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世界一面白いミュージカルの作り方

早稲田発小劇場系ミュージカルプロデュースユニットTipTapのブログです。
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プレイ部門 主演女優、助演女優賞

2013-05-15 00:04:40 | トニー賞
今度はプレイの女優部門。
まずは主演女優賞から。



Laurie Metcalf    「The Other Place」
  
Amy Morton      「Who's Afraid of Virginia Woolf?」
   
Kristine Nielsen   「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

Holland Taylor    「Ann」

Cicely Tyson     「The Trip to Boutiful」



これはまた選ぶのが難しい!
「Vanya~」からはシガニー・ウィーバーは選出されなかったのですね。意味深。


参考までにこちらの賞も。



[Drama Desk Award Outstanding Actress in a Play]


Maria Dizzia         「Belleville」
 
Amy Morton         「Who's Afraid of Virginia Woolf?」

Julia Murney        「Falling」

Vanessa Redgrave     「The Revisionist」

Miriam Silverman      「Finks」

Cicely Tyson         「The Trip to Bountiful」


こちらはオフ作品ばかりです。
Maria Dizzia はテレビでの活躍が目立ちますが
「In the Next Room」でトニーにノミネートされてます。
今回は心に病気を抱えた病的な若妻を演じてました。迫真だったなあ。
Julia Murney は「Lennon」でブロードウェイデビューしてますが
アンダーやナショナルツアーで沢山の作品に参加する経験抱負な女優です。
今回は自閉症の息子を抱える健気な母親を好演してました。この作品は泣きました。
Vanessa Redgrave は世界的な大女優です。
オスカー、カンヌ、エミー、ゴールデングローブ賞などを獲得していて
さらに舞台でもトニー賞、ローレンスオリヴィエ賞を獲得してます。
今回はオフでSoldOutした3人芝居に出演してました。
何度もキャンセル待ちに行ったのに観れなかった・・・
どうやら来期オンブロードウェイで再演されるそうです。期待ですね。
Miriam Silverman はまだあまり目立ったキャリアのない女優さんです。
この作品も見逃してるから何とも言えない。う~ん・・・悔しい。




お次は結果が出ている賞です。



[Outer Critics Circle Award Outstanding Actress in a Play]


Tracee Chimo          「Bad Jews」
 
Amy Morton          「Who's Afraid of Virginia Woolf?」
 
Vanessa Redgrave        「The Revisionist」
 
Joely Richardson         「Ivanov」

Cicely Tyson           「The Trip to Bountiful」


こっちもオフ作品が健闘してます。
Tracee Chimo はオフブロードウェイで活躍する女優。
オビー賞やDrama Desk Award を獲得してますがこの作品も見逃してる・・・
Joely Richardson はテレビや映画で活躍する女優。
舞台経験はあまりないようです。これも見逃した。
ノミネート作品を見逃してると悲しくなりますね。
選んでみてるはずなのにああ審美眼が欲しい。


さて結果は・・・


Cicely Tyson    「The Trip to Bountiful」

まあ。わかる。確かに凄かった。
こうして眺めると Amy Morton と Cicely Tyson がどの賞にもノミネートされてました。
今年の評価の高さが伺えますね。



さて紹介に移ります。




Laurie Metcalf      「The Other Place」

この方もシカゴの Steppenwolf Theatre Company 出身。
映画にテレビに舞台にとかなり活躍しています。
エミー賞を3回獲得、トニー賞に二度のノミネートされています。
舞台では「Brighton Beach Memories」「November」などが代表作。
今回は記憶を喪失した科学者を演じていました。
この作品は本当に面白かった。
2年前にオフであいて翌年に期間限定でオンで上演された作品。
自殺で失くした娘が生きていると思い込む心と記憶が壊れた女性を
ほぼ1人芝居に近いかたちで演じていました。
90分あっと言う間。ほぼ喋りっぱなし。
人間の危うさがとても上手く描けていた。
あの密度のある空気感は本当に感心した。
なんとも深い作品で仕上がりも良かった。
もっと評価されて欲しかったんですが前年の
オビー賞やDrama Desk賞などでかなり受賞したため
今年は対象外になっていた賞も多かったようです。
個人的にはかなり好きな作品だったので三度目の正直でぜひとって欲しいなあ。






Amy Morton 「Who's Afraid of Virginia Woolf?」

彼女もシカゴの Steppenwolf Theatre Company 出身。
もう素晴らしい俳優は本当にここ出身の方が多い。
テレビでも活躍している女優ですが自ら演出をするなど多彩です。
舞台では「August: Osage County」でトニー賞にノミネートされています。
今回はさえない大学教授と結婚した学長を父親に持つ姉さん女房を演じてます。
とにかく口が悪くて酒癖も悪い、若い教授を誘惑して一線を越えてしまうし
もうわけのわからないキャラクターですが
最後には彼女の脆さと二人の絆が見えて来ます。
今期かなり評価されているのもうなずけます。
とにかく台詞が軽妙で突き刺さる。
一つ一つのしぐさで相手をいらいらさせて揚げ足をとっていく。
本当に面白かった。これだけ喋るのは本当に大変だろうなあ。
今年の流れから考えると彼女の受賞はかなり現実的かもしれません。






Kristine Nielsen     「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

キャリアの長い舞台女優とイメージ。最近ではウディ・アレン映画などにも出演してます。
オビー賞などを獲得してますがトニーのノミネートは今回が初めて。
共演者のシガニー・ウィーバーを押さえてのノミネート。
本人もかなりびっくりしたと記事に答えてました。
「Bloody Bloody Andrew Jackson」「To Be Or Not To Be」
「A Streetcar Named Desire」などが代表作。
今回は鬱病で引き蘢ってるおばちゃん役。
絵に書いたようなおばちゃんなんだけど傷つきやすくて繊細で
なんだかとても魅力的なキャラクターでした。
大女優の姉にいつもないがしろにされて可哀相な境遇なんですが
あることをきっかけに立場が逆になったりしてまた滑稽なんです。
そして最後には長ーい電話のシーンがあるんですが
そこがかなりの見せ場。
電話の向うの生まれて初めて自分に興味を持ってくれた男性に
面白可笑しく気恥ずかしくはなしかけます。
このシーンは本当に上手かった。
最後になんだかほろっとしちゃうほど。
彼女が評価されてなんだか嬉しいです。
あのパフォーマンスだったら受賞の可能性もあると思います。





Holland Taylor      「Ann」

テレビや映画で長きに渡り活躍する女優です。
エミー賞の受賞もあり舞台でも
「Breakfast with Les and Bess」「Vagina Monologues」など
かなり精力的に活躍してます。
今回はテキサス州の元女性知事アン・リチャーズを演じています。
2幕ものの作品をたった一人で最初から最後まで演じきります。
いやあ凄い。現在70歳。
人間ってこんなことができるんですね。
もうとにかく最初っから最後まで笑いっぱなし。
政治的な風刺の沢山こもった台詞から下世話なはなしまで
とにかくひたすら喋って客席を沸かせます。
しかもこの作品彼女自身が書き上げたそうです。
初めて書いた脚本がブロードウェイで上演されるなんて凄い。
当然年を感じさせないパワフルさ。
いやあ本当に感服しました。
ただ作品自体の評価がそこまで高くないんです。
いや本当に面白かったんですけどね。
なんというか演劇的な作品ではないというか漫談みたいなもんなんで
ちょっと評価が低かったのかな。
でもこんなに素晴らしいパフォーマンスが観れるとは思わなかった。
受賞は難しいのかなあ。でもあげたくなっちゃう。







Cicely Tyson 「The Trip to Boutiful」

3つのエミー賞を獲得してアカデミー賞にもノミネートされている大女優です。
しかもあのマイルス・デイビスの奥さんです。
元は舞台からキャリアを始めてテレビや映画で大活躍しています。
今回は30年ぶりのブロードウェイ復帰作のようです。
この方もご高齢。79歳。
信じられないです。1幕2幕全編ほぼ出っぱなし。
しかも途中で歌って踊ります。
もうなんですかね。
人生の終盤を迎えた一つの命がキラキラと輝くさまは
本当に感動しました。
円熟味というよりそこにあるという感じ。
もうそのものな感じがして心を打たれました。
息子夫婦と住んでいてどこにも居場所がない年金生活者が
最後に一目故郷をみたいとこっそり家出をするんですが
最後の望みだった故郷さえもうなくなってしまう。
どこにも居場所がなくなって結局息子夫婦の元に戻って行く。
廃墟と化した生家に後ろ髪を引かれる姿はなんとも涙を誘います。
作品全体でみればちょっともったいないところもありましたが
彼女のパフォーマンスでもう全て帳消しという感じ。
素晴らしかった。確か高評価もうなずける。
有力候補ですねえ。



こうしてみるとなんとも選ぶのが難しい。
どの女優も素晴らしかった。本当に甲乙付けがたい。
でも選ぶんことになるわけです。
希望は色々ありますが・・・
今年の流れで行けば
Amy Morton 「Who's Afraid of Virginia Woolf?」
なのかな。う~んでも絞れないなあ。本当に。






