さてさて火曜日の午前中にサットン・フォスターさん等によって
ノミネートが発表されました。
観劇日記は週一更新のつもりで書いてますが
とうとう賞レース本番ということで勝手に今年のノミネート作品を紹介していきます。
まずは皆さん注目のミュージカル作品賞
Bring It On:The Musical
A Christmas Story, The Musical
Kinky Boots
Matilda the Musical
この4本。
なんとどの作品も映画のミュージカル化作品なんですね。
まあMatildaは映画自体がもともと児童小説をもとにしているので
ちょっと意味合いが違いますが
完璧なオリジナルな作品は一つもないわけです。
昨今のブロードウェイミュージカルの現状を反映したラインナップです。
因に今期の選考対象新作ミュージカルを振り返ってみますともれたのは
Chaplin
Scandalous
Hands On A Hard Body
Motown
の4作品。
そもそも新作ミュージカルが8本しか開いてません。
リヴァイヴァルはというと詳しくはまた書きますが本数だけで5本しか開いてなく
ノミネートされるのは4本。なんだかノミネートのハードルは高くなさそうですね。
まあオンにあがってくる作品というだけで選ばれた作品ということでしょうか。
今期は不作の年と言われていてオープンした作品が結局13本だけ。
因に他の演劇賞を参考までにちらっとみてみましょう。
Outstanding Award Best Musical
A Christmas Story: The Musical
Giant
Hands on a Hardbody
Here Lies Love
Matilda
Natasha, Pierre & The Great Comet of 1812
The Other Josh Cohen
この賞はプロダクションの規模を問わずに賞を選定するので
Off作品やoff,off作品もノミネートされています。
なんとこちらには「Kinky Boots」がノミネートされていません。
代わりに「Hands on a Hardbody」が滑り込んでます。
「Giant」「Here Lies Love」はPublic Theatre製作の秀作。
「Natasha, Pierre & The Great Comet of 1812」はoff,offというかレストランで上演されていた話題作。
これだけ観れてないんです。残念。
「The Other Josh Cohen」はoffのコメディーミュージカル。
「Kinky Boots」が評価されない理由はわからないわけでもないので後で書きますが
今年のラインナップを眺めるとやはり今年はOffの方が盛り上がっていた気がしますね。
もう一つ参考までに。
OUTSTANDING NEW BROADWAY MUSICAL
Chaplin: The Musical
A Christmas Story
Hands on a Hardbody
Kinky Boots
Matilda the Musical
こちらは「Bring It On:The Musical」の代わりに
「Hands on a Hardbody」と「Chaplin: The Musical」が入ってます。
不動の3作品は
A Christmas Story
Kinky Boots
Matilda the Musical
の3作品ということですね。
かすらなかったのは「Scandalous」と「Motown」可哀相。
ここから下は追記です。書き忘れてた大事な賞。
Drama League Awards Distinguished Production of a B'way or Off-B'way Musical
Dogfight (Off-B'way)
Here Lies Love (Off-B'way)
Kinky Boots (B'way)
Matilda The Musical (B'way)
Motown: The Musical (B'way)
Murder Ballad (Off-B'way)
