぞ」将兵たちをけしかけて逃げるゴルゴ。ふと振りかえった路上の先にはフロイが血まみれで横たわっていた。

まんがチックな明るさをもったヒロインの最後にしてはちょっと惨いのでは。まあ二重スパイの末路はこんなものだろうが。いつもながらのゴルゴの非情さが際立つラストシーンでもあった。なんかフロイを助けてやる手立てはなかったのかな。彼女もけなげによく尽くしたと思うけどなあ。



いやいや、これだけゴルゴに楯突いた女だ。許すはずはない。仕事の現場を目撃されたら、どんなに愛した素人女でも始末するゴルゴだ。

ソ連技術将校を抹殺されミサイル部隊が沈黙したアラブ連合。イスラエル空軍の奇襲でなすすべもなく制空権を奪われ第三次中東戦争はアラブの大敗で決着したのだった。

なおダヤンは実在の人物で第二次世界大戦で左目を負傷し独眼の将軍といわれた。第三次中東戦争前にイスラエル国防相になっている。だからほぼ劇画通りの人物なのだ。