飽食山河

詩を書いています。感想、コメント歓迎です。

2016-08-31 10:04:48 | 2016.05

あの人の描く

純粋に工学的に精密な

丸が

ある時

僅かに

楕円になったのを

私は見た

 

丸の

描き始めの点を

収束させようとして

あの人の肩に力が入るのを

私は見た

 

それまでは

世界のあらゆる色や

質感や

それらを駆動させる

指を持っていた

あの人

 

丸を描き損じたために

あの人は

ろうそくを

皆に持たされた

 

炎は蝋を殺しながら生きる

 

雨や風に

脅かされる

あの人の魂を

私は

悲しむ

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木・紙・金

2016-08-30 14:03:31 | 2016.06

木は紙になるのに

紙は木にならない

虫は紙を喰うけど

構わず木も喰う

 

誰だ

金を喰うのは

紙の金だぞ

新しくてすごいんだぞ

誰だ

 

カミキリムシは言う

金を喰う人間、

そいつは貧乏人に決まってる

金持ちなら木を喰って

あちこちに幼虫を育てている筈だ

 

たいへんだ

紙が喰われる

圧倒的多数の貧乏人どもに

ムシャムシャムシャと

字も読まずになあ!

 

木はパルプになって

紙になり

金になるそうな

金持ちの手柄に違いない

だって金持ちは命令するから

薬を撒けとか

紙幣の色合いを変えろとか

 

知らなかったが

金を全く持たないのが

本当の金持ちなんだそうな

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夢のほころび

2016-08-27 10:25:41 | 2016.07

蝶のように

閃きが舞い

短い覚醒

幾度となく

 

腐りゆくあなたを

抱きしめたが

いつもの館内放送で

私は事務員

 

校庭の木々の間に

夢のほころび

追うもの

残像

 

現実もまた

金網一枚へだて

あなたがいる

体臭

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参った

2016-08-25 18:26:49 | 2016.07

参ったな

女は皆 女の考えが分かる

それも完璧に

隠すと具合が悪くなり

出すぎも蓋でガツンとやられる

また 女の皆が皆

各自の蓋を持っているので

参るしかないのだ

 

女には身体が必要なようで

実はそれほど重大じゃない

服も化粧も当然不要

女が女を見る眼

それと少しの声量があれば

安泰

強いからたくさん捨ててきた

 

これからも数十年

女であり続けるので

参りました

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K

2016-08-24 16:32:11 | 2016.06

あんた線香花火みたいじゃん

大口叩いといてさ

あっと言う間もなく

消えちゃった

 

きれいだったし

やさしかったけど

いなくなっちゃったじゃん

燃えカスも無く

 

あんたひょっとして

自分であの細い紐

持ってたの

そんで汗か涙の一滴で

消えちゃった

 

死ぬとか殺すとか

狂うとか滅ぶとか

夢みたいなことばっか言ってさ

意味無いってやっとわかった

 

これぜーんぶ

あんたにあげる言葉だよ

あんた今どこまで行ってんの

行き先ぐらい教えてよ

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手を握られたら

2016-08-23 16:49:10 | 2016.05

手を握られたら

うわあってビックリする

手を放り出して

一目散に逃げたくなる

レントゲンの拘束からもダッシュ

ドアノブを回す手がないから

口や肘でどうにかする

信号も無視して走る

とにかく何かを目印にして

街じゅうの騒音を踏んづけながら

跳び出す

そのうち

身体のアチコチ

落としたり削れたりする

心臓だけになるまで

ビックリし続ける

手を握られたら

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キンギョソウ

2016-08-20 16:13:34 | 2016.04

白い敷物の上に

私は寝転んでいる

昼二時頃の決まりとして

 

腹這いの向こうに

私のベランダと空がある

空には木と鳥がいて

いつも季節を教えてくれる

 

私はけさ

鉢植えのキンギョソウを抱いた

静かにふるえるもも色の金魚と

はじけるのを待ついくつもの泡たち

どんな煙草よりもおいしく

どんな映画よりもせつない

 

ああ

このまま雨が降りそうだ

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我こそ時代なり

2016-08-19 12:55:24 | 2016.07

戦え我が軍よ

命投げ捨て突き捨て丸め捨て

腐して養分になり

灰汁として尽くせ

 

戦え我が軍よ

若さたぎらせ跳ね出せ弾となれ

血肉敵軍に降り

空も手に入れろ

 

鋼の精神

休まぬ循環

我こそ時代なり

 

戦え我が軍よ

命投げ捨て踏み付け砕け散れ

戦え我が軍よ

若さたぎらせ差し出せ産め増やせ

 

決して沈まぬ

地軸の循環

我こそ時代なり

我こそ我こそ我こそ

我こそ時代

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Baby いつねるの

2016-08-16 09:16:31 | 2016.07

Baby いつねるの

くらくなるの まってたら

朝になっちゃった

からだ あついまま

 

Baby 眼とじなよ

息をはいて よこになり

ぜんぶ わすれてさ

タバコの火 けして

 

ちょっとしたコツ

ねるには

決して ねようと

おもわないこと

 

Baby いつねるの

なつかしくて あったかいこと

考えてさ

だれか よこにいる

 

Baby 眼をとじて

それからあと ひえてくる

かおも てあしまで

きもちいいでしょう

 

ちょっとしたコツ

ねたなら

ゆめを みようと

おもってみること

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飽食

2016-08-15 12:18:12 | 2016.07

いったい私の身体には養分が回っていないらしい

 

爪も割れるし髪は抜けるばかり

皮膚だってなかなかめくれ落ちない

 

キャベツや卵など

どこをどう巡って消えてしまったのか

 

おまけにまとまって陽を浴びないせいで

変にヒョロヒョロ伸びている

 

スーパーの野菜

市場の削り節

コンビニのラーメン

 

それら全てが視覚と嗅覚に尽きて萎える

 

私の舌はめったにしゃべらないからどうしようもない

 

たまに逆流する胃液や落ちてくる鼻水を反射でもって選り分けるだけ

 

死のみぎわに食べたいものを問われても困るし

 

これが飽食かと朝に夕に思う

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