さてお次は助演女湯賞。
まずは今年のノミネート。




Carrie Coon        「Who's Afraid of Virginia Woolf?」
 
Shalita Grant       「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

Judith Ivey         「The Heiress」
 
Judith Light         「The Assembled Parties」

Condola Rashad      「The Trip to Bountiful」



個人的にはなんだかバランスの悪いノミネーション。
番狂わせがあるのかな。



別の賞もちらみしてみます。




[Drama Desk Award Outstanding Featured Actress in a Play]



Tasha Lawrence       「The Whale」

Judith Light         「The Assembled Parties」

Kellie Overbey        「Sleeping Rough」

Maryann Plunkett      「Sorry」

Condola Rashad      「The Trip to Bountiful」

Laila Robins         「Sorry」


オフから4人もノミネートされてます。
しかも「Sorry」は二人。健闘してます。
Tasha Lawrence テレビやオフブロードウェイを中心に活躍してます。
作品を観れてないと何とも言えませんね。
Kellie Overbey テレビや舞台で活躍してます。
こちらも観てない!悔しい。
Maryann Plunkett は「Me and My Girl」でトニーの主演女優賞を獲得してます。
今回は痴呆の父親を持つ姉妹の姉を演じています。
この作品、評価されてるんだけどあまり記憶に残ってない。
まだ英語力が乏しい時期でしたからね。
Laila Robins テレビや舞台と幅広活躍しています。
先ほどの姉と同居すしている友人だったかな?を演じていました。
最近違う芝居で観たんですがその時は魅力的な人妻を演じていてよかった。
Judith Light と Condola Rashad  はノミネートされてますね。


結果がでているこちらはどうでしょうか。





[Outer Critics Circle Award Outstanding Featured Actress in a Play]



Cady Huffman       「The Nance」

Judith Ivey         「The Heiress」

Judith Light        「The Assembled Parties」
 
Kristine Nielsen      「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

Vanessa Williams     「The Trip to Bountiful」


トニーでは主演にノミネートされていた Kristine Nielsen がノミネートされてます。
本当にカテゴリーわけが難しいんですね。
Cady Huffman 「Producers」でトニーの助演女優賞を獲得してます。
「The Will Rogers Follies」なども代表作です。最近は映画やテレビで活躍してます。
今回はバーレスクの名物ダンサーとして出演してます。
Vanessa Williams グラミー、エミー賞を獲得していてトニーにもノミネートされてます。
今回は主人公のおばあちゃんをいびりまくるお嫁さん役。これは本当にはまってた。
なんだかこっちのノミネートの方がしっくりきます。

さて結果は・・・


Kristine Nielsen  「Vanya and Sonia and Masha and Spike」


この並びなら納得です。選ばれるカテゴリーって大事です。本当に。





では紹介に移ります。




Carrie Coon      「Who's Afraid of Virginia Woolf?」

ブロードウェイデビューでトニーにノミネートです。
なかなか凄いですね。
まだまだこれからどんどん活躍して行くんだと思います。
将来有望な生物学者のお酒に弱い若妻を演じてました。
本当に酔っぱらってぐでぐでになっていく様は面白かった。
これだけのキャストに囲まれてしっかり存在感を発揮していたのが
ノミネートに繋がったんでしょうか。
彼女が助演にノミネートするほど作品の評価が高かったということがわかります。
ただまだ受賞とまではいかないんじゃないですかね。






Shalita Grant    「Vanya and Sonia and Masha and Spike」
 
彼女も今回がブロードウェイデビュー。
オフでは何本か出演してますがまだまだキャリアが浅い方です。
今回は黒魔術?的な何かを信仰して未来が見えるぶっとんだ家政婦を演じてます。
彼女の演技もさることながらこのキャラクター自体が本当に
よく書かれていて面白かった。
祈祷するシーンは本当に爆笑ものでした。
彼女も本当に錚々たる俳優に囲まれながらかなりの存在感を見せつけてました。
本当に面白かった。
でもやっぱりまだ早いんじゃないかなあ。
そんな気がします。






Judith Ivey       「The Heiress」

「Steaming」と「 Hurlyburly」で既に助演女優賞を2つ獲得してます。
テレビや映画でも活躍していて脇役には欠かせない女優です。
今回は引き蘢りの主人公のおせっかいな伯母を演じています。
主人公のことを思ってはいるんだけどとんちんかんな世話の焼き方で
余計状況を悪化させてしまう役どころです。
結局姪の不幸を見守ることしかできず傷つけてしまいます。
上品なちょっと抜けてるキャラクターがとても似合ってました。
作品もまあ不可なくまとまった感じで悪くはなかったんですが
これといって魅力的な要素が少なかったイメージですね。
主演のジェシカ・チャスティンが思いの外好演だったことが印象的です。
まあそんなこんなで今回は受賞まではいかないんじゃないかと思ってます。







Judith Light      「The Assembled Parties」

テレビドラマの「アグリー・ベティー」で有名な女優です。
それよりも前にシットコムでエミー賞を獲得してます。
最近は舞台に活動の場を移し
なんとここ3年毎年トニー賞にノミネートされています。
しかも去年は助演女優賞を獲得。
2年連続の獲得なるかというところです。
今回は豪華なアパートメントを相続した弟の姉で
弟が他界したあとも義理の妹と親しくしているおばちゃんを演じてます。
さばさばとしたキャラクターがとても合っていて面白かった。
普段ははっきり物を言うしじめじめしないんだけど
妹のことを考えたり家を出てしまった娘の話になると
ふっと寂しそうな空気が出て来る。
人生の終わりが見えて来て明るく振る舞っていても
どこかちょっと哀愁が帯びて来る。
いい風合いでした。なんか。塩梅がちょうどよかった。
笑わせてくれてしんみりさせてくれる。
さすがだなあという感じです。
役のウェイトや作品への貢献度などを考えると彼女が有力な気がします。







Condola Rashad    「The Trip to Bountiful」

彼女も去年の助演女優賞にノミネートされてました。
今年はリベンジという感じですね。
テレビでもちょくちょく活躍しているようです。
ブロードウェイでは今回が2作目。
2本ともとトニーにノミネートされているわけです。
夏にはデヴィッド・ルヴォーのロミジュリが控えてます。
こらからかなり活躍が期待される方です。
さて今回は主人公のおばあちゃんとバスの旅で一緒になる
夫が出征中の若い妻を演じています。
この二人のシーンはなかなかよくて
おばあちゃんが亡くした夫について語るんです。
彼を愛した事がなかったから今の自分は不幸せなんだって。
悪い事をしたって話します。
それを黙ってきく若妻。
色々と親身になって世話をするんですが結局バスの乗り継ぎで
おばあちゃんを残して旅立って行きます。
なんとも親しみやすくて優しいキャラクターなんですが
助演にノミネートされる程の役かちょっと疑問でした。
逆に Vanessa Williamsの方がしっくりきますが・・・
というわけで個人的には違うかなとおもってます。






助演は案外個人的には選びやすかったのかな。
でもかなりの主観が入ってますが予想としては

Judith Light    「The Assembled Parties」

さあどうなるでしょうか。

やっとこさスタッフ部門に戻れます!
終わりが見えて来た。






プレイ部門 主演男優、助演男優賞

2013-05-14 13:44:23 | トニー賞
さてやっとプレイ部門です。
プレイ部門は結構日本でも有名な俳優さんもノミネートしてます。
さてまずは主演男優賞から。


Tom Hanks    「Lucky Guy」

Nathan Lane       「The Nance」

Tracy Letts       「Who's Afraid of Virginia Woolf?」

David Hyde Pierce    「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

Tom Sturridge     「Orphans」

なるほど。Tom Sturridge は意外でしたね。
アレック・ボールドウィンを差し置いてのノミネート。なんだか大変そう。
他はまあ納得なんですかね。



他の賞も。



[Drama Desk Award Outstanding Actor in a Play]

Reed Birney   「Uncle Vanya」

Daniel Everidge     「Falling」

Tom Hanks       「Lucky Guy」

Shuler Hensley     「The Whale」

Nathan Lane       「The Nance」

Tracy Letts        「Who's Afraid of Virginia Woolf?」

トニー賞からは David Hyde Pierce と Tom Sturridge がもれてますね。
Reed Birney オフを中心に活躍する長いキャリアの俳優です。
この作品を観れてないのですが最近はオンの「Picninc」に出てました。
Daniel Everidge は逆にこれからの俳優さんです。
「Falling」は本当に素晴らしい作品でしたから。頑張って欲しいです。
Shuler Hensley はオンでも活躍してます。
「Young Frankenstein」「Tarzan」「Les Miserable」などなど。
トニーの助演でもノミネートされてます。この作品観れてないから残念。
発表が楽しみですね。



結果が出てるこちらの賞。





[Outer Critics Circle Outstanding Actor in a Play]