Natasha, Pierre and the Great Comet of 1812 (Off-B'way)
「Dogfight」は「A Christmas Story」コンビのオフミュージカル。
渡米前だったので観れてません。
「Murder Ballad」は大好きな作品。既に3回も観てます。
今年一押しの作品で再演がいま行われております。
「Motown」がやってノミネート。「Scandalous」だけがまったくかすらず。
「Matilda」と「Kinky Boots」は不動です。
追記はここまで。
以下は作品の紹介と予想です。
まず今期最多の13ノミネーションの「Kinky Boots」
元の映画が好きな私にとってはちょっと物足りなかった作品ですが
評価の高さは予想通り。
ニューヨーカーが泣いて喜ぶ作品だと思います。
イギリスの倒産寸前の紳士靴工場が起死回生のために
ドラッグクイーン用のブーツ(キンキー・ブーツ)を作って
ミラノの見本市に出品するってお話。
脚本は「Newsies」「Torch Song Trilogy」「la Cage aux Folles」を手がけた
Harvey Fierstein。
音楽はあのシンディー・ローパー。
初のミュージカル作曲。
演出・振り付けはジェリー・ミッチェル。
「ヘアスプレー」「ラカージュ」「リーガリー・ブロンド」とかでおなじみですね。
もう作品のドラマなんか関係なく歌って踊ってはっちゃけて
ドラッグクイーンがキラキラした服着て踊りまくるわけです。
はっきり言って映画の良さは半減してますが
エンターテイメントとしてはピカイチ。
シンディーの楽曲はキャッチーでなかなかいいし。
振り付けは当然お得意の感じでまとまってる。
セットにやや説得力がかけるが踊りメインの作品のために
とにかく機能的に使っているという印象。
映画の素敵なシーンがいくつもなくなっていたのは残念ですが
映画を観ずに観ればそんなの関係ありませんからね。
とてもアメリカらしいカラッと明るく観れる作品です。
主演男優賞で二人もノミネートを出していることが
最多ノミネートに弾みを付けた感じですかね。
同じ部門数のノミネートの「Matilda」をそれで一歩リードした形です。
僕の予想としては作品の善し悪しは置いといてNewYorkの演劇賞という
観点で言えばこの作品はかなり有利だと思います。
やはりアメリカ産のアメリカ的作品に賞をあげたくなるもんじゃないでしょうか。
僕の順位とは違いますが・・・
シンディーの作曲賞はかなり確立が高そうですね。
俳優陣にもっと絶対的な魅力があればなあ。
ちょっと期待外れもあったりで。ただ今期の最有力作品には違いありません。
以下ミュージカル部門ノミネート
作品賞
主演男優賞(2人)
楽曲賞
演出賞
脚本賞
助演女優賞
振り付け賞
編曲賞
美術賞
衣裳賞
照明賞
音響賞
計12部門13ノミネート
Matilda
オン作品では僕の今年のベスト作品です。
ロイヤルシェイクスピアカンパニーの製作で
ローレンスオリヴィエ賞を史上最多受賞した作品。
イギリスでのあまりの好評かからオープン前から
今年のトニー賞の有力候補作品でした。
Roald Dahlというイギリスを代表する児童小説家のベストセラーをミュージカル化した作品。
既に映画化もされていてなかなか心温まる作品です。
恵まれない家庭に生まれた天才少女が駄目な大人達を機知と魔法の力でやっつけるという
ストーリー的にはとっても単純でわかりやすい作品。
脚本はイギリスで活躍のDennis Kelly
作詞、作曲はこれから期待の若手、Tim Minchin
二人ともまだNYではあまり知られてない方々。
あいまいですが上の2人はブロードウェイデビューなんだと思います。
演出はばりばりのシェイクスピア系のストレートプレイが得意なイギリスのMatthew Warchus
ブロードウェイでは「Ghost」「 Follies」「The Norman Conquests」など話題作を手がけてます。
「God of Carnage」では演出賞を獲得してますね。
振り付けはビッグネーム。
Peter Darlingです。
そう「Billy Elliot」の映画版、舞台版の振り付けの方ですね。
