ほんとうの夕焼け

どっしりと雲のかかった谷に

わたしは今日　生まれた

車がやたら通る

自転車もそろそろ灯りを点けて

 

こんなに香りのしない秋は初めてだ

毎年飽くほどご馳走が並ぶのに

雲がこんこんと

新しい雲を呼ぶだけだ

 

ランナーの背に　しかし

夕焼けが見えた

屋根や電信柱のもっと向こう

地平線　幅数センチ

 

ほんとうの夕焼けよ

もっと姿を見せてみろ

もっと赤く燃えてみろ

そして団子のひとつも持ってこい