Tom Hanks       「Lucky Guy」

Shuler Hensley     「The Whale」

Nathan Lane       「The Nance」

Tracy Letts        「Who's Afraid of Virginia Woolf?」

David Hyde Pierce     「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

こちらでも「The Whale」の Shuler がノミネート。
観てないからなあ。くじらの様に大きな男を演じていたそうなんですが・・・

さて結果は。


Nathan Lane       「The Nance」


でした。この方もういくつ賞をとってるんでしょうか。
不服じゃないんですが。まあちょっと希望とは違ったかな。



というわけでトニーの紹介に入ります。





Tom Hanks    「Lucky Guy」

もうこの人の説明は必要ありませんね。
今回がブロードウェイビュー。
あまり舞台には立ってこなかったようですね。
さて今回は実在のジャーナリスト Mike McAlary を演じています。
結構写真なんかをみると似ている気がします。
仕上がりとしてはプレビュー中に観たためまだ
カーテンコールのあとにメモを取ってる姿が見えるくらいに
これからという感じでした。
ただ作品賞の時も書きましたがちょっと本が弱くて
彼の生涯の凋落がそこまで深く描けていないような気がして
物足りなかったという印象です。
彼自身の芝居はとにかく喋る喋るという感じで
意外にマッチしていた気がします。
後半の哀愁を帯びて来るあたりはなかなか良かったんですが
前半の高慢な感じがどうも好きになれなかった。
序盤主人公を好きになれないとちょっと辛かった。
そもそもこの Mike McAlary 自体賛否両論ある人物なので
仕方ないと言えば仕方ないのかな。
とは言えデビュー作としてみるとかなりの好演だったのだと思います。
ただ今期のベストアクターかと言われると個人的にはちょっと疑問です。
でもチケットセールスはトップだし、話題性もあるし・・・
どうなんでしょうね。







Nathan Lane       「The Nance」

押しも押されぬブロードウェイ、アメリカを代表する舞台俳優です。
テレビや映画でもかなり活躍しています。
日本でも映画「The Producers」や
映画ライオンキングのティモンの声で知ってる人もいるかと思います。
舞台でのキャリアはもう恐ろしいです。
[Drama Desk Award]は既に5回も獲得してます。
トニー賞も2回獲得。名実共に名優です。
代表作は「Guys and Dolls」「The Producers」「The Addams Family」など。
ミュージカルのイメージが強いですがストレート作品もかなりやってます。
今回はまだ同性愛が認められていなかった時代の
ゲイのバーレスクショウの俳優を熱演してました。
キスシーンありラブシーンありのかなり体当たりな作品。
前から2列目だったのでひしひしと感じました。
流石だなあ。本当に凄いなあと感心。
一つ一つが無駄なく効果的。視線、しぐさ、声色、リズム。
なんとも技巧的に使い分けてます。
性格的にあまりいい噂を聞かない人ですが
これだけ芝居ができるんならいいんじゃない?
って思える程の上手さでした。
これも作品自体の本がちょっと弱いので残念ですが
最後の哀愁漂う佇まいには思わず声が漏れてました。
素晴らしかったんだけどでも作品の出来もあるし・・・
違う人にあげたくなっちゃうかな。でも充分獲得の可能性ありです。







Tracy Letts       「Who's Afraid of Virginia Woolf?」

もはやこの人は俳優といううより脚本家として成功してます。
代表作「August: Osage County」はピューリッツアー賞とトニー賞を獲得。
俳優としてのキャリアも長くシカゴの Steppenwolf Theater Company 出身で
数々の作品に出演しています。
脚本家しても俳優としても大活躍している希な人材です。
今回はうだつの上がらない大学教授で不仲な妻と罵り合うおじさんを演じています。
無駄にインテリで論理的、達観してるようで絶望してる。
嫌いな様で愛してる。とにかく複雑な人を演じてるんですが
それが上手い具合にちらちらと見えて来る。
上手いですね。年の功という言葉がありますがこの円熟味が・・・
と思ったらまだ47歳。全然見えなかった。もう50代後半という印象。
凄いなあ。俳優って。確かに普段の写真みると若い。
いやいや素晴らしい。
作品の完成度にかなり貢献している彼ですから今回は期待できると思います。
俳優としてトニー賞を獲得するとなるとこれまた快挙ですかね。
さあどうなることやら。





David Hyde Pierce    「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

日本ではあまり知られてないかもしれませんが
邦題『そりゃないぜ!?フレイジャー』というシットコムでかなり有名な俳優です。
この作品で4つのエミー賞を獲得しています。
元は舞台出身の俳優で「The Heidi Chronicles」「Spamalot」「Curtains」などが有名です。
彼は既にトニー賞を「Curtains」で獲得していて更に
Isabelle Stevenson Award というトニー賞の特別賞も受賞しています。
今回は引き蘢って鬱病の妹の世話をする作家志望のおじさんを演じています。
とにかくコミカルでウィットに富んでて少し遠くから眺めている感じがとても良かった。
終盤にある一人でひたすら情熱的に喋りまくる長せリフは圧巻でした。
こんなにも激しくストレートに感情が伝わって来るモノローグはなかなかない。
観客にはっきりと押し付けてるんだけどその押し付け方が
彼の心の弱さと怒りの葛藤を見せてくれて感動した。
ストレート作品なのにショーストップしてしまう程の芝居でした。
面白いだけではなく暖かくほっとさせてくれる存在感。
本当に素敵な俳優だと思います。
既に評価の高い俳優ですから今回はどうでしょうか。
個人的には彼にとって欲しいかなあ。でも難しかも。






Tom Sturridge     「Orphans」

彼も今回がブロードウェイデビュー。
そもそもイギリスの俳優で舞台経験もそんなにありません。
ロンドンでは「Punk Rock」という作品で評価を受けています。
彼は映画「パイレーツ・ロック」などで脚光を浴びるなど
映画やテレビの仕事が多いようです。
今回は過保護な兄に家に閉じ込められている孤児の弟を演じています。
今で言えば発達障害とでも言うようなキャラクターです。
純粋で疑う事をしらない彼がひょんなことから彼等を世話する事になる
マフィアのボスに可愛がられて成長して行きます。
彼のキャラクター造形はちょっとやり過ぎかと思う程入り込んでいて
見応えがありましたが主演というノミネートに疑問が残ります。
3人芝居なんでまあ3人が主役という感じなんですが
彼だけがノミネートされる程の芝居だったかと言うと・・・
まあ3人の中ではかなり評価は高くなるのでしょうが
他の作品にももっと候補者はいただろうに。
いまいち謎が残るノミネートです。
とは言え彼自体にパフォーマンスはなかなかでした。



さて予想ですが・・・
これも難しいですね。
個人的には David Hyde Pierce か Tracy Letts な気がするんですが
トニー賞ですからねえ。話題性やら何やら考えて行くと・・・
Tom Hanks と Nathan Lane にも可能性が出て来るし。
でも Tracy Letts なのかな。そんな気がします。






引き続き助演男優賞へ


Danny Burstein     「Golden Boy」

Richard Kind   「The Big Knife」

Billy Magnussen 「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

Tony Shalhoub 「Golden Boy」

Countney B. Vance 「Lucky Guys」


いやはやこちらは難しい。「Golden Boy」から二人もノミネート。さすがです。






こちらの賞は。


[Drama Desk Award Outstanding Featured Actor in a Play]


Chuck Cooper      「The Piano Lesson」

Peter Friedman      「The Great God Pan」
 
Richard Kind         「The Big Knife」

Aaron Clifton Moten     「The Flick」

Brían F. O'Byrne       「If There Is I Haven't Found It Yet」

Tony Shalhoub         「Golden Boy」


オフから4作品。
Chuck Cooper はトニー賞も獲得している俳優です。
今回は黒人ミュージシャン役でのピアノの弾き語りが凄かった。
とてもソウルフル。「The Life」「Chicago」などなど沢山活躍してます。
Peter Friedman もトニーのノミネート経験があります。
今回は小さい頃に息子が友人の父親に虐待を受けていた可能性を知る父親を演じてました。
確かに好演してたけど・・・そこまで評価される役柄だったかな?
Aaron Clifton Moten はまだまだこれからの俳優。
映画館で働き出す映画好きの元ニートを好演してました。
助演というより作品的には主演なんだけどな。
Brían F. O'Byrne 彼もトニーを既に獲得しています。
この作品は残念ながら見逃してます。
トニーノミネートからは二人しか残ってませんね。




さてお次は結果が出ております。




[Outer Critics Circle Award Outstanding Featured Actor in a Play]

 
Danny Burstein  「Golden Boy」

Richard Kind       「The Big Knife」

Jonny Orsini       「The Nance」

Tony Shalhoub      「Golden Boy」

Tom Sturridge       「Orphans」


不思議なことに Tom Sturridge が助演でノミネート。
いやいやこちらの方がしっくりきますね。
Jonny Orsini は結構な大抜擢。
ネイサンの恋人役です。舞台上ですっぽんぽんになるは
濡れ場はあるわで大変でしたね。でもまあ愛くるしい感じで好演してました。