もうとにかく振りと音楽、セットのマッチングが素晴らしい。
芸術的であり独創的であり観ていて飽きない。
そんでもってそれを10歳前後の子供達がこなしていくわけですが
完成度の高さに唖然とします。
演出の綿密に無駄なく隙のない仕上がり、セットや照明、小道具が
観客の想像力を掻き立てわくわくさせてくれて
あのお堅いRSCとは思えない程コミカルに笑わせてくれる。
老若男女問わず楽しめる作品に仕上がっています。
馬鹿馬鹿しくもあり洗練されてもいるという希有な作品です。
このバランス感覚と綿密さはアメリカの作品にはない仕上がり。
最多受賞もうなずける素晴らしい作品だと思います。
なんとも暖かく夢を与えてくれてかつ押し付けがましくない。
僕の好みかもしれませんがこのくらいの塩梅が好きですね。
俳優陣の素晴らしさも飛び抜けていた様に思えます。
主演の4人の少女達はノミネートされませんでしたが
他の主要キャストはイギリスでオリヴィエ賞を受賞した
オリジナルキャストが半分以上で流石でした。
個人的にはこの作品に受賞して欲しいところですがどうなることやら。
子供の時に出会っていたら人生が少し変わってしまうかもしれないと思う作品です。
以下ミュージカル部門ノミネート
作品賞
脚本賞
楽曲賞
主演男優賞
助演男優賞
助演女優賞
演出賞
振り付け賞
編曲賞
美術賞
衣裳賞
照明賞
計12部門ノミネート
A Christmas Story
こちらも子供が主役のお話。
こちらではクリスマスの定番映画なんですが日本では未公開なんですね。
今年のクリスマスにはもう死ぬ程テレビで見てしまう程流れてました。
映画もなかなか素敵で心暖まる作品です。
アメリカの雪深い片田舎の街に暮らす男の子がクリスマスプレゼントに
BBライフルというモデルガンが欲しくて色々と奮闘しながらクリスマスを迎えるまでの
一月余りを当時を回顧しながら語るラジオDJの視点から描いた作品。
アメリカ版「オールウェイズ3丁目の・・・」的ノリの作品なんですが
とにかくコメディーとして本当にアメリカの子供あるあるが散りばめられて
懐かしくもあり楽しい作品です。
脚本はいまいち知名度のない職人系のJoseph Robinette
作詞作曲は期待の新人でブロードウェイデビューの
Beng PasekとJustin Paul
そして演出が僕の敬愛するジョン・ランドーなんです。
彼は「Urinetown」「The Wedding Singer」「The Toxic Avenger」などなど
コメディーを作らせたらピカイチの演出家で
馬鹿馬鹿しくも暖かい作品を沢山作っています。
今回は演出賞でのノミネートはありませんが今期はとにかく数多くの作品を手がけていて
なんだか嬉しい限りです。
最初っから最後までコミカルで笑いが沢山詰まった素敵な作品でした。
ナショナルツアーを経てのクリスマスシーズンだけのリミテッド上演だったので
そこまで豪勢な感じはなくコンパクトにあえてチープにくだらない仕上がりで
とてもセンスの感じるセットや衣裳でした。
家族の暖かさやクリスマス特有のわくわく感がとても伝わって来るし
子供達のステージングシーンは完璧さを見せつけるのではなくあえて
大人を茶化したように演じられていてかわいらしくもあり可笑しくもありで
塩梅がとてもよかった。
俳優陣も上手くまとまっていてとても好印象。
ずば抜けた何かがあるわけじゃないんだけど心にしっかり残る作品。
ただ作品賞には少し及ばない感じではありますね。
とても素敵な作品なんですが「Matilda」に比べると完成度やアーティスティックな面で及ばないし。
「Kinky Boots」ほどのインパクトや盛り上がりもない。
逆にリミテッド上演だったのにノミネートに上がったことを評価したいところですね。
以下ミュージカル部門ノミネート
作品賞
脚本賞
楽曲賞
計3部門ノミネート
一応トリプルクラウンノミネートなんすね。
Bring It On
これは邦題だと「チアーズ」という映画を元にした作品。
脚本は「Avenue Q」でトニーのJeff Whitty
音楽チームはかなり豪華です。
「next to normal」でトニーのTom Kitt
「In the Heights」でトニーのLin-Manuel Miranda
