飽食山河

詩を書いています。感想、コメント歓迎です。

午後三時

2016-09-02 10:26:49 | 2016.04

宿りすぎた邪心を

どうにもさっぱりしたく

日曜日

等圧線のおせっかいな鞭がしなり

私のベランダに森が降る

心配はまだ電線の辺り

子どもたちの声に

木々は分別くささを取り戻し

ただ風にそよぐだけ

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キンギョソウ

2016-08-20 16:13:34 | 2016.04

白い敷物の上に

私は寝転んでいる

昼二時頃の決まりとして

 

腹這いの向こうに

私のベランダと空がある

空には木と鳥がいて

いつも季節を教えてくれる

 

私はけさ

鉢植えのキンギョソウを抱いた

静かにふるえるもも色の金魚と

はじけるのを待ついくつもの泡たち

どんな煙草よりもおいしく

どんな映画よりもせつない

 

ああ

このまま雨が降りそうだ

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自律

2016-07-16 09:31:05 | 2016.04

考えは

あたまの後ろから入ってくる

悪いとき

それがすぐこめかみの方へ回って

まるで地球の自転がいくつもあるみたいだ

良いとき

円柱とも四角柱ともつかない

ふとい支持に私は貫かれる

目や耳や鼻を迂回せず

あたまから背骨を深くしなやかにささえる

私はそれを

人格と呼ぶ

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段ボール

2016-07-14 12:47:52 | 2016.04

段ボールに

私は居ます

水が嫌いです

たまに虫と遭います

あまり食ってくれるなと

注意します

 

段ボールの服も

私は着ます

ところどころ

へこんでいます

着たまま眠っても

怒られません

 

段ボールを

お茶でふやかして

口に入れてみました

味付けを忘れたので

なんだか虚しくなり

地面に捨てました

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四月の屋上

2016-07-13 08:37:07 | 2016.04

この屋上は

おおきなハテナ

きみはだれ

ノゲシだよ

やっぱりあのハテナの煙突から

やって来たのかね

13階の

デパートの

あの人この人のハテナ

切なさの

カケラもない

ダクト

きみはだれ

ラベンダーです

もうすぐ花が咲きます

幸いここには

車のガスは届かない

放置されるハテナ

何かあったし

これから何かあるかもしれない

唯 鳥居だけが

ぴかぴかにみがかれて

ハテナを気にする人は

たぶん いない

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望郷

2016-07-11 19:58:06 | 2016.04

顕微鏡で

あなたは見えない

細やかな心を持っているはずなのに

望遠鏡で

あなたは見えない

遠い街に住んでいるはずなのに

久々の便りにも

あなたは見えない

それはあまりに静かだったから

 

自転車にあなたを載せて走ったあの日

私はあなたを置き忘れたのかもしれない

 

名前と

イニシャルと

爪と

髪のくせ

香り

 

私の生活から

いつの間にか消えていた

あなた

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2016-07-09 07:04:20 | 2016.04

死なないで

セメントに

鉄骨に

ペンキに

絶望しても

あなたの髪が風に揺れるのを

ちゃんと見てるから

死なないで

人ごみの中で

あなたのかわりに

捨てられ

踏みつけられ

消えてしまいそうな

ハンカチがあるから

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老女

2016-07-06 17:04:14 | 2016.04

気のふれた老女が

石を撫でながら昔の人を呼ぶ

ロングランの芝居にでも来たように

名前に向かって話しかける

 

背負った赤ん坊を

過去にひきずりこんで眠らせるように

刻まれた文字をひとつ ひとつ読み上げながら

女らしい律義さで

闇を破って詣でを続ける

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