それで結果は・・・



Tom Sturridge    「Orphans」



まあ確かに助演という枠なら納得なのかな。
こうやってどの部門でノミネートされるかも受賞に大きく関わって来ます。
面白いですね。



ということで紹介に移ります。




Danny Burstein     「Golden Boy」

トニー賞に3度もノミネートされてますがまだ未獲得。
今度こそは!という感じですかね。
ストレートからミュージカルまで幅広く活躍してます。
代表作は「Follies」「South Pacific」「The Drowsy Chaperone」
「Titanic」「Company」などなど。
今回は主人公のバイオリニストを夢見るボクサーのトレーナーを好演してました。
あまり台詞があるわけではなく寡黙にボクサーを支える姿は
男臭い職人という感じでかっこ良かったですね。
本当に色んな役を幅広くこなします。
今オフでやってる作品にも出演しててこちらは欲喋る教授を演じてます。
どんな役でもこなせるんですね。素晴らしい。
でも今回は同じ「Golden Boy」からなら Tony Shalhoubのほうがよかったかな。
同じ作品で争うのもなんだか変な感じですね。







Richard Kind   「The Big Knife」

なかなかキャリアの長い俳優ですが今回初めてのトニーノミネート。
この人もミュージカルから映画、テレビまで幅広く活躍してます。
代表作は「Dirty Rotten Scoundreis」「The Producers」などなど。
今回は主人公のハリウッドスターが所属する映画スタジオの社長を熱演してました。
狡猾で人間の醜さがにじみ出た役を嫌らしく演じてます。
確かにこの作品の中では特筆すべきキャラクターでした。
なんというかしたたかで傲慢でとにかく嫌なやつなんです。
彼のパフォーマンス自体は素晴らしかったんですが
作品自体がいまいちでして・・・
ちょっと獲得は難しいい気がします。





Billy Magnussen 「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

テレビや映画で最近活躍し始めた若手俳優です。
「The Ritz」でブロードウェイデビュー。この作品は2作品目です。
2作目にしてトニーにノミネートとはなかなかやりますね。
役柄としてはシガニー・ウィーバー扮する大女優のお馬鹿な愛人。
筋肉自慢の単細胞というキャラクターが本当に合っていた。
はっきり言って色物なんですが
彼が登場する度に客席が笑いに包まれてました。
とても思いっきりよく錚々たる俳優に囲まれても物怖じせず
演じている姿はとても好感がもてました。
本当に面白かったけどまだ獲得まではいかないでしょう。
きっとこれからまだまだ可能性もあるでしょうしね。





Tony Shalhoub 「Golden Boy」

彼は「Monk」というテレビドラマでかなり有名な方です。
エミー賞やゴールデングローブ賞を獲得してます。
舞台でも「The Odd Couple」「The Heidi Chronicles」などに出演していて
「Conversations With My father」ではトニー賞にノミネートされています。
今回は主人公の息子に愛情を注ぐ父親を好演してました。
息子がヴァイオリニストになるのを夢見る父親。
生活の為にボクサーの道を選ぶ事に反対しつつも見守る父親。
そしてあっという間に息子をうしなって残される父親。
本当に良い役なんです、哀愁が半端ない。
じんわりじんわりと彼の愛情が伝わって来て本当に感動しました。
控えめな丁寧な演技で観客に想像させる感じが好みです。
個人的には彼に獲得して欲しいな。





Countney B. Vance 「Lucky Guys」

彼もテレビや映画で活躍する俳優ですが
もちろん舞台でのキャリアもしっかりしてます。
「Fences」と「six Degrees of Separation」で2回トニー賞にノミネートされてます。
今回は主人公の記者の上司である編集長を演じてました。
トムとのかけ合いがかなり巧妙でお互いに罵り合うさまは見応えありました。
当時はまだ黒人の編集長は珍しかったらしくそういった葛藤も
描かれていて彼の人生も垣間見えた気がしました。
ただそんなに評価される程の役柄だっただろうか?
あんまり印象に残ってないんですね。
ということで今回も違うんじゃないかなあなんて思ってます。





助演部門は本当に予想するのが難しいですがここはあえて
Tony Shalhoub にしておきます。彼には泣かされました。本当に。
彼がとるのを期待しています!


次は女優部門です!







ミュージカル部門 主演女優、助演女優賞

2013-05-14 02:02:50 | トニー賞
お次はミュージカル部門の女優賞。
ここら辺まで来るともう観た人以外はまったく興味のない世界かもしれません。
ただただ知って欲しいのはこんなに素晴らしい俳優が沢山いるんだということです。
とにかくこっちは俳優の層が厚い。
英語圏の世界中から俳優が集まって来ます。
その中で切磋琢磨するわけですからね。凄い環境です。
まずは主演女優賞から


Stephanie J. Block   「The Mystery of Edwin Drood」

Carolee Carmello    「Scandalous」

Valisia LeKae      「Motown」

Patina Miller       「Pippin」

Laura Osnes       「Cinderella」


なるほど。圧巻ですね。まあ本当に素晴らしい女優が並んでおります。
「Matilda」の女の子達はノミネートされずなんですね。残念。
クワトロキャストだし選考基準的に難しかったのかなと思ったら
「特別賞」で既に受賞が決まっていました。いやいや良かった。そりゃそうだわ。


こちらもみてみましょう。



[Drama Desk Award Outstanding Actress in a Musical]

Kate Baldwin         「Giant」

Stephanie J. Block      「The Mystery of Edwin Drood」

Carolee Carmello      「Scandalous」

Lindsay Mendez       「Dogfight」

Donna Murphy        「Into the Woods」

Laura Osnes          「Cinderella」

Jenny Powers          「Donnybrook!」

なんと「Pippin」のPatina Miller が入ってません。これは意外。
他の賞では有力候補なのに。
Kate Baldwin は
「Thoroughly Modern Millie」「Wonderful Town」「The Full Monty」で有名。
とにかく歌唱力が素晴らしく気品ある妻を好演してました。
Lindsay Mendez は「Godspell」や「Everyday Rapture」で活躍してます。
Donna Murphy はトニー賞を2回もとってる実力派です。
代表作は「Passion」「The King and I」「Wonderful Town」
夏に毎年セントラルパークで行われるPublic Theatre のサマーシアターでノミネート。
Jenny Powers は 「Grease」「Little Woman」に出演してます。
今回はアイルランドの気丈な花嫁を演じてました。
オフ作品が目立ちますがオンからは 
Patina Miller とValisia LeKae 以外はトニーと同じノミネート。


結果が出ているこちら


[Outer Critics Circle Award Outstanding Actress in a Musical]

Lilla Crawford 「Annie」

Valisia LeKae    「Motown」

Lindsay Mendez   「Dogfight」

Patina Miller     「Pippin」

Laura Osnes     「Cinderella」

「Annie」の Lilla Crawford は一時期怪我で休演してましたが
なんとか復帰してノミネート。鳴り物入りのデビューでしたからね。
他は似たような顔ぶれ。
そして結果は

Patina Miller     「Pippin」


当然ですね。これは異論なし。



さて紹介に移ります。



Stephanie J. Block   「The Mystery of Edwin Drood」

もうこの方はとにかく出演本数が半端ないです。
オンブロードウェイだけではなくアメリカ中のミュージカルに出ています。
むしろやっとことがない作品がないのではないかというぐらい。
代表作は「Anything Goes」「9 to 5」「Wicked」「The Pirate Queen」など。
だいたいアンダーやリプレイスメントといって後で参加することの多い女優さんです。
「Anything Goes」でも日本で有名になったサットン・フォスターの後に主役を務めてます。
どんな役でも万能にこなす歌唱力抜群の女優というイメージです。
ソロでCDも出してるぐらいですからね。
今回は劇中劇で男性の主役を演じる大女優という主役を演じています。
いわゆるタイトルロールです。本当に器用にしっかりこなします。
結局殺されてしまう役なので出番はあまり多くはないのですが
とても印象に残りました。コミカルな作品がよく似合いますね。
熱演というわけではないですが役どころを押さえた好演という感じ。
でも主演女優賞として考えると他の役に比べてそもそも役不足かな。






Carolee Carmello    「Scandalous」

キャリアの長い実力派女優という印象です。
代表作は「Sister Act」「The Addams Family」「Mamma Mia!」
「Urinetown」「Parade」「Kiss Me, Kate」などなど数多くの作品に出演しています。
トニー賞にも2回程ノミネートされていますが獲得には至っていません。
まあなんとも今回は作品に恵まれずに可哀相な印象です。
彼女のパフォーマンスはもう100%体当たりと言った感じで
死に物狂いで演じているような凄さがありました。
ただ作品がほんとにいまいちで残念。
アメリカのカルト教団の女性宗教家の一生を描いた作品なんですが
内容自体もどう捉えればいいかわからないし
とにかくもう常に100%の圧迫感。
凄いんだけどいったい何がいいたいのかわからない。
本当にあんなに頑張ってたたのに可哀相でした。
途中声を枯らしてしまったりと散々な状態でオープンしてもすぐにクローズ。
本当に報われない感じ。
作品の仕上がり的にちょっと受賞はないかな。
でも本当に命を削って演じてる姿には心を打たれました。