「Hands on a Hard Body」のAmanda Green
演出振り付けは「In the Heights」振り付けでトニーのAndy Blankenbuehler
とにかくクリエイティブスタッフはトニー賞受賞者ばかり。
内容ははっきり言ってたいした事ない青春ドラマです。
念願のチアリーディング部の部長になった主人公が公立高校の区割り変更で
治安の悪い高校に転校することになりそこで新たにチア部を設立して
古巣のチア部と戦いつつ恋愛やら友情やらが絡んで来る感じ。
これだけのスタッフを揃えていながら音楽にそこまで魅力を感じなかったのは残念ですが
流石ナショナルツアーを経てブラッシュアップした作品なだけに
ステージング、振り付けは恐ろしい程に仕上がってました。
若さ溢れるキャスト達のアクロバットには本当に度肝を抜かされました。
もう主演女優なんか人の上に立って歌ってたかと思うと
そこから片足になったり前宙して飛び降りたりと
信じられない身体能力。あれだけ歌ってアクロバットをこなすことにただただ感心しました。
演出も無駄のない踊りに特化した仕上がりでコミカル要素を全面に押し出していたので
なかなか好感が持てました。
はち切れんばかりのフレッシュな勢いに結構圧倒された印象です。
この作品は映画よりも断然良く仕上がった作品だと思います。
とにかく出演者の努力には脱帽させられました。
ここまで体当たりで演じてくれる俳優がいるってことに感動です。
だけど・・・
あくまで作品としては面白いけど感動できる作品ではないし
特筆すべきなのはアクロバットの要素ぐらい。
やはり作品賞獲得には及ばないかなあ。
以下ミュージカル部門ノミネート
作品賞
振り付け賞
計2部門ノミネート
さて個人的な思いとしては「Matilda」にとって欲しいけど
今の流れ的には「Kinky Boots」もかなり有力かなあ。
この2作品の一騎打ちというかんじですかね。
でも敢えて僕の予想は「Matilda」にしておきます。
さあどうなるやら。
さて次はベストリヴァイヴァル賞について書いてみますね。
ノミネートが発表されました。
観劇日記は週一更新のつもりで書いてますが
とうとう賞レース本番ということで勝手に今年のノミネート作品を紹介していきます。
まずは皆さん注目のミュージカル作品賞
Bring It On:The Musical
A Christmas Story, The Musical
Kinky Boots
Matilda the Musical
この4本。
なんとどの作品も映画のミュージカル化作品なんですね。
まあMatildaは映画自体がもともと児童小説をもとにしているので
ちょっと意味合いが違いますが
完璧なオリジナルな作品は一つもないわけです。
昨今のブロードウェイミュージカルの現状を反映したラインナップです。
因に今期の選考対象新作ミュージカルを振り返ってみますともれたのは
Chaplin
Scandalous
Hands On A Hard Body
Motown
の4作品。
そもそも新作ミュージカルが8本しか開いてません。
リヴァイヴァルはというと詳しくはまた書きますが本数だけで5本しか開いてなく
ノミネートされるのは4本。なんだかノミネートのハードルは高くなさそうですね。
まあオンにあがってくる作品というだけで選ばれた作品ということでしょうか。
今期は不作の年と言われていてオープンした作品が結局13本だけ。
因に他の演劇賞を参考までにちらっとみてみましょう。
Outstanding Award Best Musical
A Christmas Story: The Musical
Giant
Hands on a Hardbody
Here Lies Love
Matilda
Natasha, Pierre & The Great Comet of 1812
The Other Josh Cohen
この賞はプロダクションの規模を問わずに賞を選定するので
Off作品やoff,off作品もノミネートされています。
なんとこちらには「Kinky Boots」がノミネートされていません。
