思えば、あの時もそうだった。細川政権誕生で、野に下った自民党は野党として党を立て直し政権奪還に挑むのではなく、政策や理念を二の次に、結局は55年体制の同志社会党と手を組み、とりあえず政権に復帰した。
これによって、日本は新しい政治の夜明けが遠のき、長期政権による制度疲労が再びはじまり、最後は風前の灯ともいえる小泉政治によって政治システムは機能不全に陥った。
政権交代は起こるべくして起こった。それは二大政党時代の始まりのはずだった。しかし、自民党は権力ボケから脱皮できず、再びこの国の政治が生まれ変わるチャンスの芽を摘もうとしている。今度もまた、挙党一致で根本から党を立て直すどころか、与党の足並みの乱れに乗じて、離党、新党、ガラガラポンで政界再編を目論む。
与謝野馨が新党を結成するということは、私が総裁候補として推す後藤田も行動を共にするということだろうか。当然、本人は期待されているという自覚などないだろうが、追随するなら極めて残念だ。自民党から年寄りが抜けるのは痛くもかゆくもないが、若手、中堅が抜けるといよいよ自民党は崩壊する。そうなると、民主党に代わり次の政権につくのは寄せ集め新党と公明党による第二次新生党ということになるのか。
かつて小沢一郎が犯した失敗を、今度は自民党側にいた人間が繰り返そうとしている。皮肉なことである。