Valisia LeKae      「Motown」

これまでのキャリアはあまりぱっとしません。
「The Book of Mormon」「Ragtime」「110 in the Shade」など
どの作品もアンサンブルかアンダーといった感じです。
オン作品で初めての大役といったところでしょう。
今回の役はダイアナ・ロス。
似てなくもなかったんだけどう~ん、もうちょっと似てて欲しかったなあ。
確かにか歌唱力はあるんだけど似せるために声色を変えている感じが
逆にあまり心地よくなかった。
もっと彼女の本気の声が聞きたかったです。
まだまだこれからが期待の女優という印象です。
主演女優と言ってもそこまでのウェイトを感じない役ですしね。
まだまだ獲得には遠い気がします。これからに期待。






Patina Miller       「Pippin」

今年の大本命。どうやら僕と同じ年らしいです。すげえなあ。
「Sister Act」のオリジナルの主演が代表作。
ロンドンでもブロードウェイでも演じてます。
オリヴィエ賞とトニー賞にノミネートされてましたが獲得ならず。
「Sister Act」では抜群の歌唱力が絶賛されてました。確かに凄かった。
彼女のバラードに泣かされた記憶があります。
今回はサーカスの座長として帰って来ました。
もう踊りが凄い。本当に。
こんなに歌って踊れる人がいるんだと信じられないぐらい。
フォッシースタイルをセクシーにスタイリッシュに踊りこなし
ソウルフルに歌唱する。
キャラクターも冷徹でしたたかな怖さを醸し出し
なかなか魅力的でした。
ただちょっとキャラクターが合わない気もしましたけど
そんなことを気にさせないくらいの歌と踊り。
もう本当に素晴らしかった。
彼女がいなければこの作品はここまで評価されなかったのではないでしょうか。
誰が何と言っても今年は彼女に間違いないと思います。





Laura Osnes       「Cinderella」

ここ数年注目の女優さんです。
「Grease」「South Pacific」「Anything Goes」「Bonnie & Clyde」などで
ヒロインを務めています。
「Bonnie~」ではトニー賞にノミネートされてますが獲得はならず。
歌もうまいしお芝居も柔軟な感じでとても自然。
なんと言うか色味のあまりない印象です。
今回の主演エラもなかなか親しみやすく綺麗で好印象。
おとぎ話の主人公という説得力がとてもありました。
ただ作品自体がキラキラした夢物語というわけでもないので
ちょっと物足りなかったかな。
もう少しコミカルにくだけられた方が作品のカラーには合っていたのかも。
とは言えそのカラー自体に問題があったのだから難しいですね。
まだまだぴたりとはまる役が沢山ありそうな女優です。
今回はもう一歩ですがそのうち役に当たれば受賞できる気がします。




ということで予想は Patina Miller 「Pippin」です。
これは間違いない気がします。とか言って外したりして。
でも本当に素晴らしかった。


引き続き助演女優賞に


Annaleigh Ashford   「Kinky Boots」

Victoria Clark       「Cinderella」

Andrea Martin       「Pippin」

Keala Settle       「Hands on a Hardbody」

Lauren Ward       「Matilda」

男性よりは予想がしやすい気がします。
さくさく他の賞も覗いてみます。




[Drama Desk Award Outstanding Featured Actress in a Musical]

Annaleigh Ashford    「Kinky Boots」

Melissa Errico      「Passion」

Andrea Martin      「Pippin」

Jessie Mueller       「The Mystery of Edwin Drood」

Christiane Noll       「Chaplin」

Keala Settle        「Hands on a Hardbody」

Kate Wetherhead      「The Other Josh Cohen」

こちらも男性よりはわかりやすいノミネート。
Melissa Errico はトニーノミネートの経験もある女優。
「White Christamas」「Dracula」「Amour」「My Fiar Lady」などなど。
今回は主人公の恋人で夫がいる女性を演じています。
歌唱力も素晴らしく魅力的に演じていました。
Jessie Mueller もトニー賞にノミネートされてます。
「On a Clear Day You Can See Forever」「In To The Woods」
「Nice Work if You Can Get It」などで活躍してます。
この作品では主人公のライバルのインド人貴族の妹を好演してました。
いわゆる色物キャラクターでかなり面白かった。
Christiane Noll もまたトニーにノミネートされたます。
「Ragtime」「Jekyll & Hyde」が有名です。
チャップリンの母親を好演してました。白黒映画風の艶やかな美しさが印象的だった。
Kate Wetherhead は「Spelling Bee」「Leagally Blonde」「Ordinary Days」
などで活躍してます。まだこれからといった印象ですが
主人公が恋する彼女役をはじめいくつもの役を演じ分けてました。面白かった。




お次は結果が出ているこちら



[Outer Critics Circle Award Outstanding Featured Actress in a Musical]

Annaleigh Ashford 「Kinky Boots」

Victoria Clark        「Cinderella」

Charlotte d'Amboise     「Pippin」

Andrea Martin        「Pippin」

Keala Settle         「Hands on a Hardbody」

「Pippin」から二人もノミネートされてます。
Charlotte d'Amboise はトニーに二度もノミネートされてます。
「Chicago」「A Chorus Line」「Cats」「Sweet Charity」などが有名ですが
面白いのは今回「Pippin」主人公の義理の母の女王を演じているのですが
夫の王を演じる Terrence Mann は実の夫なんだそうです。夫婦で夫婦共演。

そして結果は

Andrea Martin    「Pippin」

これも納得かな。もうこれは仕方ないかな。




ということで紹介に移ります。



Annaleigh Ashford   「Kinky Boots」

代表作は「Hair」「Leagally Blonde」「Wicked」
なかなか役に恵まれずいつもリーディングなど
でリプレイスされてしまうことが多いようです。
今回はやっと掴んだ役という感じでしょうか。
主人公に片思いする工場で働くパンクな女性を演じてます。
映画とは全くイメージの違うキャラクターでとてもはまってました。
まさに若い頃のシンディーのような雰囲気で
とてもキャラクターが立っていて好印象です。
更にコミカルな芝居がとても上手くて笑いをさらってました。
押し付けがましくなくとてもいい感じ。
愛嬌のある素敵な印象です。
ただ他の候補者と比べるとちょっとパンチにかけるのかな。
コメディー作品にどんどん出演して欲しいですね。





Victoria Clark       「Cinderella」

既にトニー賞を獲得しています。
代表作は「Titanic」「Cabaret」「Urinetown」
「The light in the piazza」「Sister Act」など。
今回は普段は乞食の魔法使いを演じてます。
とにかく印象に残ってるのはフライングで吊るされて歌ってるイメージ。
なんとも可愛らしい魔女を演じていました。
ただ作品全体的に魔法がチープな仕上がりなもんでちょっと
可哀相な気もしましたがなかなか好演してました。
とは言えこれといって目を見張るわけでもなく
しっかりと役をこなしているという印象です。
役柄的にはまったく問題ないのですが
そこまで評価されるようなイメージはなかったです。
とても愛らしく観客に好かれる仕上がりでしたが
今回のノミネーションではもう一歩という感じです。






Andrea Martin       「Pippin」

やはり今年はこの方が有力なんではないでしょうか。
「Exit The King」「Young Frankenstein」「Fiddler on the Roof」「Oklahoma!」
「Candide」「My Favorite Year」などなど。
今回ノミネートされた助演女優賞も既に獲得しています。
テレビや映画でもかなり活躍していてエミー賞の作曲部門も獲得しています。
ソロのコメディーパフォーマーとしてのキャリアもかなりあり
芸達者に幅広く活躍する人気女優です。
とにかく今回は役がばっちりはまってました。
国を追放された主人公のおばあちゃんという役どころなんですが
あまり出番があるわけではありません。
唯一かなり大きなナンバー「No Time at All」があります。
今回の演出では彼女は空中ブランコに乗り踊り歌います。
御年66歳が軽業師とともにスタントなしの曲芸を行うのです。
まあ凄い。本当に素晴らしい。
もう女優としてというか人間として尊敬します。
とてもチャーミングにパワフルに客席を湧かせていました。
彼女のナンバーの後は常にスタンディングオベーションらしいです。
僕が観た時もショーストップ。
いやさすがです。確かに今年は彼女に間違いない。そんな気がします。







Keala Settle       「Hands on a Hardbody」

この人もショウストッパーでした。
ヒットしなかった作品のなかで唯一といっていいほど盛り上がった瞬間。
「Priscilla QUeen of the Desert」でブロードウェイデビューしていて今回が2本目。
かなりキャラクターの濃い方なんでこれからもっと活躍していきそうです。
今回は痴呆の母親を介護する敬虔で熱狂的なクリスチャンというキャラクター。
とにかく常に神に祈りを捧げ、明るくゴスペルを歌っていました。
一人でアカペラから歌い始めるナンバーは圧巻で
とにかくパワフルでソウルフルな歌声が印象的でした。
キャラクターの愛情や人の良さがしっかり伝わって来て
作品の中で最も輝いていたキャストだと思います、
ただ作品の仕上がり自体がいまいちだったんでちょっと可哀相だったかな。
個人的にはとても素晴らしいパフォーマンスだったと思いますが
う~ん、作品が・・・
ってなわけで望み薄かな。