代わりに「Hands on a Hardbody」が滑り込んでます。
「Giant」「Here Lies Love」はPublic Theatre製作の秀作。
「Natasha, Pierre & The Great Comet of 1812」はoff,offというかレストランで上演されていた話題作。
これだけ観れてないんです。残念。
「The Other Josh Cohen」はoffのコメディーミュージカル。
「Kinky Boots」が評価されない理由はわからないわけでもないので後で書きますが
今年のラインナップを眺めるとやはり今年はOffの方が盛り上がっていた気がしますね。
もう一つ参考までに。
OUTSTANDING NEW BROADWAY MUSICAL
Chaplin: The Musical
A Christmas Story
Hands on a Hardbody
Kinky Boots
Matilda the Musical
こちらは「Bring It On:The Musical」の代わりに
「Hands on a Hardbody」と「Chaplin: The Musical」が入ってます。
不動の3作品は
A Christmas Story
Kinky Boots
Matilda the Musical
の3作品ということですね。
かすらなかったのは「Scandalous」と「Motown」可哀相。
ここから下は追記です。書き忘れてた大事な賞。
Drama League Awards Distinguished Production of a B'way or Off-B'way Musical
Dogfight (Off-B'way)
Here Lies Love (Off-B'way)
Kinky Boots (B'way)
Matilda The Musical (B'way)
Motown: The Musical (B'way)
Murder Ballad (Off-B'way)
Natasha, Pierre and the Great Comet of 1812 (Off-B'way)
「Dogfight」は「A Christmas Story」コンビのオフミュージカル。
渡米前だったので観れてません。
「Murder Ballad」は大好きな作品。既に3回も観てます。
今年一押しの作品で再演がいま行われております。
「Motown」がやってノミネート。「Scandalous」だけがまったくかすらず。
「Matilda」と「Kinky Boots」は不動です。
追記はここまで。
以下は作品の紹介と予想です。
まず今期最多の13ノミネーションの「Kinky Boots」
元の映画が好きな私にとってはちょっと物足りなかった作品ですが
評価の高さは予想通り。
ニューヨーカーが泣いて喜ぶ作品だと思います。
イギリスの倒産寸前の紳士靴工場が起死回生のために
ドラッグクイーン用のブーツ(キンキー・ブーツ)を作って
ミラノの見本市に出品するってお話。
脚本は「Newsies」「Torch Song Trilogy」「la Cage aux Folles」を手がけた
Harvey Fierstein。
音楽はあのシンディー・ローパー。
初のミュージカル作曲。
演出・振り付けはジェリー・ミッチェル。
「ヘアスプレー」「ラカージュ」「リーガリー・ブロンド」とかでおなじみですね。
もう作品のドラマなんか関係なく歌って踊ってはっちゃけて
ドラッグクイーンがキラキラした服着て踊りまくるわけです。
はっきり言って映画の良さは半減してますが
エンターテイメントとしてはピカイチ。
シンディーの楽曲はキャッチーでなかなかいいし。
振り付けは当然お得意の感じでまとまってる。
セットにやや説得力がかけるが踊りメインの作品のために
とにかく機能的に使っているという印象。
映画の素敵なシーンがいくつもなくなっていたのは残念ですが
映画を観ずに観ればそんなの関係ありませんからね。
とてもアメリカらしいカラッと明るく観れる作品です。
主演男優賞で二人もノミネートを出していることが
最多ノミネートに弾みを付けた感じですかね。