Lauren Ward       「Matilda」

演出賞の時も書きましたが演出家の奥様です。
「Follies」「1776」「Carousel」などで活躍してますが
最近は結婚を期に活動の場をロンドンに移していたようです。
今回はマチルダのよき理解者で彼女を守ってくれる学校の先生を好演しています。
とてもキャラクターにはまっていて親しみを持てました。
なかなか可哀相な生い立ちの彼女が明るく前向きに生きている姿は
なんだか心を洗われるようです。
歌唱もお芝居もダンスもなかなか素晴らしかったのですが
個人的にはマチルダのお母さん役の Lesli Margherita の方が
ノミネートされてもよかったのかなという印象です。
Lesli のダンスと歌は圧巻でしたからね。キャラクターも濃かったし。
でもまあ Lauren の評価も納得できるのでこれはこれでいいか。
控えめな芯のある女性がとても上手く伝わってきてました。
絵に書いたような理想の先生という感じですね。
ただ今回は他の候補者が凄いのでどうでしょうか。
う~ん・・・ちょっと及ばずな気がしますね。




というわけで予想としては Andrea Martin 「Pippin」だと思います。
本当に凄かったから。いやいや感心します。
というわけでミュージカル部門は終わりです。
次はストレートプレイ部門。
さてさて誰が読んでるのかわかりませんが
読んだ人はちゃんとトニー賞テレビで観てくださいね!











ミュージカル部門 主演男優、助演男優賞

2013-05-13 19:10:53 | トニー賞
さてさてどんど書きますよ!
今日は月曜で観劇が出来る物が少ないのでうちにひき籠っているのです。

次はミュージカル部門の主演男優賞から。
主演といってもこちらでは「Leading Role」というタイトルです。
作品を引っ張るキャラクターということですね。
そう言う意味では作品の中で1人とは限らないわけです。
逆に助演は「Featured Role」で「注目の役」というわけです。
なので主演か助演かの境目は曖昧でそうなるんだ?ってこともたたあります。



まずは今年のノミネートから。

Bertie Carvel 「Matilda」

Santiona Fontana 「Cinderella」

Rob McClure 「Chaplin」

Billy Porter 「Kinky Boots」

Starak Sands 「KInky Boots」


「Kinky~」から二人も出てます。まあ確かに「Leading Role」なんですけど
他にもいたんじゃないかなあ。 Starak Sands がノミネートされて
「Pippin」の主役がノミネートされないのはちょっと納得いきませんね。

他の賞をチェックしてみます。

[Drama Desk Award Outstanding Actor in a Musical]

Eric Anderson  「Soul Doctor」

Brian d'Arcy James  「Giant」

Jim Norton   「The Mystery of Edwin Drood」

Billy Porter   「 Kinky Boots」

Steve Rosen   「The Other Josh Cohen」

Ryan Silverman   「Passion」

Anthony Warlow  「 Annie」

う~ん。なんだか不思議なノミネート。
Eric Anderson は今「Kinky Boots」に出演中の俳優。
「Soul Doctor」は観てないんですが「Kinky~」のってますね。
Brian d'Arcy James は本当に素晴らしい俳優です。
「Next to Normal」「Shrek」などでメインをやっていて
味のある男臭いかっこよさがあっていいんです。
今回も味のある南部の男を好演してました。応援してます。
Jim Norton はもう名優の域に達する75歳。今回は劇場の支配人役でノミネート。
主演という感じじゃないけど・・・まあいいか。
Steve Rosen「スパマロット」や「Peter~」で活躍してましたね。
今年は作詞作曲、脚本、主演でノミネートされてます凄いなあ。
Ryan Silverman は「ワンダーランド」や「オペラ座の~」で活躍。
今回は主人公なんですがちょっといまいちだったんだよなあ。歌唱は他の二人の女優に比べると・・・
Anthony Warlow はオーストラリアを代表するミュージカル俳優ですね。
オペラでも活躍していて本国の「オペラ座の~」ではかなりの評判だったようです。
今回はあのつるつるの大金持ちの役でノミネート。
Billy Porter だけがトニーと同じノミネート。面白い。


もう一つ。

[Outer Critics Circle Award Outstanding Actor in a Musical]

Bertie Carvel 「Matilda」

Santino Fontana  「Cinderella」

Rob McClure 「Chaplin」

Billy Porter   「Kinky Boots」

Matthew James Thomas   「 Pippin」

このノミネーションは納得。トニーよりもしっくりきます。
さて受賞したのは

Billy Porter   「Kinky Boots」

う~ん。詳しくは後で書きますが、まあ予想通りと言えば予想通りかな。

[Drama League Award] に関してはなんと俳優部門は全て同じカテゴリーなので
発表後に賞の紹介をする時に記載します。ある意味潔く選ばれた俳優という感じですね。


というわけで個人の紹介。


Bertie Carvel 「Matilda」

イギリスの「Matilda」でオリヴィエ賞を獲得してます。
他にも「Parade」などでオリヴィエ賞にノミネートされるなど実力派として活躍しています。
映画のレミゼで「バマタモワ」も演じてます。
とにかく芸達者です。
今回の「トレンチブル校長」というのは
元ハンマー投げのオリンピック選手の女性です。
そもそも女性の役を男性が演じているわけなんですが本当に素晴らしい。
女性に見えるかどうかもさることながら一つ一つの動きから声から何から何まで
もう一挙手一投足が面白い。
リボンを持って新体操ばりに踊るシーンはもう圧巻でした。
人間って何にでもなれるんだなと思わせてくれる俳優です。
役どころ的に憎まれ役なんですが本当に観客から愛される役に仕上がってました。
凄いですねえ。個人的には充分獲得の可能性あり。



Santiona Fontana 「Cinderella」

ビリーエリオットのお兄さん役で有名な俳優です。
ブロードウェイでのクレジットは他に
「Brighton Beach Memoirs」「A View From The Bridge」などお芝居が多いみたいでね。
リージョンシアターではいくつものミュージカルに出演していて
着実にキャリアを積んでいるという印象でしょうか。
今回はシンデレラと結ばれるおばかな王子を好演してました。
ただ脚本の問題もあるのでしょうがあまりこの王子に魅力を感じなかった。
王子というだけで好きになるということでいいんですかね。
あまりにも馬鹿で頼りなさ過ぎて・・・
まあ作品自体の仕上がりもあれなんで仕方ないんですけどね。
好演はしてるんだけど彼でなければならない理由が見当たらないという感じですかね。
ただなんとなく人の良さそうな優しさはにじみ出ていて嫌いにはならない。
俳優としての持ち味はあるかと思います。
もっとはまる役がありそう。




Rob McClure 「Chaplin」

もうこの人は偉いとしかいいようがない。
この作品とにかく身体を張った作品で
最初から最後まで彼の曲芸が続きます。
このタイトルロールを勤め上げた。
本当に彼の身体能力と努力には賞讃を与えたい。
作品の評価はいまいちでしたが彼が評価されていることにはうなずけます。
作品的にやや毒気がなく本に旨味がなかったのは残念ですが
彼のパフォーマンスはほんとに素晴らしかった。
キャリアとしてはあまり目立ったことはなく
「Avenue Q」に出演していたぐらいでしょうか。
本当に今回は彼にとって命を懸けた熱演という感じで
評価されて嬉しい限りです。なんとか獲得して欲しいですね。




Billy Porter 「Kinky Boots」

今年の最有力候補です。彼は歌手としても活躍しています。
代表作は「Jesus Christ Superstar」「Songs for a New World 」「Dreamgirls」などなど。
とにかくシャウト系の作品が多いですね。
歌唱力は抜群ではあるんですが
ちょっと今回は僕の好みとしてあまり好きになれなかった。
しかも彼の声質がちょっと楽曲にも合わない気がして・・・
高音がかなりハスキーな声なのでちょっと聞き苦しい感じがします。
ドラッグクイーンの女々しさはあまり感じられずとにかくパワフルに押しまくる。
元の映画のイメージと重ねて観てしまったから好きになれなかったのかもしれません。
もっと繊細なキャラクターじゃないの!と思ってしまったこっちが駄目なのかも。
ただただパワフルでソウルフル。
確かに凄いんだけどなんか心に響かなかったんだよなあ。
本当は自信がないってキャラクターに説得力がない気がして。
でもパフォーマーとしては素晴らしいです。
なんというか野獣のような感じです。もうギラギラとした生命力。
このキャラクターに心から共感はできないけど圧倒はさせるという感じですかね。
まあ作品のコンセプト的に今回はこれでいいんでしょう。
この流れからするとかなり有力ですね。






Starak Sands 「KInky Boots」

「American Idiot」で注目を浴びた俳優です。
他にも「Bonnie & Clyde」のオリジナルキャストだったり
ストレートプレイでも活躍しています。
だけど・・・
はっきりいってこの作品の主役のはずなのにまったく存在感がない。
もう相方のドラッグクイーンの影に隠れてしまって彼にはまったく感情移入ができません。
残念ですね。もうはっきりいってドラッグクイーンが主役の作品だと割り切って欲しかったぐらい。
ある意味可哀相な役でした。
映画は本当にいもっぽい感じのもさっとした雰囲気がいい味出してたんですけどね。
ただの頑張る好青年みたいになっちゃって。
これも作品のコンセプト的にしかたないんだろうな。
なので何故ゆえ彼がノミネートされているのかちょっと疑問なのです。
逆に Billy Porter のノミネートだけだと何か問題があったのかと疑ってしまうぐらい。
可哀相な役どころでした。もっと素敵な役に巡り合って欲しいですね。


ということで色んな事を鑑みると予想としては Billy Porter なんですが
個人的には Rob McClure か Bertie Carvel にとって欲しいなあ。
もう完全に好みですけどね。でもやっぱり今年の勢いてきに仕方ないのかな。





引き続きまして助演男優賞。

Charl Brown 「Motown」

Keith Carradine 「Hands on a Hardbody」

Will Chase 「The Mystery of Edwin Drood」

Gabriel Ebert 「Matilda」

Terrence Mann 「Pippin」

う~ん。混戦の様相。ずば抜けた候補がいるようでいないなあ。
他の賞を参照してみましょう。



[Drama Desk Award Outstanding Featured Actor in a Musical]

Stephen Bogardus   「Passion」

John Bolton     「A Christmas Story: The Musical」

Keith Carradine    「Hands on a Hardbody」

Bertie Carvel     「Matilda」

John Dossett     「Giant」

Andy Karl     「The Mystery of Edwin Drood」

面白いです。同じ作品でも違う俳優が選出されてたり
主演でノミネートされてる人が助演でノミネートされてたり。
トニーと同じノミネートは Keith Carradine だけ。
Stephen Bogardus はウィリアム・フィン作品によく出演しています。
レミゼやウェストサイドなどにも出てるキャリアの長い俳優です。
今回は主人公の上司で彼を慕う精神病の姪を持つ将軍を演じています。
John Bolton はコメディー作品に欠かせない俳優というイメージ。
「Curtains」「Spamalot」「How to Succeed ~」「Funny Girl」「Contact」「Titanic」 などなど
かなり活躍している俳優です。
今回は主人公の変わり者の父親役を好演してました。歌って踊れて面白い。素晴らしい俳優です。
John Dossett もキャリアの長い俳優です。
「Gypsy」「Ragtime」「Mamma Mia!」「Newsies」などで脇を固めています。
「Rebecca」ではフランクを演じる予定でしたが・・・
今回は主人公の理解者である叔父役を好演してました。まさに古き良き南部の男という雰囲気。
Andy Karl は「Legally Blonde」「Wicked」「9 to 5」「Jersey~」などで
魅力的な若者を演じているイメージですね。
今回は主人公のライバルであるインドの貴族を演じてます。
同じ作品でも「The Mystery~」はトニーでは Will Chase が選ばれてるのに面白い。
「Matilda」の Bertie Carvel もトニーでは主演だったのにこちらでは助演。不思議ですね。




[Outer Critics Circle Award Outstanding Featured Actor in a Musical]

Will Chase     「The Mystery of Edwin Drood」

Dan Lauria      「A Christmas Story, The Musical」

Raymond Luke     「Motown: The Musical」

Terrence Mann     「Pippin」

Daniel Stewart Sherman   「Kinky Boots」

こちらもあまりトニーとは被ってませんね。
Will Chase と Terrence Mann ぐらいです。
Dan Lauria は映画やテレビで活躍する傍らOffなどで舞台に立つ俳優です。
こちらでは結構な有名人のようですね。
今回は主人公が大人になったラジオDJを演じています。暖かい雰囲気がここちよかった。
Raymond Luke はマイケル・ジャクソンの子供時代を演じている子役さんです。
とても可愛らしく楽しそうに歌っている姿が印象的でした。
Daniel Stewart Sherman はあまりぱっとするキャリアのない俳優ですが
今回は従業員のリーダー格でドラッグクイーンと対立する職人を演じてます。
雰囲気はばっちりでした。
本当にこの部門のノミネートを眺めるとまたく違って面白い。
さて結果は

Terrence Mann     「Pippin」

なるほど。こうなりますか。詳しい紹介で書きますが
納得できなくもないかな。
ということで詳しく紹介していきます。




Charl Brown 「Motown」

「Sister Act」や「Jersey Boys」などに出演していたようですが
あまり今まで活躍が目立つ俳優ではなかったようです。
今回はモータウンを代表するシンガーソングライターの
Smokey Robinson を演じています。
なかなかそっくりさんっぷりが面白かった。
作品は酷評のあらしでしたが劇場はとにかく盛り上がっていた印象です。
歌唱もしかりしていて元々似ているのか似せたのかわかりませんが
モータウンサウンドをしっかり堪能できました。
ただ好演はしているけど「注目すべき」と言われると・・・
あまりぴんときませんね。




Keith Carradine 「Hands on a Hardbody」

キャリアの長い多彩な俳優です。
なんと初舞台はオリジナルの「Hair」だそうです。
「Follies」「Dirty Rotten Scoundrels」などに出てます。
むしろ映画やテレビでの活躍が目立ちます。
特に「Nashville」という映画で自作した主題歌で
アカデミー賞の作曲賞を獲得しています。
今回は作品で唯一最初から最後まで出ているキャラクターを演じています。
はっきりいってこのキャラクターが主役じゃないんでしょうか?
いまいち助演というノミネートがしっくりきませんが
会社をリストラされてせめてもの救いにと競技に参加する男を好演してました。
なかなか渋くせつない感じは出ていて歌もなかなかいいんですが
作品の仕上がり的に微妙だったものであまり評価できませんね。
印象的ではなかった気がします。





Will Chase 「The Mystery of Edwin Drood」

ブロードウェイを代表するロック系ミュージカル俳優です。
「Rent」「Miss Saigon」「Aida」「Billy Elliot」「Kiss of the Spider Woman」などなど
ブロードウェイのヒット作で数々のメインを演じて来た方です。
今回は主人公を妬む神父で音楽家として最も犯人に近い男を演じています。
もちまえの歌唱力はさすがですがいつもは二枚目の役どころが多い中
今回はどちらかと言えば3枚目のキャラクター。
滑稽にかっこよくしようとすればするほど格好わるくと面白い。
こういうイケメン系の俳優さんがコミカルに茶かしてくれると
安心してコメディー作品に入り込めますね。
これだけの経歴なんですが未だにトニーは獲得していないようです。
今までにない役どころをとても巧妙に演じていて好感が持てました。
今回の好評価も確かにうなずけるはっちゃけぶり。
さて初めてのトニー獲得なるでしょうか。





Gabriel Ebert 「Matilda」

他の主要キャストはイギリスのオリジナルキャストが演じているのに
彼だけこちらアメリカでのキャスティング。
どういうわけだかわりませんがあまりミュージカルには出演していないようです。
「4000 Miles」というオフのストレートプレイでオビー賞を獲得しています。
「Brief Encounter」「Red」などストレートばかりが目立ちます。
オンブロードウェイの主要キャストとしての出演は初めてに近いようです。
今回のやくどころは主人公の駄目なお父さん。
とにかく駄目さが半端なくて意地悪で人としていいとこが一つもないんだけで
どこか憎めない情けない父親を好演していました。
絵本のなかのキャラクターが抜け出て来たような滑稽でこてこてな感じがよかった。
やや作り過ぎな感じもしましたがそれぐらいでちょうど良かったのかもしれません。
とても印象的なピエロのような役回りで
最後にほろっとさせる素敵なキャラクター造形でした。
まだまだこれからの俳優さんです。これからが期待です。





Terrence Mann 「Pippin」

この方もブロードウェイを代表するミュージカル俳優です。
「Cats」「Les Miserables」「Beauty and the Beast」「The Scarlet Pimpernel」
「The Rocky Horror Show」「The Addams Family」などなど。
30年以上も活躍する名優です。
映画のコーラスラインにも出てますからね。
まあキャリアの長い事。
これだけ出演してきてトニー賞はノミネートが二回。
レミゼのジャベールと美女と野獣のビースト。
未だトニー賞は獲得しておりません。
確かにあげたくなっちゃいますね。
今回のやくどころは主人公の父親の王様。
色々と見せ場はあるのですがそこまで印象的な役かというとちょっと疑問。
確かにオーラはあったしもう余裕が醸し出ていて安心感は半端ないんですが
役の役割自体が小さいせいかちょっとモの足りなかった。
この「PIppin」という作品においての役の大きさの問題ですかね。
逆に言えばその程度の役どころなのに笑いどころをきっちり押さえて
存在感を見せつけたと思えば流石の仕上がり。
30年のキャリアを考えちゃうとちょっと応援したくなります。



はてさてこれは予想が難しい。消去ほうでいくと Charl Brown がまず消えますかね。
あとはどうも横並びの感じがするんですが
作品に対する貢献度からすると Gabriel Ebert と Keith Carradine が有力。
キャリアを考えると Will Chase とTerrence Mann になるんですかね。
個人的にはGabriel Ebert にとって欲しいんですが・・・Terrence Mann なのかな。
いやいやこの賞は予想が難しい。いつになく自信がありません。
次はミュージカル女優部門です!