同じ部門数のノミネートの「Matilda」をそれで一歩リードした形です。
僕の予想としては作品の善し悪しは置いといてNewYorkの演劇賞という
観点で言えばこの作品はかなり有利だと思います。
やはりアメリカ産のアメリカ的作品に賞をあげたくなるもんじゃないでしょうか。
僕の順位とは違いますが・・・
シンディーの作曲賞はかなり確立が高そうですね。
俳優陣にもっと絶対的な魅力があればなあ。
ちょっと期待外れもあったりで。ただ今期の最有力作品には違いありません。
以下ミュージカル部門ノミネート
作品賞
主演男優賞(2人)
楽曲賞
演出賞
脚本賞
助演女優賞
振り付け賞
編曲賞
美術賞
衣裳賞
照明賞
音響賞
計12部門13ノミネート
Matilda
オン作品では僕の今年のベスト作品です。
ロイヤルシェイクスピアカンパニーの製作で
ローレンスオリヴィエ賞を史上最多受賞した作品。
イギリスでのあまりの好評かからオープン前から
今年のトニー賞の有力候補作品でした。
Roald Dahlというイギリスを代表する児童小説家のベストセラーをミュージカル化した作品。
既に映画化もされていてなかなか心温まる作品です。
恵まれない家庭に生まれた天才少女が駄目な大人達を機知と魔法の力でやっつけるという
ストーリー的にはとっても単純でわかりやすい作品。
脚本はイギリスで活躍のDennis Kelly
作詞、作曲はこれから期待の若手、Tim Minchin
二人ともまだNYではあまり知られてない方々。
あいまいですが上の2人はブロードウェイデビューなんだと思います。
演出はばりばりのシェイクスピア系のストレートプレイが得意なイギリスのMatthew Warchus
ブロードウェイでは「Ghost」「 Follies」「The Norman Conquests」など話題作を手がけてます。
「God of Carnage」では演出賞を獲得してますね。
振り付けはビッグネーム。
Peter Darlingです。
そう「Billy Elliot」の映画版、舞台版の振り付けの方ですね。
もうとにかく振りと音楽、セットのマッチングが素晴らしい。
芸術的であり独創的であり観ていて飽きない。
そんでもってそれを10歳前後の子供達がこなしていくわけですが
完成度の高さに唖然とします。
演出の綿密に無駄なく隙のない仕上がり、セットや照明、小道具が
観客の想像力を掻き立てわくわくさせてくれて
あのお堅いRSCとは思えない程コミカルに笑わせてくれる。
老若男女問わず楽しめる作品に仕上がっています。
馬鹿馬鹿しくもあり洗練されてもいるという希有な作品です。
このバランス感覚と綿密さはアメリカの作品にはない仕上がり。
最多受賞もうなずける素晴らしい作品だと思います。
なんとも暖かく夢を与えてくれてかつ押し付けがましくない。
僕の好みかもしれませんがこのくらいの塩梅が好きですね。
俳優陣の素晴らしさも飛び抜けていた様に思えます。
主演の4人の少女達はノミネートされませんでしたが
他の主要キャストはイギリスでオリヴィエ賞を受賞した
オリジナルキャストが半分以上で流石でした。
個人的にはこの作品に受賞して欲しいところですがどうなることやら。
子供の時に出会っていたら人生が少し変わってしまうかもしれないと思う作品です。
以下ミュージカル部門ノミネート
作品賞
脚本賞
楽曲賞
主演男優賞
助演男優賞
助演女優賞
演出賞
振り付け賞
編曲賞
美術賞
衣裳賞
照明賞
計12部門ノミネート
A Christmas Story
こちらも子供が主役のお話。
こちらではクリスマスの定番映画なんですが日本では未公開なんですね。
今年のクリスマスにはもう死ぬ程テレビで見てしまう程流れてました。
映画もなかなか素敵で心暖まる作品です。
アメリカの雪深い片田舎の街に暮らす男の子がクリスマスプレゼントに
BBライフルというモデルガンが欲しくて色々と奮闘しながらクリスマスを迎えるまでの
一月余りを当時を回顧しながら語るラジオDJの視点から描いた作品。
アメリカ版「オールウェイズ3丁目の・・・」的ノリの作品なんですが
とにかくコメディーとして本当にアメリカの子供あるあるが散りばめられて
懐かしくもあり楽しい作品です。