演出賞 プレイ

2013-05-13 17:01:51 | トニー賞
昨日はミュージカルの演出賞について書きましたが今日はプレイです。
プレイの方が演出家の色が見えやすいかもしれません。
本当に制約が少ない分演出家の裁量が多いですからね。
今年のノミネートは


Pam Mackinnon 「Who's Afraid of Virginia Woolf?」

NIcholas Martin  「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

Bartlett Sher 「Golden Boy」

George C. Wolfe 「Lucky Guy」

いやいやこれは何とも選ぶのが難しい。どの作品も演出的には素晴らしいものばかり。
他の賞もちらっと観てみます。



[Drama Desk Award Outstanding Director of a Play]

Lear Debessonet 「Good Person of Szechwan」

Sam Gold     「Uncle Vanya」

Ed Sylvanus Iskandar 「Restoration Comedy」

Pam MacKinnon    「 Who's Afraid of Virginia Woolf?」

Lynne Meadow   「The Assembled Parties]

Ruben Santiago-Hudson 「The Piano Lesson」

OFFからのノミネートが目を見張ります。
Lear Debessonet はまだまだ若手の女性演出家。これからが注目ですね。
確かに「セチュアンの善人」面白かった。絵本の中の暖かさと生々しさが共存してました。
Sam Gold この方は最近オンの作品も演出し出した期待の若手です。
奥様はピューリッツア賞にノミネートされる脚本家Amy Herzog。夫婦揃って芸術家なんですね。
今期彼の作品を3本以上観た気がします。
Ed Sylvanus Iskandar「Restoration Comedy」これお恥ずかしながらまったくしらない。
なんだろう。また調べてみます。
Ruben Santiago-Hudson は俳優として活躍していてトニー賞をも獲得しています。
最近は演出家としても活動を広げてるとか。多彩ですね。
「Who's~」以外は全部外れて代わりに「The Assemble~」が入ってます。
Lynne Meadow はMTCの芸術監督。


お次は既に発表された

[Outer Critics Circle Award Outstanding Director of a Play]

Pam MacKinnon [ Who's Afraid of Virginia Woolf?]

Nicholas Martin [Vanya and Sonia and Masha and Spike]

Jack O'Brien [The Nance]

Bartlett Sher [Golden Boy]

Michael Wilson [The Trip to Bountiful]

逆にオンの作品ばかりのノミネート。
「Lucky Guy」が外れて「The Nance」と「The Trip to~」が入ってます。
もう結果は出てますのでお伝えしておきます。

Jack O'Brien [The Nance]

が獲得したそうです。
トニーにはノミネートされてないのに・・・
面白いですね。確かにこの作品個人的には本に問題ありだったんですが
演出的にはよくできていた気がします。
最後のシーンの演出なんかはなかなか心に残る良いシーンでした。
「Hairspray」「Henry IV」「The Coast of Utopia」でトニーを3つ受賞してます。
もはや巨匠ですね。御年73歳。まだまだ健在です。こんな年まで仕事したい!


ということでノミネートの紹介に移ります。




Pam Mackinnon 「Who's Afraid of Virginia Woolf?」

この方はエドワード・オルビー作品が得意な人なんです。
本人とも親交があるようで彼女が初演をあけた作品もあります。
受賞歴は演出した「Clybourne Park」がピューリッツアー賞を獲得してます。
この作品ではオビー賞演出賞を獲得。
オビー賞についてはオフのトニー賞的な位置づけなのでまた詳しくいつか書きます。
この作品でトニー賞にもノミネートされてましたが獲得ならず。
今回はリベンジなるでしょうか。
とにかく言葉の応酬でしかない内容を上手く立体化して
しっかり緩急をつけ、飽きさせることなくスリリングに緊張感を保ことができていました。
これだけの会話劇をこんなにも密度の高いまま疲れさせずにみせることは
なかなか難しい事だと思います。
適度な息抜きの作り方など流石です。
脚本の読み込みの深さがわかる演出でした。
キャラクターの見せ方、印象づけ方も無駄がなくわかりやすい仕上がり。
演出的にはしっかり仕事をしたという印象ですが
なんとも主演の二人の芝居が素晴らしすぎて彼等の功績の方が評価されそうな気がします。
演出によって作品が昇華したというよりも二人の才能の凄さを感じた印象です。
すばらしい仕上がりなんだけど演出単体で観た時に・・・
他の作品に比べたらどうなんでしょうかね。





NIcholas Martin  「Vanya and Sonia and Masha and Spike」

ボストンの Huntington Theatre Company という有力なリージョナルシアターの
芸術監督を務めていた方です。
自身の受賞はあまりないのですが俳優としてキャリアをスタートして
コメディー作品などをメインに演出家としえのキャリアを伸ばしてきたようです。
今回の作品はとにかく本が素晴らしく出演者も達者な方ばかり。
何をしなくても面白くなるんだろうけど
この作品の良さは面白いだけじゃなく年老いた人々の哀愁が大事なんです。
このいわゆる情緒的な部分をしっかり笑いの中に散りばめて行く作業が上手かった。
若さとの対比、夢や人生を諦めた人々の小さなひっかかりなど。
とてもわかりやすく丁寧に描けていて観やすかった。
斬新さや新しさ美しさなんてものは一切ないけど
登場人物達が活き活きともがいている様はとても面白く元気をもらえる。
演出的に特徴的な何かがあるわけではないが
整ったわかりやすいコメディーという仕上がり。
キャラクターの立たせ方はなかなか上手かったと思う。
長いキャリアの中で今回が初めてのトニーノミネート。
さあどうなることでしょう。






Bartlett Sher 「Golden Boy」

古典からオペラ、ミュージカルまで幅広く活躍する今を代表する演出家です。
いくつものリージョナルシアターでの芸術監督を務め現在は
リンカーンセンターのレジデントディレクターという肩書きです。
代表作は「South Pacific」のリヴァイヴァル。これでトニー賞を獲得してます。
他にも「The Light in the Piazza」「Awake and Sing!」などが有名です。
新作というよりは原作のあるものを書き換えたりリヴァイヴァル作品が得意な印象です。
今回もリヴァイヴァルということで彼の手腕が遺憾なくはっきされています。
とにかくどのシーンも美しい。
白黒映画の乾いた艶やかさを感じます。
観客に押し付け主張するのではなく俯瞰的に眺めさせて
能動的に物語に呼び込む。
たっぷりと時間を使って濃密に丁寧に上質な空気を堪能できる仕上がりでした。
とにかく隙のない美しさできちんと世界が構成されていて
物語に引き込まれます。
キャラクターの心情もこちらがしっかり読み取るすきまがあり
表面的ではないけどわかりやすい。
人間の儚さ脆さ、危うさ、汚さがじわじわと染み入る上質な作品でした。
演出のカラーとしては彼らしさがはっきり出ていて
とても評価に値するのではないでしょうか、後は好みの世界です。





George C. Wolfe 「Lucky Guy」

Public Theatre の芸術監督兼プロデューサーの印象がとても強いですね。
約11年の任期での彼の評価は賛否両論ですがとにかく
妥協をせずに彼のビジョンを追求する姿勢には共感します。
脚本家、演出家、プロデューサーとして多彩な活躍をしている方です。
「Bring in 'Da Noise, Bring in 'Da Funk」
「Angels in America: Millennium Approaches 」
で2つトニー賞を獲得しています。
本人のアイデンティティーであるアフリカ系アメリカンという要素を
意識した作品を手がけることが多いようですが
今回は全く違うないようですね。
とにかく彼の持ち味はリズムと空間。
音楽の様に台詞がリズミカルに流れ
空間的な面白さが作品全体を支配する。
とても特徴的な演出家だと思います。
この作品の印象は脚本がいまいちという印象だったんですが
そんな中演出的にはとても上手くシーンや転換を作り上げていて
作品全体がミュージカルのような仕上がりでした。
視覚的に面白さを創り出すアイディアが沢山あるタイプですね。
ミザンスへのこだわりや台詞の流れへのこだわりが見て取れます。
演出的アプローチとしてはどちらかと言えば
斬新で新しいタイプだと思います。まあもう新しいとも言えないのかもですが・・・
演出家としてとてもカラーのはっきりしたタイプです。
作品が今回評価されているとするなら彼の手腕によるものだと思います。



というわけで演出家としての目線でみてみると
Bartlett Sher か George C. Wolfe という気がします。
ただこの見方はなかなかあてにならないかな。
個人的には Bartlett Sher を応援しております。


そろそろ俳優部門に移りますかね。
主演男優、女優賞
助演男優、女優書
これプレイとミュージカル部門で別れてるんです。
さてさてまだまだ先は長いぞ~!