脚本はいまいち知名度のない職人系のJoseph Robinette
作詞作曲は期待の新人でブロードウェイデビューの
Beng PasekとJustin Paul
そして演出が僕の敬愛するジョン・ランドーなんです。
彼は「Urinetown」「The Wedding Singer」「The Toxic Avenger」などなど
コメディーを作らせたらピカイチの演出家で
馬鹿馬鹿しくも暖かい作品を沢山作っています。
今回は演出賞でのノミネートはありませんが今期はとにかく数多くの作品を手がけていて
なんだか嬉しい限りです。
最初っから最後までコミカルで笑いが沢山詰まった素敵な作品でした。
ナショナルツアーを経てのクリスマスシーズンだけのリミテッド上演だったので
そこまで豪勢な感じはなくコンパクトにあえてチープにくだらない仕上がりで
とてもセンスの感じるセットや衣裳でした。
家族の暖かさやクリスマス特有のわくわく感がとても伝わって来るし
子供達のステージングシーンは完璧さを見せつけるのではなくあえて
大人を茶化したように演じられていてかわいらしくもあり可笑しくもありで
塩梅がとてもよかった。
俳優陣も上手くまとまっていてとても好印象。
ずば抜けた何かがあるわけじゃないんだけど心にしっかり残る作品。
ただ作品賞には少し及ばない感じではありますね。
とても素敵な作品なんですが「Matilda」に比べると完成度やアーティスティックな面で及ばないし。
「Kinky Boots」ほどのインパクトや盛り上がりもない。
逆にリミテッド上演だったのにノミネートに上がったことを評価したいところですね。
以下ミュージカル部門ノミネート
作品賞
脚本賞
楽曲賞
計3部門ノミネート
一応トリプルクラウンノミネートなんすね。
Bring It On
これは邦題だと「チアーズ」という映画を元にした作品。
脚本は「Avenue Q」でトニーのJeff Whitty
音楽チームはかなり豪華です。
「next to normal」でトニーのTom Kitt
「In the Heights」でトニーのLin-Manuel Miranda
「Hands on a Hard Body」のAmanda Green
演出振り付けは「In the Heights」振り付けでトニーのAndy Blankenbuehler
とにかくクリエイティブスタッフはトニー賞受賞者ばかり。
内容ははっきり言ってたいした事ない青春ドラマです。
念願のチアリーディング部の部長になった主人公が公立高校の区割り変更で
治安の悪い高校に転校することになりそこで新たにチア部を設立して
古巣のチア部と戦いつつ恋愛やら友情やらが絡んで来る感じ。
これだけのスタッフを揃えていながら音楽にそこまで魅力を感じなかったのは残念ですが
流石ナショナルツアーを経てブラッシュアップした作品なだけに
ステージング、振り付けは恐ろしい程に仕上がってました。
若さ溢れるキャスト達のアクロバットには本当に度肝を抜かされました。
もう主演女優なんか人の上に立って歌ってたかと思うと
そこから片足になったり前宙して飛び降りたりと
信じられない身体能力。あれだけ歌ってアクロバットをこなすことにただただ感心しました。
演出も無駄のない踊りに特化した仕上がりでコミカル要素を全面に押し出していたので
なかなか好感が持てました。
はち切れんばかりのフレッシュな勢いに結構圧倒された印象です。
この作品は映画よりも断然良く仕上がった作品だと思います。
とにかく出演者の努力には脱帽させられました。
ここまで体当たりで演じてくれる俳優がいるってことに感動です。
だけど・・・
あくまで作品としては面白いけど感動できる作品ではないし
特筆すべきなのはアクロバットの要素ぐらい。
やはり作品賞獲得には及ばないかなあ。
以下ミュージカル部門ノミネート
作品賞
振り付け賞
計2部門ノミネート
さて個人的な思いとしては「Matilda」にとって欲しいけど
今の流れ的には「Kinky Boots」もかなり有力かなあ。
この2作品の一騎打ちというかんじですかね。
でも敢えて僕の予想は「Matilda」にしておきます。
さあどうなるやら。
さて次はベストリヴァイヴァル賞について書いてみますね。